今夏の甲子園に出場した広陵高校野球部(広陵高校硬式野球部の公式インスタグラムより)

一対一で直接謝罪した

――暴行事件はその後、どのように進展したのでしょうか。

X君:私がA君に暴行をふるってしまった翌朝の点呼のときに、彼がいないことがわかり、騒ぎになりました。監督や先生から、心当たりのある者は名乗り出るよう言われたので、私は申し出て、A君と交わしたやりとりについて説明しました。

その後、私は6日間の授業出席停止と、試合出場停止という謹慎処分を受けると同時に、部活動停止と校内外の清掃活動を命じられました。しかしこれらの処分は、監督にもきつく言われていた暴行禁止のルールを破ったことに対しては軽すぎる処分だと思い、清掃活動に関しては6日間を過ぎた後も、自主的に部活動停止期間の3月末まで継続しました。

A君は失踪から数日後に寮に戻ってきました。そこで私はA君と一対一で話し、「悪かった」「ごめん」と謝罪しました。すると彼も、「自分も悪かったです」と言い、握手を交わしました。

一方で、私の両親のもとには学校から連絡があり、A君やそのご両親が謝罪を求めていることが伝えられました。私の両親は私と共にA君に謝罪するために、数時間かけて学校に来てくれました。しかしその時A君は寮におらず、実家に帰っていたようで面会が叶いませんでした。

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寮の私の部屋はA君とは別の棟だったので、その後、彼と顔を合わせることはほとんどありませんでした。ところが人づてに、彼が野球部を辞めて転校するらしいという話を聞きました。

今年の2月中旬ごろ、退部の手続きをするためにやってきたA君を見かけました。彼の退部と転校を「自分の暴行も一因だったかもしれない」と感じていた私は、A君に改めて謝罪し、「一緒に頑張ろう」と呼びかけました。しかし彼は決意した面持ちで「他で頑張ります」と答え、引き止めることはできませんでした。このことについては今でも責任を感じています。

また夏頃には、警察からも暴行事件について事情を聞きたいという連絡が来ました。A君とご両親が、暴行事件の被害相談をしたようでした。A君は、私の知らない別の部員による被害も主張していたようで、関わったとされる4人の別の部員と一緒に、7月中旬から合計4回、広島県警安佐南署に出頭しました。

取り調べは警察官と一対一で行われました。警察官は、私と他の部員が一緒にA君に暴行を振るったと考えていたようで、「そうではない」と説明すると、「学校を裏切ることになる」、「だから負けるんだよ」などと、脅しや嫌味とも取れることを言われました。それでも私は自分が知っていることだけを話し続けていたところ、3日目の取り調べあたりからは警察官の態度が優しくなりました。

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