9月半ば、新宿・歌舞伎町にある「子ども食堂」に笑い声が戻ってきた。運営する公益社団法人「日本駆け込み寺」(東京都新宿区)の元事務局長が逮捕されて以来、4カ月ぶりの再開だった。
ただ、補助金は打ち切られ、運営資金は底をつきかけている。閉鎖となれば、しわ寄せを受けるのは子どもたちだ。存続が危ぶまれる子ども食堂を訪ねた。(鈴木里奈)
◆「みんなでここ、買い取ろうよ」
午後1時過ぎ。「地雷系」と呼ばれるメイクをした少女や、唇にピアスを開けた少年たち6人が、手を合わせて「いただきます」と声をそろえハヤシライスをほおばった。
子ども食堂に訪れた6人は、この日初めて知り合った。歌舞伎町の広場の地べたに座って談笑していた。
茨城県から来たという、腕に大きなばんそうこうでリストカットの跡を隠した少女(14)は「久しぶりに会食した。楽しい」と笑顔になった。
この場所がなくなるかもしれないと知ると、「みんなでここ、買い取ろうよ」。子どもたちが存続のため知恵を出し合う場面もあった。
子どもたちと一緒に食事に来ていた男性(28)は「ここがなくなったら子どもたちの居場所がなくなる」と話す。
◆「コカイン売ってる?」の冷やかしも
駆け込み寺は、歌舞伎町の「トー横」などに集まる若者らの相談や支援に取り組んできた。子ども食堂は毎週土曜日に開いてきた。
それが5月に一変した。
元事務局長が薬物を所持した疑いで逮捕、起訴された。都からの補助金も打ち切られた。
事件直後は「ここでコカイン売ってる?」と冷やかしにくる人も。活動費が賄えず、子ども食堂は閉鎖せざるを得なかった。
それでも「ご飯まだ?」と、子どもたちが訪ねてきた。食材を寄付してくれる人も現れ、9月になって再開することができた。
◆かつて通っていた少年「あそこの料理は、僕にとっておふくろの味」
駆け込み寺の事務所は、家賃や光熱費などで月約40万円かかる。ただ、多くの人が立ち寄りやすく、場...
残り 712/1526 文字
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
カテゴリーをフォローする
みんなのコメント0件
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。