第16話 退院

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入院は元々、月曜までの予定だった。   一週間以内の入院と聞かされていたので、お金もその分しか工面して無かった。   世間一般的に大した額では無かったものの、それでも更に1週間となると、2倍近い費用がかかる。   一生に関わる事だから、親に頼めば多分出してはくれただろうが、それを言い出すのは心苦しかった。   バイトも更に1週間、シフトに穴を空けるのは申し訳なかった。   問題は、それらを押して入院を1週間延ばしたとして、果たして症状を改善出来るところまでこぎ着けるのかという事だった。   結果も大切だが、それ以上に、全力で一生懸命治してくれようとする「気持ち」が欲しかった。   数日前に言われた言葉「・・・適当に打っても効くんですよ。」 「適当に」、その言葉が私の脳裏にこだました。   私の治療も、適当に行われているのだろうか・・・そんな思いが、どうしてもぬぐえなかった。   ☆   色んな事を天秤にかけて葛藤したが、答えはすぐに出さなければならなかった。   私は、バイトのその週のシフトを後半にずらしてもらい、2日だけ入院を延ばす事にした。   2日あれば、麻酔を2回打つ事が出来る。   筋電図モニターの下、きちんと目的の筋肉を探って打てば効くというのは、初日にやった事で確認が出来ている。   可能性を探るには、2日もあれば十分だと思った。   ☆   しかし、月曜、火曜と呼び出しは無かった。   火曜日の午後に、アシスタントの研修生を呼び出して聞いてみたところ、 「水曜日に教授回診があるので、教授に診てもらった上で今後の方針を決めたいと思います」 という回答だった。   釈然としない気持ちのまま水曜日を迎えた。

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