ブルアカ世界に男で転生したのでロボットになります   作:あーけろん

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※尚、殆どの生徒にはバレているものとする。





第一章 アビドス編 手放した夢/拾い上げた願い
解釈違いの覚醒とセミナー


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────ふと、目が覚めた。

 

 

意図的にではなく、無意識的に視界が開かれる。まるで自分の体ではないかのような感覚だが、こうして思考できていることを考えれば、おそらくこれは自分の肉体なんだろう。

 

…なんて、しょうもない事を考えた。

 

 

「────で、どこだよ。ここ」

 

 

現実逃避から一転、すぐに思考が現実に引き戻される。今自分の目の前にあるのは朽ちた天井にひび割れた蛍光灯、そして小さな蜘蛛の巣。SFファンタジーで幾度も見た廃墟然とした室内だ。

 

「知らない天井か…。俺はシンジ君じゃないっての」

 

自分が寝ていることを自覚し、身体を起こして辺りを見回す。部屋の中は天井の風化具合から想像した通り、非常に荒廃していた。

乱雑に倒された本棚と思しきものや脚が折れて使い物にならなくなった事務机、なにより特徴的なのはそれら全てが砂に塗れていたことだろうか。

 

「こりゃ酷い。差し詰め砂漠が攻めてきたような感じ…なんてな」

 

あまりに突拍子もない状況に飛び出た軽口だったが、ここでふと外の景色が目に入る。―――そこは、砂に埋もれた街並みだった。

 

「──────嘘だろ…」

 

創作上の物語として画面越しには幾度も見てきた光景だったが、直に見るのとでは迫力がまるで違う。この景色を見てしまったら、ここはもう滅びた後の世界なんだろうと、拍子の抜けた声も出る────が、自分が絶望したのは砂に埋もれた景色を見たからでは断じてない。

 

見覚えがあったのだ。その砂に埋もれた街に、そのはるか向こう側に見える高い塔に、空に浮かぶ光の輪に。

 

 

─────あ、ここブルーアーカイブの世界だわ。

 

 

その景色を見てから刹那の間にそれを判断した自分は、今の自分が非常に不味い立ち位置にいるのではないかと勘付く。

 

「い、いや、冗談だよな?嘘だよな…?」

 

恐る恐る、そう、本当に恐る恐る割れた窓ガラスへ近づく。そうだよな、今時は男らしい声の女の子だっているよな、なんて淡い期待を抱きながら。

そして地面に散らばった硝子破片の中で一際大きいものを見繕い、そこに視線を落とす。

 

「………あ」

 

 

 

──────そこには、紛うことなき男の顔が写っていた。

 

 

 

 

 

「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎ 解釈違いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

彼はのたうちまわった。硝子の飛び散った危険な床で何の躊躇いもなく、赤ん坊のように転げ回った。

そこに理性なんてものはなく、ただ今の自分が性癖にとって地雷な存在となってしまった事実にただ泣き叫んでしまった。

 

 

「ゔぅ、どうじで……なんで俺を可愛い女の子にじでぐれながっだんだ…」

 

 

それは心の底、魂からの叫びだった。言うまでもないことだが、彼にとって男顔はブルアカ世界に1人しか存在してはならない。その1人は即ち先生のみである。

 

彼にとってブルーアーカイブの世界とは不条理な現実を乗り越え、友情と努力によって勝利という名の奇跡を勝ち取る。そしてそこから青春を始める生徒たちの物語だ。

その中にエッセンスとしてもたらされる、年上の男性である先生に叶わないであろう淡い(要審議)恋心を抱く生徒たちの群像劇を非常に好む、いわば青春大好きお兄さんだったのだ。

 

そんな青春の物語に、今の自分のような不純物はいらない。ブルーアーカイブとは透き通った物語なのだ。

 

「ゔぅ…うぅ…………」

 

今の自分が置かれている現実に耐えきれず涙は流れてくるが、涙が流れた分だけ頭はどんどん冷静になっていく。

まずは現状を確認しなければならない。これだけ荒廃した街並みで尚且つ砂に埋もれているという事は、現在位置は【アビドス高等学校】の敷地でまず間違いはない。

そして自分の服装に目を向けるが、硝子によってボロボロになったそれでもこれが学生服であることはわかる。ブルーアーカイブで男性生徒の制服なぞ見るわけもなかったから断定はできないが、キッチリとした作りに白を基調とした意匠であることからおそらく【ミレニアムサイエンススクール】所属であることがわかる。

 

 

「って事は学生証がどこかに………お、これか?」

 

 

胸ポケットの内側にあった物を取り出すが、それは黒革の物体だった。

 

「これって財布か?というとお金が…えぇと…5000位か?」

 

お札のような見た目のそれに硬貨が何枚か入っており、それがこの世界における通貨であることはよく分かった。

他に持っているものはなく、今の持ち物はこの肉体となけなしの5000円のみということになる…なんという心細さだ。

 

「取り敢えず今の状況を整理しようか」

 

手持ちに手帳やペンがあればよかったのだが、生憎そんな上等なものは持ち合わせていない。よって、すぐ近くにあってギリギリ書けなくもないもの───即ち床と散らばっている砂をノート代わりとする。

 

 

・現在地→アビドス高等学校敷地内

・持ち物→5000円弱

・自分の所属→ミレニアムサイエンススクール?

 

 

「…うーむ」

 

たった三行のそれを見て思わず閉口する。仕事の業務日報でももう少し書くことがあるだろうに…。

 

「今後の方針、方針かぁ…」

 

脱力して仰向けに倒れ込むと、目が覚めた時と同じ天井がこちらを見下ろしている。

まず前提として、ブルーアーカイブの本筋に絡むつもりはない。この世界のストーリーはよく出来ていて、何処かでご都合主義の展開を挟めばその影響がどう及ぶかは検討もつかない。

というより、自分が先生以外の男性として転生してしまったのだ。物語に干渉しないようにする為には、もう石の裏にこびりついた苔のようにひっそりと生きていくしかない。それならいっそ男性モブとしてロボットに転生した方が─────。

 

 

「……いや、できるんじゃないか?」

 

 

名案を思いついた様な気がする。キヴォトスには尋常ではない勘の鋭さを持つ生徒が何人かいるが、彼女らはこちらからあまり接触しなければ詮索をされる事はないだろう。それに…まぁ、多分に言葉を選んで言えばこの学園都市は少々騒がしい。例えバレたとしても変人として認識されるだけで済む。全くの無問題だ。

 

「―――いけるな」

 

機械の被り物をつけたキヴォトスライフ。言葉にすると少々残念が過ぎるが、自分の性癖を守りながら生活するにはこれ以上の名案はないと思う。

全ては彼女達の物語に干渉しない為、そしてまだ見ぬ先生のハーレムライフを守る為。この日、自分は新たな生活に一歩を踏み出した─────。

 

 

「……先ずはこの砂漠を脱出するとこからか。死なないといいな」

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この時の自分は信じていたのだ。運命に与えられた苦難に苦しむ彼女達を見て、一切の無干渉を決め込めると。なんて甘く、そして愚かな選択だったことだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「─────今、何時だ?」

 

瞬きの様な微睡を過ぎ、徐々に意識が引き上がって行く。身体の節々で固くなった筋肉を呼び起こす様に身体を伸ばすと、手元にあった通信端末の時刻に視線を見やる。

 

「午前3時……まだ夜中じゃん」

 

部屋の中は電灯の光で明るく、そして先ほどまで腕があった場所には皺だらけになった何枚からの書類――どうやら寝落ちしてしまったらしい。

 

「不味ったな…今月の収支報告の期限今日までなのに…」

 

目の前のディスプレイの端に貼り付けられた青の付箋には『収支報告未提出‼︎』とお怒りの書き置きがそのまま残されており、今の気分を憂鬱にしてくる。取り敢えずは書類と格闘しないといけない。いけないのだが―――ふと、視界を天井へと向ける。

 

「………なんとか、なったなぁ」

 

白い天井を見上げながら息を吐く。

あんな夢を見たからか、ふとこんな事を口に出してしまう。

 

アビドス高等学校の敷地に目覚めてから早2年強。いまも自分はこうしてこの世界に存在していて、そして贅沢にも部室を一つ貸し与えられる。5000円しか持っていなかった小僧が随分と偉くなったものである。

 

しわくちゃになってしまった書類の皺を伸ばし、再びペンを走らせながら物思いに耽る。

 

結論から述べるのであれば、自分はミレニアム・サイエンススクールでとある部活の部長を務めている。部長と言っても、部員は自分しかいないので実質部活とも言えないのだが。

 

本来部活と名乗るためには一定の人数が所属している必要がある。しかし、それは今自分がやっている部活動の公共性が高い点と生徒会の雑務を手伝う事を条件に特例を受けている状況だ。生徒会様々である。

…もっとも、そう言った特権を享受しているからこそ、今の様に作成しなければならない資料が山の様にあるのだが。

 

「…お湯沸かすか」

 

忙しなく動かしていた手を止め、立ち上がって給湯室へと向かう。IHの一口コンロと単身用の冷蔵庫、あとは電子ケトルしかない簡素なそこでケトルに水を入れ、電源を入れて少し待つ。

 

「確かもらったインスタント珈琲が………お、あったあった」

 

冷蔵庫横に掛けられたビニール袋を音を立てながら漁ってスティックタイプのインスタント珈琲を取り出すと、大きめサイズの紙コップに封を切って開ける。珈琲特有の香りが鼻腔をくすぐるのを感じながら、ケトルからお湯をコップに注ぎ入れて口に運ぶ。インスタント珈琲にしては美味しいそれを飲みながら席に戻り、まだ湯気の立つそれを傍に置いてから再びペンと紙を持つ。

 

――自身がこのキヴォトスで過ごした2年間、決して平穏無事とは言えなかった。死にかけた回数だって、きっと10回は下らない。

 

アビドスの砂漠に降り立ってミレニアムまでの帰路で2回、ミレニアム学区内で2回、後はゲヘナとトリニティでそれぞれ3回ずつ。不幸中の幸いか、今もこうして五体満足でいられているが、どこか一つ歯車が欠けていたら今この場にはいなかっただろう。

死亡か勾留か…どちらにせよ明るくない未来予想図だった。流石は透き通る世界観である、カビキラーも驚きの速さで人が死ぬ。

 

当初はどことも関わりを持たず、ひっそりと息を潜めてこの世界を楽しもうと考えていた過去の自分が、危険を犯してでもこのキヴォトスで行動した理由は至極明快。メインストーリーに欠かせない人物――即ち、先生と呼ばれる人物が連邦捜査部シャーレに着任していなかったのだ。

 

この世界に来てある程度生活基盤を確立してからその事実を知った時の不安と恐怖は、言葉では言い表せないだろう。何せこの世界の【主人公】が不在だったのだ、世界の結末を知っていながらモブとして生きようと考えている自分にとって、それはもはや死の宣告すら意味していた。

 

このまま先生が着任しなかった場合、確実にこのキヴォトスは崩壊する――そう考えた自分に残された行為は、とにかく行動しかなかった。

 

セミナーに掛け合って部活を作り、ゲヘナやトリニティを初め他学区の生徒達とコツコツと人脈を構築。そこを足掛かりに各学園のトップとまではいかなくともある程度の自由裁量を認められているキャラクターとの接触、および関係性の構築。将来起こりうるであろう事件事故の情報収集。メインストーリーでは描かれなかった細かい組織間のパワーバランスを把握し、どこに働きかければ効果的に組織の動きに介入できるのかの想定と実行を繰り返して影響力を確保し、有事の際にすぐに連絡できる関係性を構築する等々………やることは本当に山積みだった。

 

特に人間関係というものは厄介で、一度構築したらお終いという訳ではない。構築した人間関係というものは常に水を与えなければ枯れてしまう花の様なもので、こまめに連絡を取り合わなければ消えてしまう水物だ。そして、今回自分が相手にしている子達は皆中学生から高校生といった、いわばそういう連絡が一番楽しい時期である――詰まるところどういうことか。簡単だ、連絡の密度が尋常じゃないのだ。

 

「…先生ってやっぱり凄かったんだな」

 

ゲームの先生は100名を超える生徒とモモトーク――転生前の世界でいうところのL○NE――を交わしている。ゲームをプレイしている人間にとってはただの要素でしかなかったそれだが、現実になれば途端に文量という名の牙を剥いてくる。

中には湿度管理(比喩表現)が必要な生徒もいるにも関わらず先生は連邦捜査部という激務をこなしつつ彼女らと円満な人間関係を構築し続けたのだ。もはや畏敬の念すら覚える。

 

「――っと。こんなもんかな」

 

余計なことを考えながらも手は動かしており、ある程度形になった報告書を机で角を揃えて、左端をクリップで仮止めする。後は会計殿にチェックして貰えばOKだろう。

 

チラリと視界の端に映った時計には午前5時23分と表示されている。今からだったら3時間くらいは寝れそうだ。

すっかり冷め切った珈琲を胃の中に流し込み、足元のゴミ箱に丸めて捨てる。通信端末から操作して部屋の電灯を消すと一瞬で暗くなり、椅子の背もたれに体重を掛ける。

 

この2年という短いような、長いような中途半端な時間を自分は本当にがむしゃらに生きた。自分の命が大事だったのもそうだが、それ以上に自分のよく知っている生徒達が死んでいく事に耐えられなかったのだ。――しかし、そんな自分の役割も終わりを迎えた。

 

連邦生徒会長の失踪と、それに伴うサンクトゥムタワーの行政機能停止────そして、その復旧。

先日を持って連邦捜査部シャーレはその主人を迎え入れて活動を開始した。そしてそれは、自分の役割が終了したことを意味していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「――全くもう!クロキのやつ、まだ収支報告を上げてこないなんて!」

 

人気のない廊下を1人、愚痴を溢しながら早足で歩く。長く伸びる廊下に差し込む陽の光は夜が明けたばかりだと言うことを示しているが、そんな事は関係ない。本来上がっていなければならない資料を回収しにいく、ただそれだけだ。

 

ミレニアム本校舎の中心にあるセミナーの部室。そこから15分ほど廊下とエスカレーターを利用して移動した場所に下手人の部室がある。前まではただの倉庫として利用されていた部屋を改装し、今では立派な部室となっている。

扉の横に掛けられている木札には『在室』と赤文字で吊るされていることから中にいる事は間違いない。

 

横開きの自動ドアに手書きの文字で【都市整備部(仮部室)】と紙で張られた書かれたドアを3度叩く。

 

 

「…………」

 

 

…返事がない。

 

 

もう一度3度、今度は少し強めに叩く。

 

 

「…………」

 

 

……返事がない。

 

 

最後通告として、3度扉を叩く。

 

 

「…………ッ!」

 

 

懐からカードキー――セミナーで管理している部屋の鍵を開けられるマスターキー――をカードリーダーに通す。

赤くロックされていた扉が緑色に点滅し、部室の扉が開かれる。

 

 

「クロキ!収支報告書は完成………あら?」

 

 

シャッターが締め切られている暗い部屋。机を挟んで4人が座れる応接用のソファに青のバインダーがぎっしりと詰められた金属製の棚、そして正面にデュアルモニター越しに顔を伏せているロボット――都市整備部部長の姿が見えた。

入り口付近にある電灯のスイッチを入れて灯りをつけると、部屋の主人のそばに近づく。

 

「……寝ているの?」

 

普段は緑色に光っている目が暗くなっている。意識を落としているのか、それとも何かの不具合なのか。原因は不明だが、とりあえず肩をゆすることにする。

 

「ちょっとクロキ、起きてる?ねえってば……」

 

軽くゆすっただけでは起きる様子がない。もう一度声をかけようとした時、視界の端に資料の束が写る。

左端をクリップで留めているそれの表紙には『収支報告書』とあり、状況から見ても徹夜で仕上げたことが伺えた。全く、こうなる前に事前に相談してくれたら手伝いくらいするのに…。

 

冷たい鉄の体から手を離して資料を手に取り、そのまま応接用のソファに向かって腰を落とす。流石に寝ている中起こすのは悪いし、今のうちに軽くチェックしておこうとクリップを外して中身を検めようとした矢先、機械の駆動音が静かな部室の中に響く。

 

「………うん?もう朝か…?」

 

何の光も映していなかった瞳と思しき部分に緑色の光が灯ると、微かなモーター音と共に機械の躰が机から起き上がる。まだ完全に覚醒していないのか、寝ぼけた人間の様にあたりを見回す――あ、目が合った。

 

「………は」

「は?」

 

一言だけ発する――と、座っていた椅子から飛び起きた。

 

「早瀬会計⁉︎な、なんでこの部室に⁉︎もしかして抜き打ち監査⁉︎」

「……違うわよ、これ、収支報告書を取りにきたの」

 

まるで鬼を見たような驚き様に苛立ちを覚えるが、手に持っていた書類を掲げる様に見せる。すると安心した様に胸を撫で下ろすと、座っている私の近くまでやってくる。

 

「そ、そっか…。また説教が始まるのかとばかり…」

「しないわよ。貴方が悪いことをしなければね」

「そりゃそうか…。まぁこう見えてもうちの部活は公明正大をモットーにしてるから大丈夫か」

「部活だから当たり前でしょ。逆に不正が横行してた方が問題よ」

 

どこか軽そうな雰囲気を出す彼――鏑木クロキに溜息混じりのツッコミを入れる。

 

「それより、抜き打ち監査だと何か問題なのかしらクロキ部長?まさか、また個人使用の経費を入れてないわよね?」

「い、入れてないよ?経費関係は収支報告書に記載されてるから、そこで確認すればいい」

「そ、なら今から中身を確認するから。すこし時間もらうわよ」

 

報告書の中をパラパラと眺めていく――うん、相変わらず几帳面というか資料は非常に見やすい。数字のカンマの表記ズレはないし、文章も明快でわかりやすい。これならチェックにそこまで時間はかからないだろう。

 

「今月の売上の台帳ってある?」

「売上台帳ならいつもの通り、横の棚のバインダーに挟んである。日付順になってるから、並べ替えないでもらえると助かる」

「わかってるわよ。経費をまとめてあるファイルはどこ?」

「それなら机の中だ。この後すぐに出すよ」

「お願い。あ、後在庫表は?確か今回の収支報告って四半期でしょ?」

「……失念してた。どうしてもないと不味い?」

「できればあったほうがいいかも。今すぐ作れない?」

「棚卸しに使ったリストはあるんだけど、それを在庫表に起こすのは1日じゃ無理だな…」

「じゃあそのリストだけでいいわ。出力してもらえる?」

「わかった。他には何か必要?」

「うーん……後は見ながら確認するわ。何点か質問するから、終わるまで此処に居てよ?」

「わかってるって」

 

 

ドンドンと積み上がっていく会計資料と報告書を突合していく。作業自体は非常に慣れたもので、流れ作業の様に処理していく。

ある程度作業を進めていくと、珈琲の香りが鼻腔を擽る。視線を上げるとマグカップを二つ持ったクロキが立っていて、一つを私の前に置くともう一つを口元に近づける。

 

「ありがと」

「どういたしまして。まぁ自分のついでだよ。インスタントで申し訳ないけど」

「別にインスタントでも美味しい………うん?」

 

ぱらぱらと捲っていた資料――売上の基となる請求書綴の資料のほんの1ページ。その売上先の会社に目が止まった。

 

「ねぇ、この『ミレニアム集金代行』って所の売上なんだけど。これはどこの工事をやったの?」

「…あー、確か内装工事だった様な気がするんだけど」

「内装工事でこんなに高額になるわけないじゃない。ちょっと、これの契約書どこにある?」

「え、えーと……どこだったっけ…?」

 

先程まで明朗だった口調に急に影が差す―明らかに怪しい。

 

「もういいわ、こっちで探す。契約書の綴りって確か壁面の棚にあったわよね?」

「あ、いやそれは………」

「あんたは動かないの!」

「は、はい…」

 

立ち上がって着いてこようとするクロキに一喝し、1人で壁際に向かう。特に探すのに困ることなく多くの契約書が綴られた分厚いバインダーをそこから取り出すと再びソファに戻りそれを開く。

几帳面なクロキのことだ、契約書も50音順に並んでおり今回の会社も探すのに手間はかからない――にも関わらず、そこに『ミレニアム集金代行』の名前はなかった。

 

「……もしかして」

 

ある種の予感の様なものを感じ、ミ行から戻ってト行の欄を確認する――あった。

 

 

「ちょっとクロキ、これはどういう事かしら?」

「い、いや。ええっとそれは………」

 

 

ト行――トリニティ総合学園、私達ミレニアム・サイエンススクールと比肩するマンモス校。そこの契約書に記載された契約金と売上の金額が一致する。契約内容はシスターフッド学生寮の建替工事――なるほど、確かにそれならこれだけ高額になるのも頷ける。しかし、問題は金額の妥当性じゃない。

 

 

「私……というより、私達セミナーがこの前ちゃんと通告したわよね?外部の学校、特にトリニティ総合学園やゲヘナから仕事を請け負う場合は必ず私たちを通す様にって」

「………はい、言われました」

「そうよね。それなのに私はこの工事についてなにも聞いてないわ。あぁ、もしかしてノアに伝えたの?」

「……つ、伝えてません」

「クロキ」

「は、はい!」

「正座」

「…ち、違うんです早瀬会計。これには深い事情が…」

「正座」

「…はぃ」

 

ソファから立ち上がり、床に正座する彼を見下ろす。――そして、感情のタガを外した。

 

「もう!何度言ったらわかるの!勝手に他学区の仕事を受けちゃダメだって!」

「だ、だってとても困っているって言うから…」

「いやもだってもないの!クロキ、今の貴方がどんな地位にいるかわかってるの⁉︎」

「ち、地位って大袈裟な…俺はただの一部活の部長で……」

「ただの一部活の部長⁉︎そこの認識が甘いのよ!貴方は私達ミレニアムが所有する研究施設及び公共施設の整備と改修を任されている、私達セミナーの外部組織の長でもあるのよ!」

 

言い訳をしようとしたクロキに上から被せる様に言い放つ。いい機会だ、これを機会に彼に立場というものをちゃんと理解してもらわなければならない。

 

「ちょっと質問するけど、都市整備部の手が入ったミレニアムの施設が今どれくらいあると思う?」

「……10%くらい?」

「35%」

「………えっ」

「正しくは35.23%。内12%が研究施設の改修、15%がミレニアム防衛設備よ」

「つ、つまり……」

「貴方が別の学校に情報を流すだけで、私達ミレニアムの防衛設備の15%が丸裸にされるわ。わかる?15%よ。貴方1人が情報をリークするだけで、1割強の防衛設備が無為になるの」

 

ようやくことの重大さを理解したのか、開きかけた口が再び閉じる。

 

「わかった?今貴方にミレニアムから居なくなられたらすごく困るの」

「けど、俺は寝返るなんてつもりは毛頭――」

「は?私だって貴方が私たちを裏切るなんてかけらも思ってないけど?あまりみくびらないでもらえる?」

「ヒェッ…はいぃ…」

 

あまりにふざけたことをいう彼にドスの効いた口調で威圧する。

クロキが私たちを裏切るなんて考えたこともない。しかし、世の中はそう単純じゃない。しゃがんでクロキの緑色の視線を合わせ、再び口を開く。

 

「けどね?世の中には貴方の厚意を利用してそのまま学区内に留めようとする輩がいるかも知れない。契約書に無茶な要件を付けて貴方を拘束する奴もいるかもしれない。そういう不届な輩にすぐ対処するためには、貴方の居場所をなるべく把握しないといけないのよ」

 

――鏑木クロキ。連邦生徒会にすら一目置かれている彼を引き入れようとする輩なんてごまんといる。けど、みすみす手放すなんて冗談じゃない。最初に彼を見出したのは私達ミレニアムなんだもの、何があっても渡すものか。

 

「貴方が今の部活を立ち上げた理由も知っているから、他学区での部活動をすることには反対しない。まぁ、推奨もしないけど…。だから、ちゃんと相談してよ。私達、同じ学校の仲間じゃない」

「――仲間、か。うん、そうだね」

 

「確かに、これは俺が全面的に悪い」と困った様に笑う。

 

「ごめんね早瀬さん。同じことで何度も怒らせちゃって」

「…まぁ、わかってくれたならいいけど」

 

どこか人間臭いその笑顔に思わず視線を逸らしてしまう。…まぁ、わかってくれたならいい。これだけ言ってもわからない様なら無理やりGPS装置をつけるまでのことだ。

 

「さ、仕事に戻りましょう。立てる?」

「……ごめん、痺れたかも。下半身のパーツの感覚がない」

 

なんとか立ち上がるが姿勢制御が安定しないのか、ふらつく彼の肩を支える。

 

「全く、ほんとしょうがないわね……。ほら、ちゃんと掴まって」

「本当面目ない………」

「いいわよ。その……仲間なんだし」

 

少し悩んで「仲間」という単語を使った。私とクロキの関係性を表すのにこれ以上はないであろうその単語だが――なぜか、少しだけ胸が痛くなった様な気がした。

 

────コンコンコンッ。

 

「失礼しますよ〜。今日ユウカちゃんがこちらに────」

 

3回のノックの後、返事も待たずに入ってきた白の長い髪をたなびかせた生徒――セミナー書記である生塩ノア――と視線が合ってしまった。

足が痺れて肩を貸している自分とクロキ。その距離は事情を知らないものが見たら近すぎるのはあまりに明確で────。

 

 

「あ、お取り込み中みたいなので、また時間を改めて来ますね。どうぞごゆっくり〜」

「ちょ、違うのノア!これには事情が────‼︎」

「え、今離されると姿勢制御が――!」

「あっ」

 

────その日、都市整備部の応接机が半分に割れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――成程、そういう事情があったんですね」

 

 

ガムテープでぐるぐるに補強した机――先程倒れたクロキさんによって割られたもの――を挟んで2人と相対する。

 

 

「そ、そうよ。如何わしいことなんて何もしてないんだから」

「右に同じく…いや、ほんと不甲斐ない」

 

どこか顔を赤くしているユウカちゃんとその横で項垂れているクロキさん。ユウカちゃんに怒られた後に机を割ってしまったことが余程堪えたのでしょう、声の張り方に元気がありません。

 

「クロキさん。トリニティの件は後日、ゆーっくりお話ししましょうね?」

「…はい」

 

萎びた様子を見た感じ、随分とユウカちゃんに絞られた後の様だ。今から尋問してもしょうがないし――それなら後日、ちゃんと回復した後にやったほうが良い。

 

「それで、報告書の方はもう出来上がったんですか?」

「えぇ。後はもう少しチェックすればそれで大丈夫だと思うわ」

「そうですか。それじゃあそれが終わるまで待ってますね。終わった後お話ししたいことがありますから」

「わかったわ。じゃあ手早く済ませちゃうから。さ、やるわよクロキ」

「了解。さっさと終わらせよう」

 

 

再び資料を広げ始めた2人を見てソファから立ち上り、「少し給湯室を借りますね」と言ってから給湯室へと向かう。

 

「………あら?」

 

違和感。そう、最初にそこに入って感じたのは些細な違和感だった。どこかボタンを掛け違えている様な、喉の奥に溜まっている様な不快感。

その違和感の正体を探すために小さな給湯室の中を見回す――一見不審なものは見当たらない。電気ケトルに小さな冷蔵庫。小ぶりな食器棚に入っているマグカップやお皿、後は高価そうなティーカップにポット………?

 

「すみません、クロキさん。ここにあるティーカップってクロキさんが買った物ですか?」

 

給湯室から顔を出して確認するが「あれ?そんなのあったっけ?」とまるで今知ったかの様に話す。ここにある備品は私とユウカちゃんで補充した物もあるが、その時にティーカップを買った覚えはない。そしてクロキさんのあの態度は嘘をついている様には見えない。

 

「…?」

 

普段クロキさんが飲んでいるインスタントコーヒーが入っているビニール袋、その中に似つかわしくない物が目に入る。洒落た個包装の紅茶の茶葉だ、しかもインスタントではなく本格的な物………。

 

「────ふーん」

 

────クロキ、私たちに黙ってトリニティから仕事を引き受けていたのよ‼︎

 

ここで、先程のユウカちゃんからの言葉が脳裏に再生される。家主すら覚えのないティーセットに紅茶の茶葉――この茶葉のブランドについてもとある人物が好んで飲んでいる物と一致する。

 

しかし、そうなると余計にわからない。ここは私達セミナーも利用する部屋ということはおそらく下手人も知っている筈。にも関わらずこんなあからさまな置き土産を残す意味がわからない。

戸棚を開き、中に入っているティーカップを手に取る。白磁の陶器に洗練された金細工は値段の高さを物語っている。

 

「────」

 

同じようにポットの方も手に取ると、陶器本体の他に少し重さを感じる。ティーカップと同じ意匠が施されたそれを手に取り、蓋をとって中を確認すると――。

 

「あぁ、そういうことですか」

 

────そこには、洗練された美しさを持つ一つの羽が収められていた。

 

つまるところこれの下手人はもう私達に隠す必要はないと、敢えて残したのだということだ。良い性格をしているにも程がある。

 

「…クロキさーん。少しお時間いいですか?」

 

今度は給湯室から顔を出さず、声だけで彼を呼び寄せる。数瞬後、気配がソファを立ち上がってこちらに来ることを感じる────そして。

 

 

「もしかして生塩書記の好きなインスタント切らしてた?それだったら棚のどこかに────うっ⁉︎」

 

給湯室に入ってきた彼を多少強引に引き寄せ、音を立てない様に壁に押し付ける。大きい声を出そうとした口に指を当てて「しー」と耳元で囁き、私の体と壁で彼を挟みこむ。もうこれで逃げられない。

 

「な、なにを――」

「クロキさん、私たちにまだ何か隠し事をしてますよね?」

 

反論を許さないように、敢えて被せる様に話す。

 

「か、隠し事なんて。それならさっき早瀬会計に話した――」

「そう、先程のトリニティでのお仕事の件です。その件について、ユウカちゃんは一つ大事なことを聞き忘れているようです」

「大事な…こと?」

「そうです。それはつまり、その仕事の話をどこで、誰から受けたのか。ということです」

「――ッ⁉︎」

 

本来なら無表情のはずの機械の顔に明らかに動揺が走った様に感じる。

 

「クロキさん貴方、この部屋にトリニティの生徒を招きましたね?」

「…………」

 

沈黙。しかしそれは殆ど自白している様なものだ。

 

「なんなら人物も当ててあげましょうか?おそらく間違ってないと思いますが」

「…いや、やめておくよ。探偵小説の犯人の様に責められるのはキツい」

「そうですか、それは残念──じゃあクロキさんの口から答えを教えてもらってもいいですか?」

 

試す様な口調。口元にあてていた指を遊ばせる様に頬を撫でると、観念したかの様に口を開いた。

 

「――トリニティ総合学園の生徒会、ティーパーティの桐藤ナギサさんだよ」

「…やっぱりそうでしたか」

 

確信していた事実とはいえ、直接言われるとなかなか来る物がある。つまりクロキさんは私達ミレニアムの生徒会であるセミナーに黙って、三大学園の一つであるトリニティの代表と会談していたのだから。ある種の背信行為と言われても文句は言えないだろう。

 

「一応自己弁護の機会は与えておきたいですし、私達に報告しなかった理由をお教え頂けますか?」

「……色々事情はあったけど、一番はトリニティとミレニアムの関係悪化を避けたかったというのが大きいかな。特に今トリニティと事を構えるのは避けたかったし」

 

澱みなく出てくる言葉から、それが本心なのだということがわかる。彼は腹芸が得意な方ではないし、下手な嘘をつくくらいなら正直に話す性格だ。

 

「…まぁ確かに、今トリニティはエデン条約に向けてピリピリしてますからそこはわかります。けど、それならどうしてお仕事を受けたんですか?不安定な情勢とわかっているのに、敢えて火中の栗を拾いに行くこともないと思いますけど」

 

我ながら至極真っ当な理論――けれど、彼は表情の変わらない顔で言い放つ。

 

「組織の代表が態々脚を運んで助けてくださいって頭を下げにきたんだ。応えるのが職人の筋ってものさ」

 

政治的配慮などかけらもない発言。そしてある種の尋問の中で行われているとは思えないほどはっきりとした口調────やはり、彼は変わらない。

 

 

【キヴォトスを世界で一番住みやすい都市――楽園へと作り変える。それが自分の夢です】

 

あの時、セミナーの会議室で堂々と言い放った夢の様な物語。それを今でも目指しているのだ。

 

「――わかりました。幸いまだこの事はユウカちゃんにも気が付かれてない様ですし、私の所で止めておきます」

「…良いの?」

「本当はダメですよ?でも、今回だけは特別に許してあげます」

 

安堵したのか、深い息を吐く。――もっとも、タダで許すなんて一言も言ってないのだが。

 

「あ、けどそれは条件付きですよ?」

「じょ、条件付き?」

「もちろん。こんな大きな秘密を私と共有するんですから、それ相応の対価を頂かないと」

「……ま、それもそうか。わかった、自分にできる事なら」

「ふふっ、ありがとうございます」

 

こういう時のクロキさんは非常に物分かりが良くて助かります。――もっともだからこそいろんな人にその善意をつけ込まれてしまうのですが。

 

「今度、ミレニアムにできる複合施設のオープンセレモニーがあるのは知ってますよね?」

「それはもちろん、都市整備部が音頭を取った案件だし。…え、もしかして施設の権利が欲しいの?」

「違います。その時の記念パーティに、私達セミナーから誰か出席する様求められているんです」

 

そこまでいうと妙に納得した様に頷く。

 

「成程、つまりその時代理として出席して欲しいってこと?」

「半分不正解です。正解は、私と一緒にパーティに出席して欲しいっていうことです」

「……え、それだけで良いの?」

「はい。それだけでいいんです」

 

 

よほどの無理難題を押し付けられると思ったらしい――もっとも、本題はここからなのだが。

 

「あぁ、ただしその時の条件が一つ」

「条件?」

「はい。その時は、この硬い外装を脱いだ状態でお願いしますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────すみません、それだけは勘弁してもらえないでしょうか?」

「ダメです♪」

 

彼の必死の懇願を私は笑って切り捨てる。

 

 

「…どうしても?多分生身の俺より機械の方がカッコいいと思うんだけど…」

「この条件が飲めないのなら今すぐユウカちゃんに先程の件を話します。なんならクロキさんの中にヒトの体が入っていることも話します」

「お、横暴だ…!」

「さぁどうします?そろそろユウカちゃんに怪しまれますよ、そうなったら時間切れです」

「…うっ…ぐぅ……ぅぅ」

 

まるで塩酸に焼かれているかのような苦悶の声────しかし、最後は項垂れた様に口を開いた。

 

「……わかり、ました」

「はい、確かに言質を取りました。ご協力ありがとうございます♪」

 

忘れない様に、逃げられない様に、即座にメモ帳に予定を書き入れる。

 

「9時53分。クロキさんがパーティへの参加を確約してくれた、っと」

「…ほんと、生塩書記はいい性格してるよ…」

「ふふっ。ティーパーティのナギサさんには負けますよ」

「そうかなぁ…」

 

彼と密着していた身体を離すと、疲れた様に首を回す。そのまま席に戻ろうとする彼を「クロキさん」と呼び止める。

 

「まだなにかあった?」

「いえ、そう言えばこれを渡しておこうと思いまして」

「渡す物?」

「はい、手を出して下さい」

「?」

 

わけもわからず手を出した彼の掌の上に、ポケットから取り出したあるものをおく。

 

「これは…飴玉?なんだか少し溶けてるようだけど」

「はい、私の体温で溶けてしまった様ですね」

「まぁいいか。ありが――」

 

 

彼と身体をあわせ、耳元で囁く様に言い放つ。

 

 

「私の体温が消えない内に、早めに召し上がって下さいね?」

 

 

硬直し、緑の視線が明滅する。ほんの数秒後、明滅から復帰した彼は一言、噛み締める様に呟く。

 

「ま、魔性の女………」

 

そんな彼の言葉に「そうですよ」といたずらっ子の様に微笑む。

 

「女の子はみんな魔性なんですから、騙されないでくださいね」

 

給湯室のほんの一幕。私はパーティの同行者を手に入れ、クロキさんは秘密を守ることができた。お互いWin-Winの関係を築いた所で、本日はここまでにしておこう。この生活がいつまでも続くことを願って、私は給湯室を後にしたのだった────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







鏑木 クロキ
異世界転生者でありながらロボットのスーツを常に着用している精神異常者である。外見はカイザー理事の顔を細くした感じ。ミレニアムの都市整備部の部長を務めながら他学区に部活動と称して遠征を行なっている。原作に色々と介入したが、先生が着任したことでそれらを全てなかったことにしようとしている。しかしながら某有名ゲームタイトルでも語られた通り、一度生まれてしまったものはそう簡単には死なないのでもう逃げられない。最初は徹底的にロボットの振りをしてやろうと頑張っていたが、何人かの生徒にバレてからは公然の秘密となっている。

早瀬ユウカ
ミレニアムの生徒会であるセミナーの会計担当。もっとも本来の生徒会長がしょっちゅう行方不明になる為実質の行政執行者。クロキとは1年半程度の付き合いだが、いまだに苗字呼びされていることを不服としている。都市整備部に自分専用のマグカップを置いてある。なお、クロキの正体についておおよそ検討はついているが、本人が喋りたがらないので敢えて聞いていない。

生塩ノア
同生徒会セミナーの書記担当。よく行方不明になる生徒会長の他にもう1人メンバーはいるのだがサボり魔のため実質ユウカと2人でセミナーを運営している。クロキ曰くキヴォトスの中で五本の指に入る魔性の女。なお、クロキの正体を知っていて本人にもそれを伝えている。

都市整備部
各学校の自治区はもちろん、連邦生徒会にも認知されている部活。ミレニアムの某生徒曰く「現実世界でシムシティをする人間は後にも先にもクロキだけ」との事。

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