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お店の鏡で見ると似合っているように見える不思議。鏡に隠されたテクノロジー

洋服を買う時、お店の鏡で見るとすごく似合っていると思って買ったのに、家の鏡で見るとなんだかもっさりしていてがっかりする。それは、お店の鏡にはカッコよく見せるテクノロジーが使われているからだと時尚搭配師Nicoleが報じた。

 

衣料品店の鏡に隠されたテクノロジー

衣料品店で気に入った洋服を試着して、すごく自分に似合っていると思って買う。そして、自宅に帰って鏡の前で着てみると、なんだかパッとしない。そんな不思議な現象をSNSで訴える人が増えている。

これは実に単純な話で、衣料品店の姿見には秘密があるからだ。衣料品店の鏡で見ると似合っているように見えるが、まるで生成AIやPhotoshopのように加工された姿を見ている。

衣料品店の鏡にはどんなテクノロジーが隠されているのだろうか。

衣料品店の鏡と普通の鏡で写った自分を比べると、かなり印象が変わってしまう。

 

テクノロジー1:傾斜鏡

衣料品店の鏡は、やや傾斜をしている。上端が奥になるように傾いているのだ。こうすると、スマートフォンで写真を撮る時に、少し下から撮ると背が高くなり、足が伸びたように見えるのと同じように、実際の姿は上下に引き伸ばされてスマートに見える。

▲左が傾斜させた鏡。右が平行に置いた鏡。傾斜させた鏡では身体が上下に引き伸ばされて細く見える。

衣料品店の鏡は斜めに置かれていることが多い。傾斜することで、身体が上下に引き伸ばされて写るからだ。

 

テクノロジー2:高反射率の鏡面

家庭用の鏡は、その実用性から、対象物を正確に写し出すように製造されている。ところが、洋品店向けの鏡は、対象物を実際よりも美しく写し出すように製造されている。具体的にはガラス面を薄くし、反射をする銀メッキ層も厚くして、反射率を高くしている。

このような高い反射率の鏡で、自分の姿の肌の部分を見ると、実際よりも白く明るく見える。特に、アクセサリーや化粧品の店舗では、この高反射率の鏡が使われている。

▲高反射率の鏡だと、肌の色が実際よりも明るく白く写る。

 

テクノロジー3:色彩変換

鏡の銀メッキ層に、銅などの元素を微量混ぜると、写る対象物の色を調整することができる。やや赤みがかって顔色が健康的に見えたりするだけでなく、衣類の色も変換され深みのある色に見えたりする。

衣料品店、アクセサリー店、化粧品店では、このような鏡を使うことで売上があがるため、よく研究して、商品にとって適切な鏡を備えている。

▲銀メッキ層に微量元素を混ぜると、写る色を調整できる。商品の色が実際よりもよく見えるように、さまざまな微量元素を使った鏡が使われている。

 

テクノロジー4:細長い鏡

衣料品店の鏡でよく言われるのは、微妙に湾曲してあって細く見えるようにしているということだが、人間の目は湾曲を敏感に感じ取れるため、このような古い手法をとっている衣料品店はほぼなくなっている。

そこで登場しているのが、平面だが狭い鏡だ。上下は長いが、横は狭く、自分の体がぎりぎり入るかどうかの幅になっている。この鏡で自分を見ると、身体の横幅は変わっていないが、視線が自然に上下に動くため、身体が細長いと錯覚をしてしまう。これと、傾斜鏡を併用することで、自分の体がスマートに見える。

▲横幅の狭い鏡を使うと、視線が上下に動くため、身体が細長くなったような錯覚を起こす。

▲最近の衣料品店でよく見かける細長い鏡。スペースの節約ではなく、身体を細く見せるのがねらいだ。

 

テクノロジー5:照明

鏡を置いている場所には周囲から照明が被写体にあたるように配置されている。鏡の前に立った被写体には光が複数の方向からあたり、影が出なくなる。特に、顔に影がなくなると、実際の年齢よりも若く見え、商品の衣類も色が鮮やかに見える。

また、色温度も3000Kから4000Kに調整されていることが多く、この光はアジア人の肌を、より白く、より赤く、健康的に見せてくれる。

▲周囲の照明にも工夫がある。影が出ないようにすると、多くの人は実際よりも若く見える。

▲照明の色を工夫することにより、肌の色も白く明るく見えるようになる。

 

リアルな自分を見たい人は入り口近くの鏡を使う

このような鏡のテクノロジーは、消費者を騙すためではなく、商品をよりよく見せるために使われている。それでも、似合っているかどうかをリアルに確かめたいという人は、入り口付近の自然光が入る場所の鏡を使うか、あるいはスマートフォンで自撮りまたは同行者に撮影をしてもらうことだ。ただし、スマホを活用する場合は、カメラの美顔機能をオフにしておかないと意味がないことは注意をする必要がある。

 

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