ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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1話で収まりきらなかった………

ネルVSアリスちゃん



コールサイン00

ミレニアムの郊外に位置する『廃墟』の中層。

立ち入り禁止区域に指定されたその土地に4人の少女達が存在する。

 

その内の1人、メガネ少女がカバンを投げ捨てる。

すると着地する瞬間、そのカバンはカチリと音を鳴らし瓦礫の壁を粉々に爆砕した。

 

「随分と遠くに逃げ込んだようですね。」

 

瓦礫が吹き飛んだ後方は通路となっており、タイヤが焦げたような跡が奥の方へと伸びている。

標的の姿はここから確認できない。

 

「装甲車のタイヤを撃ち抜いた、無理に動かすと崩壊するはず。」

 

となれば、恐らくこの階層より下には向かえないはず。

任務は続行可能だ。

端からネルに撤退の2文字は無いが。

後は───彼女の電話が終わってからだ。

 

『────、──────ッ!!!!』

「だから─────、お願い─────?……あっ切れた。」

 

もう1人の仲間である少女が取り込み中から開放された。

やりたい事を思いついたと言っていたが、あの様子を見るに失敗したらしい。

彼女はいつもの3割減のテンションで合流し、4人が揃った。

 

「ごめーん、遅くなっちゃった。」

「何を話してたんだ、相手はユウカか(冷酷な算術使い)?」

「そうだよー、何を話したかは秘密☆」

 

何故だかイラッとする喋りだが、今優先すべきは任務だ。

深呼吸を挟み心を落ち着かせる。

……やっぱりイラつく。

 

「リーダー、そろそろお時間です。」

「はァ……わーってる、行くぞお前ら!!」

 

タイヤの痕跡を頼りに道を進むと、細い通路へ出る。

それと同時にタイヤの痕跡が消えていた。

代わりにあったのは規則的に続くひび割れの跡。

それがまた奥まで続いている。

 

「何だこれは?罅が奥に続いているけど……」

「痕跡が変わりましたね、誰かが持ち上げて運んだんでしょうか。」

「どんな馬力のロボだよ。」

 

幾つか装甲は剥がれていたとはいえ、アレは優に1トンを超えるはず。

工事用の巨大ロボでもなければ運搬は不可能なはずだが……

 

「案外有り得るかもしれませんよ、ここには不可解なロボットが大勢いますし。」

「それもそう、か?」

「へぇー見てみた〜い。」

 

下らない会話をしつつ奥へと進むこと数分後、奥へと続く亀裂が無くなった。

近くにいるのか?───前へアスナとネルが出る。

が、どうやら別客のお出ましのようだ。

 

「全く……蛆虫みてぇに湧きやがって。」

「総勢でのお出迎えのようですね。」

 

四角く小さいロボットの群れに、戦闘ロボットとドローン達。

どいつもこいつも、数だけは多い。

標的が近くにいるなら戦闘は避けたいが、止むを得まい。

それに───

 

「行くぞ!!」

 

最近ストレスが溜まっているのか、リーダーが吹っ切れている。

珍しく好き放題破壊してもお咎めのない任務だから仕方ないか。

彼女達(C&C)は遠慮なく弾丸を叩き込み蹂躙を開始した。

 

「目標確認、発砲。」

「オラオラオラオラァッ!!!!」

 

並の生徒ならいざ知らず、彼女達はプロのエージェント。

この程度の敵は障害になり得ない。

そんな圧倒的な強さを誇る彼女達だからこそ、戦闘を続ける内に違和感を覚えた。

 

「(やだなーこの感じ、上のロボットと何か違うような?)」

 

敵の動きが不自然すぎる。

まるで無理やり動かされている木偶人形のような。

それでいて統率はしっかり取れているチグハグさ。

 

そんな中、不意にロボ達が距離を詰めてきた。

通路は意外に狭く逃げ道は限られている。

不味いと全員が感じ取りロボットから離れた時だった。

────敵ロボットごと榴弾が炸裂したのは。

 

「榴弾!?これは───」

「全員散らばれッ!!」

 

立て続けて起こる爆発。

なんとか直撃は免れたがこれでは連携が取れない。

そしてネルは目が良すぎた、何かこっちへ向かって来る。

 

すかさず発砲するネルだが────

相手は怯むことなく接近し、ネルの首根っこを掴み走り去った。

 

「標的確保、目的地へ向かいます。」

「グオッ!!?(コイツ、滅茶苦茶力が強え!?)」

「リーダー!!」

 

悲鳴と言うには元気すぎるその声に1番早く対応したのはアスナだった。

そしてすぐ連れ去られようとするリーダーを追いかけようとした瞬間、弾丸の嵐が降り注ぐ。

 

大した威力ではないが、当たると痛い物は痛い。

瓦礫の物陰に隠れ凌ぎ、下手人の顔を見るとそいつは見知った顔だった。

 

「貴女は───『白兎』!?」

「にははは、行かせませんよ!!」

 

目標である『白兎』が目の前に現れた。

隣には2人ヘルメット団員が付いている。

 

「どうする?まだ追いかけることは出来ると思う。」

「………いいえ、私達は任務を続けましょう。リーダーなら何とかなるでしょうし。」

 

死んでも死なないような人だ、問題は相手の戦力。

3対3なら十分勝機はある。

 

「標的が向こうに逃げる前に確保しちゃおうって事?」

「えぇ、確実に標的を確保して合流しましょう。」

 

リーダーの心配は、するだけ無駄。

なら、自分達の出来ることを成し遂げるだけ。

 

「あれれー、もしかして勝てると思ってます?」

「……貴女、そういうところですよ。」

「あはは、まぁいいじゃない。さっさと終わらせるよー。」

 

エース不在での3対3の戦いが始まる。

 

───────────────────────

 

「このッ───離せ!!!!」

 

なんとか手を払い除け、そいつの姿を見やる。

青いヘルメットに小柄な背丈。

だが、つい先程戦ったヘルメット団員とは雰囲気が違う。

何よりその腰にかかる奇妙な2丁の拳銃?が一層オーラを強くさせている。

 

「ケホッ(まだ喉に違和感が……)」

「目標の誘導に成功、戦闘を開始します。」

 

有無を言わず攻撃宣言を行うヘルメット団員。

 

所詮はヘルメット団だからといって、彼女は油断などしていなかった。

少なくとも攻撃に備えて回避は出来る状態だった。

 

にも関わらず、ネルの額には冷たい鉄塊が既に添えられていた。

 

「ッ!?」

 

その刹那、実に0.2秒。

拳銃から発せられたとは思えないほどの轟音が響く。

弾丸はネルの後ろに位置した石柱を穿ち倒した。

 

当のネル本人は、咄嗟に頭部を動かし回避に成功した。

流石に音には対処出来なかったのか、耳鳴りが残る。

 

「(疾ぇッ、僅かしか動きを追えなかった……)」

「奇襲作戦失敗、作戦を変更します。」

 

規格外のパワー、自分以上のスピード。

恐らく身体のスペックだけなら奴が圧倒的に上に位置するであろう。

彼女にとって、そんな事はどうでもよかった。

 

その事実は彼女を狂喜へと導いた。

久しく認めたのだ、彼女を自身を危機に晒す敵だと。

 

「コールサイン00、美甘ネル。お前は?」

「…………?」

「こういう時は名乗るもんだ。」

「成程、理解しました。オーナーの護衛が1人、AL-1S。」

 

一瞬の静寂の後、轟音が再び炸裂する。

ネルは変則的な動きと持ち前のスピードで、翻弄し攻撃を避ける。

対してAL-1Sは圧倒的なスピードを以て、殆ど直線的な動きで回避を続けている。

 

意外かもしれないが、現在押しているのはネルの方だ。

 

パワーもスピードもAL-1Sが上。

そんな彼女がAL-1Sに勝る点の1つが圧倒的な戦闘経験の差。

AL-1Sの学習能力は優れたものだが、ネルが今まで積み上げてきた経験には遠く及ばない。

その経験とセンスは、戦闘が始まって短時間でネルにAL-1Sの唯一の弱点を把握させた。

 

それは射程距離。

拳銃とは思えないレベルの威力を誇る彼女の射程距離は僅か15m。

彼女より足が速ければ、射程の長い銃で一方的に殴ることが可能だ。

継続走行時速が50kmを超える彼女よりという前提はつくが。

 

ネルにはそれが可能だ。

 

「(動きが直情的かつ、目が良いからフェイントにも引っかかる……まるで銃を持って初めての下級生を相手してるみてぇだ。)」

 

ネルは知る由もないが、AL-1Sは生まれたての赤ん坊並の長さの人生しか歩んでいない。

何故なら彼女は純粋な人間ではなく─────

 

「よい────しょっ!!」

「おいおいッ!?」

 

この()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

石柱を引っこ抜いて相手に投げつけるが避けられた。

 

「何発か当ててるんだぞ、いい加減に倒れろよ、ゾンビかてめぇは!!」

「回答、ゾンビではありません。」

「知っとるわ!!」

 

銃撃戦は続く。

ネルが異変に気がついたのはその数分後だ。

 

「(コイツ、段々動きに慣れてきやがった!!)」

 

AL-1Sにとって戦闘スタイルの似たネルは極上のお手本だ。

学習能力にも長けたAL-1Sは今もグングンと成長していく。

時間と共に、ネルは追い詰められるだろう。

いや、その前に弾薬が切れて反撃が不可能になる可能性もある。

 

このままではジリ貧で負ける。

逃げてはダメだ、活路は相手の前にしか存在しない。

 

「うぉぉぉぉぉッ!!」

「驚愕、突っ込んでくるとは───?」

 

弾が全く当たらない、全てを紙一重で避けられる。

まるで撃ってくる位置が分かっているかのような。

持てる身体のリソースを用いて、ネルは銃口の先に体を入れないように距離を詰める。既に距離は5m。

 

ネルの狙いは1つ、超至近距離からの全弾発射。

これで勝てなければ、ネルの敗北となる。

着々と距離を詰め、銃口をAL-1Sに向ける──より早くAL-1Sが発砲した。

 

「捉えました、発砲。」

「────────ッ!!カハッ!!?」

「被弾を確認、経過時間は10分。」

 

ほぼ目と鼻の先になる位置まで進んだネルだが、怪力で捕まえられ至近距離から腹部に銃弾を受けた。

鉄杭で腹を貫かれたような痛みが広がる。

だが気絶は免れた。

()()()()()()()()()()、1発程度は耐えられる。

 

「捕まえたのはこっちも一緒だ───喰らいやがれッ!!!」

「!?」

 

お返しと言わんばかりの一斉掃射。

弾倉にある弾を全て使いきる。

そしてスカジャンの裏に潜ませていた予備の弾倉を補充し、再度一斉掃射。

流石にAL-1Sの手は離れ、後ろへと倒れ込む。

 

「ぜぇ……ぜぇ……コフッ、腹痛てぇ。」

 

少々癪だが帰りはアイツらに担いでもらおう。

そう思い腰を下ろす。

そして見てしまった────AL-1Sが起き上がる所を。

 

「損傷率10%、再起動を開始します。」

「はぁ!?」

 

衣服が破け肌が見えるが、赤みを帯びた部分はどんどんと消えてゆく。

負ったはずの怪我が高速で治癒されていく凄まじい再生能力である。

 

「……再生能力もあんのかよ。」

「肯定、例え半身が吹き飛んだとしても活動可能。」

 

どんな怪物だそれは。

そう突っ込む気力もない彼女は銃口を額へ突きつけられる。

ひび割れたヘルメットから覗く眼光からは、相手の表情は伺い知れない。

引き金を引かれ、寸分の狂い無く銃弾が直撃した。

痛みを感じる間もない激痛、ネルは体に力が入らず倒れ込んだ。

 

「(あぁクソッたれ、意識がとぶ……

 なんだよ、やるじゃねぇかクソチビ───)」

 

戦いが終わってしまった口惜しさと僅かな敬意を彼女にむけ、ネルの意識は暗転した。

 

これが彼女にとって、チームにとって最初で最後の任務失敗となる。

 

AL-1S 勝利




次回はいよいよC&Cがホモと遭遇。
突きつけられた契約とは───

次も小説パートになります。
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