《終活の意外な落とし穴》「家じまい」「実家の後始末」をするときに知らないと大損?「庭じまい」の始め方
枝を切ろうとしてベランダから転落
早めにやるに越したことはないが、やみくもに手を出すと面倒な事態を招きかねない。愛知県在住の神山美由紀さん(仮名・58才)も、苦い経験をしたひとりだ。 「両親は3年前に揃って老人ホームに入居しましたが、実家や庭の片付けはふたりが亡くなってからにしようと思いそのままにしていました。夫が“おれが手入れするから大丈夫”といって剪定などをしてくれていたのですが、やり方が悪かったのかしばらくすると枯れてしまいました。 どうやら根元が腐っていたみたいで…強風が吹いたときに傾き、隣家の車の上に倒れそうになったんです。幸い、車は傷つけずにすみましたが、最初から専門業者に頼んでおけばよかったとつくづく思いました」 庭の手入れはいざやろうとすると想像以上に難しく、「自分でできるだろう」という素人の甘い考えが、事故やけがにつながることもあるという。 「2階のベランダから枝を切ろうとして転落しそうになる人もいます。草刈りを自分でやろうと機械を買ってきたら、飛び石で家のガラスが割れてしまったり、隣家の車に当たったりするケースもよくありますね。庭仕事には特殊な道具が必要な場合もあるので、専門の業者に頼むのが安全です」(井越さん・以下同) 草木を整えるのには専門的な技術が必要になるが、庭に放置されている物の整理なら、いますぐに取りかかることができる。まずはこまめに庭を整理することが庭じまいの第一歩になる。 「庭に置かれた倉庫の中に使うあてのない段ボールがたくさん積んであったり、すごい量の食器や花瓶が置かれていたりすることがよくあります。まとめて捨てようとすると何万円も費用がかかるので、日頃から少しずつ不要なものを処分するようにしましょう」 自分たちでできる範囲の整理をすることで、自然と庭じまいの話題を持ち出すことができるようになる。 「始める目安としては、親が自分で手入れするのが難しくなってきたかどうか。“ご近所に迷惑がかかるから、そろそろ業者さんに頼む方がいいよね“と持ちかけてみましょう。いまなら台風で木が倒れたら大変だからとか、枯れ葉も増えるし自分で掃除するのは面倒だよね、と持ちかけるのもいいでしょう」(渡部さん・以下同)
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