犯人隠避罪のみちのく記念病院元院長に懲役1年6か月求刑

青森県八戸市の病院で起きた殺人事件を隠蔽しようとした罪に問われている元院長の裁判が開かれ、検察は懲役1年6か月を求刑しました。

八戸市にある「みちのく記念病院」の元院長、石山隆被告(62)は、おととし、病院内で男性患者が別の患者に殺害された際、弟で医師の石山哲被告(60)とともに、警察に遺体を適切に届け出ず、死因を「肺炎」とするうその死亡診断書を遺族に渡して事件を隠蔽しようとしたとして、犯人隠避の罪に問われています。

29日、青森地方裁判所で開かれた裁判では被告人質問が行われ、元院長は事件を隠蔽しようとした理由について聞かれると「苦労を重ねて大きくなってきた病院の評判が悪くなるのを避けたい、病院を守りたいという誤った気持ちが自分の中にあったと思う」と述べました。

続いて論告が行われ、検察は「隠蔽をはかるため、元院長と弟が共謀したことは医師に対する信頼を損なう前代未聞の犯人隠避の事案だ。院長の立場を利用して職員に口止めし、うその死亡診断書の作成を指示しており刑事責任は重い」などと指摘し懲役1年6か月を求刑しました。

一方、弁護側は「主治医である弟の発言をきっかけに病院を守りたいという思いなどから犯行に及んだ。病院全体として人の死に対する感覚や認識が鈍麻していた」などと主張し、執行猶予のついた判決を求めました。

元院長は最終陳述で「私の浅はかさから生じてしまった事件で、地域の皆さまには、信頼の欠如や不安の増大といった医療関係者としてあってはならないことを犯してしまいました。謝っても謝りきれません。自分自身のしたことを心から反省し、真摯に向き合い、そして反省の日々を積み重ねていきたいと思っています。本当に申し訳ございません」などと述べました。

判決は11月20日に言い渡される予定です。

青森のニュース