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統一教会の韓鶴子総裁 「ラスベガス賭博」を認めたが、釈放されず

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の統一教会が公開した特別メッセージを発表した日の韓鶴子総裁(韓国統一教会配信)

 現在、「特別検察チーム」(特検)に身柄を拘束されている統一教会の「教主」でもある韓鶴子(ハン・ハッジャ)「世界平和統一家庭連合」総裁が裁判所に200枚に及ぶ意見書を提出し、身柄拘束の不当性を訴え、釈放を要請したものの受け入れられなかった。

 韓総裁は尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏に譲渡するため高額のネックレスとバッグを購入した容疑(業務上横領)などで先月23日拘束されていた。

 韓総裁の釈放申請の可否を審査したソウル中央地裁刑事控訴8-3部は今朝、保釈すれば、証拠隠滅する恐れがあるとして韓総裁の請求を棄却した。これにより、3日から始まる秋夕(お盆)の大型連休も韓総裁はソウル拘置所の独房で過ごすことになった。

 韓総裁は心臓の施術を終えたばかりで健康が回復せず、抑留に耐えられないと主張し、また、これまで平和のために努力してきたのにこのように扱われているとして異議申し立てをしていた。

 韓総裁には金建希夫人への貴金属贈与疑惑の他にも2022年10月の「ラスベガス遠征ギャンブル疑惑」関連で警察の捜査に対処するため尹英鎬(ユン・ヨンホ)元世界本部長に証拠隠滅を指示した容疑や2023年3月の「国民の力」の党大会で権性東(クォン・ソンドン)議員を代表にするため信者を集団入党させた疑惑もかけられている。

 「特検」は韓総裁が「政教分離」の考えとは逆に「政教一致」、即ち、政治と宗教は一つになるべきとの教理を実現するため尹錫悦政権に接近し、金夫人や「国民の力」の前院内総務、権性東議員らに金品を渡したものとみなしている

 この日、権性東議員の釈放請求もほぼ同時に棄却された。

 元検事の権議員は捜査の核心の手がかりとなる尹前世界本部長の陳述に信憑性がないことや「特検」が「容疑と無関係な押収捜索令状に基づいて証拠を違法に収集した」と、逮捕の不当性を訴えていた。

 権議員には2022年1月5日に尹前世界本部長から1億ウォン(約1000万円)を、2022年2月と3月に加平の教団の総本山で金品の入ったショッピングバッグを韓総裁から直接受け取った収賄容疑が掛けられている。

 韓総裁については体調が思わしくないことや82歳と高齢であることに加え「特検」に出頭し、1度目は約4時間半、2度目は10時間にわたって捜査に協力していることなどから保釈されるのではとの見方が有力だったが、「特検」は韓総裁が「一連の不正疑惑には関与していない」と容疑を全面否認していることから情状酌量の余地はないと判断したようだ。

 しかし、韓総裁はラスベガスの賭博疑惑については全面否認から一転、「休息を取る次元でカジノをやった」と、一部認めたようだ。 

 韓総裁は教団の資金を利用し、米国のラスベガスで600億ウォン(約60億円)相当の賭博をやった疑惑を受けている。

 「JTBC」の報道によれば、「特検」が賭博疑惑を追及したところ韓総裁は「私は米国永住権者である。米国では誰でもカジノはできる。休息を取る次元でカジノをやった」と陳述したようだ。

 現在、裁判が進行している尹前世界本部長の起訴状には2022年10月3日に権議員から「韓総裁はカジノをやるのか?警察が捜査をしている。家宅捜査に備えたほうがよい」との情報提供があったことが記述されている。

 また、尹前世界本部長の起訴状には権議員から連絡を受けた尹前世界本部長が韓総裁に報告し、カジノの出所が掲載された会計情報を削除したり、資料を破棄したとされており、韓総裁は共謀の疑いも掛けられている。

 韓総裁は「永住権」を持ち出すことで違法性がないことを訴えたようだが、韓国の法律では国籍が韓国籍なので韓国での処罰は免れないとみられている。

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ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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