「うわ、揺れた!」
その瞬間、あなたなら、どう行動しますか?

日本で暮らす外国の人のなかには、母国で地震を経験したことがなく、災害にどう備えていいかわからないという人も少なくありません。

そんな不安を減らし、命を守るために、何ができるでしょうか?

(津局 田﨑麻友美 ネットワーク報道部 柳澤あゆみ)

あ、地震だ!どうしよう?

去年、首都圏で震度5強の揺れを観測した地震。

その時、ひときわ強い不安と 恐怖を感じた人がいます。
都内の大学に留学している、アメリカ人のリンダさんです。

留学生 ラベル・リンダさん

当時、来日してまだ3か月。
母国では1度も、大きな地震を経験したことがありませんでした。

リンダさん
あんな揺れを経験したことがなかったので、とても怖かったですし、驚きました。
どうやって身の安全を守ったらいいのかと。

まちで聞いても、リンダさんのように、どう対応すればいいかわからず不安だという声が相次ぎました。

スリランカ出身の女性
地震にはびっくりしましたよね。
日本みたいに子どもの頃から、災害について勉強することはないんです。

リベリア出身の男性
災害の時は、日本の人とコミュニケーションを取りたいと感じると思います。
ただ、ことばが通じるかによりますね・・・。

日本にいる外国人は、およそ282万人。
技能実習生や留学生の受け入れも進み、10年でおよそ40パーセント増えました。

災害への大きな不安。
どうすれば減らせるのでしょうか。

コミュニティー生かして

いま、外国人どうしのネットワークを生かそうという取り組みが進んでいます。

三重県などが開いた講習会。

地域で暮らす外国の人たちが参加して、どこで情報を入手したらよいのかや避難のタイミング、地元の桑名市で想定される災害のリスクなどを学びます。
「外国人防災リーダー」として、仲間たちに伝える役割を担うのです。

参加した1人、来日して15年になるベトナム人のニュンさんです。

講習会に参加するゴ ティ ホン ニュンさん

ニュンさん
桑名市で、それほど被害がでるかもしれないことにびっくりしました。

ニュンさんは、ベトナム出身の技能実習生のもとを訪れました。

ハザードマップについて教えるニュンさん

ハザードマップの存在を知らなかったという実習生に、災害が起きた時にどこに逃げればいいのか、ベトナム語でくわしく伝えます。

ベトナム人技能実習生
災害について教えてくれる人がいるおかげで、とても安心できます。

さらに、大きな地震が起きる可能性が常にあることを、ベトナム人の仲間が参加するSNSに発信。

逃げる場所を知っておいてほしいと呼びかけると、すぐに反応がありました。

ニュンさん
詳しい情報を伝えることで、災害が起きて被災したとしても、みんな対応できるのではないかと思います。

「やさしい日本語」でコミュニケーション

さらに、私たちにできることして注目されているのが「やさしい日本語」です。

千葉県で開かれた講座では、災害時にどんなことばを使うと外国の人たちに伝わりやすいのか、具体例を学びました。

「やさしい日本語」の講師を担当 土井佳彦さん

多文化共生マネージャー全国協議会 土井佳彦さん
避難してください!じゃなくて、にげてください!にげてください!というと、多くの人がわかります。
給水車を、水を配る車と置きかえてみたり。
う回するというのを、ちがう道を行くっていうふうに置きかえてみたり。
とにかく、相手の人にわかりやすい日本語を使いましょう、ということです。

「水道」?それとも「水」?

外国の人が避難所に来たという想定で、「やさしい日本語」を使う訓練も行われています。

大阪市で行われたこちらの訓練では、被災者役の外国人から、被害状況を聞き取ってみます。

(通訳担当の日本人)
水道は 止まっていましたか?
(参加したベトナム出身の男性)
水道?

「水道」という単語が伝わりません。

(通訳担当の日本人)
家の、住んでいるところの、水道、お水は、出ますか?
(参加したベトナム出身の男性)
はい、あります

「水道」を「水」と言いかえることで、伝えることができました。

参加したベトナム人男性
かんたんな単語なら大丈夫です。
ゆっくり説明してくれて、すごくわかりやすいです。

通訳として参加した日本人女性
あんまり色々思わないで、不安に感じないで、何とか伝えようという気持ちの方が大事かなと思いました。

「指さし」でも伝わる

もし、「やさしい日本語」でも伝えきれなかった時には、こんな方法もあります。

「絵」を指さすことでコミュニケーションを取ろうという、指さし会話シートです。

東日本大震災をきっかけに考案された

絵をひとつひとつ指さしながら、
『水を(水の絵)
 3時に(時計の絵で3時)
 配ります(~時に配ります、の絵)』
と説明すれば、
コミュニケーションが取れるようになっています

こうしたシートは外国人を支援する団体も作成していて、各地の自治体などで使われ始めています。

「ゆびさし」田村隆宗さん

シートを考案した企業 田村隆宗さん
ひと言でもコミュニケーションが取れている、つながっていると思えることが大事だと思いますし、このシートでコミュニケーションの後押しができればいいなと考えています。

大切なのは、伝えたいという気持ち

コミュニケーションが取り除く、災害への不安。

「伝えよう」という気持ちを、大切に!

  • x
  • facebook
トップに戻る