Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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連日あっちいわクソほど雨降るわで大変なので初投稿です。


2話 テスト勉強とかマジで嫌いですの。何とかして下さいまし、未来の私。未来の私「うるせえですのよ」

そうして、補習授業部(追加部員1名)withシャーレ+外部講師1名によるテスト勉強が始まった。

とは言っても、補習授業部の活動時間は放課後。1日の授業を終えてからの活動開始となる。

 

それまで、千代田、上遠野、そしてシャーレの先生はやる事がない。

 

 

“うぅ……ごめん、助かるよ。シャーレの当番をトリニティまで呼ぶわけにもいかないし、トリニティの子達は授業中だから頼れなくて……”

 

「まーまー、私らだって放課後までは暇だし。存分に頼っちゃってよ」

 

 

……先ほどの発言を一部訂正しよう。シャーレの仕事は普通にあった。

補習授業部の活動場所として指定されている空き教室にノートパソコンを持ち込んで、シャーレの通常業務をこなしている。上遠野はそのサポートだ。なんだかんだミレニアム生という事もあってパソコンの扱いには長けている。

 

 

“でも、ミミってミレニアムの授業は大丈夫なの?”

 

「私は暇見つけてリモートで授業とか試験受けてるからねー。分隊長の野田ちゃんとかゲヘナのライちゃんもそうしてるよ」

 

 

今回の出向にあたって、NOC分隊の面々の正体というか本所属は先生にも共有されている。

 

というか最初は伏せていたのだが、千代田補習授業部入りの際に千代田がティーパーティー情報部所属である事がナギサから先生に打ち明けられ、“ど、どういう事なんですか!?”と古戦ヶ原に鬼電が行ったのが原因である。古戦ヶ原も別の意味で困惑した。

何であいつ補習授業部入れられてんの???

 

ちなみにこの内容は、先生以外には補習授業部員を含め共有されていない。上遠野の所属(セミナー対外情報室)の都合上、公になると政治的によろしくないからだ。

 

 

“みんなちゃんと考えてるんだねぇ……ん? じゃあチヨは……”

 

「機械音痴過ぎてタブレットもろくに使えないから特例措置って感じになってたんだって。そのせいで今こうなってるんだけど」

 

「ミミさんからの“刺し”が激し過ぎて私泣けてきましたわ。だって画面反応しないわ強めに押したら穴空くわで使い物にならないんですもの、私悪くありませんわ」

 

“機械音痴ってそういう意味なの?”

 

 

その問題の田千代(ダチョ)……千代田だが、どちらにせよ情報部所属の関係で授業免除になっている事に変わりはない為、日中の時間も試験勉強に充てている。

 

今も、先生と上遠野が書類仕事に励む横で教科書と問題集を広げてうんうん唸っている所だ。

 

 

「うぐぐ……因数分解って何ですのよ……勝手に分解すんんじゃねえですのよ……自然のままにしておいて下さいまし……

 

“なんかすごい事言ってる”

 

「もー、どこの問題が分かんないのさ」

 

「ここですのよここ。ここの忌々しい因数分解とかいう───」

 

 

というのが、日中の一幕。

 

 

 

とある日の放課後

 

 

 

この日の放課後も、補習授業部の活動が行われていた。

ヒフミは問題集をスラスラと解き、アズサは首を傾げ、コハルはその辺をキョロキョロし、千代田は宇宙ダチョウになっている。

そしてなぜかそれらを回るハナコと、「この人も一応補習じゃなかったっけ……」と顔に出ている講師役の上遠野。

 

 

「ハナコ、この問題はどう解けば良い?」

 

「どれですか? ああ、なるほど。こういう時はですね、倍数判定法を用いてこのように……」

*1

 

「なるほど……うん、理解した」

 

 

 

 

「……?」

 

「えっと、コハルちゃん? 何か分からない問題でもありましたか?」

 

 

キョロキョロしながら首を傾げているコハルに、ハナコが近づいた。

 

 

「いっ、いやっ!別に!?」

 

「ちなみに今見てるそのページは、今回のテスト範囲ではありませんよ」

 

「えっ、うそっ!?」

 

 

コハルが慌ててページを確認する。

 

 

「ほーう? コハルちゃんはもうテスト範囲は余裕なのかな?」

 

「そ、そうだしっ!今回の範囲は余裕だから、先のところを予習してただけ!」

 

「おお。さすがエリート。じゃあ(唐突)この積分の問題を解いてもらおうか」

 

「せ、積分っ!? え、えーと、えーと……!」

 

「もう、ミミさんも人が悪いんですから……というか、これ結構難しいですね。どこの問題集から持ってきたんですか?」

 

「これ? ミレニアムの数学研究会が自費出版してるミレニアム生向け数学問題集から」

 

「あぁ、ミレニアムから。道理で……」

 

「ミレニアムの!? 分かるわけないじゃない!バカ!」

 

「あ、あはは……」

 

 

 

 

「ハナコ、これは……」

 

「これは古代語を重訳したものですね。原文を理解するには辞書が無いと……」

 

「ああ、それだったら適任がいるよ。チヨちゃーん」

 

「呼ばれて飛び出てでしてよ^〜。どこの問題がアレですの?」

 

「これなんだが……古代語ということなら、これは恐らく『Gaudium et Spes』……喜びと希望、か?」

 

「あら、お分かりになるんですのね? ええ、これは第二回公会議で採択された憲章を表す言葉でしてよ。この第二回公会議の狙いは、トリニティの現代化と言われていますわね」

 

「……チヨちゃんも流石ですが、アズサちゃんも古代語が読めるんですね?」

 

「ああ、昔習った」

 

 

 

 

「……」

 

 

そのやりとりを、問題集を解く手を止めてヒフミが眺めていた。

 

 

“良い感じみたいだね”

 

 

後ろから近づいてきた先生がそう口を開く。ヒフミも先生に気付き振り返った。

 

 

「はい!ハナコちゃんとミミちゃんがとってもすごくって……!それにアズサちゃんとチヨちゃんも学習意欲たっぷりです!コハルちゃんも実力を隠していたそうですし……これならもしかして、余裕で合格できてしまうかもしれません……!本当に良かった……実はすっごく心配していたんです……」

 

“コハルの実力に関してはアレだけど……心配って?”

 

「実は、「もし1次試験で不合格者が出てしまったら、合宿をしてください」とティーパーティーから言われてまして……」

 

“合宿?”

 

「はい、そうなんです……それに、もし3次試験まで全て落ちてしまったら……あうう……」

 

“な、何かまずいことが?”

 

「な、なんでもありません……心配は杞憂で終わりそうですし、暗い話はこの辺りにして……とにかく、試験は問題なさそうです!」

 

 

そう断言するヒフミの姿を───上遠野と千代田が、訝しげに見ていた。

 

 

 

 

その日の夜、ホテルにて

 

 

 

 

DEGで借りているビジネスホテルの一室で、ベッドに座った千代田と上遠野が向かい合っていた。2人ともシャワーを浴びた直後で、ほかほかと湯気が立っている。

 

ベッドの上にはお盆が置いてあり、その上にはポテチや徳用チョコなど、リーズナブルなスナックを始めとして、コーラやオレンジジュース、午後○ィーなどのジュースが並んでいる。

 

 

「夕方ヒフミちゃんが言ってたの、どう思う?」

 

 

ポテチで挟んだチョコを口に放り込もうとしていた千代田が動きを止めた。

 

 

「『3次試験まで落ちてしまったら』って奴ですの?」

 

「そう、それ」

 

「うーん、ありそうな線で言ったら留年とかじゃありませんこと? あんま考えたくはねえですけども」

 

「私も最初はそうかと思ったんだけどさ、もしそうなら、何であそこで言い淀んだのかなって。トリニティで留年ってタブーみたいなとこあるの?」

 

「そんな特別なアレは無いですわよ? そりゃあウチ(トリニティ)特有のマウンティングというか見下しというか、そういうのはあるでしょうけど、少なくとも他の学校と認識はそう変わらないはずですわ」

 

 

千代田がポテチチョコサンドを口に放り入れながらそう話す。

 

 

「うーん、じゃあ何なんだろ……」

 

「まっ、それこそヒフミさんが言ってたことですけども、1次試験で合格しちまえばいい話ですのよ。“全員一斉に合格”て条件つけられてるのが少し気になりはしますが」

 

「……まっ、それもそうだね」

 

 

立ち上がった上遠野が、夜風を浴びようと部屋の窓を開ける。

涼しげな夜風がカーテンを揺らし、火照った身体から熱気を奪ってゆく。

 

 

「……なんか銃声聞こえませんこと?」

 

「ん? ……本当だ。近いね」

 

 

確かに、耳をすませば銃声だの爆発音だのが聞こえてくる。

 

 

「この辺はまだ治安がいい方だと思ってましたが……」

 

「まあ近いとは言っても数kmは離れてそうだし、こっちまで来はしないでしょ」

 

「それもそうですわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

トリニティ郊外 

 

DEG陸上輸送班 Tp4(トランスポート4)

 

 

「どーーなってんだよトリニティの治安はよぉ!!??」

 

 

ブローニングに取り付いたクルーが、そう叫びながらブローニングをぶん回して反対側に向ける。

ここは外縁部の郊外を走る幹線道路。

 

 

シスターフッド所有の空き地に、追加の工事資材を運んでいた陸上輸送班の輸送隊は、見通しの悪い林の中でトリニティスケバン集団の奇襲を受けた。

 

 

陸上輸送班の編成は、先頭からM-ATV(M2ブローニング)、M-ATV(Mk19 グレネードランチャー)、HEMTT M1075(M2ブローニング)、いすゞ 3トン半×2、M-ATV(M2ブローニング)となっている。

 

対するスケバン側は、林の中で闇に紛れているのが30人以上。あまりにも多い。

 

その上、初撃で先頭のM-ATVが地雷か何かでひっくり返ったのが痛い。完全に撃破されたわけでは無いものの、貴重な火力であるブローニングが無力化されてしまったのだ。

HEMTTに乗り込んでいたこの輸送隊コンボイのリーダーは、窓から自前のデザートイーグルを乱射しながら無線に吠えた。

 

 

「Tp4リーダーからDEGオペ!敵は林の中に散開して目視できねえしこっちは月明かりで丸見えだ!やたらめったら撃たれまくってる!支援はまだ来ねえのか!?」

 

《だからアビドスからじゃどうやったって時間かかるんだっての!トリニティの正義実現委員会に通報してあるからそれが到着するまで持ち堪えてくれ!》

 

「そう待てねえぞ!敵にロケラン持ちがいる!いつ車両が吹っ飛ばされてもおかしくは───」

 

 

瞬間、暗闇の林の中から閃光を伴って何かが飛んできて───車列の真ん中に命中した。

 

爆発。

 

成形炸薬弾頭をモロに食らった3トン半が吹き飛ぶ。

 

 

「ああクソ!言わんこっちゃねえ!3トン半が1台吹き飛んだ!どうすりゃいい!?」

 

《アタシに言われたってどうしようもあだぁっ!?

 

 

ゴッという鈍い音と共に、何かゴソゴソと物音が続く。

 

 

《オペレーターがそれ言っちゃ終いだろうがよ。あー、変わった。こちらDEGリーダー、Tp4、損害報告》

 

 

社長だ。叩き起こされたのか、若干眠そうな声をしている。

 

 

「待ってたぜ社長!先頭のATVが地雷かなんかですっ転んで、3トン半が1台ロケランで吹っ飛んだ。最後尾のATVのドライバーがビビって逃げちまった上に全員降りて戦おうとしたら撃たれて気絶しちまった。おかげで車列も動けねえ」

 

《何だそりゃひでえな……よし、現在の敵の数は22名、その殆どが車列の右側に布陣してる。M-ATV2号車、HEMTTの車載武器は右側を集中して狙え。ブローニングはマズルフラッシュが見えるあたりに、グレは全体的に満遍なくばら撒け。それ以外の手空きは左側に対処しろ。ロケラン持ちが左側にいるからそいつをやっちまえばどうにかなる。分かったな?》

 

「ブローニングとグレランで右側を狙って、それ以外は左側だな? オッケー!」

 

《よし、行動開始。『ナメられたらぶちのめす』がうちのモットーだ、存分にやり返せ》

 

「何だそのモットー、最高じゃん、初めて聞いたけど」

 

《おう、何せ今決めたからな》

 

「えぇ……」

 

 

最初から最後まで締まらなかったものの、古戦ヶ原が支援についたことで戦況は好転した。

10分後に正義実現委員会が到着するまでの間、新たに車両が吹き飛ばされることもなく、Tp4は真夜中の迎撃戦を戦い抜いた。

 

結果として、M-ATVが1台大破、3トン半が1台全損、残りの車両も損傷していない箇所が無いほどの被害を受けた。

対して、人員を見てみれば意外にも怪我人は少なかった。M-ATVの防弾性能や、3トン半に追加されていたティグリシウムモジュラー装甲のおかげであろう。

 

ちなみに、逃げ出したM-ATV3号車のドライバーは車列から10mほど離れた場所で気絶しているところを保護された。どうも逃げ出してすぐに流れ弾が頭にクリーンヒットしたらしい。

結局その生徒は、Tp4リーダーと陸上輸送班班長に死ぬほど怒られた。

 

 

 

あと、スケバンがこのコンボイを襲った理由は「クソでかいトラックを連れた車列が高級品を運んでいるという噂が流れていたから」という理由らしい。

なーにが高級品だバカが。あのコンボイが運んでたのスチールとコンポーネントとコンクリートだぞ?

誰だそんな噂流しやがったの。*2

*1
倍数判定法:言い換えると『倍数の見分け方』。中学受験で出る内容らしい。要は小学校の内容。

*2
古戦ヶ原並感




???「へぇー、撃退したんだ。ただのスケバン相手とは言え、なかなかしぶといじゃんね」
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