ミレニアムプライスから数日が経過した。
シャーレの先生をしているスティーブは今はオーバーワールドの方に戻って化学班の所にいた。
<カイ>*1この機械の解析が完了した。
金髪で長髪の髪を後ろで束ねているようなスキンのカイたちによってあのコンピューターが解析完了したらしい。
<カイ>まず、内部に入ってたデータだけど、面白いものがたくさんあった。『あの
<スティーブ>じゃあ、そのピックアップした3つについて聞きたい。
<カイ>OK、まず『あの
<スティーブ>なるほど、特殊な条件下での進捗解除か。
<カイ>それと、生徒についてのデータがあって、生徒は基本神話の神々を基盤にして創られた存在なんだと。学園の方はその神話か外の世界と呼ばれるところにあった歴史上の国から取ってる。
<スティーブ>スフィンクスとかヴァルキリーと同類ってことか。それに国か。
道理で天使の輪みたいなのが付いていたのかと、スティーブは納得する。
となるとアビドスはスフィンクスとかの砂漠系の神話、ゲヘナは恐らくデーモン系だろ。
赤冬と山海経と呼ばれるところはその外の世界の国が基盤になって創られているのであろうか。
<カイ>次に『名もなき神々』、これはデータがそこまでなかったから推察も入るけど、大地、海、天災と言った太古の昔より存在する『神秘』や『恐怖』とされ、自然を模った形で顕現するとされる存在。分かりやすく言うなら宗教上の神?これを崇拝しているのが無名の司祭っていう元はキヴォトスに住んでたけど『忘れられた神』との戦いに敗れてキヴォトスから放逐された存在らしい。
<スティーブ>さしずめねじ曲がった解釈のされた神とそれを信奉する狂信者ってところか。
マインクラフター内にも宗教は存在するが、そこまで過激思想の狂った集団でもない。
<カイ>最後に3つ目、『プロトコルATRAHASIS』、これを話すに至ってまず、連れてこようとしてたアリスって子の正体から。あの子の正体はほぼ確定で『名もなき神々の王女』、分かりやすく言うなら世界を崩壊させるロボット。ウィザーストームの下位互換かな?
<スティーブ>何となく厄ネタってのは分かった。
スティーブにとっても他のマインクラフターにとってもウィザーストームとの戦いは苦い思い出だ。
何度装備をロストしたことか。
<カイ>それを踏まえて『プロトコルATRAHASIS』について話すと、あのアリスが特殊な条件下で『アトラ・ハシースの箱舟』と呼ばれるものを顕現させる目的。ただ面白いのが顕現させるものは多少制限はあるけど他にも生成できるという点と『アトラ・ハシースの箱舟』が物質変換の機能を持ってるっていう点。有効に使えば土からダイヤが出来るかも。ただし、それ相応のデメリットはあるみたいだけど。
<スティーブ>なるほど。それで、アリスの特殊な条件下って言うのは?
<カイ><key>と呼ばれるシステムがアリスの体内に転送されて乗っ取られた、またはアリスが<key>を制御下に置いた時。試練のカギとは違って中の物を取り出すんじゃなくて、転送するカギだって。
<スティーブ>試練のカギとは違った鍵か、それでその<key>はこのコンピューターに?
<カイ>いや、それが無いんだよ。その自我を持ったAIが入っていると思われるデータだけ。
<スティーブ>マジ?となるとどこに、
スティーブは考える。
あのAIは頭がいい。
データを移し替えれるタイミングがあったとしたら‥‥‥
<スティーブ>G.Bible…!
あの時、余分なデータも転送されていたような表示がコンピューターに表示されていた。
待てよ…そう考えると‥‥‥
<スティーブ>マッズ!<key>が自由に動けてる!
<カイ>マジ?多分だけど、聞いた話頭が良さそうなAIっぽいからアリスって子の体を乗っ取れる可能性が高いよ。
<スティーブ>すぐにキヴォトスに向かう。カイ、化学班の連中も何人か招待するからついて来て。
<カイ>了解。でもスティーブ、今化学班の連中はスカルクの実験で急がし気味だけど、
<スティーブ>構わんよ。後で修復できた例の武器の一部をまた渡すから。
<カイ>へぇ、あの世界で修復が出来たのか。そりゃ面白そうな世界なこった。
そうして、スティーブとカイ、そして化学班の連中を10名ほど招待してネザーゲートにくぐり、キヴォトスに向かう。
キヴォトスに着くと、一通のメールが届いていた。
モモイ『先生、アリスが連れて行かれちゃった‥‥‥』
<スティーブ>最悪だ。
「‥‥‥結局、会長がアリスを連れて行ったんだね。」
ミレニアムのカフェテリアに着くとヴェリタスやゲーム開発部、C&Cの面々が集まっていた。
全員ほぼお通夜ムードの状態で話していた。
「ねぇ‥‥‥これって結構ヤバい状態なんじゃ‥‥‥?」
「はい、非常事態です。」
「では、リオ会長が部長以外を呼び出さなかったのは‥‥‥。」
「恐らく、最初からリーダーが裏切ることを想定していたのだろう。」
「ひどい!アリスちゃんを連れて行った上にリーダーの事も虐められるなんて!」
「‥‥‥はぁ。」
<スティーブ>大丈夫か?
「あっ、先生来てくれたんだね!えーっと、その後ろにいる人たちは?」
<カイ>カイって言います。化学班、主にマインクラフターの世界の科学に特化した集団のリーダーです。
カイたちに軽く自己紹介を済ませた後、事の顛末を語ってもらった。
ヴェリタスが謎のロボットを見つけ、それをゲーム開発部に見せたところ突如としてアリスが暴走、結果としてモモイが意識不明に陥っていたが前々に渡していた回復Ⅱのポーションですぐに復活したらしい。
恐らく<key>の入った日光検出器が近くに置いてたのだろう。件の謎のロボットとそれもあってか、アリスの乗っ取りは容易だろう。
そして、騒動が鎮火した辺りでリオ会長がやって来たそうだ。そして、アリスの正体を伝え連れて行った。
調月リオ、感情的に動くのが大半の我々マインクラフターとは違い、超合理的で秘密主義という我々とは正反対の生徒。
彼女のことは以前資料を読んで人となりは知っていたが、ここまで暴走するとは。
アリスを連れ去って最終目的としてはアリスの殺害ってところか。しかし…何かに追い詰められてるのか?行動がいくら何でも早い。
そして、連れ去った時に現れたというC&Cのトキという生徒についても疑問点が、
「‥‥‥あいつ、変なモン使ってやがった。」
<スティーブ>それは『プロテクター』みたいな物?
「ああ、着けていたのはプロテクターだと思う、だが、何と言うか先を読んでる?そんな感じがしたな。」
「まるで『チートプレイヤー』‥‥‥みたいだった。」
<カイ>なるほど、大方未来予測能力を向上させる装置ってところか。
我々マインクラフターのような直感で動きを予想するのではなく、積み上げられたデータから予測しているのだろう、とマインクラフターたちは推察する。
もし攻略するとしたら、データに無いものをぶつけるか。
「なぁ、先生‥‥‥ヘイローを壊すなんて話をされたのに、あいつ何でリオについて行ったんだ?」
<スティーブ>は?自分からついて行ったの?
俗に言う勇者の犠牲の精神ってやつなのか?
リオにも言えることだが、一人で突っ走りすぎではないか?
知り合いの勇者たちでさえ仲間の助けがあって、あそこまで行けたんだぞ。
「‥‥‥よし、じゃあアリスを連れ戻しに行くよ!」
モモイがそう叫ぶ。
リーダーシップとはこのことを言うのだろうか。
もちろん全員がそうだった。
そうと決まれば、作戦会議。まずは、セミナーに連絡、セミナーの役員なら居場所を知ってる可能性はあるからね。
しかしながら、
『あの人秘密主義で他の役員には居場所を伝えないんですよ!』
『最近、裏で何かを進めている気配はありましたけど‥‥‥。』
あいつ、自分の部下にもというかそれも幹部の連中にすら居場所を伝えないってどういう神経してるんだよ。
クラフターの中には中心地から離れたところでボッチサバイバルしてるクラフターもいるけどさぁ、あいつら数度は中心地に戻るか看板ぐらいは立てるぞ。
しかも聞いた話によると運営費を横領とか言う普通にペナルティが付く事をやってるっぽい。
役員の1人が兆規模の金でギャンブルして金を溶かした時にしれっと私腹を肥やしたとか。今まで見てきたマインクラフターのコミュニティでもそんな運営側が犯罪するところなんか見たことないぞ。
これには他のマインクラフターも唖然としている。
それで、アリスを殺すために用意した舞台がエリドゥという要塞都市。
古代都市のようなものを想像していたがそれの数倍をいく見た目だった。
ここ、土地の権利があやふやっぽいから終わったらもらおうかなと化学班の連中がチームチャットをしている。
スティーブは別に土地なんて知らないのスタンスなので特に言及はしない。
それと合流したエンジニア部と化学班がよくない化学反応を起こしていたが‥‥‥*2
とりあえず、作戦は立てた。
作戦はいたって単純。ヴェリタスやセミナーはサポート、残りで凸る。
あのトキという生徒の対処法についてはすでに画策済み。
そして他の最高戦力が出てきた際のこともばっちりだ。
そうして、エリドゥに着くと通信が入って来た。
『まさか大勢で攻めてくるとわね‥‥‥』
<スティーブ>君が噂のリオ会長?
『初めましてスティーブ先生。知っての通り私はセミナーの会長、調月リオよ。』
<スティーブ>君を止めに来た。
『悪いけど、これは止められない。アリスのヘイローは破壊するわ。』
<スティーブ>あっそ、じゃあ力ずくで止める。
『あなた達は私と正反対ね。感情的に動くばかりでトロッコ問題すら破壊しようとするような野蛮な‥‥‥』
<スティーブ>逆に言うけど、合理的に動いて何もかも制限された世界で生きて楽しい?
『‥‥‥。』
<スティーブ>通信切る前に一つだけ、『人もクラフターも合理・非合理では動かない』。覚えておけ。
スティーブはそのまま通信を切った。
<sweet_desk107(化学班)>スティーブさん、用意終わりました。
<スティーブ>OK、じゃあ後はすぐにエリトラを装備できるように
まずはあの未来予測からだ。
データだけじゃ何にもならないことを証明してやろう。
とりあえず、PCに入っていた内容をまとめると
・ブルアカ世界の設定などについて
・名もなき神々とその周辺のことについて
・プロトコルアトラハシースの内容
などなどが入っていました。
用語解説:
ヴァルキリーやスフィンクス…元ネタはJAVA版の『Grimoire of Gaia 4」と呼ばれるMOD。神話に登場する生物や下りずなるのモブを多数追加し、マイクラをより拡張させたかのようなMOD。一時期は有名な実況者さんたちがよく使っていた。
古代都市…マイクラバージョン1.19『Wild Update』にて追加された構造物。y座標がマイナスの所にしか生成されることがない。エンチャントされた金リンゴや当時そこでしか取れなかった『Otherside』というレコードなどを含め、そこでしか取れない貴重なアイテムが多数ある。ただし、スカルクに侵食されているため基本敵対モブは湧かないが、スカルクによって召喚されるあるモブによって危険な場所となっている。
エデン4章で蓄音機から流す曲の投票
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C418-cat
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C418-ward
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Lena Raine-Pigstep
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Lena Raine-otherside
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Lena Raine-Cretor
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Hyper Potions-溶岩チキン
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Kyrie(原作通り)