「ルセちゃん…?その、見た目は……」
「あはは、びっくりした?わたしね、この子とお友達になったの!」
ルセちゃんは、けらけらと笑う。それと一緒に黒い触手も動いて、気持ち悪い。
「でね、この力でアマネを洗脳することも出来るんだけどさ、ほら、どうせならアマネの意思でわたしのものになってほしいじゃない?」
「…そうだね、ルセちゃんはそう言う」
「うふふ。だから…バトルしよっ!!」
どこからか、モンスターボールが飛び出る。ボールからはルセちゃんのポケモンたち。でも何か、オーラのようなものを纏っているように見える。
「すごいでしょ、ウツロイドのパワー」
「……そっか」
それならと。僕もボールを取り出して、みんなを繰り出す。
「へー、アマネの手持ちってそんな感じなんだあ」
「それで終わり?」
「うん、余計なことはいいよね」
「じゃあ……勝負だ!!」
僕はカイオーガ様に目配せする。その瞬間、カイオーガ様が「こんげんのはどう」で攻撃する。広範囲に水が放たれ、ルセちゃんのワルビアルは動けなくなった。
「うわっ、危ないなぁ。ってワルビアル?あーあ、使えない子」
「よそ見してる場合!?」
水の中を進んで、ミロカロスが向かってくる。けれど。
「アマリ、10まんボルト!!」
「ピィー、カ!!」
広範囲に電撃を放ち、ルセちゃんのポケモンを感電させていく。みずタイプのミロカロスは、倒れてしまった。
「あれ?結構堅い子なんだけどなー。まあいいや、ほら頑張れー」
「………」
「カジャッ!!」
僕めがけて、アマージョが蹴りを放ってくる。ジョロキアが防いでくれたけど…このアマージョ、強いぞ。
「フラン!マジカルフレイム!」
「アマージョ〜」
マジカルフレイムを、なんとアマージョは蹴りで打ち消した。やっぱり、あれは異常な強さだ。
「うちのアマージョはねー、強いよ」
『そうか、ならこれはどうだ!!』
カイオーガ様が、「ふぶき」を放つ。空間に鋭い冷気が満ちる。アマージョの足元が凍る。
「フラン、今度こそマジカルフレイム!」
「ほみーっ!!」
「ジャッ!!」
は……?今、何をした?マジカルフレイムを、手で払った…?そんなことが、出来るのか?いや、でも今確かに…
「驚いてるねー。ほら、アマージョの特性ってじょおうのいげんじゃん。」
「でも、それは先制技を防ぐ効果じゃ…」
「うん、そうだよ。でもうちのアマージョは気高いからさ。アマージョが格下って判断した相手からの攻撃は受け付けないの」
「な……」
なんだそれ。チートじゃないか。でもそれなら!
「カイオーガ様!!」
『分かっている!!』
カイオーガ様が、れいとうビームを放つ。アマージョは素早く避けるけど、今度はこんげんのはどうの要領で広範囲にれいとうビームを放った。流石にそれは避けきれず、アマージョは倒れた。
「あーあ…結構自信あったんだけど。まあいいや、他の子は…」
ルセちゃんがちらりと見やる。そこでは。ポリゴン2やウインディが倒れていた。ルセちゃんのジバコイルも、がんじょうを発動できずに倒れている。僕たちのポケモンを舐めないで欲しい。
「へー、やるねえ。わたしのポケモン倒れちゃったよ」
「…これで終わりでしょ、帰してよ」
「何言ってるの?まだポケモンはここにいるでしょ?」
「え——」
その瞬間。まるで星空のように、ルセちゃんの方が輝いた。すると今度は流れ星のように激しい音が鳴って、振り向くと。
「みんな……?」
みんな、倒れてしまっている。カイオーガ様ですら、傷ついて動くのが難しそうだ。
「なに、を…」
「何って、パワージェムだよ。ウツロイドみんなで撃ったんだ」
あの光は、パワージェムの光だったんだ。無数のパワージェムを喰らったから、僕のポケモンたちは傷ついてしまったんだ。
「言っとくけど、まだ撃てるからね。まだそこのポケモンは動けるみたいだけど…」
ルセちゃんがカイオーガ様をじろりと見る。その瞬間、カイオーガ様を無数のウツロイドが取り囲む。そして空中に輝く岩…パワージェムを浮かべている。これは脅迫だ。
「ねぇアマネ?もうアマネのポケモン動けないね…?」
「………」
ぺろり、と舌なめずり。ルセちゃんにとって今の僕は、まな板の上のコイキングなのだろう。
「ね、アマネ。もう無茶しないで……わたしと一緒になろ?」
「………」
僕は、ふらっと立ち上がる。そして、ルセちゃんに向かって走り出す。
「なあに、まだ何か…」
そして、ルセちゃんに近づいて。
……ちゅ
彼女に口づけた。舌も絡ませて。