「町長室で町長と肉体関係」はうそ 元草津町議に名誉毀損で有罪判決

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中沢絢乃
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 群馬県草津町の黒岩信忠町長(78)から「性被害を受けた」と虚偽の告訴をしたなどとして、名誉毀損(きそん)と虚偽告訴の罪に問われた元町議の新井祥子被告(56)の判決公判が29日に前橋地裁であり、懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)の判決が言い渡された。判決後に会見を開いた黒岩町長は「6年弱もかかり、本当に長かった。精神的にものすごいストレスがあった」と話した。

 判決によると、新井被告は2019年11月、「町長室で町長と肉体関係をもった」などと記した電子書籍をライターと共謀して発行、黒岩町長の名誉を毀損した。15年1月に町長室で黒岩町長と面会した際にわいせつな行為をされたとする虚偽の事実を記載した告訴状を前橋地検に出した。

 判決では、新井被告が面会中に録音していた音声データに「わいせつ行為をうかがわせる音声はなかった」などとして、わいせつ行為はなかったと認定した。ライターとやり取りしたメールから、肉体関係をもったという内容が電子書籍に記載されると十分認識していたとして、ライターとの共謀も認定した。「インターネットを介して書籍として発売するという方法は伝播性が比較的高く、結果として、性加害があったかのような報道がなされ、被害者の名誉を大きく害した」と結論付けた。また、虚偽の告訴によって「捜査機関の捜査を誤らせる危険性を生じさせた」とも指摘した。

 新井被告と共謀し、虚偽の告白をもとに電子書籍を発行したライターは前橋地裁で昨年1月、名誉毀損の罪で懲役1年執行猶予3年の判決を受けている。

草津町長「冤罪」「町の名誉を取り戻したかった」

 黒岩町長は会見で、電子書籍…

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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2025年9月30日21時2分 投稿
    【視点】

    この事件は教訓にしなければならない事件だろう。 性暴力の「被害者」と主張する元町議が告発の声を上げたとき、それを鵜呑みにして町長側を叩いた人は少なくなかった。 しかし、事情の不確かな状況下において、一方の言い分だけに安易に乗ることは危険であ

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