2倍超の票数差を逆転、5時間超の会議…波紋呼ぶ国立大の新学長選考 現場から戸惑いと抗議の声
新潟大学の現学長の任期満了に伴う学長選考・監察会議で、前医学部長の染矢俊幸氏(67)が第17代学長に選出された。選考委員の判断材料の一つとなり、事前に投票資格を持つ教職員が投じた意向投票では次点だった染矢氏が、25日に行われた選考会議で逆転勝利した。これまでの学長選考では意向投票でトップの人が学長に選ばれることが多く、ねじれが生じる異例の事態に。早くも一部職員は選考結果に疑義を突きつけており、学内の分断は必至だ。 【表】教職員による意向調査の投票結果 「意向投票で示された結果は、 現体制への強い問題提起、そして大学の在り方に改革の必要性を突きつけたものだと真摯(しんし)に受け止める」。25日深夜、5時間超にわたって開かれた選考会議後の記者会見で染矢氏は表情を変えずこう切り出した。候補者面談などを行った会議は予定を2時間ほどオーバーしていた。 新潟大の学長選考はまず、学内約50人で構成する教育研究評議会と、学内外15人でつくる経営協議会がそれぞれ候補者を推薦。教職員の意向投票が行われた後、県内の元会社社長やキャスターら学外5人と、学部をまとめる学系長や病院長ら学内5人のうち候補者1人を除く計9人の学長選考・監察会議が選出した。 今回の学長選考では染矢氏のほかに、脳研究所長の小野寺理氏(63)と、理事で副学長の川端和重氏(69)が候補者となった。8月に行われた意向投票は投票率47・3%で、投票者数1515人のうち小野寺氏は882票、染矢氏は420票を獲得し、小野寺氏が2倍超の差を付けていた。 一夜明け、選考結果が学内をざわつかせた。新潟大職員組合委員長で工学部の酒匂宏樹准教授(42)は「結果がひっくり返ったことに戸惑った。現場と執行部が一体で頑張る機運が盛り上がらない」と話す。 新潟大の学長選考を巡っては、過去に意向投票と結果が異なり撤回を求める署名活動や、無効確認を求める訴訟が起きた例もある。今回も選考に先立って教職員有志が、意向投票の結果を重視するよう求める要望書を、選考会議に送っていた。 染矢氏の選出を受け教職員有志は26日、抗議声明を発表。意向調査で大差が付いていた染矢氏が選ばれたことを「理解に苦しむ事態」だと遺憾の意を示し、選考会議に学内外への説明を求めた。有志の一人で人文学部の原直史教授(63)は「染矢氏に厳しい目が注がれていることを理解してもらいたい」と語った。 なぜ染矢氏が選ばれたのか。選考会議は完全非公開だが、ある委員は「大学の改革を進めていく中で研究畑の小野寺氏の実績は未知数の一方、理事で副学長の染矢氏は牛木辰男・現学長の執行部で新しいことに挑戦している」と今後の改革への期待感を口にした。 染矢氏は今後、文部科学相から任命を受け、来年2月に学長に就任する。