第20話 神経切断術

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私は、更に詰め寄ろうとしたが、院長は相手にするそぶりを見せず、看護師に促されて渋々診察室を出た。   ☆   その翌週、私は母親とバンドのメンバーのうちの一人に付き添ってもらって、病院を訪れた。   土田先生以外に、行くあてが無かったので、なんとかこの先生に治療をお願いしたいと思ったからだ。   皆で説得すれば、もしかしたら動いてくれるかもしれない・・・そんな淡い期待を込めての事だった。   ☆   この病気は私だけの問題では無い。   私の周りの人達みんなの人生が、この病気の為に少なからず狂ってしまった。   だから、皆もこの治療に興味を持ってくれてたし、私が一言、   「次の通院に付き添ってもらえんやろうか?」   と頼むと、2人とも仕事を休んでついて来てくれた。   ☆   しかし、3人がかりで説得しても、土田先生は首を縦には振らなかった。   「もし、こんな無茶な治療をして失敗したら、お前らワシの事を訴えるやろ!ワシは学界から追放される。」   と言って、頑として聞かなかった。   「もし何かあっても訴えません」という旨の念書を書いて、その場で署名・捺印して渡したが、   「こんなもんが、何の役に立つか。」と言って、取り合ってくれなかった。   ☆   結局、説得しきれないまま時間が押してしまった。   帰る前に、院長に頼んで神経ブロックをやってもらった。   母親とメンバーに、正常に動く手を見せておきたかったからだ。

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