第10話 ディストニア?

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院長の土田先生は、激しくアグレッシヴな雰囲気の人だった。 しゃべるとドスの効いた低い声で、言葉数も少なく、私は自分の症状を説明しながら、場の重苦しい空気に耐えるのに必死だった。 まくし立てられるように、早口で簡潔に自分の症状を説明した。 それから先生は私の腕を触ったり、木槌で叩いたりした。 大丈夫だろうか・・・私の状態はちゃんと伝わったのだろうか・・・ ☆ そんな事を考えているうちに、土田先生はおもむろに私の手を置いて、おもむろに所見を述べ出した。 「第1に神経の圧迫、第2に血行不良、、、そして、第3に、、、」 ・・・いくつか可能性を示された事に驚いた。 初めて医者らしい?まともな?所見を聞いた気がした。 「・・・第3に、ディストニアという難しい病気の可能性がある。」 ディストニア???・・・初めて聞く病名だ。 難しい病気という事だが、一体、どんな病気なんだろうか・・・私は恐る恐る、説明を求めた。 ☆ 土田先生によると、手を動かす筋肉は何本もあって、互いにバランスを取りながら動作を行っているのだそうだ。 ディストニアとは、そうしたバランスが崩れ、正常な動作をしなくなる病気という事だ。 症状の出方は人によっても、部位によっても様々で、常に目がぴくぴく痙攣したり、常に首をかしげた状態だったり、手や足が不自然な姿勢のまま硬直したりといった症例があるらしい。 また、症状がずっと出っ放しの人もいれば、私のように特定の動作をした時にのみ症状が出るといったタイプもあり、実に多種多様な病気だ。 ☆ 難しい病気・・・治す方法があるのだろうか・・・私の興味はその一点のみ。 私の質問に、意外にも土田先生は自信ありげだった。 「最先端の治療法は、ここに食中毒で有名なボツリヌス菌を打つ事や。」 そう言って、自分の腕を指差した。

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