改めてモンゴル文字のをじっくり解説する「モンゴル語入門」の
新シリーズを始めます。今までのモンゴル語入門の番組に関しては、
基本的にキリル文字を使って解説することにして、
いわば二本立ての感じで進めます。
日本人にとっては日常的に漢字仮名交じり文を使用して読み書きしており、学校教育では英語をラテン文字で学びます。
キリル文字に関しては、文字体系がラテン文字と基本的には同じなので、文字の形と音を覚えてしまえば、それぞれの言語に応じた正書法などを学べば、外国語として学ぶときにも、文字表記における困難はそれほど生じないでしょう。
モンゴル文字は、そもそも文字としての成り立ちが違います。
表音文字であるため、子音字、母音字などがあることは
ラテン文字などと共通していますが、
子音字や母音字を成り立たせるための文字素が
子音字と母音字で共通して使われるものがあります。
また、単語を続け書きすること、
同じ文字でも、語頭形、語中形、語末形のように形が変化するなど、
他の文字体系とは大きく異なっています。
モンゴル文字の直接の起源はソグド文字であり、
そのさらに起源は、アラビア文字とも共通してアラム文字です。
以上のような、文字の起源に関することなどは解説しませんが、
文字体系の違う文字を学ぶことは、
困難さも伴いますが、面白さ、楽しさもあると思います。
極端な言い方にもなりますが、
日本人が使っている漢字仮名交じり文に対しても、
これを当たり前に使っている不思議さも感じられるかもしれません。
モンゴル国では、日常的にはキリル文字が使われており、
公文書などでのモンゴル文字の再使用を目標として、
モンゴル文字の復興を進めています。
逆に、内モンゴル自治区ではモンゴル文字だけではなく、
民族教育自体が禁止されてしまったため、
モンゴル語の存続自体が極めて危機的な状況に置かれています。
また、外国語としてモンゴル語を学ぶ人たちにおいても、
キリル文字が主流になっています。
電脳環境においても、モンゴル文字の使用はハードルが高く、
文字処理、言語処理環境が整っていないと文字入力すらできません。
つまり、「モンゴル文字」自体が常に、
存続の危機にさらされていると言っても過言ではありません。
このチャンネルの影響力はほとんど無に等しいものですが、
それでもモンゴル文字を視聴者の皆さんと一緒に学ぶ事自体が、
無意味であるはずがないと信じています。
配信の中では、そのような堅い話はなるべくせずに、
考え方が全く違う文字体系に接すること自体が、
楽しくなるようなシリーズにしたいと考えています。
モンゴル国では、6学年からモンゴル文字の学習を
いわば教科の一つとして学ぶようになっています。
その6学年向けのモンゴル文字の教科書を適宜使用します。
なお、当該教科書など、モンゴル国が一般教育向けの
ホームページで公開している教科書を配信で使用することに関して、
駐日モンゴル国大使館経由で正式に許可を得ています。というより、
どんどん使ってください!
というくらいの言葉をいただいております。
そのようなモンゴル国の太っ腹に感謝しつつ、
モンゴル文字を楽しく学んでいきましょう。