Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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例の魚「プロットが未完成のまま第1話を投稿して、読者と未来の投稿者を怖がらせましょう!」

水着ナギちゃんで天井を叩いたので初投稿じゃんね。


エデン条約編
1話 好きな紅茶? 午後○ィー一択ですわね!


「先生」

 

 

夜のティーテラス。

真っ白なテーブルクロスの敷かれたテーブルの反対側に、見覚えのない生徒が座って語りかけてきている。

 

透き通るような輝きの、淡金色のロングヘアーに大きな狐耳。

白を基調とした、繊細かつ大胆なデザインの制服。

十字架のようなヘイローと───なぜか彼女の右手にちょこんと乗っている小鳥、シマエナガ。

 

 

 

「もしかしたらこれから始まる話は、君のような者には適さない、似つかわしくない話かもしれない」

 

「不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めるような……」

 

「相手を疑い、前提を疑い、思い込みを疑い、真実を疑うような……」

 

「悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような……それでいて、ただただ後味だけが苦い……そんな話だ」

 

 

彼女はそこまで言うと、手元のティーカップを口元に運んだ。そして一息。

 

 

「しかし同時に、紛れもない真実の話でもある」

 

「どうか背を向けず、目を背けず……最後のその時まで、しっかり見ていてほしい」

 

「それが、先生……「この先」を選んだ、君の義務だ」

 

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

事の発端は、少し前───夜のD.U.にて『笛吹き男』構成員と銃撃戦を繰り広げた数時間後まで遡る。

 

 

アビドス東駅エリア

ベース・イーストアビドス

 

執務室

 

 

執務室と言っていいのか分からない、大きめの工事現場とかにある現場事務所みたいなプレハブ小屋の中で、古戦ヶ原は受話器を手に取っていた。

 

 

「ウチに講師の依頼ですか」

 

『“はい。なんとかなりませんか?”』

 

「なんとかって言ってもですねぇ……」

 

 

電話の相手、連邦捜査部『シャーレ』の先生───田中栄子からの依頼は、トリニティ内の成績低迷者や授業への態度が著しく悪く進級に必要な単位が足りない生徒に対して行われる補習授業や追試への補助だという。

 

 

「こっちも今ちょっと色々(笛吹き男)立て込んでまして。シャーレだけで対応するのは難しいんです?」

 

『“難しくなかったらこうやって電話しないですよぉ”』

 

 

そう電話越しに聞こえるその声は、アビドス騒乱時の時よりもなんだかかなり情けないように聞こえる。よほどその案件で参っているのだろうか。

 

 

「そりゃそうか。でも、実際の所その話をなぜウチに? ウチでもトリニティとの繋がりって……まあ、()()()()()()()()()()()、そんなにないですよ?」

 

『“まあダメ元なのはそうなんです。私理数系とかならなんとか教えられるんですよ、重迫*1を扱ってましたから。でもキヴォトスの社会経済とか、トリニティの古文学とかってなるとどうしようもなくて……”』

 

「あー……」

 

 

例えるなら、日本人の数学教授にイギリス古文学を教えろと言っているようなものだ。

要は自分の専門外を埋められるサポート要員が欲しいという事らしい。

 

 

「じゃあ、その辺……それこそ、キヴォトスの社会経済とか、トリニティの古文学に詳しい人材を紹介すればいいんですね?」

 

『“えっ、受けて頂けるんですか”』

 

「まあアビドスの時とか色々お世話になりましたし。ただ、トリニティ側に話通すのは頼みますよ? さっきも言った通り、こちらもちょっと専念しなきゃいけない案件(笛吹き男をぶちのめす件)が出てきてまして」

 

『“それは勿論!ありがとうございます!”』

 

 

───と、いった感じで古戦ヶ原はシャーレの田中先生からの頼みを承諾した。

 

スマホをデスクに置き、背後のキャビネットから社員名簿を取り出す。

みんな大好きチートタブレットにもDEGに所属している社員の情報は入っているが、由来を絞って調べるなら昔ながらの紙媒体の方がやりやすいのだ。その辺はRimworldのユーザーインターフェース準拠……要は調べものをするようなものではないというのが主な理由である。

 

 

「んー、トリニティの古文学にキヴォトスの社会経済ねぇ……」

 

 

はて、そんな物に精通した人材が居ただろうかと考える。

そもそもの話、DEGの社員の大半は学校からドロップアウトしたか、ブラックマーケットからやってきたかの二択だ。稀に元生徒会会計監査役*2とか某有名ホテル元総料理長*3など“稀有な経歴”を持った社員が混じっているものの、そういうのは全体から見ると少数派である。

 

 

───『()()()()()』という単語で、ひとつ思いついたことがあった。

 

 

「あっ、そうだ、いるじゃん。トリニティの古文学に精通してそうな奴と、キヴォトスの社会経済に精通してそうな奴」

 

 

捲っていた書類ファイルは、『警備部門特殊班NOC分隊』の項で止まっていた。

 

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

トリニティ総合学園

 

 

「ってな感じで、我々2人が送り込まれてきたってワケですの。DEGから派遣されてきた千代田カスミですわ〜〜!!!」

 

「同じくDEGから派遣されてきた上遠野ミミです。先生の補助兼理数系の講師役として頑張りますので、これからよろしくね」

 

 

壇上に上がった2人の生徒がそういう内容の挨拶をした。

ここはトリニティ総合学園の中にある教室。

中にいるのは、壇上に一緒に上がっていたヒフミ、そして着席しているアズサ、ハナコ、コハル、そして、いつもの迷彩服3型ではなく常装第3種夏服に身を包んだシャーレの先生。

 

 

「えっと、そういうことですので……短い間ですが、よろしくお願いします」

 

“よろしくね”

 

「えーと、先生?」

 

 

不思議そうな表情をしたハナコが手を挙げた。

 

 

「デザートエッジグループというと……最近アビドスの方で活動している民間の会社ですよね? カイザーグループとアビドスで大規模にやり合ったと噂の。なぜ、その会社の方が講師としてこちらに?」

 

“向こうの社長さんと知り合いでね。私理数系と簡単な国語ぐらいしか教えられないから、ちょっと手伝ってもらおうと思って。あ、ちゃんとティーパーティーの許可は取ってあるよ”

 

「そうでしたか……」

 

「え、えっと、ほかに何か分からない点とか気になる点がありましたら……」

 

 

 

 

ヒフミが質問を促し、アズサやハナコがそれに反応する。補習授業部の基本的な仕組みや、アズサが転校生である事など……

 

その後、コハルが「私はエリートだから!こんなところすぐに出てってやるから!」的な事を自信満々に宣言して教室を出て行ってしまった。

 

 

 

 

「あーらら、出てっちゃった」

 

「ふふふ、飛び級しようとして落第してたら世話ないですわね。お可愛い事。私にもあんな時代がありましたわ……(遠い目)」

 

「チヨちゃん私と同い年だから去年の話だよね?」

 

“……あっ”

 

 

ふと、上遠野と千代田のやりとりを見ていた先生が「やっべ、伝えるの忘れてた」みたいな顔で声を上げた。先生に自然と視線が集まる。

 

 

「先生?」

 

“あー……カスミにはとても悲しい事実を伝えなければいけなくてね”

 

「えっ、な、なんですの? あと名前呼びはやめて下さいまし、ゲヘナの温泉クソテロリスト野郎と下の名前被ってて嫌ですのよ本当にガチのマジで」

 

「ちなみに先生、DEGだとみんなから『チヨ』とか『チヨちゃん』とか呼ばれてるよ」

 

「なーにをおっしゃいますミミさん。『ちゃん』付けするのは貴女か藤田さんぐらいでしょうに」

 

“じゃあ今度からチヨって呼ばせてもらおうかな……ヒフミ、ここにくる前に渡した資料あるよね”

 

「あっ、はい!確か、補習授業部の部員名簿の“改訂版”ですよね。えっと……私、ハナコちゃん、アズサちゃん、コハルちゃん、千代田カスミ…………えっ」

 

「えっ」

 

「えっ?」

 

「あら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“まあ……そういう事らしいから……なんかごめんね?”

 

「??????」*4

 

 

 

 

千代田カスミ

 

ティーパーティー情報部員 2年生

 

任務等による出席日数の不足、試験未受験による単位不足により補習授業部へ編入

 

 

 

 

ティーパーティーホストのN氏からのコメント:「情報部員という事でこの辺は免除という形にはなっていましたが、せっかく戻ってこられたのでしたら受けて頂きましょうか」

 

 

──────

───

 

 

トリニティ某所

通功の古聖堂

 

DEG土木部門 積水さん

 

 

 

 

DEGで雇われているリスの現場監督、積水は頭を抱えていた。

 

向こうのほうには、申し訳なさそうな表情をしたトリニティのシスター達がいて、自分の背後には困惑の表情を浮かべた部下の作業員達、そして、キヴォトスの外で開発されたというクソでかいトラック。確か重高機動戦術トラック(HEMTT)とか言ったか。荷台に資材を満載したコンテナを装備したそれが鎮座している。

 

 

『延期ィ!?なんで!?』

 

 

耳に当てていたスマホから、古戦ヶ原社長の驚愕の声が響く。

 

 

「いやそれが、ゲヘナ側から「調印式の会場はここがいい」って要望があったみたいなんだ。それで、ティーパーティーお抱えの工事業者が修繕工事に入ることになったみたいで、()()()()()()()()()()()()()()は調印式後に行ってくれって」

 

『うぉおい、マァジかぁ……』

 

 

 

 

情報部のエージェントである千代田が接触してきた理由、そしてそこから裏の方でちょいちょい行われてきたトリニティとの交渉。

 

それは全て、『通功の古聖堂地下に存在するカタコンベの合同調査』の為であった。

 

“合同”と付くように、これはシスターフッドと合同で行われる大規模な調査である。

 

 

 

アビドス騒乱後、古戦ヶ原はシャーレに所属していた伊落マリーという生徒を通じて、シスターフッドにコンタクトを取った。

 

 

 

古戦ヶ原「ウチに元々トリニティ自治区にあったらしい“アリウス”って分校出身の社員がいるんスけどぉ」

 

シスフ「アリ……なんて? アリウス? ……(古文書精査中)……アリウス!?」

 

古戦ヶ原「そのアリウスの自治区がお宅の“通功の古聖堂”ってとこの地下にあるカタコンベから行けるらしいんですよぉ。一緒に調査しない?」

 

シスフ「えっ、そ、そんな急に言われても……(困惑)」

 

 

 

一度は持ち帰られたものの、最終的にはGO判断が降りた。

ただし、外向きの目的としては『通功の古聖堂の老朽化に伴う地下構造物耐震工事』となっている。

これは、『第一回公会議後に徹底的に弾圧された学園が未だ存在する』というとんでもネタが、エデン条約調印前というデリケートな時期に外部に漏れるのを、シスターフッドが望まなかったが故である。

 

その為、この工事の真の目的を知っているのは、シスターフッド幹部、古戦ヶ原、E分隊、ティーパーティー情報部の限られた人員のみとなっている。

 

……まあ、古戦ヶ原の中での“真の目的”はそれだけではないのだが。

 

 

とにかく、それ故に今現場にいる土木部門の作業員たちや、積水も『耐震工事』のつもりでわざわざアビドスからトリニティまで来たのだ。

 

 

なおその苦労は一瞬で無駄になった。つらみ。

 

 

『……シスターフッドはなんて言ってる?』

 

「とりあえずトリニティ自治区外縁にシスターフッドが所有してる空き地があるから、工事開始までそこに資材を静置してくれないかって。警備は正義実現委員会に頼むらしいけど、どうする?」

 

『うん、置いてもいいんだったらそこに置かせてもらうか。それだけ置いたら帰ってきてくれ』

 

「了解」

 

 

DEG土木部門の作業員たちと積水は、シスターフッドの先導でその空き地まで行くことになったのだった。

 

*1
120㎜迫撃砲RT

*2
立道マイ

*3
森田さん

*4
宇宙ダチョウ




───ところで千代田さん、この合同調査を把握してる『ティーパーティー情報部の限られた人員』の1人があなたな訳なんですけど、関係ない誰かに漏らしたりしてないですよね?

「失礼な、その辺はちゃんと弁えてますわよ。““私が一番信頼するお方””にしか共有していませんわ」

───まあそれならいいんですけど…………ん?
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