ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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RTA開始前の黒服視点でお送りします。

誤字報告助かりました。
これからもよろしくお願いします。



幕間の物語1
黒服


学園都市キヴォトス。

神秘の渦巻くそこは、我々大人にとって垂涎の実験室。

 

『崇高』、神秘と恐怖を兼ね揃えた高次元的存在。

 

ソレへと到達するために我々、ゲマトリアは活動している。

計画を進める内に、世間一般的には悪と呼ばれる行為を犯す事もあるでしょう。

実際私は年端もいかない学生の幸せを、希望を踏み躙ろうとしている。

それも自分のエゴによって。

 

しかし、まだルールの範疇です。

 

既に運命のレールは我々によって敷かれている。故に、引き返すことはない。

そんな中、私は計画の為に何か作業をするでもなく、全く関係の無い資料を閲覧していました。

 

曰く、私は停滞していたのです。

 

マエストロの研究成果である『ミメシス』で観測した神秘の裏側にあたる恐怖。

その観測実験のために、わざわざ大企業を使ってまで計画を進めているのですが……

想定以上に学生達の反抗が続いています。

 

アビドスの生徒会長。

彼女が不在になり、後は時間の問題だと確信していました。

しかし予想外にも副生徒会長が中心にアビドス対策委員会なるものを結成し、

土地を手放すよう差し向けた借金をあろう事か返済しようとしている。

 

なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?

 

たった5人では一生かかっても返済できない金額だと言うのに。

既にアビドスの人口は全盛期の1割にも満たないと言うのに。

例え借金を返済できたとしても復興できる余地もないと言うのに。

 

理解ができない。

故に、私は次に打つ手を躊躇っていました。

 

マエストロは『ミメシス』による恐怖の観測を。

ゴルコンダとデカルコマニーは『テクスト』という新たな計画を進める手法を。

ベアトリーチェはアリウス自治区という『領地』を。

 

着々と成果を上げていく仲間たち。

 

無意識の内に失敗を恐れていたのでしょう。

失敗はできない、足を引っ張る事は出来ないと。

ろくに纏まらない思考では計画はとても進められない。

そんな時、ふと視界にとある資料が映りこんだのです。

 

ゲマトリアの加入者候補の資料が。

我々ゲマトリアは常に安全が約束されている訳では無い。

急な欠員ができた時の為の、計画のバックアップ先をリストアップした物を用意していました。

 

マエストロも、ゴルコンダも、デカルコマニーも、ベアトリーチェも、全員が計画に必要な人員です。

誰か一人でも欠員した時の損失は計り知れません。

なので欠員した時に急遽加入させる候補者をいくつか選定する必要がありました。

最悪を想定した資料に目を通していたところ、1つのデータに目を惹かれました。

 

ゲマトリア加入候補者、名前はホモ。

……中々個性的な名前ですが目を惹かれたのはもっと別の所にありました。

 

ひとつはこのデータが正しければ、珍しく本名で登録されてるという事。

 

もうひとつはそのデータ内容の薄さ。

経歴などを見てみると殆どが白紙。

それはもう不自然な程に。何故候補者に選ばれたのかと。

 

ソレに何を感じたのか、興味が湧いたのか、一目会ってみようと。

 

早速彼にアポイントをとり、決めた場所へと向かった。

場所はいつもゲマトリアの議会で使用しているあの部屋。

予定時間より少し早めに到着するとそこには先客がいた。

ドアをノックし、中へ踏み出すと資料で見つけた彼と目が合った。

 

その瞬間に彼から感じたのは、濃厚な死の気配。

 

殺気等の感情は感じられない。

ただそこに佇んでいるだけでこれほどの気配を感じさせるだけの人物。

自分は思った以上の大物に出会ったらしい。

 

スーツ姿の骸骨頭が杖を携えている。

その眼窩には目玉はなく炎のような眼光が揺らめいている。

その姿は正に形を持った『死』そのもの。

強烈過ぎる死の感覚に動くのが遅れたその時、彼から声を掛けられた。

 

「すまない、待ち合わせ場所を間違えていただろうか。」

「──いえ、場所も時間も相違ありません。」

 

驚くほど穏やかな声だ。

いっそ不気味な程に。

気遅れしていてはダメだ、私が彼を招待したのだから。

 

「何か飲み物でも用意しましょうか。」

「頂こう。この見た目だが飲み食いはできる。」

 

そこからはごく普通の、現在のゲマトリアのスタンス等についての状況確認が始まった。

話してみて分かった事ですが、彼はこの威圧感さえなければ普通の人間とそう変わらない様だ。

 

その雰囲気が変わったのは話に終わりが見えた頃でした。

 

「参考までに聞きたいのですが、ゲマトリアへ加入したとして何を目標に活動なさるつもりですか?」

「それは───『色彩』の撃退だ。」

「なるほど、なるほど……」

 

『色彩』の撃退。

キヴォトスに終焉をもたらせる未だに正体不明の観念、その討伐。

ゲマトリアの天敵として常に警戒はしていましたが何故そんな事を?

 

確かにあの存在に対策をとるのは必要不可欠だ。

だがそれは己の願望、エゴではないのではないか。

それにもし、撃退の為に『色彩』を呼び寄せようと言うならば彼はかなり危険な存在だ。

そんな疑問を感じ取ったのか彼はこう続けた。

 

「『色彩』がもし舞台に降り立った時の対策というのも勿論あるが……

 

アレはある意味で崇高に近い存在。いや、観念だ。

私は崇高を『色彩』に対する切り札に使いたいと思っている。

 

要は知りたいのだ、自身の認めた崇高がどれ程の存在なのかを。

それが出来れば相手は『色彩』でなくても良い。

そしてそういう意味では私自身が崇高に至る必要は無い。

学生でも、あなた達ゲマトリアでも、その他の存在だろうともだ。

 

私はただ証明したい、私の定義する崇高を!!」

 

彼は眼窩で揺らめく野望の炎を魅せながら、今までと違い力強い声でそう話した。

 

その情熱は正にエゴイスト。

それは何と傲慢で、何と自由な事だろうか。

その時確かに私は彼に対し純粋な敬意、そして僅かな羨望を抱いた。

そして思い出した──私の原点を。

 

彼こそゲマトリアの後続に相応しいだろう。

いや、いっそのこと今すぐにでも加入させましょうか。

きっと彼らも分かってくれる筈です。

 

そうと決まれば、早速彼を加入させる為の作業に取り掛かりましょうか。

無意識の楔はいつの間にか外れ、心做しか体が軽いように感じる。

今なら滞っていた計画にも手をつけれそうです。

先ずはそうですね、あの『預言者』にでも手を付けてみましょうか。

 

クックック……

楽しみですよ、あなたの存在が我々の計画をどう左右させるのか。

 

変数?計算狂い?イレギュラー?問題ありません。

計画とは立てた時に既に破綻しているものなのですから。

 

 

それなら、愉しまなくては損というものでしょう?




黒服とホモ君の初邂逅時のお話でした。
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