「では、ここにそろっているのが補習授業部のメンバーという事ですか?」
「(シューッ、シューッ‥‥‥)」
「‥‥‥。」
「はい‥‥‥えっと、これで何とかみんな集まりましたね。補習授業部‥‥‥。こ、ここからが本当の問題なのですが‥‥‥。」
補習授業部の教室には気まずい空気が流れていた。
ペロロと呼ばれるニワトリに似た物のカバンを持っておどおどしているヒフミ。
ずっと水着のスキンのハナコ。
ガスマスクを装備しているアズサ。
今すぐにでも死刑宣告をハナコにしたいコハル。
教室内は気まずい空気が流れていた。
「ふふ、何をすれば良いのでしょうか?阿慈谷部長?放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生とこれから来るであろう先生が集まって‥‥‥ふふ、始まってしまいそうですね。」
「始まる…?まぁ、何だって構わない。ちなみに私は本気を出せば、この教室で1カ月は立てこもれる。」
「死にたい‥‥‥本当に死にたい‥‥‥。」
「えっと‥‥‥」
ガラガラガラ
「あ、先生が来まし‥‥‥た?」
ドタドタドタドタ‥‥‥
ヒフミたち補習授業部は驚く。
目の前には先生が居た。しかも、同じような四角い人が何人もいた。
「先生、あの…この人たちは?」
<スティーブ>友人。さすがに教えられる範囲には限界があるから来てもらった。
「な、なるほど‥‥‥。」
「あら、もしかしてこんだけの大人数で乱こ━━」
<サニー>確かに、個性的な面々だね、スティーブ。*1
<スティーブ>そうだろ。
<カイ>アレックス的にはどう?
<アレックス>面白そうな子らかな。スキンのセンスもありそうだし。
<スティーブ>あの水着スキンがか?こんな水も無い所であのスキンはどうかと思うが、
クラフターたちは各々チャットで会話する。
「あ、あのとりあえず自己紹介をしてほしいのですが‥‥‥。」
「ああ、分かった。白洲アズサ、2年だ。よろしく。」
「同じく2年の浦和ハナコです。よろしくお願いしますね、先生方。」
「下江コハル、1年‥‥‥。」
「えっと、阿慈谷ヒフミです。この補習授業部の部長ってことになっています。」
生徒側が簡潔に自己紹介をしていく。
<サニー>それじゃあ僕から。サニーって言います。
<カイ>次は私、カイです。
<アレックス>アレックス。
<スティーブ>最後に俺、シャーレの先生ことスティーブ。
と、クラフター側も自己紹介をする。
基本数学や化学、言語学は我々マインクラフターの世界と大して変わりないので問題はない。
地理やら生物はかなり我々の世界と差異があるが、サニーが以前からキヴォトスのそういう系について興味を持っていて知見を得ているので教えるに申し分ない。
物理は‥‥‥何とか覚えよ。*2
「先生方ありがとうございます。そういうことなので…短い間ですが、これからよろしくお願いします。」
<スティーブ>よろ*3
<カイ>よろ
<サニー>よろ
<アレックス>よろ
「「「‥‥‥。」」」
「えっと、何か分からない点がありましたら‥‥‥。」
「大丈夫。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけでしょ。」
<スティーブ>概ねそう。そこ4人が目指すのは特別学力試験で「全員同時に合格する」こと。基本俺らも手伝う。
「はい。特別学力試験は第三次まで、つまり三回あります。そのうち一回でも全員合格できれば、そこで補習授業も終わりとのことです!先生方には主に‥‥‥スケジュール調整や、色んな補習を行っていただければと。」
「うん、理解した。それほど難しい任務ではない。この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置‥‥‥私としては特に、サボタージュする気も理由もない。」
<アレックス>(軍事部のような言葉遣い‥‥‥)えっと、アズサってここに転校してきてからあまり時間もたってないんだよね?
「あら?白洲さんはこちらに転校されてきたのですか?トリニティに転校だなんて、珍しいですね‥‥‥?」
「‥‥‥。」
[チームチャット]<スティーブ>アロナ、『白洲アズサ』、『トリニティ』で検索掛けといて。
[チームチャット]『おまかせください!調べ終えたら、ファイルにしておきますね。』
アズサという子、『転校』というワードに少し驚いていた。
というかいくつか軍事部の厄介な連中が言うような言い方が見受けられた。
アロナに諸々調べてもらうが、まさか裏口入学か?
「言っておくけど、私は認めないから‥‥‥!」
考えていたスティーブに、どこか聞き覚え*4のあるようなセリフが聞こえた。
「えっと…?」
「あら、何のことですか?」
「わ、私は、正義実現委員会のエリートだし!私が年下だからって、あんたたちを先輩だなんて呼ぶつもりはないから。それに、こんな部活さっさと抜けてやるんだからっ!あんまりなれなれしくしないでもらえる?」
「なるほど、確かに部活内では先輩後輩なんて扱いにする必要は無いと思います。私としては何も問題ありません。」
「私も別に。そもそもそういう文化には不慣れだし。そもそも仲良くするために集まっている会じゃない。あくまで互いの利益のためなんだから、親しいふりをする必要もないはず。違う?」
「あ、あうぅ‥‥‥先生方何か言ってほしいのですが‥‥‥。」
<カイ>ドンマイ、ヒフミ。
<アレックス>いやー、胃痛だねー。
ヒフミはマインクラフターに助けを求めたが塩対応で軽くいなされてしまう。
「じゃぁそれで決まり!それと、私が試験に落ちたのはあくまで‥‥‥飛び級のために、一つ上の二年生用のテストを受けたせいだから!」*5
「あら、飛び級?どうしてそんなことを‥‥‥?」
「ど、どうしても何も‥‥‥!私はこれから、正義実現委員会を背負う立場になるわけだし‥‥‥!」
<スティーブ>背伸びしすぎ。それを考えるのせめて来年から。
「う、うるさいうるさーい!私が言いたいのはそういうことじゃなくて!━━」
<カイ>実力を隠していたとか言いたいんだろうが、スティーブに過去の成績を見せてもらったぞ、基礎周りができてなくてそもそも飛び級の試験を受けれたのが奇跡だわ。
「ああ、もううるさーーーいッ!!」
コハルはドンッ!と机をたたき教室から退出しようとする。だが、
ゴツン
「あ痛たたたた‥‥‥って何!?この黒い石は!?」
コハルはドアを勢いよく開けて部屋から出ようとしたが、何か黒い物体にぶつかる。
その物体はつやのある真っ黒い物体だった。
[↓イメージ画像↓]
<サニー>スティーブ、何とか足りたよ。黒曜石が。それとクラフターだけが手動で操作できるようにしておいた。
<スティーブ>ナイス
「ま、まさか監禁!?あんたたち、もしかしてそういういかがわしいことを‥‥‥」
<スティーブ>アホか。もう一度言うぞ、補習授業部は全員が合格しなければならない。誰かが抜けた時点で合格は不可能なんよ。Do you understand?
<アレックス>だから君らには学力をつけてもらわないといけない、無理やりにでもね。
「先生、やりすぎじゃ‥‥‥」
<スティーブ>これでもまだ大目に見てる方。
「‥‥‥拳どころか銃弾でも傷一つついていない、これが黒曜石か。」
<カイ>我々の世界だとマグマに水を掛けたらできるけど、ここだと流紋岩質などのマグマが急冷されること、そして水分の量が比較的少ないことが条件なんだっけか。
「なるほど‥‥‥。」カキカキ
「すぐに順応してる‥‥‥。」
「あらあら‥‥‥。」
「うぅ…なんで私がこんなことに‥‥‥。」
勝手に動かれたら困る。
あまり政治的なことはスティーブたちは興味が無いので、ここでの最高ルートは初回でクリアすること。
なので、無理やりにでも学力を高めて合格できるようになってもらう。
<カイ>以上が階差数列についてだ。
「ハナコ、この
「どれですか?ああ、そこはですね、先ほどのページのΣの公式のnにn-1を代入してSの求まった値でこの式を解けば‥‥‥。」
「なるほど‥‥‥うん、理解した。じゃあ、この文章は何?」
「古い騎士物語の一部分ですね。「人は!!間違いが!!可視化されるまで!!間違いを犯しているということに気がつかない━━」*7という‥‥‥」
「なるほど、理解した。」
<アレックス>これがhaveを用いた現在完了及び過去完了についてだ。質問は?
「いっ、いや!別に!?」
<スティーブ>今やってるのはその仮定法If系のところじゃないぞ。そして、それは3学期の終わりごろにやるやつだ。
「えっ、うそっ!?やっ、ちが…っ!し、知ってるし!今回の範囲は余裕だから、先の所を予習してただけ!」
<スティーブ>なら問題だ。『私はちょうど宿題を終えたところです。』これを英語で書いてみ。
「‥‥‥。」(顔を赤くしながら渡す)
回答には『I have fishing me homework.』と書かれていた。
<スティーブ>不正解。スペルミスとmyとmeを間違える初歩的なミスをしてるぞ。てことで1人称、2人称、3人称などのところから復習しなおしだ。
「そんなーーー!」
「あはは‥‥‥。」
というように勉強をガチ目に教えるスティーブたちなのであった。
本来荒事が得意なマインクラフターたちがここまで勉強を教えて得たいもの*8とはいったい‥‥‥。
数日が立ちいよいよ、第一次特別学力試験、当日。
「‥‥‥っ。」
「うぅ‥‥‥。」
「ふふっ。」
「‥‥‥。」
<スティーブ>それでは開始です。回答用紙を表向けて解き始めてください。
カーン
鐘の音をスタートにして、皆一斉に回答を始めた。
「(あ、これ補習授業部でやったところです。先生方に解説していただいた内容や、みんなで勉強した問題が、ほとんどそのまま‥‥‥!それに難易度も比較的低いレベル!これなら…!)」
「こ、これは…確か‥‥‥あ、これだ。」
「ふふっ‥‥‥。」
「‥‥‥ふむ。」
この4人の光景をスティーブらマインクラフターは注視する。
ヒフミは他人のことを考えながらもしっかりと解いている。
コハルも少し悩む素振りは見せているがそれでも頑張っている。
アズサは無表情だがしっかりと解いていっている。
ハナコは…なぜ書いてないんだ?いや、書き終えたのか?
違うな、最初から解くつもりがないな。こっちの思惑を考えているつもりなのか?生憎マインクラフターは表情を変えないから感情を読み取るのはほぼ不可能だぞ。
カーン コーン
<カイ>そこまで、解答用紙を回収する。
「ふぅ…み、みなさんお疲れ様でした‥‥‥!」
とりあえず、解答用紙を回収して採点を分担してやり始める。
そして、採点が完了し結果を発表していく。
ヒフミは87点で合格。もとから勉強はできるっぽそうだったし、あの勉強方法で良くなったのかな。
次に、アズサが55点、惜しい!ただ結構説けてる問題は多いし、今後に期待ってところか。
3遍目、コハルは45点。基礎周りは無理やりにでも教えて何とかしたが、応用周りがほぼほぼ不正解だった。
最後に、ハナコ。点数は2点。最初から解く気がないのは分かってたがここまで露骨にやるか‥‥‥。
ということで、合宿が決定した。あぁ、政治だ…軍事部の連中を呼べばよかった‥‥‥
「あら、先生。お疲れ様です。補習授業部の方はいかがですか。」
<スティーブ>多分2回目で合格するぐらいには学力を底上げしたぞ。
茶会の役員から連絡があって、夜のテラスでナギサと会話をする。
合格するという発言で少し動揺したな。
「‥‥‥ああ、これですか?チェスです、趣味でして。」
<スティーブ>チェスにしては特殊な見た目だね。
「ええ、黒はキングとクイーン、後は全てポーンだけ。白はキング、ルーク、ビショップ、ナイトがそれぞれ3~4個ずつ‥‥‥きっとあまり見かけない形でしょう。」
チェスはマインクラフターもやったことがある。
といってもマインクラフターやモブを使った人力のチェスだが。
これを一人でやるってとんだ暇人だ。
この際だから本題を聞いてみるか、自然な形で。
<スティーブ>3回とも不合格になればあの4名は退学って認識で良い?
「え、ええ…そうですが、ヒフミさんから聞きました?」
<スティーブ>いや、ほぼ推測。
「そうですか‥‥‥。」
このタイミングでスティーブは仕掛ける。
<スティーブ>そんで、補習授業部作った理由は?大方政治関連でしょ?話すだけ話してくれない?
「‥‥‥補習授業部は‥‥‥生徒を退学させるため、トリニティの裏切り者を排除するためです。」
<スティーブ>なるほど、まぁそういう輩はいるか。
「その裏切り者の狙いは、エデン条約の阻止。先生はエデン条約についてどこまでご存じで?」
<スティーブ>出来た経緯、目的、両生徒会からなるETOという組織についてぐらい。政治自体好きではないけど目に入るからねー。
「ほぼ全て知っているのですね。‥‥‥スティーブ先生。トリニティとゲヘナの長きにわたる敵対関係は、お互いに大きな重荷になっています。エデン条約はその無意味な消耗を防ぐための、恐らくは唯一の方法であり、キヴォトスにおける力のバランスを保つための方法でもあります。」
いや、違う。
軍事部の連中も似たような条約を締結したことがあったが、お互いのトップからETOを成立した時点でお互いの意見のぶつかり合いの場なだけであって中立組織としては意味がない。
それにバランスを保つと言っているが組んだらミレニアムとの3大校のバランスも崩れる。
この条約は結んだところで平和どころかかえって火薬庫に銃弾を放つ行為になりかねない。
というような賢い脳で「条約は無意味じゃね?」と結論に至るスティーブ。
「━━であれば、一つの箱にまとめてしまいましょう‥‥‥いざという時、まとめて捨ててしまいやすいように。」
<スティーブ>一理ある。が、捨てた目的とは関係のないものがいつのまにか進化して逆襲してくるかもしれないデメリットに目をつぶればだが、
具体例を挙げるなら邪悪な村人の集団だ。
元々は村から追放された集団だったが、武器を持って逆襲(襲撃)をするようになったと、あの本*9に書かれていたな。
「‥‥‥先生、補習授業部にいる裏切り者を、探していただけませんか?」
<スティーブ>分かった。探そう。*10
「…!‥‥‥意外ですね、てっきり裏切り者を探さないと拒否すると思っていましたが。」
<スティーブ>今回の依頼は君らティーパーティーからだし、補習授業部側に付いたとしてメリットがあるかって言ったらないし。
「まぁ、それはそうですが‥‥‥。」
もし、補習授業部側に付いたとするとティーパーティーと対立するのは必然的で政治に関わりたくないクラフターにとってデメリットしかないのだ。
それに依頼主はティーパーティーだ、条約について個人的には邪魔してやりたいが、依頼なので邪魔はしない。
「では、これからよろしくお願いしますね、スティーブ先生。」
会話とチャットの交差を終えて退出するスティーブ。
<スティーブ>一応、忠告ね。試験を妨害してきたら裏切り者特定に時間がよりかかるから。それと、その行き過ぎた思考の結果、後悔することになるぞ。
「‥‥‥忠告受け取っておきます。」
今のナギサはあの時のアーサー王というコマンド班がある人物*11を基にして作ったNPCに面影が似ている。
人をいとも簡単に切り捨て、他者の意見を無視した結果、後悔…いや、悲劇を生むぞ。
あれが所謂『
他のマインクラフターの所にスティーブは赴き、今回の件を話す。
<スティーブ>ということで、裏切り者、分かりやすく言うなら人狼探しをやろう。
<カイ>なるほど、人狼ゲームだったか。
<アレックス>人狼ってことは占い師(預言者)と狂人もいそうだね。
<サニー>人狼が2人居るかもしれませんよ。
というように、話したら全員乗り気だった。
別に生徒全員の先生でもなければマインクラフターってのは
<スティーブ>ということで、最初の会議は誰が人狼か予想。あ、俺はハナコかアズサの2択。
<アレックス>分かる。確かにその2人が怪しいよねー。
<サニー>意外とバカを装ったコハル説
<カイ>案外4人じゃなくて他の所に人狼が居る説は?
<アレックス>ありえる。
<スティーブ>ありえる、というかナギサは裏切り者の情報元を言ってなかったから情報元が占い騙りの狂人で4人に縄を持って行かせるように誘導してるくね?
<サニー>その説もあるわな。とりま情報がまだ出そろっていないし、明日の合宿以降毎夜、議論しない?
<他3人>さんせー
というように、マインクラフターたちはマイクラ人狼の感覚で物事を進めるのだった。
果たして人狼は誰なのか!?
アイス・バケツ・チャレンジ
疑心暗鬼*13
スティーブはマルチプレイを始めた。
スティーブは裏切り者探し(人狼)を始めた。
原作先生とは違ってスティーブを始めとするマインクラフターって別に生徒の味方かと言われれば別にそうでもないんですよね。
マインクラフターって基本自分のため(興味、メリット)にしか動かない集団ですし。
そもそも本来はシャーレに依頼してきたのは茶会なので、補習授業部側に付くメリット・筋合いはないんですよね。
用語解説:
黒曜石…主にネザーゲートの作成に使われる暗紫色のブロック。マグマに水を接触させることで生成されるブロックで高い爆発耐性と硬度を持つ。現実でも存在する石で、大昔には矢じりや医療用メスの材料として使われた。
縄…人狼用語。村人(市民)を吊る(処刑する)ための回数や、吊り回数の残りのことを指す言葉。
エデン4章で蓄音機から流す曲の投票
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C418-cat
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C418-wait
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C418-ward
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Lena Raine-Pigstep
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Lena Raine-otherside
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Lena Raine-Cretor
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Hyper Potions-溶岩チキン
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Kyrie(原作通り)