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新刊『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』と、中年男性がお茶しない問題の原因

新刊が!!! 出ました!!!!!

ぜひ読んでやってくださいー!!!!

というわけで新刊ですよ。中身は『波』で連載していた『物語のふちでおしゃべり』を再編集したものなのですが、批評の実践本になっている……つもりです。

というのも、個人的には、世の中で「テレビの芸人さん」がもっとも「話が面白い」像になっているのってどうなんだろう? それで合ってるのかな? という問題提起が新刊を出す自分の内側にあるのです。

いや、テレビに出てる芸人さんって、プロじゃないですか。あんな面白いエピソードトークとか、普通にできるものじゃないからこそ彼らはそれでお金をもらっているわけで。でもなんとなく世の中の面白い人って心地いいツッコミができて上手くエピソードトークができてちょっとした笑いを取れる人、みたいなイメージがあるように感じるのです。

でも個人的に、自分が出会ってきた「話が面白い人」って、別にツッコミが上手い人でも、面白いエピソードを持っている人でもなかったよなあ、と思うのです。

たとえば大学の先生の話は最高に面白かったけど、そこにあったのはけして芸人さん的な軽妙さではなかった。先生が持っていたものは、知識や解釈や批評の面白さだった。あるいは大学や会社で出会った話の面白い人も、やっぱりエピソードトークが奇抜なわけじゃなくて、起こった出来事に対する解釈が上手かった。

そういうことを考えていくと、「話が面白い人」をもっと再定義すべきでは? と思うようになり。

「話が面白い人」とは、話すエピソードが面白い人ではなくて、話す解釈が面白い人である。

という自己流の仮説から、本書を編み直したのでした。詳しくはぜひ読んでもらえると嬉しいです!!! 週末にでもぜひ。


そして全然違う話に見えて自分の中では繋がっている話なのですが。最近、朝日新聞で「会社を離れたら、なかなか友達ができない」という話題を読んだのですよ。↓でプレゼント機能を使ったので、未読の方はこちらのURLからぜひ。

有料記事がプレゼントされました! 9月19日 17:12まで全文お読みいただけます
「友達がいない?」飲み会に誘われなくなった僕 58歳記者の苦悩:朝日新聞

実は同じような話が、朝井リョウさんの新作小説『イン・ザ・メガチャーチ』にもあって。その小説に関連して、最新号の『ダ・ヴィンチ』で、若林正恭さんと朝井リョウさんが「おじさん同士は全然、お茶しない」「飲み会はしても、昼間に普通に会ってお茶するみたいなことがやりづらい傾向にある」という話をなさっていたのです。

もちろんみんながみんなそうだとは限らなくて、実際に若林さんやサトミツさんたちはお茶してるというのですが。

それにしても、たしかに女性同士に比べ、男性同士は「お茶」が少なそう。それゆえに、ふらっと誘える友人が新しくできづらい……。

上の朝日新聞記事では「いきなり距離を詰めるのではなく、ゆっくり会話して友達をつくっていったほうがいいのでは」という提案がなされていて、それもすごく納得の結論。しかし個人的には、もうひとつ思うことがあるんですよね。

「会話とは、他人に自分のエピソードを伝える場である」

という思い込みが……一部の男性にありがちなのでは……!?!?

という話。ど、どうですか、そんなことないですか? 合ってないかなあ。合ってなかったらすみません。私の仮説に過ぎないのですが。

つまり、一部の男性のなかで、「会話=解釈」ではなく「会話=エピソードの伝え合い」という価値観が強すぎて、それゆえに自分の弱い話を伝えるのが難しかったり、人の話を聞くのが難しかったりするのでは? と思うのです。

会話をエピソードの伝え合いと思い込んでいると、たとえば他人の話をなかなか聞けずに、自分の話をしたくなってしまう。自分のエピソードを聞いてもらえないと、会話した気にならない。

あるいは落ち込むことがあっても、エピソードになってないと、なかなか他人に伝えられない。落ち込んでいる現在進行形の話を面白くできない、と思い込んでしまう。

だからふらっと「お茶」がしづらい。エピソードをだらだら喋るにしては、本気の場じゃないから。逆に女性は「お茶」で、他人の話を聞いて、解釈するだけでも、会話が成り立つ。自分のエピソードはなくてもいい。

そういう事情があるのでは? と私は勝手に思っているのです。

そしてそれは、冒頭に書いたような、会話がテレビの芸人さん的な喋り方至上主義になりすぎていることが背景にあるのでは、と。

しかし芸人さんも、ラジオだと他人の話を上手く「解釈」して面白く聞いてみたり、あるいは見たもの読んだものの「解釈」を面白く語ったりしていますよね。テレビが特別な場なのだと思います。

そんなわけで本書では、どうにかその呪縛を解けないかと思って書いてみました。


みなさまぜひ読んで感想を語ってみてもらえると嬉しいです!!!


有料ではもう少し新刊の裏話を。笑

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524字

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新刊『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』と、中年男性がお茶しない問題の原因|三宅香帆
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