「東京は20人に1人が外国人」日本の外国人住民の6割が三大都市圏に集中、外国人の大規模受け入れが人口減少に苦しむ地方をさらに疲弊させるジレンマ
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地方の外国人住民がいかに少ないかをもう少し明確にすべく、東京都の外国人住民数72万1223人を「100」として計算してみると、秋田県の5753人というのは「0.8」でしかない。鳥取県も「0.8」、高知県は「0.9」だ。 これらが極端に小さい数字であることは、東京都とこれらの県の住民総数を比較すればさらに鮮明になる。今度は東京都の住民総数1400万2534人を「100」として人口比率を計算してみよう。住民総数が全国で最も少ない53万4003人の鳥取県は「3.8」だ。3番目に少ない66万4863人の高知県は「4.7」、90万7593人の秋田県は「6.5」で、外国人住民同士の比較の数値とは大きな開きがある。人口比率を加味して考えるならば、秋田県の場合には東京都の8分の1規模しか外国人住民がいないということである。 それでも日本全体としては外国人が急増しているので、全都道府県で外国人住民数は前年より増えている。秋田県は531人増、鳥取県496人増、高知県も695人増だ。そもそもの外国人住民の少なさを考えれば、これでも大きな数字ではあるのだが、東京都(7万3807人増)、大阪府(3万1549人増)などとは比べるまでもない。 ちなみに、東京都の場合、日本人を含む住民総数は前年より9万632人増え、一極集中が続いていることが示された。だが、日本人住民の増加数は1万6825人にとどまっており、人口を押し上げた要因の81.4%は外国人住民が増えたことによるものであった。 東京都以外で社会増加が多かったのは、大阪府(3万1444人増)、埼玉県(2万5705人増)、千葉県(2万5639人増)、神奈川県(2万3360人増)、愛知県(1万8128人増)などだ。外国人が大都市圏に流れ込んでいることを示している。
外国人の大規模受け入れは本当に「人口減少対策」につながるのか
外国人の中には、来日前に住みたい場所を決めてくる人も少なくないだろう。他方、いったんは地方に住んでから東京都などの大都市に移り住む人もいる。ただ、来日目的の多くは就労だ。社会増加の多かった都道府県は、いずれも多くの企業が立地する人口集積地である。収入が高くて自分の条件に合った仕事を見つけやすく、暮らすのに便利な大都市を目指す人が多いというのは、外国人も日本人も同じである。 政府は、従来の技能実習制度に代えて2027年度にスタートさせる「育成就労」制度において、一定の条件を満たせば本人の意向で転職できるようにする。都市集中を回避すべく、三大都市圏の主たる都府県への受け入れに制限をかける予定だが、抜け道が完全にふさがれているわけではない。好条件の仕事を求める流れをコントロールすることは難しく、結局のところ外国人の大都市集中は進むこととなりそうだ。 集まるのは大都市だけでない。外国人の居住地を市区部と町村部に分けると、市区部が345万5772人、町村部は22万1691人で市区部が94.0%と圧倒的に多い。地方圏に暮らす外国人も、県庁所在地などそれぞれの地域の都市に集まる傾向にある。 外国人の大規模受け入れを地方の人口減少対策のように期待する声が少なからず見受けられるが、これらの数字を見る限り、そのハードルは高い。 それどころか、いまや地方圏の自治体や政令指定都市の近隣自治体には、外国人住民までが減少に転じているところがある。 地方の人口減少を改善し進行を遅らせる手立てというのは、安定した雇用が提供されることと、暮らすのに不便すぎないという2点である。ここが崩れてしまうと、国籍を問わず若い世代は定着しない。仮に、一時的に外国人居住者が増えることがあったとしても、住み続けるメリットを感じなくなった段階で他地域に流出してしまう可能性が大きい。 こうした点を改善することなく、地方自治体がいたずらに外国人の受け入れに邁進したとしても効果はさほど上がらないだろう。
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