やっぱりいました!仲間たち。
前回の「私のファーストペンギン日記」で、エスカレーターの2列乗りを試した日々を報告し、みなさまの体験も募集したところ、たくさんのメッセージをいただきました。
日本各地にファーストペンギンがいただけでなく、好みの「生息地」やさまざまな「生態」があり、多彩な「種」がいるようでした。一方で「ペンギン迷惑!」というお叱りの声もありました。ここでみなさんと共有したいと思います。
(取材:藤目琴実記者 イラスト:ヨシダリュウタ)
(1)買い物ペンギン
まずは、こちら。急ぐ人がいないデパートやショッピングセンターのエスカレーターに出没する買い物ペンギンです。全国各地に生息しているようです。
さらに、特定の時間を好むペンギンもいるようです。
(2)出張ペンギン
エスカレーターの乗り方の習慣は、東京と大阪など地域によって違いますよね。出張した時に「アウェイなら」とちゃっかり現れるペンギンもいました。
(3)ファミリーペンギン
現在、エスカレーターに現れるペンギンの中で最も多く生息していると思われる種です。小さいお子さんと手をつないで乗ると、どうしても2列乗りになりますよね。
ファーストペンギン、子どもが遊び疲れた帰りの夕方、東京駅でやりました。一番下の子は夫に任せ、上2人を両手でつなぎました。運悪く、降りたあとに後ろにいた若い男性ににらまれました。まぁどなられなかっただけマシかなと自分を励ますことに。一歩でも歩いたらダメって強制するものではなく、誰もいなければ歩いちゃうこともあるけど、基本は歩かず乗ろうね、ぐらいのマナーが浸透することを願っています。(30代)
比較的安心と思われるファミリーペンギン。でも、こんなケースもあったそうです。
(4)行列嫌いペンギン
自然界に暮らすペンギンはいつも列になって歩くイメージですが、都市のペンギンの中には行列が嫌いな種がいるようです。特にエスカレーターを歩く人のスペースを空けるために、片側だけに出来るあの行列です。
(5)市松ペンギン
その行列嫌いペンギンの中に、ユニークなアイデアを提案するペンギンもいました。
これ、「市松ペンギン」と名付けさせていただきました。2列乗りをするとき、真横に並ぶのではなく、市松模様のように互い違いに乗ればいいんですね。思い返してみたら、前回、男性に怒られた時は、私も真横に立ってしまっていました。だから余計に不快にさせてしまったのかもしれません。おじさん、今さらだけどごめんなさい。
ファーストペンギンに反対!
続いては「ファーストペンギンには反対だ」という声を紹介します。
反対やお叱りの声もひとつひとつ読ませていただきました。いずれも丁寧に理由を書いてくださっていて、ずっしりと受け止めるとともに、少し落ち込みました。
前回の日記でも告白しましたが、ファーストペンギンになってみたのは、いろんな意見にどう折り合いをつけられるのかを探るためです。飛び込んだのは「対話の海」のつもりです。誰かを悪者にしたり、むやみに対立を引き起こしたりしようと思っている訳では決してありません。
日本では、エスカレーターは大正時代に百貨店で娯楽的な施設として導入されたのが始まりとされ、当時は誰もが止まって乗っていたそうです。ところが、昭和の高度経済成長期に、急ぐ人を優先する習慣が始まりました。
そして現代。超高齢化が進む中、障害者だけでなくお年寄りや子ども連れなど、安全にエスカレーターを利用したい人が増えた上に、施設を管理する企業や専門家が「効率性や安全性を保てるのが2列乗り」と考える中で、時代に合った新たなマナーを作り出せないのだろうか、と思うのです。
お互いに快適な環境をどうしたら作っていけるのか。皆さんのご意見を頂きながら、今少しファーストペンギンの模索を続けていきたいと思います。
あなたの「ファーストペンギン日記」やご意見、引き続きお待ちしています。