埼玉・川口の医療センターで100人規模の大暴動。クルド人同士が対立したきっかけとは
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先ほどこの件はほとんど新聞が扱っていないと書いた。そんなことあるのかと思われるかもしれないが、これほどの騒ぎを大新聞はすべてスルーしている(「朝日新聞」はこれによって差別的な言説が広まることを心配した記事を掲載している)。 なお、ドラッグを使っていた24歳の男は殺人未遂、麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたものの不起訴のままトルコに帰国。ところが、2024年5月に日本への再入国をくわだてた。 2024年6月19日付の「産経新聞」と「週刊新潮」(6月27日号)によると、この男は入管のフロアに寝転がって帰国を拒んだ。 「帰りたくない!」「救急車を呼べ!」──叫んで暴れて、羽田空港内の入管施設に収容された。すると、クルド人の男はハンガーストライキを行った。 食べなければ元気はなくなる。治療を要求して川口へ行き、ファミリーに保護された。しかし医師の診断は「治療の必要なし」。男はトルコに送還された。 その際、送還させようとする入管への抗議で、空港に約20人のクルド人や支援団体のメンバーが集まり騒ぎになっている。男のファミリーは捨て台詞を吐いたという。 「すぐに再来日させてやる」「弁護士やマスコミを連れてくる」──入管が動かなければ、薬物を摂取し刃物を振り回し殺人未遂で逮捕されたクルド人にまた入国されてしまうところだった。 ちなみにこの再送還にはトルコ航空機を利用。一般の乗客も乗っている。当然入管の引率も必要。送還に必要な数百万円のコストは日本の税金でまかなわれている。 川口市立医療センターを実際に訪れると、首都高速道路川口線と外環自動車道が交わる川口ジャンクションの近くの静かな地域にあった。それでも、朝から地域住民が次々と集まってくる。行政がつかさどる総合病院ということもあり、地域住民の命を支える重要な役割を担っている。その機能を5時間半止めるのはとても危険だと感じた。 『おどろきの「クルド人問題」』 きっかけは「埼玉県川口市に実際に住んで、クルド人問題を取材してみませんか」という編集者からの提案。ケバブ店、クルド人御用達の朝食食堂、シーシャバー、解体業者、教育現場と市内を縦横に駆け回り、子ども、住民、市議会議員から市長にまで話を聞き、見えてきたのは「多文化共生」という理想と現実のおどろくべきギャップだった。 ¥968/新潮社 石神賢介/Kensuke Ishigami 1962年生まれ。大学卒業後、雑誌・書籍の編集者を経てライターに。人物ルポルタージュからスポーツ、音楽、文学まで幅広いジャンルを手がける。三十代のときに一度結婚したが離婚。著書に四十代のときの婚活体験をまとめた『婚活したらすごかった』など。
TEXT=石神賢介
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