ツキステ。こと2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージや、そこから続くスケステシリーズ、イブステシリーズ。また2020年から新たに始動するプロステこと2.5次元ダンスライブステージ TSUKIPRO STAGEと、2.5次元に存在するツキノ芸能プロダクションから生まれた舞台化シリーズの勢いはとどまるところを知らない。
シリーズが増えれば増えるほど、タイトルが増えれば増えるほど、初心者にはハードルが高く感じられてしまうもの。
今回は、そのハードルを少しでも下げられるように……と、舞台シリーズを楽しむうえで抑えておきたい、ifの世界の楽しみ方について解説していきたい。原作があり、そのストーリーをもとに舞台化していく一般的な2.5次元作品とはまた違った味わいのある、ツキステ。シリーズへ足を踏み入れる助けになれば幸いである。
キャラクターや関係性というぶれない軸から知っていこう
ツキステ。シリーズに限らず、2.5次元作品に欠かせないのが原作と原作に登場するキャラクターたちである。もちろん本シリーズもキャラクターあってこそ。原作サイドに登場したイラストなどから忠実に再現された衣装やヘアメイクも、タイトルごとの必見ポイントである。
後述するが、世界観が作品ごとに大きく異なっているのは、本シリーズの大きな特徴となっている。そのなかでも、キャラクター同士の関係性の部分は、基本的に原作の設定から変わらない。
たとえばツキステ。の場合。どんな平行世界や異世界にいこうとも、霜月 隼は睦月 始に運命的に心奪われ魅了される。これは原作でも印象的に描かれている2人の関係性であり、それが大きく崩れることはない。
ほかにも、一見すると敵対するような関係に陥っても、最終的には原作での仲良しグループ(ツキステ。では年長・年中・年少組といった年の近いもの同士の仲のいい組み合わせ)に落ち着き、心を通わせ合う関係性になる。
世界観ごとに、本来のキャラクターにプラスアルファの設定が加えられることもある。しかし、原作で描かれている根っこの部分。ここを大切に、貫くべき軸をしっかりと保っていることが、どんな世界観もファンが受け入れて楽しめる要因となっているのだろう。
「世界観ごとに、キャラクターが入り乱れて把握しきれなくなる!」と懸念して、なかなか観劇に踏み込めない人もいるかもしれない。そんな人は、過去公演DVDをチェックするよりも、まず原作での関係性にフォーカスを当ててキャラクターを把握してみるといいだろう。
そうすれば初めて体験する作品がどんな世界観であっても、キャラクターをベースにあまり混乱せずに楽しめるはずだ。
“エア舞台”を知っておくと楽しくなるifの世界
各シリーズとも、原作のドラマCDで描かれたストーリーを軸に展開する原作準拠の物語、公式発表の“エア舞台”設定を膨らませた物語、完全オリジナル設定の物語、と大きく分けて3つのパターンがある。
なかでも多いのが“エア舞台”の設定から生まれた物語だ。
ここで「エア舞台って何?」と、原作シリーズを追っていない人は戸惑ってしまうかもしれない。
エア舞台とは、ツキノ芸能プロダクションに所属するユニットのメンバーが出演する架空の舞台のこと。
近年は毎年新タイトルが発表されており、AGF(アニメイトガールズフェスティバル)ではエア舞台のパンフレットなどが発売されている。
AGFの時期になると、公式Twitterから「#エア舞台」などのハッシュタグで、舞台の設定の話やこぼれ話などがツイートされることも。
初年の「太極伝奇」にはじまり、「ツキノ帝国」「ORIGIN」「キソセカイ」「月花神楽」といったエア舞台がこれまでに誕生している。
このエア舞台の動向を追っておくと、2.5次元ダンスライブステージも一気に興味深くなるはずだ。
なにせ、キービジュアルや基本設定のみの“エア舞台”が、彼らによって“リアル舞台”へと昇華されるのである。
万が一、肉付けされたストーリーが肌にあわなかったとしても、イラストから忠実に再現された衣装やヘアメイクだけでも一見の価値がある。そう思わせてくれる再現度なのだ。
「太極伝奇」以外のエア舞台は、いわゆる後続ユニットも含め複数ユニットが出演しているという設定である。そのため、同じエア舞台をツキステ。やスケステ、イブステと、それぞれのシリーズのなかで舞台化することができる。
たとえば同じ「ツキノ帝国」というエア舞台の設定のなかで、ツキステ。ではSix GravityとProcellarumサイドから見た世界が描かれる。
一方で、スケステも同様に「ツキノ帝国」を題材にしながら、SolidSとQUELLサイドからの景色が描かれ、ひとつの世界観を多角的に楽しむことが可能に。
さらに2020年始動のTSUKIPRO STAGE(プロステ)では、6ユニットのメンバーが出演する「キソセカイ」シリーズが新たにスタートする。これもエア舞台から生まれた世界観のひとつだ。
エア舞台自体は、描き下ろしイラストや公式からツイートされる設定を楽しむもの。予習するにしても、かなり気軽にチェックできる。各舞台シリーズへの入り口としても、おすすめである。
気軽な“すってんころりん”で広がる無限の世界観
上記のツイートにもあるように、ツキノ芸能プロダクション的に起こりがちな“すってんころりん”。それが頻繁に起きているのが、各2.5次元ダンスライブステージである。
原作シリーズにも漂うこの懐の深さ。これが、あらゆる世界観を舞台化するステージシリーズの柔軟性と面白さにつながっているのだろう。
ファンは毎回、「もしもあのキャラが……」といったifの世界を、公式からの提供によって楽しむことができるのだ。
もし少しでもifの世界で広がる多様性に興味がわいたら、この記事も参考に、実際に劇場に足を運んだり、公演DVDを購入してみたり、ツキステ。・スケステ・イブステの世界を楽しんでみてほしい。