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絶頂の記憶
「あぁ、京也さま。先走りが出てきています。雄の臭いに頭がくらくらしてしまいますわ」
ベロリとざらつく舌の感触に、ゾクゾクと気持ち良さが背中を駆け上がって、思わず声が漏れる。
「苦味があって、喉に絡むはずなのに。京也さまの身体が私のつたない奉仕で気持ち良くなってくれていると思うと、どうしてかしら……この苦さや粘っこさが美味しく思えてしまうの」
今まで付き合うどころか、話す機会も縁も無かったとびっきりの美少女が、顔が上気してうっとりとした表情のまま、熱心に俺のペニスをその細い手や指で包んで扱いたり、口に含んで舐め上げたり、啜ってくれる姿は、それだけで十分に俺の興奮を促してくれる。
「もっと味合わせて下さいませ。京也さまが気持ち良く感じて頂けている証を……」
「美由紀さんみたいな女の子に、そんな蕩けた顔で、欲しいって言われたら、さ、男は我慢できるもんじゃ、くぅっ」
涼香さんが言う、本から取り込んだ知識の中に、そういうモノもあったということだ。耳年魔となっていた美由紀さんは、俺相手に理論を実践し、真剣に俺の反応や昂ぶりを見て取って、卑猥な言葉や行為に没頭する自分自身の興奮と混ぜ合わせていく。
彼女が手コキやフェラをするのは、まだ両手の回数にも満たないだろうに、瞬く間に学習して上達していっている……!
「こちらにも、奉仕致しますね」
竿への手指による擦り上げは止めることなく、玉袋や竿の根本付近に丁寧に舌を這わしていく美由紀さんの動きが視覚的にも刺激としても、俺の快感を加速させていって。
「あぁっ、ダメだ。出るっ!」
限界が訪れた俺の声に再び、美由紀さんは膨張した俺の下半身を口に含み、ちゅぅっと軽く吸い上げた。それが合図となり、俺は彼女の口の中へ『苦味があって、喉に絡む』液体を注ぎ込んでいく。細かい痙攣を繰り返した後、襲い来る脱力感と気持ち良さの余韻に、俺は荒い息を繰り返す。
そんな俺の様子を嬉しそうに見つめた後、美由紀さんは幾度も喉を動かして、出された精液を残らず飲み干していった。
「たくさん出して頂いて、ありがとうございますっ。うふふ」
「すごく、男としては嬉しいんだけどさ、無理しなくていいのに」
「申し上げた通りですわ、美味しく思えて癖になるのです。それに、京也さまの精を飲み干すと、身体が火照ってたまらなくなるから、ん、ふぅ……」
吐息一つにも、色香が漂っていて、美由紀さんは明らかに発情していた。その姿に、どくん、と心臓が跳ねるような感覚の後、精を放ったばかりのペニスが再び力を取り戻していく。
「素敵です、京也さま」
「節操が無いだけって感じもするよ、これじゃ」
「京也さまを熱心に欲しがる女二人がいるのですから、むしろ望ましいことです。ほら、涼香もあんなに物欲しそうな顔をして」
「ご主人様ぁ、お嬢様ぁ」
切なげに俺達を呼ぶその声。お預け状態となってきた涼香さんは、自分を自分の両腕で強く抱き締める姿勢で、必死に何かを堪えていた。
「ちゃんと我慢して待っていたのね。さぁ涼香、京也さまの尿道に残る精をちゃんと吸い出してあげて……」
風呂場から上がり、三人で寝台に上がった後、二人は俺に一つの誓いを立てていた。自分達が俺のモノだという強い自意識を感じる以上、どれだけ物欲しくなっても、命じられない限りは、性的に自分で自分を慰めることはしない、と。
二人が言うには、一度でも俺に抱かれたことで、理性を吹き飛ばすような強い性衝動は収まったようだが、衝動自体が無くなったわけではないらしい。特に俺が性的に興奮している時に、近くにいると耐え難い衝動の強さに変わっていくと聞かせてくれた。
だから、こんな状況で涼香さんが見てるだけの状況というのは、ある意味拷問のようなものだ。
「い、いいのでしょうか。はぁ、くぅっ……」
「そんな辛い顔をさせてるほうがよっぽど嫌だよ。涼香さん、お願い。掃除してくれるかな。俺も涼香さん、気持ち良くしてあげたい」
耐え切れなくなって、涙すら浮かべていた涼香さんが、俺の首に両腕を回し、キスの雨を浴びせてくる。ご主人様、ご主人様ぁ、と何度も声に出しながら。
身体が若返ったといっても、年上の女性がひたむきに俺を求めてくれる姿はとっても可愛くて、自然と愛おしさが込み上げてくる。
「大丈夫だよ、涼香さん。我慢できなくなったらいつでも言ってくれたらいいんだから。責任だけじゃない。俺も涼香さんや美由紀さんに求められたら、男の端くれとして、嬉しいし、すぐ我慢が利かなくなるんだからさ」
膝を立てた姿勢の涼香さんの足の付け根辺りは、女性器からの愛液でもうびしょびしょになっていて、そっと触れるだけで、涼香さんはガクガクと膝を震わせた。自分の身体を支えるのも辛そうな様子に、俺は彼女を抱き寄せ、そっと寝台へ仰向けに寝かしつけた。
「ころころと変えて悪いけど、もう挿れたい。涼香さんの中、入るから」
念のため、美由紀さんと声をかけると、首を軽く縦に振ってくれる。
「京也さまのお好きなように……」
ああ、と俺も頷き返し、涼香さんに自分から口づけをしながら、彼女の結合口へ自分を埋め込んでいった。
「んんんんんっ、ぷ、はぁ……あ、あぁ、ご主人様が、きたぁ、入ってきてますぅ」
美由紀さんと比べても狭い彼女の中を、温かいというより熱いと感じる、柔軟性を持った内壁を分け入りながら、奥へと進んでいく。俺の先端を吸いこもうと蠢く、彼女の最奥へ到達して、コツンと一つノックをすると、涼香さんはビクンと身体を震わせて、全身を一瞬硬直させた。
「嘘ぉ、私、今、軽くキ来ちゃい、ましたぁ」
「良かった、それだけ我慢させてたってことだから。このままジッとしてるから、動けそうになったら言ってね」
「ご主人様……」
「二人とも、気持ちいい、気持ちいいって言ってくれるけど、特に美由紀さんなんか、今日が初めてだろ? 猿みたいになってた後で言っても遅いんだけど、身体に無理はして欲しくないし。俺で良ければ、明日以降もしっかり付き合うからさ」
きょとん、とした顔をする二人。でも、すぐに二人で顔を見合わせ、笑顔を見せ合ったと思えば、下からは涼香さん、背中側からは美由紀さんが勢い良く抱き着いてくる。とっさに支え切れずに俺は、涼香さんと美由紀さんの身体にサンドイッチされるような形になってしまった。
「う、わっ! ごめんっ、俺重いよね、すぐにどくから」
「ベッドの上ですもの、平気ですわ」
「ええ、私も体重には気を使っておりますし」
むしろ、そのまましっかりロックされてしまう始末。二人が非常に楽しそうにしているので、俺は腕や足を使って、涼香さんに体重が乗りきらないように努めることにした。
「小休憩を兼ねて、京也さまに聞いちゃいましょうか」
「そうですね、お嬢様」
「えっと、何を、うっ、涼香さん、急にそれはっ」
涼香さんが膣内を強く締め付けて、挿入した硬さを保ったままの俺の肉棒を刺激してくる。ぶるりと震えた竿の奥から、尿道に残っていた先程の残り液が、涼香さんの子宮へと飲み込まれる感覚を覚えて、俺は目を閉じ、歯を食いしばり、快感の波をやり過ごす。
「……どうして、我慢なさるのですか?」
「えっ?」
「原因はまだハッキリしていないものの、私達の身体も、恐らくは心のあり方もとは思いますが、ご主人様が心の内で望む形に調整されています。ご主人様が力づくで欲望を叩きつけるとしても、その行為を望んで受け入れますし、身体もそれを気持ち良いと感じるでしょう。今だって、私の身体の奥にこぼれ出したご主人様の精液を受けて、子宮が弾んでしまっていますし」
「そうですわ。私も涼香も、京也さまへの強い愛情を覚えて、繋がることを望んでしまいますが、それ以外は変わったと思いませんし、互いの印象も基本的な部分は変わりないと感じています」
「うーん、でも、痛いのって嫌だし、相手が苦しそうにしてるのを見ると萎えるよ、俺。どうせなら、一緒に気持ち良くなりたいよ、せっかくセックスするんだったら。こうして、ただ、くっついているってのも好きだし、繋がったまま抱き合えるって、すごくいいよな。初めて知ったけど、癖になりそうだし、したいなって思う」
我慢している、という感覚はそれほど無い。趣くままに突き上げたいと思えば、実の所、美由紀さんに騎乗位になってもらえれば済む話とも考えている。
まだ数回のセックスとはいえ、感じたこととして、美由紀さんは快楽に正直だ。俺という『パートナー』が現れたことで、自由に動いていいと許可すれば、安心して理性のタガを外して、俺の上で踊り狂う。その姿が、淫らなのにとても綺麗に見えて、俺は視覚と直接的な気持ち良さの両面から攻められて、長くは持たないぐらいだ。そこに俺が思うままに突き上げ始めたら、二人ともあっという間に達してしまうのが想像できるし。
「……ご主人様が望むなら、このまま朝までだって構いませんわ。ずっとご主人様を感じていられますもの」
涼香さんは軽く達したことで随分と落ち着きを取り戻したからか、優しげな微笑みを浮かべながら、答えてくれる。
「私もですわ、京也さま。触れ合いたいのなら、何時間でも是非。繋がったままずっと抱き合って、こうして話が出来るなんて素敵だと思います」
美由紀さんも背中から肩越しに、形のいいおっぱいをぐりぐりと押し付けながら、私も同じ考えだと訴えてくる。……ああ、そうだ。美由紀さんも俺の精を飲んだから、まだ火照ったままなんだ。
「ご主人様、私は少なくとも落ち着きましたので、後で帰ってきてくださるなら……」
どうにも顔に出ていたらしい。俺の心配事は涼香さんに筒抜けだったみたいだ。
「ごめん、涼香さん。後でもう一度」
美由紀さんがしっかり体重コントロールをしていると自負しているだけあって、両手足を使えば、彼女を乗せたまま、涼香さんとの結合を解いて、起き上がることが十分に出来た。
抜く時に寂しそうな顔を一瞬浮かべた涼香さんの頬を軽く撫でると、何となく名残惜しさも感じてしまって、なんとかならないかな、と思ってしまうけど……。
「……大丈夫です、京也さま。もう、涼香のそんな顔を見たら、私ばかりというわけにもいかないもの。私も涼香も満たされるように、試したいことがあるのです」
俺の背中側にいた美由紀さんにも、そんな表情はしっかり見えていたらしく、美由紀さんが動く。
「えっと、涼香がそちらで、京也さまが私の背中側に回ってもらって……」
指示に従い、美由紀さんを真ん中にして、皆横向きの姿勢になる。涼香さんと俺で美由紀さんをサンドイッチするような格好だ。
「……京也さま、来てくださいまし」
自ら片足を掲げ、腕で支えたまま、美由紀さんは俺の挿入を再び受け入れていく。
「は、あぁぁぁ……入ってくるだけで、ああ、私、こんなに気持ちいいなんて……」
ガクガクと震える腕を支えながら、十分に潤ったままの美由紀さんの中を進む。
彼女の中は狭すぎず広すぎず、俺のペニスをふんわりと包み込んでくれる。ぬるま湯にいるような感覚だけれど、意識的にせよ無意識にせよ、彼女が膣内を引き締めたり緩めたりする度、襞が蠢いてゆっくりと舐め上げられるような感触を感じるのだ。それほど詳しくないけど、名器と呼ばれるのだと思う、美由紀さんの中は。今日は何回も出していて、すぐに達してしまう心配がないから、こんなことを思えるだけだけど。
「ふぅ、ふぅ……片膝はこのまま立てておいて、京也さまがゆっくりと動けるようにしておくのです……あとは」
涼香さんと俺が互いに腕を回せる距離まで密着して、美由紀さんの意図する格好が完成した。美由紀さんは俺や涼香さんに比べるとやや小柄なため、頑張れば俺と涼香さんが直接キスすることも出来る距離になっている。
「なるほど、お嬢様のエッチな知識がこんな形で役に立つなんて」
そう言いながら、涼香さんは美由紀さんの乳首や乳房をそっと刺激し始めて。
「ひゃ、ん……二人とも、ああ、じらさないでぇ!」
俺は俺で心持ち腰を引いて円を描くように動かしながら、美由紀さんとの結合部周辺を愛撫していく。この体位だとピストン運動自体がしにくいから、涼香さんと結託して、美由紀さんを気持ち良くさせてしまおうという腹積もりだ。
俺と涼香さんの一方の手は一度、重ね合ってしまうと、互いに離れがたくなってしまって、指と指を互いに絡めあったまま、美由紀さんを絶頂に連れて行くために、もう一方の手が動き回っている。
「美由紀さん、ありがとう。お礼になんてならないだろうけど、少しでも気持ち良くなってね」
「あ、はぁっ、ん、耳元でそんな優しく囁かれたらぁ」
「少しだけ、動きを早くするよ」
俺の声に涼香さんの動きも早まっていく。おっぱいを優しく揉み解しながら、尖った先端を口に含んで、俺は腰回転の速度を上げつつ、美由紀さんの愛液をクリトリスにすくっては塗り付けていく。
途端に、二人の結合部分の蠢動も激しさを増した。火照っていた身体が、美由紀さんを昂らせて、快楽の頂へとどんどん押し上げていく。
「ん、あぁぁっ、京也さまぁ、気持ちいいのぅ、すごいのぉ」
首をひねり、キスをせがむ美由紀さんに答えると、苦しい姿勢だろうに、そのまま舌を差し込み、深く絡み合いを望んでくる。
「んっ、じゅる、はむっ、んん、あ、じゅ、く、るっ、んんんんんんっ──!」
ディープキスを続けたまま、美由紀さんは再び、達した。今日が初めての性交だったはずの彼女の身体は、完全にイクという感覚を覚えてしまっている──。
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