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涼香
二人に許可を得た上で、先程美由紀さんと繋がり合っていたベッドへ移動する。涼香さんは主人と同じ場所で抱かれるなんて出来ませんと主張したものの、美由紀さんの許可が出てしまい、強く訴えることが出来なくなってしまったようだ。
「ほら、涼香。早く、京也さまに触らせてあげて」
美由紀さんの指示で、ブラとショーツだけの姿になった涼香さん。美由紀さんが綺麗な形で程よい大きさの美乳とすれば、少し慎ましげな大きさをしている。なお、美由紀さんも一度着たワンピースを再び脱ぎ、その美しい裸身を俺の前に惜しげもなく晒している。
「で、でも、お嬢様と比べても小さいですし、触れて頂くほどのものでも」
「だって、刺激していないと、貴女、すぐに意識が飛んでしまうもの」
俺が女性に及ぼす影響に個人差があるのは、この二人を見ているだけでもわかる。自ら積極的に受け容れることを決めた美由紀さんは最初から自我を失う状態になりにくいようだし、迷いがある涼香さんは視線を向けるだけで、意識の無い操り人形のようになったりする。
「……涼香さん、すごく綺麗だ。ウェストもキュッと引き締まっているし、しっかり鍛えているんだな、って分かります」
「えっ、あっ……」
俺の言葉に視線を合わせてしまった涼香さんから、また瞳の色合いが失われていく。嫌だ、という感覚を覚えて、俺は涼香さんに思わず声をかけた。
「涼香さん、しっかり、『意識を持って』下さい」
「あ、れ……?」
「視線合わせても大丈夫なように、意識づけしました」
「な、るほど……」
早速、先程の検証を生かす。俺の影響下にある人が、実際にどこまでの指示が入るのかは分からないけど。
「涼香さん、俺もまだ迷ってるんです。とっくに美由紀さんを抱いたっていうのに」
「高村、さん?」
視線を合わせても、首を傾げ、俺の言葉の意味合いをしっかり取ろうと、涼香さんはちゃんと俺の言葉を自分の意思で聞いている。
「俺、自分でも分からないうちに、身体が変化して、誘われるままに美由紀さんを抱きました。何度も、何度も。美由紀さんは幸せだと言ってくれるけど、一生を尽くすとか、簡単な覚悟で言えるものじゃないと思う。そこまでの感情を、俺は植え付けてしまったんです」
一人の女の子の生き方を強引に変えた、というのは、俺の頭を冷やす効果が十分あった。でも、身体の奥にセックスしたい、こんな綺麗な女の人を抱きたいって欲もふつふつと煮え滾っていて、二つの感情がずっと戦っている状態だ。
「涼香さんも一緒に、って言うけど、彼女の感覚が変わる前だったら、そんなことを言うだろうか、って。変えてしまった美由紀さんに対しては、俺はしっかり責任を取らなければならないけど、涼香さんまで完全に変えてしまっていいのかって」
「……もう、遅いですよ」
濃淡の無い声で、涼香さんは急に膝立ちとなり、迷うことなくショーツに手を掛け、下ろしていく。粘り気のある糸が、彼女の女性器からショーツまで切れることなく、繫がっている。
「貴方の近くにいるだけで、そして意識をしっかり持って、貴方に見られてしまえば、もう。……我慢できるわけ、ないじゃないですか」
「涼香、さん」
「完全に変えられる前に、お伝えしておきます。私はどうあろうと、お嬢様から離れるつもりもないし、これからも見守り続けるつもりです。私達の中心に貴方が収まるだけのこと」
ズボン越しに屹立して、三角山を形取るソレにそっとなぞり、涼香さんは熱い吐息をこぼしながら、懸命に言葉を紡ぐ。
「お嬢様と同じです、ふぅ、私だって男性には縁のない生活をぉ、これからも続けると思って、たぁ。私にとって、お嬢様の成長が全てで、それが喜びだったから……はぁ」
ジッパーが下ろされ、下着もずらされて、独特の臭いを放って、血管を浮き立たせている肉棒が、涼香さんの前に晒されて、膝立ちのままの涼香さんのぐちょぐちょになった進入口にそっと宛がわれた。
「お嬢様が変わり、私も変わって、それでも一緒に過ごしていくぅ、理由が出来、る。女としての悦びを味わ、いながら……同じ男性に支配されるの……」
「すず、か、さん」
「私もぅ、これからのためにぃ、貴方を利用しますからぁ、どうかぁ、この疼きを沈めてぇ……!」
ずぶっ、じゅる、ずずずっ。
「ぐ、ぅ……」
懇願しながら、腰を下ろす彼女の内部は狭く、しかも焼けるような熱さ。大量の潤滑液のお陰で、痛みは何とか感じることなく、激しい刺激の範囲に何とか収まっていた。
「あぐっ、はい、ってぇ……!」
それでも、メリ、メリ、メリ、と肉壁を無理やり押し広げるような感覚。涼香さんの顔も快楽どころか、苦悶に歪んでいて、とっさに涼香さんの腰をつかんで、その動きを止めた。視界の隅に、慌てた様子の美由紀さんが移り、不意に美由紀さんの言葉が蘇る。
『京也さまが楽しめるように、身体まで変えられていたと感じていたのは、気のせいじゃ無かった……』
『肌の張りとかきめ細やかさが、十代の頃に戻ったと、大はしゃぎでしたのよ』
意識を保てという指示はすぐに涼香さんに反映されていた。俺に受けられやすいように、身体や心の在り様が変化しやすいのであれば、少しでも涼香さんを楽にしてあげられれば──!
「涼香さん、お願い、目を見て」
「は、い……」
痛みを堪えながら、涼香さんが懸命に俺の顔を見る。俺は変わってと強く願いながら、彼女に声をかける。
「『今繋がっている部分の筋肉がほぐれて、柔らかくなる』よ。『男のものを受け入れやすいように、涼香さんの女性器が柔軟性のある筋肉になる』よ」
数秒程度だろう、瞳孔が開ききったまま、ぼけーっとした表情に変わった後、涼香さんは再び、自意識を取り戻す。そして──。
「うぐっ!? こ、これ、ヤバっ……」
「すご、い、高村さんっ、柔らかくなりましたぁ。……あんっ、コンって言いました、分かりま、すか、一番奥まで、入りましたよ……」
無理やり押し広げる感覚が無くなったと思うと、ずぶずぶずぶと俺のペニスは飲み込まれ、ほどなく俺の突端と子宮口が触れ合った。指示がある程度入ったのか、凝り固まっていた膣壁の力が抜け、発情した影響から潤ったままのお陰で、一気に挿入が進んだのだ。けれど、彼女中の狭さは変わらぬままで、気を抜くと厳しい締め付けと、熱く感じる程の内部の熱にすぐに放ちそうになってしまう。
「見て、涼香。京也さん、すごく気持ち良さそうな顔してるでしょ?」
「……ええ、お嬢様」
奥まで繋がったことで、俺は涼香さんの空いた両腕と、慎ましげと言いながらもしっかりとした弾力のあるおっぱいに抱き寄せられる。美由紀さんとはまた違う、甘さと爽やかさが同居するような、不思議な香りがした。
「私の中でとても強く脈を打っているのに、こんなにも抱き締めてあげたくなる顔をするなんて。まだ出されていないのに、私、どうなっちゃうのかしら……んっ」
涼香さんの中は、全く動いていなくても、リズミカルにぎゅっぎゅっ、と強められる圧迫感と、溶けるような熱、そして、一番奥の子宮口が俺の先端に強く吸い付き続けていて。
「すず、かさん、動いてないのに、俺、気持ち良くて、もたな……」
「……大丈夫ですよ。心の準備は出来ていますから、どうぞ私を、変えて下さい……」
その言葉を合図に、俺は涼香さんの最奥へと、数回目に関わらず、大量の精を放つ──!
「あ、あぁぁぁぁっ! 入って、きますぅ、ああ、すごい、満たされて、いくぅ……あぁ、変えられて、い、く……」
大量に吐き出した後も、細く長く、俺は脈動を繰り返して、涼香さんの子宮を自分の精で染め上げていく。
「……はぁ、はぁっ……」
「ありがとうございました、涼香を使って頂いて……」
「涼香さん……?」
ぎゅっと、涼香さんがもう一度俺を強く抱き締めた後、俺の顔を真正面から見つめていた。朗らかな笑顔を向けながら。
「……貴方様に従うことに迷いを感じない……喜びすら感じるし、自分の幸せだと信じられる……変えられたと自覚しておりますが、貴方様でなければ、もう私の身体も心も満ち足りない。逆に、貴方様がいれば、私は、もう迷うことはありませんわ」
唇が触れる。繰り返し、繰り返し、唇を重ねる。優しいキス。
「お嬢様と共に、どうぞ私も『ご主人様』の女の一人にお加え下さいね」
そう言う涼香さんの顔は、一点の曇りもない、晴れやかなものへと変わっていた。