狸にしか見えない動物をひろった小説家の女性が、それを犬と思って飼いつづける日常アニメ。
7月から”NUMAnimation”枠で1クール放送。コミックビームや青騎士のような空気感だが、原作はヤングマガジン連載。
あまり動かないがOPEDの良さはトップクラス。同期では、モチーフにした歌のユニットを主題歌に起用した『よふかしのた』も素晴らしいが、さすがに制作経緯から特別と考えるべきだろう。
第5話、小説家の主人公が好きすぎて原作を依頼……というか実質的に内容おまかせな短編小説制作依頼とそれのコミカライズ権獲得の要望……する漫画家に百合っぽさを感じていたら、その小説執筆に悩んで公園に出てきたときに出会った女学生の「視力ゼロ」っぷりがギャグ漫画としてツボに入ってしまった。登場するほとんどの人間が「君」を狸と指摘しない*1なかで、落ちた林檎を公園の水道で洗う姿でアライグマあつかいし、その誤解に主人公も堂々と乗っかるとは……このネタが好きなのは『ドラえもん』で育っちゃったからかな、やっぱり。
そしてBパートであらわれた別の少女が「君」が狸とあっさり指摘したかと思えば、友人として出てきた女学生がアライグマと説明したのがとおってしまい、そして雑種犬だという主人公の説明が正しい情報ということになった。なんでだ。
Cパートのいきなりキャラクターデザインが違う幼女とのやりとりも妙にシュールで、本当に第5話はナンセンスギャグアニメとしては頭一つ抜けていると思う。
しかし「視力ゼロ」という漫画由来のネットミームを思い浮かべながら視聴していたら、最終回Cパートに挿入されたエピソードゼロで本当の視覚障碍者が登場したことにはまいった。
他人の好意に過剰な感謝をしない堂々としたふるまいが、結果として主人公と犬をひきあわせる。本当に大事なものは目に見えない。見えない人が本当に大事なことを知っている。
*1:ここまでの例外は主人公の友人が狸に似ているとさらっと言った場面くらい