金沢美大が3月に実施した一般入試の実技試験で、事前に告知していない絵画技法の禁止をその場で受験生に指導したことに関し、文部科学省が入試の公平性を損なうとして「遺憾」とする通知を大学側に出していたことが1日、分かった。同大は既に「不適切な対応があった」との謝罪文をホームページに掲載しており、近く再発防止策を公表する。

 金沢美大によると、一連の経緯と再発防止策について文科省に報告し、9月24日付で同省から通知が届いた。通知では今回の入試対応に関して「公平性を損なうものであり、あってはならない事態であると言わざるを得ず、遺憾」などと指摘、適切な運営を求めた。

 技法禁止の指導があったのは、デザイン科ホリスティックデザイン専攻の実技試験で、大学側はブラシに付着させた絵の具を飛び散らせる技法「スパッタリング」を事前に受験生に知らせることなく禁止とした。これに対し、一部の受験生や関係者から「不公平な対応だ」との声が上がった。

 金沢美大が5月に公表した山村慎哉学長名の謝罪文では、当日の試験運営について「用具に対する注意やアナウンスの仕方に一部不適切な対応があった」と認めた。一方で「採点評価は公正に実施している」との見解を示した。

 複数の教え子が金沢美大を受験した画塾経営者の男性は「受験生は突然技法を禁止され、大きな動揺を受けた。希望を持って受験したのに不合格となり、不平等でかわいそうだった」と語った。

 金沢美大は「今回を教訓に、二度とこのようなことがないように対応していく」としている。

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