Jリーガーからバス会社に「飛び込んだ」數馬正浩さん 運転手経て国家資格に挑戦中
選手時代にセカンドキャリアなんて全く考えていませんでした。何のプランもない、でも働かなくてはいけない。バス会社の仕事はハローワークで見つけました。京王バスは大きな会社で安定している。仕事のない時期のつらさを経験しているだけに、安定した仕事に魅力を感じました。
《入社してみると、仕事が肌に合った》
バスの運転手は1人で何でもしなくてはいけない。逆に言えば、運転手が車内の雰囲気を作ることができるんです。それに先輩や上司に恵まれました。アドバイスもしてくれ、真剣に向き合ってくれる。今の運行管理の仕事も周囲が助けてくれています。
《バスをはじめ運転手不足が言われている》
車や免許に興味がない人が増えてますしね。「バス運転手の仕事はきつい」といったイメージも影響しているようです。もちろん安全に関しては厳しい面もありますが、しっかりやればお客さまからうれしい言葉もいただけます。
《転機を経験した身としてメッセージを》
まずは飛び込んでみることが一番です。やってだめなら、また探せばいい。飛び込む勇気が出ないときは周囲に相談する。自分も多くの人の助けで、ここまでやってきました。人との関係は本当に大事です。ただ、若いころは未熟ゆえに感謝を示せず、サッカー関係者ともあまり連絡を取っていません。後ろめたさもあるのかな。今後は感謝を伝える行動を起こしていきたいです。
《サッカーから離れて以来、ほとんどボールに触れていなかったが…》
実は昨年から始めたんです。職場の先輩に誘われ、地域の40歳以上のチームに入りました。断然うまいかって? いや、多少はうまいかもしれませんが、(一対一で)抜かれてしまうこともあります。でも、サッカーをやっていると楽しい。好きだったんだと今、思います。
數馬正浩
かずま・まさひろ 昭和57年、神奈川県生まれ。横浜F・マリノス、ベガルタ仙台を経て、JAPANサッカーカレッジを平成20年、退団。さまざまなアルバイトを経験し、25年に京王バス南(現京王バス)に入社。東京・多摩地区で運転手をした後、運行管理に補助者として従事している。