ネットメディアの「Choose Life Project」,立憲民主党から資金提供受ける

政治問題についての番組などを配信するネットメディアの「Choose Life Project」(以下,CLP)が,2020年3月から約半年間に,「番組制作費」として立憲民主党(旧国民民主党などと合流する前の旧立憲民主党)から,約1,500万円の資金提供を受けていたことが判明した。1月5日,過去に番組に出演していたジャーナリストの津田大介氏ら5人が抗議文を発表し,明らかになった。5人は,抗議文の中で,「公共メディア」を掲げていたCLPが,特定の政党から番組制作に関する資金提供を受けていたことは報道倫理に反するうえ,その事実を伏せたままクラウドファンディングなどで広く一般の視聴者から資金を集めていたのは重大な背信行為だとした。

CLPと立憲民主党はいずれも資金提供の事実を認めた。一方で,番組内容への要求はなかったとした。CLPの佐治洋共同代表はウェブサイトを通じて,本来なら一連の経緯を明らかにしたうえで広く支援を求めるべきだったが,それを怠ったと陳謝し,共同代表を辞任する考えを示した。また,弁護士や研究者など第三者による調査を行うとした。

CLPは,TBSの報道現場にいた佐治氏らが,政治や社会の問題を伝える新しいメディアを作ろうと始めた。今回,佐治氏は経緯の説明の中で,ネットメディアにはマスメディアほど厳密な規定が適用されないと考えていた旨を吐露した。ネットの世界では,ただでさえ真偽不明の情報が飛び交う。その世界で「公共メディア」を掲げる以上,相応の倫理観と透明性が求められている。

上杉慎一

※NHKサイトを離れます

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