スパイクタウンにて。ジムリーダー・マリィと挑戦者・アマネが握手をしていた。
「たまげた…あんた強かね。ユウリが推薦するのも分かるばい」
「えへへ…僕のポケモンたちは強いですから!」
「自信持ちんしゃい、あんたのトレーナーとしての腕も大したもんやけん」
「ありがとうございます!」
アマネはジムチャレンジで7つ目のジム・あくジムに勝利したところだった。マリィに見送られてスパイクタウンを後にしようとすると、ユウリがやってきた。
「アマネくん!マリィのジムに挑戦するって聞いたから応援しに来たんだけど…」
「遅かったね、もうアマネは勝ったよ」
「はい、ばっちりジムバッジもらいました!」
「ほんと!?良かったけど、もっと早く来れば観戦できたってことかあ…」
「ユウリはアマネのこと大好きやもんね」
「そうなんですか?嬉しいです」
「えっ!?あ、うん、応援してるからね!!」
ユウリのアマネへの好意は誰から見ても明らかなものだった。当事者であるアマネを除けば。
「あっ、それでね!実は最近ナックルシティにラーメンのお店ができたから勝利記念にどうかなって!」
「ラーメン!いいですね、美味しいラーメン楽しみです!」
「だったらあたしも行ってよか?その店気になっとったんよ」
「もちろん!マリィも勝負お疲れ様ってことで!」
こうしてユウリに連れられ、アマネたちはナックルシティのラーメン店に行くことにした。中に入ると熱気がすごく、客たちは一心にラーメンに向き合っていた。
「なに食べよっか!みそラーメンが美味しいらしいよ!」
「うーん、悩ましい…」
「あたしは濃い味が好きやけん、みそで。ユウリは?」
「私は塩かなー。煮卵つけちゃお!」
「じゃあ僕はしょうゆで。」
3人が注文を済ませると、少ししてどんぶりに綺麗に盛られたラーメンがやってきた。ユウリたちはラーメンを啜るが、アマネはテーブルの上にある七味を見ていた。
「七味…かけちゃおうかな」
「いいんじゃない?しょうゆは七味が引き立つってレビューにも書いとるし」
「えへへ…じゃあ」
そう言ってアマネが七味をかけるのを見守っていた2人だが、どんどん赤くなるしょうゆラーメンに、顔を青くしていく。
「アマネくん…?かけすぎじゃない?」
「えっ、そうですかね?」
「ラーメンが見えんよ」
「まあでも美味しければいいですから!いただきます!」
真っ赤になったしょうゆラーメンをアマネは啜る。痺れる辛さにアマネは満面の笑みを見せる。この辛さこそ、アマネが求めているもの。もっともアマネはもっと理不尽な辛さが好みなのだが。
「あんた美味しそうに食べるねえ。そげん辛いもの好いとーと?」
「はい!辛いもの、大好きです!辛さで素材の美味しさが際立っていいんですよ!」
「へー。確かにあたしのモルペコも辛いものばよく食べるばい。気が合うかもしれんね」
「あはは、じゃあ今度一緒にキャンプしましょうよ。とびきり辛いカレー作りますから」
「いいね、あたしも辛いもの興味ある」
「な、なんか2人とも仲良くなったね…?」
「まあね。バトルでぶつかり合ったら友達ばい」
「へ、へぇー、そっかあ…」
マリィとアマネの距離が近づいたことにユウリは顔を青くしたが、2人の友情が純粋なものであると理解したために何も言えなかった。
「ふう…美味しかった」
「あんたもよく食べたねえ。あんな真っ赤なラーメン」
「美味しかったですから!」
「あ、そうだアマネくん。このままナックルジム挑戦する?それなら送っていくけど」
「うーん…今日は休みます。キバナさんのところはダブルバトルですから、その辺の戦術も練らないと」
「そっか!じゃあお疲れ様!」
「じゃあね。あんたのこと応援するけん」
アマネをホテルまで送り、ユウリとマリィは2人になった。
「ユウリ…あんたさ、アマネに告白せんの?」
「へっ!?なに、急に」
「いや…だってアマネ、全然ユウリの気持ち伝わってる感じせんし…このままだと知らんうちにアマネに彼女が…」
「やめてやめて!!そういうの考えないようにしてたんだから!!」
「だったら早く気持ちば伝えんしゃい。じゃないと…」
「じゃないと?」
「マリィが…奪うかもしれんよ?」
「………」
「ええええぇぇぇーーーーー!??!」
ナックルシティ中に響く、ばくおんぱだったという。
マリィ
見かけによらず容赦ない戦法を使うアマネのことを気に入った。バトルでぶつかり合ってアマネのポケモン愛も知った。最後の宣言は冗談半分本気半分。