平凡になりたかった俺と特別になりたかった君へ


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作:oir.1
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第9話


 

 

 

 

「…………エレン。何となく分かってると思うが,この戦闘のメインはテメェだ。俺がビュンビュン動き回るには,巨人同士の戦いは規模がデカすぎる。お互いの足を引っ張りかねねぇ……」

 

「……がぅ」

 

「…………俺がやることは隙を見てお前への補助をすること。第一ブレードは奴の硬化能力に無力だからな。分かったら行くぞッ!!」

 

「オォォォォォッ!!」

 

俺は大きく外側に移動して,女型とエレンを両方捕捉できる位置に陣取る。巨人同士の戦闘の邪魔をせずに,隙を見て援護できる位置取りだ。

 

 

 

「…………ぅうぅォォォォォッ!!」

 

「………………」

 

 

 

瞬間。とてつもない衝撃が俺の肌に伝わってきた。…………吹き飛ばされたのはエレンだ。

 

 

 

 

 

ーーーやっぱりか

 

 

 

 

奴の硬化能力……あれは巨人同士の戦闘において大きな力を発揮するだろう。見たところエレンには使えねぇみてぇだし,このままなら絶対にエレンは勝てねぇ……

 

 

 

 

「……エレン!!なるべく撃ち合うんじゃねぇ!!奴は硬化能力を持ってる!!ただの殴り合いじゃお前が不利だ!!」

 

「…………ぐぅぅぅぅッ……」

 

「…………」

 

そう……この不利を覆す為の俺の援護なんだが…不味いな……

 

 

 

 

 

ーーー思ってたより巨人同士の戦闘ってのは人間が入るのは難しいな……

 

 

 

 

そう問題があった。その問題は単純な話,俺の技量の問題だ。

……俺は巨人を殺すのは,同期トップのアッカーマンと比べても謙遜無い所が1番だと自負している。それは周りから見てもそう思われているだろう。

 

だが,俺の立体機動はただ身体能力とパワーにものを言わせての殺す為に特化した機動だ。……この巨人同士の戦いの中,援護をしようとするにはそういった身体能力や殺しのやり方じゃなくて確固たる立体機動装置自体の技術が必要だ。

 

……お世辞にも俺の立体機動自体の動きはそこまで大したもんじゃねぇだろう。細かな機動,援護するために仲間や周りを考えての動き,そしてこの大規模な戦闘の中,少し複雑な経路で対象へと向かう技術,繊細な立体機動……それならジャンの方が得意なくらいだ。

 

 

 

 

「…………どーすっかな」

 

共闘を申し出たのはいいが,俺はやはり1人で戦った方がまだ勝算があったかもな……

 

 

俺はそれとなく隙を探し続けて,しばらく巨人同士の戦いを見守っていたが,やはりエレンが押されている。……このままじゃ

 

……いや。俺は普通の兵士のように援護しようとしてんのが間違いだったんだ。そうだ何なら俺は他の奴らより的確に巨人同士の戦いをサポートできるはずだ。なぜなら……

 

 

 

 

 

 

「……がぅ!?」

 

「……!」

 

エレンが突然俺が股下をくぐって急速に女型に接近したのを見て驚いたような唸り声を上げた。女型がそれに対応しようと左足で蹴りを入れてくるが……

 

 

 

 

 

ブンッ!!

 

「蹴りが好きみてぇだが残念……軸足ぶらされりゃ…大きな隙になんだろ……」

 

ズドンッ!!

 

俺はその左足をこまめにアンカーをリリースして軌道を変えることで避けて,そのまま勢いをつけ,思いっきりガスを吹かしながら軸になっている右足のふくろはぎ辺りに全力の蹴りをお見舞いしてやった。すると面白いように女型の巨人は体勢を崩した。

 

 

「エレンッ!!!」

 

「オォォォォォッ!!」

 

 

 

バギィッ!!

 

エレンの渾身の殴りが女型を吹き飛ばした。

……これだ。これが俺の補助の形だ。他の奴らのように繊細で小綺麗で的確な細けぇ補佐は俺にはできねぇ……出来るのはこの力と身体能力にものを言わせた殺しだけだ。だから俺は巨人を殺すときにやっている事をそのまんま補佐でもやる。

 

 

 

 

 

ーーーこれが俺だけの補佐のやり方だ。

 

 

「……ぐうぅ…」

 

「……エレンなんだ。その目。化け物を見るような目で見んじゃねぇ……補佐してやったろ?」

 

「……がぅ」

 

エレンが何故か俺に対して恐怖してるような目を向けてくるが,そういうと少し納得出来てなさそうだがありがとうとでも言うように軽く頭を下げた。……なんかペットみてぇ

 

 

「…………」

 

「てめぇもかくそ野郎……どいつもこいつも人のことを化け物みてぇに見やがって……」

 

起き上がった女型が呆れたような目を俺に向けている。何だか敵にも味方にも呆れられているような感覚に苛立ちが募ってさっさとこの裏切り者を倒そうとエレンに声をかける。

 

「……ほらさっさと行けエレン。俺が体勢を崩す,お前はそこを全力で殴れ。アイツの硬化を使った一撃を食らったらお前は負ける。そもそも撃たせねぇようにすんぞ」

 

「オォォォォォッ!」

 

女型が直線的に向かうエレンに対して硬質化の一撃を放とうとする。……あの単細胞。だから真正面から撃ち合ったらやべぇって言ったろ…少しは工夫しろよ……

 

「ふっ!!」

 

バチィッ!!

 

俺はその拳の一撃をエレンに放とうとした瞬間,タイミングを見て,アンカーを女型の頭付近に刺して急上昇し,下から二の腕辺りに回転を乗せた全力の蹴りを当てる。すると女型のパンチの軌道は少し上に逸れ,それを見たエレンは掠りながらも屈むように避け,逆にカウンターの要領で一撃を顔面にぶち当てた。

 

 

 

ーーーアイツ…俺の補佐を期待して,わざと直線的に行きやがったな

 

 

 

 

簡単に熱くなって周りを見れなくなる奴だが,やはり冷静な時は割とクレバーなやつだ。もっと落ち着きが増せば,普段からその実力を遺憾無く発揮できるだろうに……

 

 

「……オォォォォォ!!」

 

「……あ。待てあんま調子に乗んな。ここは落ち着いて……」

 

 

 

 

ブオンッ!!

 

 

 

 

ブチッ!!

 

 

「ぐぅぅぅぅ!?」

 

「……言ったそばから…」

 

やっぱりすぐ熱くなるやつだ。優勢だと思い,いきなり特攻したエレンだが,女型も本気を出し始めたのか先程までとは比較できないキレの蹴りでエレンの片腕をもぎ取った。

 

 

 

 

ーーー……あの動きとキレ

 

 

 

 

俺が少し考え事をしボーッとしていると焦ったエレンが特攻する。……やべぇ俺も少し呆然としてたからか補助が間に合わねぇ。

 

 

 

 

 

 

「…………がァァァァッ!!」

 

「待てエレン!焦るな……!!」

 

「…………ッ!」

 

 

スパンッ!!

 

 

 

 

「……は?」

 

怒りと合わせて苦し紛れの特攻をしたエレンだが,女型は冷静に対処するだけでなく見事なキレと独特な蹴り技でエレンの首を吹き飛ばした。やっぱりだ……動き,キレ,そして今の蹴り技見覚えが……

 

 

ーーーあの蹴り……

 

 

 

「………………お前……まさか……」

 

 

 

 

……忘れねぇよ。お前とは偶にとはいえよく一緒に訓練してたからな。その蹴り,何回防いだか分かんねぇよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……レオンハート」

 

なんで,お前が。……裏切り者なんだろう?エレンを狙う知性を持った巨人は。

……お前は,冷てぇし,あんま喋んねぇし,暗いけど,話せば割とおもしれぇし,根は割と優しいし,意外と仲間思いの奴だ。

 

 

 

 

ーーー俺にとっては,あの時間全てが特別な……楽しい時間だった。

 

 

 

 

 

 

ユミルも,クリスタも,ジャンも,マルコも,アルミンも,……アイリスも,そしてお前とも…………一緒に過ごした時間が……

 

 

全部……楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

気づけば,レオンハートの奴は恐らくエレンの事を口に入れて,逃げていった。女型の巨人の……レオンハートの背中が呆然と立ち尽くす俺の目の前から去っていく。

……俺が何も動かなくて好都合とでも思ったんだろう。

 

 

 

 

「……待てよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………おい止まれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこ行くんだよッ!レオンハートッ!!」

 

 

 

 

 

 

「…………!!」

 

 

 

俺は全力でやつを追う。俺の持てる力全てを使った立体機動で,この巨大樹の森を駆ける。

 

 

 

「…………随分と…急いでるじゃねぇか……」

 

「……ッ!!」

 

レオンハートが急速に振り向いて俺へ,拳を突き出す。

 

 

 

ズバァァァンッ!!

 

 

 

「…………悲しいな。同期に対して,こんな殺意を籠った一撃を撃つなんて……」

 

「…………!」

 

俺は……その腕をガスの残量を気にせずに思いきり吹かして回転と俺の全力の力を乗せた斬撃で吹き飛ばした。…斬られる所が腕ごと吹き飛ばされて驚いたか?

 

「…………ははっ……懐かしいなその目…お前はよく俺の事を化け物を見る目で見てたろ?全く同じ目だ。訓練兵時代と全く同じだ…………」

 

「…………」

 

「………………いっつも不機嫌そうだったのはなんだ?もしかして人を殺せなくてイライラしてたのか?巨人の状態で兵士共を殺すお前は随分と楽しそうだったしな」

 

「…………ッ」

 

 

 

ブオンッ!!

 

 

 

レオンハートが何かを振り払うように回し蹴りをしてくるが,俺は直ぐに周りの木々にアンカーをリリースして刺し直し,回避してレオンハートへ語りかけ続ける。

 

 

 

「…………なぁレオンハート」

 

「……」

 

「……嘘だったのか?」

 

「…………」

 

「…………楽しかったぜ。俺は。」

 

「……」

 

「お前との対人格闘。初めは組む相手がいなくて適当に組んだだけだったが,お前の相手はあのクソつまんねぇ対人格闘の訓練で楽しいモンだった。」

 

「…」

 

「…………いっつも無愛想なお前も,格闘中は随分と表情豊かな気がして,悪くなかった。あの訓練兵の全ての時間が,俺にとって特別なモンだった。」

 

「……」

 

レオンハートは何も言わず,変わんねぇ巨人の不細工な面で一心不乱に走り続ける。……巨人っつーのは喋れねぇんだっけか。

 

 

「……なんか言えよレオンハート」

 

「…………」

 

「そんなデッケェ体してよ。てめぇはチビだし,貧相な体だし……似合わねぇよ。馬鹿が。」

 

「……」

 

「……はは…怒ったか?その睨んだ顔は巨人でもソックリだぜ?」

 

「……」

 

「…………テメェはそんな不細工で残虐で気持ちわりぃ奴じゃなかったろ。そこだけは全く違ぇな。」

 

「……!」

 

「出てこいよ」

 

「……ッ…」

 

……時々俺の言葉に反応してんじゃねぇよ。完全に分かっちまったじゃねぇか。本当にお前の中身はアニ・レオンハートなんだってよ。……くそが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…出てこいよッ!!!!レオンハートッ!!」

 

 

 

 

 

 

パギィンッ!!

 

 

 

「……!?」

 

アンカーを上の方に刺し,奴を見下ろせる程高さをつけてから叩きつけるように惰性と回転と俺の筋力を乗せた全力の斬撃を奴のうなじに食らわせるが,案の定硬化で防がれる。だが今の俺はそんなことを冷静に考えてる余裕はなかった。

 

 

 

 

 

 

バギンッ!!

 

 

 

 

 

 

バリンッ!!

 

 

 

 

うなじに,叩きつける。力にものを言わせた,ただのフィジカル任せの一撃を。何度も何度も雑に,勢いに任せて,アンカーをリリースさせながら叩きつける。

 

 

 

 

刃は……もう無い。

 

 

 

 

 

 

 

ガギィンッ!!

 

 

 

 

刃が無いなんてことを気にする事はなく,俺はブレードが付いていない柄で思いきり奴のうなじを力任せに突き刺す。

 

 

 

「……レオンハートッ……でて……こいよ……!」

 

「ッ〜〜!!」

 

レオンハートが思いきり拳を振りかぶって全てを掻き消すように殴り掛かる。……冷静さを失ったこんな状況でも俺の体は生き残る為にその一撃を難なく避けた。

 

「…………アァァァァッ!!!」

 

 

 

 

バゴンッ!!

 

 

 

 

 

俺はがむしゃらにレオンハートの首の辺りに着地すると,全力で拳を振りかぶって硬化されたうなじを殴りつけた。

 

 

 

 

 

ピシィッ…………

 

 

 

 

硬化に,ヒビが入った。

 

 

「ッ!?」

 

 

 

「…………レオンハートッ!!」

 

俺がもう一度拳を振りかぶると,明らかに焦燥した様子でレオンハートが急いで首元にいる俺を振り落とそうとする。

 

 

 

 

 

「…………クソ!!」

 

その振り落としを回避するため首元からアンカーを木に刺して一時的に退避するが,そのせいで距離を空けてしまったためレオンハートは更にスピードをあげて俺の目の前から去っていく。

 

 

 

「…………絶対に,逃がさねぇ……」

 

そして俺がもう一度飛び立つと後ろから何者かが2人,やってきた。

 

 

 

 

「……新兵,どうやら巨人の腹の中じゃなかったみてぇで何よりだ。大体の事情はオルオから聞いた。……俺の部下を2人救ってくれたらしいな感謝する。」

 

「……エレンは,アイツが…!!」

 

「兵士長……アッカーマン……」

 

「……早速で悪いが,てめぇにはまだ働いてもらうぞ。……そこの根暗女もな。あの巨人からエレンの野郎を取り返す。まだ食われてはいねぇんだろ」

 

「…………急いで…早く……エレンをッ!!」

 

「…………分かりましたよ。俺も少し冷静になれました。ただし残念なことに俺はもうブレードが1枚も無いのでできることは2人の補助とヘイトを引くくらいですよ。」

 

「……そこまでやれれば十分だ。さっさと行くぞエレンが奴の腹の中に納まっちまう前にな……」

 

兵士長とアッカーマンが一気に加速したのを見て,俺も2人を援護できる位置を取るためにスピードをあげる。

 

 

「目的を1つに絞るぞ……エレンの救出を最優先にする。」

 

「……!奴は仲間を沢山殺しています」

 

「…………俺は賛成ですよ。奴の硬質化が俺たちのブレードじゃどうしようも無さすぎる。アイツと嫌という程戦っていた俺が1番分かってます。」

 

「そういうことだ。俺がやつを削る。お前たちは注意を引け……」

 

「……了解」

 

「……」

 

アッカーマンは少し不服そうだが……まぁ妥当な判断だろう。ただ……

 

「……兵士長。開戦時に俺がまず足元を狙いに行きます。兵長は視覚を奪うことを最優先事項にしてください。そうすれば少なくともこれ以上逃げられることは一時的に防げる。」

 

「……なに?」

 

「……自惚れでもなくアイツが今最も警戒してんのは俺です。俺が足元に行けば絶対に奴はそっちに全注意を注ぐ。そしたら自由な兵長があと奴を切り刻むだけです。簡単でしょう。」

 

「……刃がねぇんじゃねえのか」

 

「いらないです。アイツはそれをよく分かってる。」

 

「……分かった。お前のそれがただの馬鹿げた妄言じゃねぇことを信じよう。第一今はそれだけ不味い状況だ。」

 

 

 

 

そうして兵長,アッカーマン,俺によるエレン救出作戦が始まった。大丈夫だ。この兵長の実力は明らかに飛び抜けていた。作戦通りに行けば失敗することはねぇだろう。

 

 

「…………」

 

まずは女型の目の前にアッカーマンが躍り出て注意を引く……想定通りまずは女型がアッカーマンの方へ視線が寄せられた。

……そして次は……

 

 

 

 

 

 

「フッ……!!」

 

 

「……ッ!!!」

 

 

 

俺が直線的だが,全力で加速して,女型の足元まで行く。

分かってんだろ……?次やられることは……

 

 

 

 

ーーーこのバケモノが……そう何回もそんな馬鹿げた事で体勢を崩されてたら堪らないよ……!!

 

 

 

 

俺がこいつに何度も食らわせた立体機動の加速を乗せての全力の回し蹴り……そのモーションに入ると……

 

 

 

「……!!!」

 

レオンハートの野郎は過剰なまでにその俺に対して反応して,その一撃を対処しようとした。

 

 

 

 

「……残念」

 

 

俺はその加速を乗せて回転し回し蹴り……ではなくそのままガスの噴射を一旦止めて惰性でグルグルと体を回転させ,勢いが止まるとそのまんまアンカーを刺して奴のデケェ脚を足場にしてから全力で踏み込み……リリースと共に跳ねてそこから離脱した。

 

 

 

 

ーーー本当の化け物は俺じゃねぇよ

 

 

 

 

 

 

「……何でかは分からねぇが想定以上だ。新兵。よくやった……」

 

 

 

その瞬間。兵長が奴の視界を奪うと……蹂躙が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「早い……!!」

 

硬質化が間に合わない……!!あのチビがエレンを奪った巨人を切り刻んでいく。

 

「……おいおい…俺もまだいるんだぜ……?」

 

アベルが何故か再びあの巨人の足元へ一気に加速していくとその勢いのまま……

 

 

 

 

バゴォンッ!!

 

 

 

 

 

「は……?」

 

「………………」

 

私は言葉を失うという状況に初めて陥った。……見ればあのチビも少なからず衝撃を受けてるように思える。

 

多分……見たままのことを言うなら,アベルがあの巨人の足元へ飛び込んだと思ったらその勢いのまま回し蹴りをふくらはぎの辺りに当てた……のだろうか?

 

そしたら凄い音が聞こえて,あの巨人は体勢を崩して座り込んだ……

 

「……兵長,早く切り刻んでくださいよ。体勢崩させましたよ」

 

「…………てめぇ。馬鹿げた脚力した新兵だと思っていたが,まさか2m級の巨人とでも言うんじゃねぇだろうな」

 

「……何冗談言ってんすか。さっさとエレンを救出してくださいよ。」

 

冗談じゃねぇが……とでも言いたげなチビがそのままあの巨人を更に削ぎに行った。

 

……本当に人間なのだろうか?というか何故これは許されて,エレンは巨人の力を持ってるというので殺されかけたのだろうか?不満だ。こっちの方がとても危険だと私は思う。

 

 

 

 

けど……今はチャンス……なのではないだろうか?あの巨人は切り刻まれて,体勢も崩されて,ここから見る限りうなじを狙えるように思える。……後はうなじを削げば…あいつを殺せる……

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「……うあああああぁッ!!」

 

「……!よせッ」

 

!おいおい……もうエレンを救出できると思ったらアッカーマンの奴がうなじを狙いに行きやがった。……奴は,レオンハートは馬鹿じゃねぇ…そんな直線的に行ったら……

 

 

 

「……ぐっ……」

 

兵長が間一髪アッカーマンを救ったみてぇだが,あれは……不味いか?恐らく脚を……

 

「……兵長!」

 

「チッ!!」

 

俺がすかさず加勢に行くが……さすが人類最強,負傷しながらも女型の口を切り裂き,中からエレンの奴が出てきた。

俺も丁度同時に兵長の元へ到着し,脚に負担をかけさせないためにも俺がエレンを奪い……そして……

 

 

「アッカーマン!!」

 

「!」

 

アッカーマンへエレンを全力で投げ渡した。……よし。受け取ったみてぇだな。あとは……

 

「……兵長。脚ヤってますよねそれ。抱き抱えましょうか?」

 

「余計な心配をするな。てめぇに抱えられてまで帰還するほど酷くはねぇよ。」

 

「小柄な兵長なら別になんの負担もなりませんけど……多分10人いても行けますよ?」

 

「……面白くねぇ冗談……じゃなさそうだな。てめぇには聞きてぇ事が増えた。帰還したらエルヴィンも交えて話し合いだ。」

 

「いや。この力のこと言ってんなら別に特別な理由とかありませんけど……生まれた時からこうです。」

 

「……てめぇ巨人の腹の中から生まれたわけじゃねぇだろうな?」

 

「……なんか人の事化け物みたいに言ってますけど,兵長も……というか兵長の方が俺よりよっぽど化け物では?」

 

俺が化け物なら恐らく俺よりも強いであろうこの人はなんなんだ。……まぁ確かに純粋なパワーなら負ける気はしねぇけどな。

 

「……ふん。俺が化け物?てめぇも知ってんだろ。街のヤツらがよく俺の事を人類最強だのくだらねぇ呼び名で持て囃してるのをな……俺はあくまで"人の範疇"だ」

 

「……兵長も冗談話すんすね」

 

「……俺は元々よく喋る」

 

兵長とそんなくだらない化け物の押し付け合いの話しをしながら帰還する。こんな緊張感が無い会話でようやく今回の戦いは終わったのか……と内心で思う。

……だいぶ犠牲が出ただろうな。兵長の班の人と思わしき人も何人か死んでたし,それで少し口数が多かったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……それよりもだ。正直に言おう。あの時,女型……いやもうハッキリと言おう…レオンハートからエレンを救出した時,俺だけでも残って奴を引っ張り出すことが出来たはずだ。あそこまで消耗していればアッカーマンから刃を貰うなりして確実に……

 

 

 

 

ーーーだが俺はそれをしなかった

 

 

 

 

人類の裏切り者。……その正体は俺の同期であるアニ・レオンハートだった。これは今のところ俺だけが知っている事実。

 

 

 

 

 

関係ないはずだ。

 

 

 

 

 

俺がこの場で奴を引きずり出さなかったことと,その事実は……関係ないはずだ。

 

 

 

 

 

……関係ない…はずだろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーチッ……なんでお前なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

また……仲間が1人,俺の元から消えるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーなぁ……アイリス

 

 

 

 

 

あの時間は特別で,全てが楽しかった。

 

 

 

 

 

俺は今ほんの少しだけあの時に戻りたいと思っちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

少しだけ後ろを振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙を流す……レオンハートが見えたーーー

 

 

 

 

 

 

 

 






あとがき



〇補佐が出来ないアベルくん
→基本的にフィジカルにものを言わせてるタイプなので巨人同士の戦いで補佐する時に必要な繊細な立体機動は出来ない。本当に力だけの男なので。





〇アベルくん流の補佐
→隙を見て全力で一撃当てて体勢を崩す(脳筋)
殺す時にやってることを補佐でやってるだけ。





〇アベルの脳筋っぷりを見たエレン
→コイツも実は巨人化してんのかな……





〇女型の正体に気づいたアベルくん
→動揺した。確実に





〇アベルくんの必死の語りを聞いていたアニ
→かなり精神が揺れた。





〇拳で硬質化にヒビを入れるアベルくん
→アニ「語りかけは正直心に来たけど,やっぱり化け物……」





〇化け物三人衆(アベル,リヴァイ,ミカサ)に襲われるアニ
→もうやめて欲しい






〇アベルを最大限に警戒するアニ
→この化け物に何回蹴られたと思ってんだ(尚その数秒後にそれを上回る化け物(リヴァイ)に切り刻まれる)






〇アベルの脳筋っぷりを見たアッカーマン2人
→「コイツ巨人じゃねぇだろうな」
「何でこれが許されてエレンが殺されかけたの?」





〇化け物の押しつけあいをする化け物2人(アベル,リヴァイ)
→どっちもどっち







〇アニの事や訓練兵時代の憧憬でちょっとナイーブになったアベルくん
→ユミル「あいつは意外と人情深いし,寂しがりだし,優男」





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