202.第6章「平成の東映」
第9節 東映のイベント事業 ②「博覧会」事業受注と「国際催事」の始まり
⑬ 「映像事業部」様々な事業展開
1982年、年頭に当たって「映像事業部」部長の池田静雄は、劇場パンフレット及び劇場商品販売、「アニメポリス・ペロ」の店舗拡大によるアニメ商品販売、そしてキャラクターショーを中心とした催事を柱に「100名体制で年商40億に挑戦」と語ります。
〇 キャラクターイベント
その年正月、「映像事業部」は、相原芳男が管轄する「芸能事業室」のキャラクターショーを中心に全国でイベントを実施しました。
7月、「映像事業部」は、テレビで大人気の『ドクタースランプ』の劇場版公開キャンペーンを兼ね、瀬戸内海の無人島にて「ゲンゴロウ島 めちゃんこ大冒険」を開催します。
このイベントは夏休み期間中多くの子どもたちでにぎわいました。
年商40億を達成した池田は、翌1983年の年頭挨拶にて劇場商品販売、キャラクターショーに加え、内装工事受注など建装事業の拡大で50億を目指すことを発表します。
正月イベントは、キャラクターショーを中心に子供向けイベントを数多く実施しました。
〇 建装事業
1983年4月1日、「本社映像事業部」に新たに「建装事業室」が加わります。「建装事業室」は北見、札幌、小諸の東急百貨店の改装工事や東京ディスニ―ランド、東京商工会議所などの工事を請け負いました。
〇 パソコンショップ「フィルコム」
1983年7月30日、「関西支社映像事業部」は、「シネショップ」「アニメポリス・ペロ」に続き、来たるべきパソコン時代に先駆けパソコン・ビデオ・ソフトウェアのトータルショップ「フィルコム大阪」をオープンします。
9月17日には「東映ビデオ」が「フィルコム渋谷」を開店しました。
〇 「御堂筋パレード」
1983年10月9日には、大阪で初めて開催された「御堂筋パレード」にて、「関西支社映像事業部」が東急グループのフロート制作運営を受注します。好評を博し、「御堂筋パレード」の東急グループフロート制作は、「関西支社映像事業部」毎年秋の恒例事業となり、2003年まで21年も継続しました。
〇 商品販売にコンピューター導入
1983年、商品販売が好調の映像事業部は、商品販売管理のためにコンピュータシステムを導入しました。
⑭ 東映グループ各社全国で博覧会事業受注
(1)「大阪城博覧会」:映画村「城下町」設営成功
1983年3月、「東映太秦映画村」を運営する「(株)東映京都スタジオ」は、村外での事業受注を目的に子会社「(株)映画村エンタープライズ」を創設します。
「映画村エンタープライズ」は、1983年10月1日から11月30日まで開始された「大阪城博覧会(大阪築城400年まつり)」で特設会場「大阪城城下町」を設営。城下町内に映画村PRコーナーも作り、様々な時代劇イベントを実施しました。
〇 池田静雄常務取締役、草薙修平取締役就任
全国の「映像事業部」は順調に売り上げを伸ばし、1986年11月、部長の池田静雄が常務取締役、関東支社長兼俳優センター営業部長の草薙修平が新たに取締役に就任します。
1986年12月、前年のドル高是正のための「プラザ合意」で急激な円高が進みました。
そこで日銀の低金利政策に踏み出したことから地価と株価が高騰、後に「バブル」と言われる空前の好景気が日本で始まります。
〇 「本社映像事業部・地域開発プロジェクト室」創設
日本国中にお祭り気分が広がり、好景気から税収の増加もあり、1989年前後に数多くの市制100周年記念イベントや地方博覧会の開催が見込まれました。
1987年3月、「映像事業部」はその受注をめざし、「地域事業開発プロジェクト室」を設置します。
そして「映画村エンタープライズ」や「本社・支社映像事業部」及び東映グループ各社の事業担当部門が、全国の自治体にむけて「城下町」他様々な企画の営業を競って開始しました。
(2)上越市「城下町フェスティバル」と小田原市「えーど小田原」:「城下町」設営
「本社映像事業部」では、1987年8月8日から23日まで新潟県上越市の「城下町フェスティバル」、9月12日から10月11日まで神奈川県小田原市で開催された二宮尊徳生誕200年祭「えーど小田原」で「城下町」の設営運営を受注します。
(3)大阪市「天王寺博」:「水上迷路」大盛況
「映画村エンタープライズ」は、8月1日から11月8日まで大阪天王寺で開催の「天王寺博(てんぱく)」で「水上迷路」を設置運営。人気を集め大盛況となりました。
(4)「さいたま博」:「埼玉銀行館」立体映像制作運営受注
1988年3月19日から5月29日まで埼玉県熊谷市で開催される「さいたま博」にて、「本社映像事業部」は「埼玉銀行館」の立体映像の制作から運営を受注します。
大盛況の中会期を終え、埼玉銀行から感謝状を受けました。
〇 東映グループ各社、関西での博覧会事業受注
この春、関西でも博覧会が行われ、東映グループ各社が様々なイベントや施工を請け負います。
(5)「瀬戸大橋架橋記念博覧会」四国会場:「門前町」設営他
「城下町」で実績を重ねる「映画村エンタープライズ」は、1988年3月20日から8月31日まで165日間にわたり香川県坂出市で開催された「瀬戸大橋架橋記念博覧会」四国会場にて門前町設営と四国八十八カ所お砂ふみ、大道芸などを受注しました。
(6)「なら・シルクロード博」:「パビリオン3館」企画運営他
また、1988年4月23日から10月23日までの183日間、奈良市で開催された「なら・シルクロード博」では、東映グループ4社が3つのパビリオンを担当します。
・「ロードサット・オアシス物語館」
企画制作運営:関西支社映像事業部・東映美術センター
制作:東映京都美術センター
・「海のシルクロード館」古代商船「アルワード号」
制作:東映美術センターSP事業室
・「大和ハウス・そんごくう館」
企画運営:関西支社映像事業部・東映エージエンシー関西支社
制作「東映京都美術センター」
〇 「地域開発・イベント事業推進委員会」設置
1988年9月1日、東映は、グループ内各社が大小さまざまなイベントや地域開発事業を個別に手掛けている現状を鑑み、これらの事業をさらに推進、拡大するため「地域開発・イベント事業推進委員会」を設置。委員会では、まもなく訪れる博覧会ラッシュに向けて、各社が持つ様々な情報を共有し営業の相互調整と援助を図ります。
〇 1989年、全国で博覧会花盛り、グループ各社で多数の事業受注
昭和天皇が薨去し、1月8日から年号が平成に代わった1989年。全国で博覧会やイベントが数多く開催されました。
(7)「横浜博覧会(YES'89、横浜博)」:「開国記念村」「町会所」内装工事・「住友館」巨大映像制作
関東では、3月25日から10月1日まで191日間にわたり横浜みなとみらい21地区で開催された「横浜博覧会(YES'89、横浜博)」の飲食物販棟「開国記念村」施工の一部、物販棟「町会所」の内装工事を「映像事業部建装事業室」が受注しました。
この博覧会では他に「映像事業部地域事業開発プロジェクト室」が「住友館」の70㎜巨大映像制作を「博報堂」から請け負います。
(8)「鹿児島博覧会(サザンピア21)」:「テーマ館・市民百年館」内外装工事他・「タイヨー館・3Dワンダーワールド」立体映像制作他
3月16日から5月14日までの60日間、鹿児島市制100周年記念として開催された「鹿児島博覧会(サザンピア21)」では、「関西支社映像事業部」が「テーマ館・市民百年館」の内外装工事他を受注。「東映京都美術センター」が制作しました。
また、「本社映像事業部」が「タイヨー館・3Dワンダーワールド」の立体映像の制作とパビリオンづくりを担当します。
(9)「SUNPU博'89」:「テーマ館・市民百年館」内外装工事他
3月18日から 5月21日までの65日間、静岡市制100周年と駿府城築城400年を記念して開催された「SUNPU博'89」では、「映画村エンタープライズ」が「城下町」設営とパフォーマンス運営。「本社映像事業部」が「殺陣映像」を制作しました。
(10)「'89 姫路シロトピア」:「姫路城城下町」設営他
3月18日から 6月4日までの79日間、姫路市制100周年を記念して開催された「'89 姫路シロトピア」では、「映画村エンタープライズ」が「姫路城城下町」設営とパフォーマンスイベントを実施します。
(11)「松江菓子博’89」:「松江城城下町」設営他
4月23日から 5月14日までの22日間、松江市制100周年を記念して開催された「松江菓子博’89」では、「映画村エンタープライズ」が「松江城城下町」設営とパフォーマンスイベントを行いました。
(12)「'89 海と島の博覧会・ひろしま」:「広島県自治体館」「住友グループ館」「マツダモータースポーツ館」映像制作・蒲刈会場企画運営
7月8日から 10月29日までの114日間、「海と島のグランドデザイン―輝く海と島と人」をテーマに開催された「'89 海と島の博覧会・ひろしま」では、「本社映像事業部」が広島市内のメイン会場にて「広島県自治体館」・「住友グループ館」「マツダモータースポーツ館」3館の映像を制作します。
博覧会協会が主催するサブ会場の蒲刈県民の森では、「ネバーランド蒲刈」をテーマに「本社映像事業部」が様々なイベントや展示を実施運営しました。
(13)「世界デザイン博覧会」白鳥会場:「三菱未来館」映像制作
7月15日から 11月26日までの135日間、「ひと・夢・デザイン・・・都市が奏でるシンフォニー」をテーマに名古屋市内3会場で開催された「世界デザイン博覧会」では、「本社映像事業部」が白鳥会場にて「三菱未来館」の中の3種類の映像を制作します。
〇 1989年「東映グループ各社」博覧会の他にも様々なイベントを展開
景気の波が最高潮に達した1989年。全国各地で博覧会の他、数多くのイベントが開催され、東映グループ各社は様々な仕事を受注しました。
時代劇のノウハウを活かし、全国各地で開催されたお祭りで、武者行列やタレントの派遣も行います。
〇 1990年、大阪「国際花と緑の博覧会(EXPO'90)」で事業受注
1990年4月1日から 9月30日までの183日間、「花と緑と人間生活のかかわりをとらえ 21世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造をめざす」をテーマに大阪市の鶴見緑地で開催された国際博覧会「国際花と緑の博覧会(EXPO'90)」では、「関西支社映像事業部」に創設された「地域事業開発プロジェクト室」担当部長の和田紀夫が万博事務局に出向。東映グループ各社と連携しメインパレードの運営を始めに様々なイベントやパビリオンの映像制作、内装工事を請け負いました。
当時「関西支社映像事業部」に所属の現・東映代表男取締役社長の吉村文雄がパレードの運営を担当しています。
「花博」の総来場者数は2312万6934名で、1970年の「大阪万博」に次ぐ数を記録しました。
〇 映画村、数多くの「博覧会」「お城まつり」で「城下町」受注
「映画村エンタープライズ」は、1983年10月1日から11月30日まで開始された「大阪城博覧会(大阪築城400年まつり)」で特設会場「大阪城城下町」を設営します。
その後1990年代後半までに開催された「地方博」や「お城祭り」で数多くの「城下町」を設営し各種イベントを実施しました。
「城下町」は、オランダのロッテルダムでも開催しています。
「城下町」は「東映太秦映画村」の全国でのPRに貢献しました。
⑮ 東映グループ各社遊園地・テーマパーク事業受注
日本全体がバブル景気で盛り上がる中、1987年6月の「総合保養地域整備法(リゾート法)」や1988年4月からの「ふるさと創生事業」の制定により、全国各地でテーマパークや箱もの施設が誕生します。
東映グループ各社は、「博覧会」や「お城まつり」だけでなくテーマパークや箱もの施設の施工やイベントの受注に乗り出しました。
〇 佐賀県「嬉野温泉・肥前夢街道」施工
「九州支社映像事業部」は、佐賀県嬉野温泉の「(株)和多屋別荘」「肥前国際観光(株)」が開発する「肥前夢街道」プロジェクトに参画し、「東映京都美術センター」と「映画村エンタープライズ」の協力で企画、基本設計及び運営を手がけます。
「嬉野温泉・肥前夢街道」は、翌1990年1月2日に無事オープンしました。
また「東映京都美術センター」は、「乃村工藝社」から三重県立「こどもの城」のメイン展示室用映像ソフト制作も受注します。
次々と計画されるテーマパークでの事業受注に乗り出した「東映動画レジャーサービス事業部」は、岡山県玉野市の「王子ファンシーランド」や北九州市の「スペースワールド」、姫路市の「姫路セントラルパーク」などの仕事を請け負いました。
⑯ 「国立カイロ博物館所蔵 黄金のファラオ展」とエジプトイベント
1984年10月26日、東映ビデオは、西武池袋本店12Fの西武美術館にて「国立カイロ博物館所蔵 黄金のファラオ展」を開催します。
東映動画でアニメ映画『ファラオの墓』の企画が立ち上がり、東映動画事業部宣伝企画室長の石川芳彰がその宣伝キャンペーンの一環として全国を巡回する「エジプト展」の企画を考えました。
来日中のエジプト大統領ホスニ・ムバラクに面会を申し入れ、観光大臣を紹介してもらったことで何度もエジプトへ出張し交渉。国立カイロ美術館所蔵の国宝「プスネンセス一世の黄金のマスク」を始め数多くの宝物を展示する契約を締結します。
しかし『ファラオの墓』の製作は中止となり、展示会は一時白紙に戻されましたが、エジプトとの契約が結ばれていたことから東映動画今田智憲社長が兼務する東映ビデオがイベントを引き受ける事になりました。
東映動画の石川は、東映ビデオの牛迫俊機と協力し西武百貨店、広告代理店の大広ととともに全国10会場で展示会を開催します。
「各支社映像事業部」が全国各地の会場運営にそれぞれ協力。新入社員だった私も神戸ポートアイランドにあった「ダイエーバンドール店」に手伝いのために通いました。
「国立カイロ博物館所蔵 黄金のファラオ展」は、全国で約149万人の動員を集め、大ヒットします。
1985年10月にはエジプト政府のモハメド・アッシム観光大臣から東映ビデオ今田智憲社長に感謝状が手渡されました。
1985年11月、東映動画から石川芳彰が本社映像事業部SP事業室にプロデューサーとして配属されます。
石川は、かつて「北海道支社関連事業室」時代に海外旅行企画を何度も実施していました。
石川は、「黄金のファラオ展」で培った国際人脈を活かし、1986年10月からカイロで行われる「JAPAN FESTIVAL」での「江戸町セット」の設営やフェスティバルイベント企画に協力するとともに北海道支社時代の経験を活かし東映関係者に向けての「エジプトツアー」を実施します。
石川が所属する「映像事業部SP事業室」は「江戸村セット」のレンタル展開もしていました。
1986年10月18日から23日間にわたり、エジプトのカイロにて開催された「エジプト日本週間」は、会期中のべ5万人を動員し大盛況に終わります。
そのうち東映は、江戸村、先端技術展、レーザーショー、お茶・お花のデモンストレーションを実施しました。
⑯ 「映像事業部」国際催事のはじまり
時代は好景気を迎え、円高で海外出張や展示品の輸入もこれまでになく身近になります。
「黄金のファラオ展」で大成功を収めた石川は、この後、「映像事業部」で国際催事を企画、全国に営業して行きました。
〇 「コロンブス新大陸発見 カリブの海賊財宝展」
1987年7月、「本社映像事業部SP事業室」チーフ・プロデューサーとなった石川は、渋谷の東急百貨店本店を皮切りに「映像事業部」初の国際展示催事「コロンブス新大陸発見 カリブの海賊財宝展」の全国展開を開始します。
〇 「アメリカ・イベント事情視察ツアー」
また、1989年6月には関係者に向けて「アメリカ・イベント事情視察ツアー」を実施しました。
「全国各支社」や「事業所」から関係者が参加し、アメリカの最新テーマパークや博物館、ショーイベントなどに触れ、見聞を広げます。
以降、「本社映像事業部」が主催する「関係者に向けての海外ツアー」を次々と企画、「海外ツアー」は「国際展示会」と並ぶ事業となりました。
第1回 1989年6月17日~25日
第2回 1990年1月26日~2月4日
第3回 1991年9月20日~28日
第4回 1992年11月22日~29日
第5回 1993年6月17日~26日
〇 「国立カイロ博物館所蔵 ナイルが伝える悠久の遺産 黄金のエジプト王朝展」全国展開
1990年7月、大ヒットした「エジプト展」の第2弾として国立カイロ博物館所蔵「ナイルが伝える悠久の遺産 黄金のエジプト王朝展」の全国展開が、東京・池袋の「セゾン博物館」から始まります。
全国9会場で開催されたこの国際展示もおよそ95万人の動員を記録、大ヒットしました。
⑰「映像事業部長・草薙修平」時代の始まり
1990年6月、取締役で関東支社、北海道支社担当兼俳優センター営業部長の草薙修平が池田静雄に代わり映像事業部長と芸能事業室長を兼務します。
ここから、「明るく・楽しく・厳しい映像事業部」が始まりました。
トップ写真:「映画村エンタープライズ」が制作した「大阪城博覧会(大阪築城400年まつり)」特設会場「大阪城城下町」風景


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