自民党総裁選が22日告示され、5候補がでそろった。届け順は、小林鷹之元経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保相、小泉進次郎農相である。
投開票日は10月4日とし、12日間のいわゆる「フルスペック型」で実施する。自民党国会議員の295票に党員・党友の295票を合わせた590票を争う形で行われる。
12日間と短いのは、小泉氏が失言しないように配慮したとの見方もある。なぜか。
投票権を持つ党員・党友数は91万5574人と発表された。昨年9月の総裁選時の105万5839人より14万265人少ない。
また、インターネットでは、石破茂首相の周辺が高市氏に投票しないよう呼び掛けていると話題になっている。これは、昨年の総裁選で、第1回投票で高市氏がトップで、石破氏が2位だったが、岸田文雄元首相の周辺からの「高市に入れるな」と言う号令で石破氏が逆転したともいわれている。ネットでは、その返礼ではないかとうわさされている。
いずれにしても、マスコミ各紙の調査では、高市氏と小泉氏は接戦模様だ。
日本テレビの調査は、党員、党友と答えた方を対象にした独自の電話調査だった。これは党員名簿に基づくものではないかとの指摘が一部にある。
もしそうなら、適切なサンプルをとればかなり精度は高い。有効回答は1010人なので、年齢階層を自民党党員の母集団とあわせるには若干足りない気がするが、それを紹介しよう。
自民党総裁は誰が良いかという問いで、小泉氏32%、高市氏28%、林氏15%、小林氏7%、茂木氏5%、決めていないなどが14%である。
他の報道機関の自民党支持層に限定した調査でも、小泉氏優勢が多い。
これは既視感がある。昨年の総裁選のときも、出だしは小泉氏だった。ところが、討論などで失言が続くと、小泉氏が失速し、その代わりに石破氏が浮上し、高市氏と石破氏の決選投票になった。
今回は、その轍(てつ)を踏まない。選挙期間が短く、討論会回数も少なければ、失言が出る確率は低くなる。さてこのまま、小泉氏が逃げ切るか、失言が出て林氏が浮上するか。
小泉氏も林氏も、ともに岸田政権と石破政権を継承する。林氏は岸田政権と石破政権の官房長官なので継承は当然。小泉氏は2030年度までに平均賃金を100万円増やすと言ったが、これは7月の参院選の党公約でもある。負けた選挙の公約を再び持ち出すのは驚きだ。これでは解党的出直しでないだろう。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)