【捜しもの】タコピーの原罪を劇伴と共に簡単に振り返る
“タコピー熱”が冷めやらぬ中、8/13にサントラが配信された。これを祝して幾つかピックアップし、劇伴と共に簡単に振り返ってみたい。
おはなしがハッピーを生むんだっピ!
タコピーとしずかの出会い。しずかとのおはなしを通じて、「タコピー」と名付けられる。しずかの“純粋な瞳”に見とれるタコピーがかわいい。もしかしたら、この場面が“おはなし”の原点だったのかもしれない…
今日もがんばるっピ!
助けてくれたお礼にハッピ-道具でしずかを喜ばせようとするシーン。だけど悉く思いが空回りし、失敗に終わってしまう。
タコピーが去った後、「2016年のきみたちへ」のタコピー傍白シーンにて。寝起きのしずかに囁いたり、まりなにドクダミを思い起こさせたり。「今日もがんばるっピ!」と陰から3人を応援しているようであり、過去の自分自身を慰め、今を生きる気持ちを鼓舞させているような印象を受ける。
チャッピーがいれば大丈夫
「チャッピーがいれば大丈夫 他には何もいらないんだ」まるで星空を眺めているような雰囲気の劇伴。宇宙のように永遠に思えるような問いと共に生きる“旅人”であるチャッピーを、しずかは優しく抱きしめる。やきもきするっピ。 5話「最近はちょっと悪くないよ」でも使用されたのは、まりなはタコピーをチャッピーのような存在として受け入れたというメッセージだろうか。
ものすごい笑顔にしてみせるっピ!
「しずかちゃんをものすごい笑顔にしてみせるっピ!」ハッピー星には訳あって今すぐには行けないけど…。 この時のしずかの微笑みが、タコピーの呼びかけに対する答えだったんだ。「また明日」この言葉の尊さを感じる。
これで大丈夫だっピ!
「宿題を忘れちゃったのが悲しくて 死んじゃったんだっピね―」……そうか。語尾に「っピ」がつく劇伴は、タコピーによる曲なんだっピね。これから始まる“アンハッピー”を予想できないようなおちゃらけなテンポから始まり、思わず笑ってしまう。…見返して気づいたが、しずかのノートを隠したまりなも、実は宿題やってこなかったんだね。
ああ、無理だ
「怖い 痛い つらい 泣きたい 逃げたい でも―」タコピー自身がしずかになり、恐怖心を初めて体感したシーン。問題解決が一筋縄ではいかない事に気づき、タコピーの心に影を落とす。
ママ
「パパはお夕飯、あの人と食べるそうだから」「はしたないよその言葉遣い 直せる?」…ここで流れる劇伴のタイトルが「ママ」なんて、まるで親心を感じさせない恐怖の根源がそこにあると語っているかのようだ。…パパが出て行ってから間もないのだろう。エアコンの温度を4度上げた。
魔法
「タコピーすごいっ」えっ「ありがとうタコピー 殺してくれて」えっ。 「ヴィヴァルディの『春』」が分かりやすく清々しさを表現してくれる。が、まるで季節が廻るように、魔法の永続性を否定するかのように再び重厚な弦楽器の旋律に戻る。「しずかちゃんが 笑ってくれた…」3話冒頭、タコピーにも春が訪れた。
魅惑の瞳
「やっていくっピ!!!」…ちょっとだけ不安が残りつつも、まりなをシャベルで埋めていく。およそ犯罪を隠蔽しているとは思えない希望的で明るい曲調は、登場人物たちの本位に立ち、それを私たちに素直に映し出してくれる。
疑心暗鬼
「久世さんには僕しかいないんだ」高校生になると、恋愛感情や復讐心が人間関係を更に複雑にしていく。幸せ(そう)な直樹としずか、血まみれのまりな家。相手どころか自らの心も疑ってしまうような世界。勧善懲悪を否定する第5話の評価が高い理由が伺える。
捜しもの
きしかな子さんによる唯一の歌唱劇伴。漫画ではコマのみで描かれていたが、タコピーとしずかの深い理解や立ち直りを表すような、素晴らしいアニオリ補完だと思う。「捜す」と「探す」の違いだが、
「無くしたもの」「見えなくなったもの」を「さがす」場合には、「捜す」です。「欲しいもの」や「見つけたいもの」を「さがす」場合には、「探す」を用います。
「捜す」には求めるものが欲望的ではない、本来あったはずのものを見つけ出す事を言うそうだ。いなくなったチャッピーやまりな、直樹… パパやママは兎も角、すべて純粋だった頃に回帰したいというしずかの思いがあふれ出ていると同時に、その意思を持って現実に立ち向かおうとする新たな決意を感じる。
空っぽになる涙の中に 見つけたもの 心の声 はなしをしようここで 束の間時を忘れ 寄り添う温もりに 満たされ眠れるまで
フランスの哲学者ジャック・デリダは「涙こそが目の本質であり、視覚ではない」と語った。つまり、視覚情報だけでは他者の内面世界は体験できない。涙が心の応答と考えれば、表層的な「見る」事の奥にある深層的な世界に光が当たり、無数の他者とのつながりを顕わにするものだと考えられる。「空っぽになる涙の中に見つけた心の声」とは、まさに視覚的現象だけだと思われた涙の意味を初めて心の声として捉え、苦や痛みを共有して共に涙を流し、おはなしする事が出来た叡智的な営みを詩的に優しく語りかけているようだ。
きみたちがきっと大人になれるように
まりながタコのイラストを見つけたときのシーン。和解シーンらしい泣ける曲かと思いきや、ぽわぽわとしたかわいらしい曲調に驚いた。けど、“バカっぽいイラスト”を2人で語らうシーンにはピッタリだなと感じる。最後まで“純粋で無垢に”振舞ったタコピーよ。 ありがとう、バイバイ
余談
タコピーかわいいからぬいぐるみが欲しい訳だが、クレーンゲームは苦手なのでぜひ再販を…。あと、劇場版として放映してほしいっピねぇ。


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