47人が本棚に入れています
本棚に追加
麻酔が効いて症状が消えてる数十分間は、本当に幸せだった。
この状態がずっと続かないだろうか、、、それが私の心からの願いだった。
麻酔が効いて症状を抑えてる状態を持続させる方法について院長と色々話していく内に、教えてくれたのが、フェノールブロックと、神経切断術という2つの方法だった。
フェノールブロックは、麻酔の代わりにフェノールという薬品を打ち込み、神経を破壊することらしい。
そして神経切断は、腕を切開して神経を直接切る方法だ。
土田先生は、「我々の技術でそれは可能です。」と得意満面に言い切った。
「神経を切ったり繋げたりするのは得意だから」というのは頻繁に口にしていた事だった。
☆
私はこの先生を、人間的には付き合いづらいと思っていたが、腕は信用出来るとも思っていた。
すでにどの筋肉とどの筋肉を動かなくすれば、正常な動きを取り戻せることが分かっている。
迷わず私は、その手術を希望した。
院長はまた、「準備が必要だから1週間待つように」と言った。
☆
やっと、目に見える形で結果が出る。
今度こそ、何の障害も無いはずだ・・・そう意気込んで、一週間後に来院して、院長が告げたのは、手術もフェノールブロックも出来ないという事だった。
「こういう治療は倫理委員会の承認が要るが、この病院には倫理委員会が無いから」というのが理由だった。
だったら、どうしてお願いしたその場で言ってくれなかったのか、私が待った一週間は一体何だったのかと食ってかかると
「知らんかったんだから、仕方ないやろ。」と言われた。
・・・知らんかったって、あんたこの病院の院長でしょ。
もう、ぶち切れる寸前だった。
☆
「大体、どこもおかしくない正常な神経を切るような事が許される訳が無いやろ。」
・・・どこもおかしく無かったら、どうして自分の意思どおりに動かせない!?
どうして、スティックを握って振る事が出来ない!?
そんな疑問を投げかけると、院長は
「今、君は正常な状態では無いから、今日は帰りなさい。」
と言ったきり、一言も話そうとはしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!