「新疆ウイグル自治区」で潜入取材を試みた記者が、“リアルに死を意識した”出来事…「拷問器具の横で30時間以上拘束された」
「永久に入国させない」はハッタリか否か
——最終的に「5年間の入国禁止」を言い渡されたそうですが、この拘束によって自身の中国に対するスタンスに変化はありましたか。 西谷:「新疆での体験を世の中に発表したら、永久に入国させない」とも言われましたが、どこまで本当か分かりません。希望的観測かもしれませんが、現地の警察のハッタリかもしれません。ひどい目に遭いましたが、もう中国に足を踏み入れることができないかもしれないと思うと、ある種の望郷の念みたいなものが湧きますし、むしろ中国への思い入れみたいなものは強くなったかもしれません。我々の価値観で中国を批判して留飲を下げるだけでは、不健全で非建設的だと今でも思っています。中国の理屈を認める必要はありませんが、知った上で向き合わなければ、何も前に進まないのではないでしょうか。
言論の自由がない社会は他人事ではない
——新疆ウイグルのような監視社会は日本でも将来起こる可能性はあると思いますか。 西谷:中国のような国家の安全のためならどんな犠牲もいとわないやり方は、日本では簡単には起きないと思います。しかし、言論の自由がなくなった社会を他人事だと思うのはよくない。日本でも間違ったパーツや条件が重なれば起こりうるかもしれません。 国家レベルでは起きていなくても、誰も何も言えない、言わない方が得みたいな状況はブラック企業ではよくあることだし、ジャニーズの性加害問題も近いものを感じます。「国家のため」「会社のため」など何か大きなことを持ち出し始めると危うい気がします。そういう意味で、私は参政党の言動を注視しています。野放図になっている外国人問題に一石投じた点は一理ありますが、独善的なスタイルが中国共産党とそっくりなので恐ろしさを感じます。悪いパーツの一つにならないか懸念しています。 <取材・文/中野龍 写真提供/西谷格> 【中野 龍】 1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿
日刊SPA!