北陸フィッシングショー2013
ブリーデンブースのトークLIVEスケジュールは以下の通りとなります。
僕も今初めてお題を知りましたw
エギZさん、レオンさん、サミーさんのお題も、これからの北陸ライトリグの釣りにどはまりする内容であること受け合い。
是非ブリーデンブースにお立ち寄りください!
北陸フィッシングショー2013
ブリーデンブースのトークLIVEスケジュールは以下の通りとなります。
僕も今初めてお題を知りましたw
エギZさん、レオンさん、サミーさんのお題も、これからの北陸ライトリグの釣りにどはまりする内容であること受け合い。
是非ブリーデンブースにお立ち寄りください!
4月になりました。
我が里山もそろそろ山菜の季節です。
枯れているように見えた庭のタラノキからは今年も鮮やかなたらの芽が芽吹き始めました。
1年で一番好きな季節。
ただ肝心の海がちょっと低調なのが気になるところではありますが...。
さてそんな4月。
4/7に「北陸フィッシングショー2013」が開催されます。
今回、初めてブリーデンブースに参加させて頂く事になりました
【トークライブ予定】
・レオン
・エギZ(ナビゲーター:ブリーデン村井)
・津田ヒロヲミ&森健太郎
・サミー仙人(ナビゲーター:森健太郎)
(※順番や開催時間はまだ未定です)
(僕を除けば)超豪華な顔ぶれですね。
ご覧の通り、不肖わたくしつーもトークライブなどという事に...。
健太郎さんとのトーク形式のセミナーをやらせて頂きます。
健太郎さんと言えばまだメバリング黎明期の10年以上前からこの世界の先頭を走って来たお方。
僕にとってもずっと憧れであり目標でもあり、「めばるing」のHPを隅から隅まで熟読したもんです。
その健太郎さんと同じステージに立たせて頂けるという事。幸せですけど緊張するなぁ。
もちろんお題はメバルオンリー。
でかいメバルに的を絞った「季節と場所」についてお話しさせて頂こうかと思います。
聞くところによれば(ロッドを含めた)豪華景品も多数用意との事。
是非是非皆さんお誘い合わせの上、ご来場下さいませ!
2013/3/9
たかかんさんと富山釣行。
この時期の富山はなんと言ってもホタルイカであり、それを補食するデカメバルを狙おうという魂胆。
ホタルイカは新月に湧くらしいのでこの日程を選び、おまけにその好条件である南風も吹いて期待はもうムンムンである。
高速を一気に飛ばして東部の海岸に入る。
このポイントは去年の5月にもたかかんさんに連れてきてもらった。
砂地のショアに延々と防潮堤が築かれテトラが入り、その沖50mにも断続的に沖テトラが続く。
途切れ途切れの沖テトラの間から1.5m程のうねりが流れ込んで内側に潮目や水のよれを作る。
ショアと沖テトラの間には所々に沈みテトラがあり藻場もあり、それが魚の着き場となっている。
越前海岸ではちょっとないシチュエーション。
富山には磯場がない。航空画像で端から端まで探してみたがついに一箇所も見つからない。
富山平野自体が、銀屏風のように背後に聳える立山連峰から流れ下る無数の河川によって作られた扇状地だからである。
隆起や沈降によって形作られた越前海岸とは成り立ちからして違う。
だとしたら、身を隠す事のできる硬いストラクチャーを好む根魚はテトラに着く意外にない。
富山のメバルのキーはテトラである。ひたすらテトラである。
19:00
小さな川の流れ込みが絡むポイント。水量は豊かで沖テトラまでその流れのラインが目視できる。
その流れと沖からのうねりがぶつかる位置でそのラインが緩やかに広がり海に溶け込んでゆく。
その位置を中心にハードルアーやジグヘッド単体、ボトムワインドまで駆使して探って行くがあたりがない。
たかかんさんも一通り打ち終わって状況を見切ったのか携帯などを触り始める。
その感じはよくわかる。
良く知ったポイントで、これを使ってあそこを撃ってここを撃って、それであたりが出なかったらそれはもうお魚がいない。
深追いする価値のない事が感覚で分かるのである。
「一回ホタルイカが接岸すれば魚は居着くんですけどねぇ」
帰り際に照らした海水はうねりによって巻き上げられた砂の粒子によって薄濁りである。状況はあまり良くない。
やや西部に移動。
「ここ好きなとこなんすよ」
シチュエーション的にはさっきのポイントに近いがテトラの入り方が複雑で足下から水深があり雰囲気のある場所である。
うねりは更に高くなり沖テトラを越えて高速の波が寄せてきて打ち上がる。
沖テトラとショアとの空間に太い潮目が走り、撃ち場所の特定はしやすい状況、ではある。
しかし潮目を狙って撃って行くがやはりあたらない。
沈みテトラも複雑なようでがっちりと致命的な根掛かりが頻発し何度か切ってリグを組み直す。
そんな中、たかかんさんがあたりを出し始める。
沈みテトラの乱立するシャローでのホタルイカ系のワーム。
下から瞬間的に突き上げる食い方らしくバルキーなワームが弾かれて口に入らないようである。
濁りは更に強くなりリグと魚との距離が近くなければ食わない状況。魚はいるようだが釣れてくれない。
かなりの長時間しつこく攻め続けるがそのうちあたりもなくなりこの場所も見切った。
厳しいな。甘くないな。
時刻はもうすでに日付をまたぐ辺りである。小腹がすいてコンビニでカップラーメン休憩。
がらんとした駐車場の車止めに2人並んで座りずるずると麺をすする。会話もあまり弾まない。
今日はずっと無風だったのであるが、この頃から急に南西の風が強まり始める。爆風に近い強風。
状況は益々厳しくなる。
更に西部の港湾部に差し掛かると港が何やら賑やかである。
穏やかな巨大漁港の中をぐるりと囲むように5m間隔で投光器が並ぶ。
それぞれの灯りに網を抱えたおっちゃん達が陣取りホタルイカの接岸を今か今かと待ちわびている。
しかし覗き込んでみた明るい水中にホタルイカの姿はなく、白魚のような魚がちょろちょろと泳ぐのみ。
ホタルイカパターンを求めて来た富山であったが、今夜はないのか...。
ところが移動の途中でたかかんさんの友人からホタルイカの「身投げ」情報が入る。程近い場所だったので急行した。
広大な砂浜のサーフ。暗闇の浜に無数のヘッドライトが揺れていた。
数100人単位のものすごい人出。子供までいる。これが午前1:00の海かよと笑ってしまう。まるで闇の中の怪しい祭りである。
うねりの高い海にたかかんさんは躊躇なくざばざばと入水して行った。こんな風に。
見よ。これが男の背中だw なんて男前...。
特殊部隊並みの装備に身を固め、胸の高さまで来るうねりの中を決死の覚悟で入水し、親指程の小イカを掬うのである。
時々、「わ~いっぱいいるぅぅ」などと、うわずった声を上げながら...。
僕は初のホタルイカ掬い。
決まって続けて3波来るうねりの合間を見てお尻辺りまで入水して網をふるう。
数匹連れ立って波間を漂うルビー色のホタルイカはとても愛らしい生物だった。そしてなんとも美しい。
5つ6つと夢中で掬い、ふと顔を上げると次のうねりがもうすぐ目の前に壁のようにそそり立っている。
あわてて取って返し、傾斜の急な砂浜をダッシュで駆け上がり波から逃げる。それを何度も繰り返す。
重いウェーダーを引きずりながら、すぐに息は上がり汗だくだったが、この遊びにはえも言われぬ快楽があってやめられなかった。
浜には無数のホタルイカが打ち上げられて白くなり息絶えている。それが「身投げ」と呼ばれるゆえんである。
綺麗だなぁ。
その体は想像よりも硬くてぬめりもなくプチッと引き締まる。海の栄養が凝縮されて生物の形に変化した奇跡のような塊である。
人も魚も、これに熱狂する理由がよくわかった。
この実感がなければ、おそらくホタルイカパターンの釣りはできないだろうとも思った。
波間を漂う姿に釣り方のイメージが浮かぶ。魚がどういう気持ちでそれを食べるのかも想像できた。
確信を持ってイメージする事。それができる事。
釣りにとって、最も大切な事なのである。
更に西部に移動。南の強風は収まらない。車が揺られる程の風である。
富山のうねりは濁りと同義語であるので、たかかんさんは波裏にあたる港湾部の奥のテトラ帯を選んだ。
そして彼の読み通り波は全くなく完全な平水であり、この日初めて水も澄んでいた。
そして不思議な事に、あれだけ吹き荒れていた風がここだけ全く吹いていない。
これは助かる。精度のある釣りをする事ができる。
しかし、このポイント。道ばたの、何の変哲もないテトラ帯。
水深はあるらしいがテトラのサイズが小さい。
テトラのサイズと、着く魚のサイズは比例すると思っている僕は、もしこれが越前海岸にあったとしても入らない部類のポイントである。
適当に、水面から1m程の高さの足場の良いテトラに立った。たかかんさんは更に奥に深く入って行く。
さてと、と海を見渡してみるが、その雰囲気の「ぬるさ」にどうにも攻め方のイメージが湧かない。
とりあえず、地形を把握するために尺ヘッドD-type4gを沖に投げてボトムワインドで探ってみる。
40mの距離で水深は10m近い。
扇状に広く探るが底質はいつまでもどこまでも砂で、魚の着き場になり得るような硬いものがどこにもない。
手前の底まで時間をかけて探り続け、テトラの始まる位置を探してみるとそれはあり得ない程手前にあった。
足下で6m程の水深。このテトラ帯はその深さで垂直に近い急角度で積みあげられている事を知る。
であれば、ポイントになりえる場所はその「壁」にしかない事になるか...。
その探索の途中、ワインドでしばかれたライン付近の水面で2度青い発光があった。
ホタルイカがいる...。
ホタルイカはいつでも発光しているわけではない。何かの刺激を受けた時にだけ発光する。
恐らくワインドのラインがホタルイカに触れたのである。広い海のその確率を考えてみればある程度数もいるはずである。
ルアーをminimaru65のサクラグローに替える。リアフックには2つ、ブルーの発光玉を刺してある。
さっき浜で見たホタルイカの動きと、このルアーのアクションは完全にシンクロした。
ボディーサイズ、i字系アクション、テンションフォールでの漂い方、ボトムでのスタンディングのゆらゆらとした動き。
身投げの海岸で浮かんだイメージをそのまま再現する事ができると感じた。
ただ、それを補食する魚がこの場所にいるイメージがまだ湧いてこない。
ホームである越前海岸の、こういう雰囲気の場所で良い魚を手にした経験がなかった。
3:30
minimaru65を沈めてみる。
左斜め45°。フルキャストして6mの水深をラインを出しながらゆっくり沈めた。
柔らかい砂底の着底感は明確ではなく、ティップを前後に小さく出し入れしながらテンションを測り確実に底をとった。
砂の感触を感じながら、そのままナメクジのような微速でズル引く。
ゆっくりとテトラが始まる位置まで斜め方向からアプローチして行く。そして想定していた位置でごごっとテトラを感じる。
特に企みがあったわけではなく、さっきまでのボトムワインドの動きの残る右手が、自然にぱんぱんと2発強いジャークを入れた。
そしてそのまま1mほど跳ね上がったルアーを微妙にさびき、そのテンションを使ってほぼそのレンジで漂わせる。
コン!
今日初めての生命感に反射的にロッドが立つ。どすんと乗った重量は全く想定していない重さだ。
その魚は走らずにただモゴモゴと身をくねらせる。でかいカサゴか?キジハタか?そんな感触。
リフトアップして来た中層で一度突っ込まれテトラにロックし掛かるがタックルにはまだ余裕があり問題なく引き出した。
水面に魚が出る。ゴボリゴボリと身をくねらせて静かな水面に渦を作る。
でかい...。抜けるか...。
重さを測る。ぎりぎりか。
冷静に、片手でバッカンのふたを開け、ロッドの長さの距離に置く。
ゆっくりと抜いた。その重量でドラグがチリッと泣く。
足場の高さまで持ち上げ体を回し、バッカンの中にそっと落とした。
クロソイ37cm。
フットボールのような見事な魚体。抱卵個体ではなく、ぐにゅぐにゅとした感触のお腹は全て脂肪と食料でできている。
嬉しさよりも先に、只々びっくりしていた。
こんなの...越前であればオフショアサイズである。しかもこの「ぬるい」と感じるテトラ帯で...。これが...富山か...。
そしてこうも思う。思ってしまう。
「メバルの37cmってこんなんなんだよな...。遠すぎるな...。」
minimaru65 サクラグロー
フロントフックががっちりと上下の口を縫い合わせている。ためらいのない確信を持った食い方。
ラジペンを忘れ、外そうにも外しようがなく、口に付けたままスナップを外した。
しばらく休み、充実感と脱力感を感じながら釣りを再開する。
サクラグローはもうなく、同じminimaru65 稚鮎を選びこれにも夜光玉をセットする。
時刻は朝マヅメと言っていい時間帯に差し掛かっていた。
しかし正直、さっきの1発でもう十分であって、のんびりとテトラ際中層をスローに流した。
何の欲もない釣り。
こつんとカサゴ20cm。
こつんとメバル20cm。このサイズを何本か追加。
例外なく下から食ってくる。今、この海がホタルイカパターンである事はほぼ間違いなかった。
ストラクチャー絡みでフロントフックに魚が掛かればベイトは「逃げる何か」である。
しかしこのサイズ。
そうだよな。これが普通だよなw
あの37cmはフロックである。そう思った。
この期に及んで、僕はまだこの場所を信じていなかった。
たまたまの幸運が口を開けてルアーを食ってくれただけだよな。そう、思った。
しかし。その直後。それが間違いである事を思い知る。
まだその片鱗しか知らぬ「富山Quality」を思い知らされる。
4:30
その頃から風が吹き始める。背後からのもわっと暖かい南風が後頭部を洗う。
穏やかな海面に、その風が黒いちりめん皺に姿を変えて沖に走っていく。
そしてそれまで止まっていた潮もわずかに効き始めた。右から左へゆっくりと流れる。
「ん?...浮くかな...」
ほぼ中層から下を流していたminimaru65のレンジを水面に変える。
右斜め45°から撃ち始め、徐々に角度を浅くして数投でテトラ際まできた。
ひとつの崩れテトラぎりぎりを狙った1投。狙いよりも更に際どくぎりぎりに入ってしまいあわててロッドを煽る。
そのままロッドを下げてスラックをとり、リトリーブを始めようとハンドルを回そうとした。時。
カツンッ!
強く硬質なあたり。また体が反射的にあわせを入れる。その瞬間、水面がゴボッと派手に渦を巻いた。
!!!
距離は20m。恐ろしいトルクでその魚は一気に向こうへ走る。締め気味のはずのドラグがじぃぃぃと長く出された。
手に感じるその感触とこのぬるい(と勝手に思い込んでいる)場所、シチュエーション。
そのあまりにも激しいアンバランスさに頭が混乱する。
何なのここっ!!
渾身のゴリ巻き。
どんな魚であっても大抵ベリーの粘りだけで片を付けてくれる85PE specialが完全にバットまで入った。
その魚は何度も何度も突っ込んだ。そしてある突っ込みでテトラにロックされかける。
ずるると根ずれのいやな感触がきたが容赦なくロッドを煽り、引きずり出した。
しかしほっとするのも束の間、また次の突っ込みでもそれを繰り返す。
それもなんとか引きずり出すが、またまた三たびロックされかける。心臓に悪い。「ほっとするのも束の間」にも、程がある。
勘弁してくれぇぇ。
だがそれが最後の抵抗だった。3度目のロックもなんとかかわし魚はオープンの水面に浮いた。
さすがにLEDを点ける。リーダーは白くささくれ立っている。ゆっくりと、慎重に寄せた。
足下まで来たが明らかに抜くわけにはいかず、水面レベルのテトラに滑り降りる。
しゃがみ込んだ目の前に「あり得ない魚」が浮いていた。さっきと同じクロソイではあるが、身に纏った魚格が全く違う。
その姿に戸惑いながらそっとリーダーに手をかけ手前に引き寄せる。
まるっきりバスのランディングのように、大きく開けられた口に親指を深く入れ、強く掴み、水から上げた。
なんだ...。これは...。
呆然とするしかなかった。
あり得ん...。怖すぎる...。
口を掴まれながらまだ尚どすんどすんと重く身をよじる。
鋭く細かい牙でグローブ越しの指に痛みが走った。堪らずバッカンに入れる。
なにこの怪獣映画。ゴジラvsモスラかw
ちなみにこのバッカンの幅は400mmである。37が、可愛く見える。
まだ呆然としていた。魚よりも何よりも、この場所に対して呆然としていた。
こんなのがテトラ際水面で、ほとんどtopに出るような出かたで出てくるのである。
45cm。口の位置が大きくずれているように見えるが実はこれでぴったり合っている。
えらを張ったままどうしても閉じてくれず口の位置が高くなってこう見える。その張ったえらの幅だけで実に20cmあった。
それにしてもこのサイズ。オフショアでもでかい。
オフショア...。オフショア...。あ、そうか。オフショアか...。
この海は、手練のサーフキャスターがフルキャストしたとすれば、場所によってはその距離ですでに水深100mである。
ショアとオフショアの距離が異様に近い。
ぬるいと感じていたこのテトラ帯も言ってみればもうオフショアなのである。
ホタルイカのような何かのきっかけがあればdeepの巨魁もすぐにショアに駆けつける事ができる。
富山Quality。
おそらくそれがその理由である。
夜が明け始めた水面にぽつんぽつんと小さくライズが出始める。
名作の誉れ高いB師匠の「多い日夜用slim crystal」でのんびりと水面を流した。
〆のデザートのように、このサイズをいくつか釣る。
こんなサイズであってもどれも律儀にフロントフックに掛かってくれる。
しばらくすると空の明度がふと、マヅメが過ぎた事を知らせた。
終わりだな...。そう感じる「ある明るさ」がある。ルアーを手に取ってガイドに掛けた。
遠くのたかかんさんを見ると彼もそのタイミングで仕舞支度を始めていた。
この「感覚の近さ」が、この人と釣りをする楽しみなのである。
写真を撮ってもらった。
たかかんさんが言う。
「45はなかなか出ないですよ。それもひとつじゃなくてそのサイズふたつって、やっぱ意味がありますよ」
うん。その通り。
Quality fishをひとつとふたつでは全く意味が違う。
45を手にしてから僕が感じていた事を、この人はよくわかってくれていた。
偶然と必然。
ひとつならどうであっても可能性があるが、ふたつは、やった事全てがはまらないと出せないのである。
「やっぱつーさん持ってますわw」
そんなふうにたかかんさんに褒められると、僕ののどは猫のようにゴロゴロと鳴って身をよじりそうになるのであるw
TACKLE DATA
ROD/BREADEN Glamour Rock Fish TR85PE special
REEL/ DAIWA 10’CERTATE 2506
LINE/VARIVAS High Grade PE0.6G
Leader/VARIVAS Avani Eging Plemium shock leader 8lb
Lure/BREADEN minimaru65サクラグロー,稚鮎
Juck-Nick lures 多い日夜用 slim crystal
いつも、このダービーが始まる前には目標の数字を設定する。
自分の持つフィールドのポテンシャルと、自分自身のスキルを経験で照らし出して設定する数字である。
そしてそれにプラスアルファとして少し上乗せをする。自分の成長を願ってのプラスアルファである。
3ヶ月一本勝負リミット5本にレギュレーションが変更された今回。
その数字を147cmと設定し、そう公言した。それが勝つための数字なのだと。
5本147cm。
最もシンプルにその数字を分解してみれば、30cm×2本+29cm×3本である。
あるいは29.5cm×4本+29cm×1本でも同じ数字に到達する。
この2つの数字を比較した場合、前者よりも後者の方がはるかにイージーである。
更に言えば29.5cm×5本の147.5cmの方が、尺混じりの147cmよりも幾分イージーであると感じる。
29.5であれば間違いなく出せる。29.8も出せるかもしれない。
しかし30はなかなか出ない。
出せないというより「出ない」のである。
2012/12/29
この時点での僕のスコアは140.4cmである。目標の147cmには遥かに遠く及ばない。
期待していた12月ももうすでに最終盤の年の瀬を迎えやや焦りがあった。
特に確信もなく、先シーズン良い釣りをしたやや北の磯場に入る。
波は久々に1mに落ち、この場所の魅力である沖磯手前の水のよれが出ていない。
それにメバルのシーズナルパターンとしてこの場所はすでに終わっている感触もあった。
ここはメバルが群れになって集まり交尾を行うタイミングで機能する場所である。
今はそれを終え、サイズを持つ個体は群れを離れて各々が良いと思う場所にタイトに着く時期なのである。
しかしあるいは..と思いこの場所に立ったのであるがやはり予想通り、25,6をいくつかバラバラな位置で釣ったのみで沈黙する。
だめだな...。まずいな...。
得意の12月中盤をことごとく時化と西風で外し続け、どういう釣りをすれば良いのかが見えなかった。
先シーズンは魚の動きを連鎖的に読んで、今日釣れた理由、次に着く場所、そのことごとくが見える釣りができたのであるが
今シーズンは週に6.5日は荒れる海の状況にその連鎖性が分断されてストーリーが組み立てられていなかった。
時期的には条件の良いストラクチャーのピンである。そのはずである。しかしその釣りをするには確信が必要なのである。
なぜならサイズを持つ魚がそのピンを離れて口を使うのはほんの一瞬であって
そのタイミングを外さずに掛けるためにはひたすら打ち続けなければならないからだ。同じ場所を、何度も何度も。
そんな不安で辛い釣りをやり通す確信がなかった。
あるいはまだ遅れているのではと、交尾絡みのセミディープのポイントを打ち続けても答えが返らない。
もしかしたら意地悪く荒れ続ける海に愛想を尽かして、魚はもうどこにもいないのではないかとの不安にも苛まれる。
ほんとに、全く、見えていなかったのである。
「ある人」にすがろうと車を南に走らせる。
事前のメールで「入る」と聞いていたポイントのやや手前の磯の入り口にその人の車を見つける。
ここか...。
この場所は紛れもなく「条件の良いストラクチャーのピン」である。
やっぱりそう思ってるんだなぁ...。
越前海岸のシーズナルパターンを熟知しているこの人は、迷いなく「時期通り」の場所を選んだのである。
奥に深い磯場に入って行く。
その行き止まりの、そのまた先の凪でなければ乗れない低い磯場でたかかんさんがしゃがみ込んでリグを作っていた。
「どおっすかぁ~?釣れましたぁ~?」
独特の鷹揚のたかかんさんの声が絶壁の前の磯場に響く。
「だめですね。25とか6とか。ぽつぽつと...」
もごもごと、そんな景気の悪い返事しかできない。
15m沖にある2つ並んだ沈み根のまわりを探る。
そこもピンにはなり得る場所ではあるが、このポイントの本当のピンはたかかんさんが打つ磯際の方向である。
基本的な水深は3m。その磯際に背後の絶壁から崩落した岩が露出したり沈んだりして険しく複雑な岩相を形作る。
波があればその位置から沖に長くサラシの払い出しが発生し、凪げばその場所自体が魚の潜伏場所となって機能する。
一枚岩ではなく、個々が独立した根である事。それがこの時期の単独行動を好む「サイズを持つ魚」が潜む条件なのである。
確信も自信もないまま沖の根を探る。理屈では分かってはいるが、今がその時期である確信がまだ持てない。
深くタイトなリトリーブにあたりが出る。15cmのカサゴである。次もまたカサゴである。
「ははは。釣れましたよw」
竿先にぶら下げたままたかかんさんに見せる。
「なんかそんな感じっすねぇw」
微妙なあきらめを含んだほのぼのとした雰囲気が漂う。
リグを変えるためにポイントを離れたたかかんさんが
「そっち打っていいっすよぉ~」
と場所を譲ってくれた。
「じゃあたかかんさんこっちでカサゴ釣って下さいよ。正月の料理にするからw」
「了解で~すw」
たかかんさんはダウンショットで沖の根回りを釣り始めた。そしてすぐにカサゴを掛ける。20cm。そしてその次も20cm。
僕が釣ったカサゴはどれもみんな15cmである。しかしたかかんさんは20cmなのである。
同じ方向に投げてはいるが、僕の投げたリグは本当のタイトには打てていなかった。
しかしこの人のリグは真にタイトに根際に入っているのである。
小さな魚の移動距離は長い。サイズが上がるほど短くなる。
5cmのサイズの差に、その「基本」が明確に現れる。その事がはっきりと分かる。
こんなほのぼのとした釣りでもこの人の「凄み」がふと顔を出す。隠しようもなく現れる。
やっぱこの人はすげぇな...と、何度も思った事を、また思った。
何気なくジグヘッドのリグをAKM48に替える。ナミノハナの回遊情報を耳にしていたからである。
まだ確信のないまま磯際のきつい根の中をリトリーブ。ベイトフィッシュを意識した速いリトリーブである。
その辺りから風が吹き始めた。今シーズン苦しめられ続けている南西の風である。風波が立ち、しぶきを浴び始める。
またこの風か...。しかし、吹き始めならタイミングになるか...。
そう思うがまだ確信が持てない。
そんな中途半端な気持ちのまま、ちらちらとたかかんさんの釣りを見ながらリトリーブしていた、時。
「ドン!」
よそ見をしていた腑抜けた腕に唐突な衝撃が走る。びくっ!と反射的に合わせ(的なものw)を入れた、が外す。
「うわっ!あたったぁ!けど外しましたぁぁ!」
「あたりましたぁ?マジっすかぁ!」
たかかんさんは釣りをやめ、背後に来て僕の釣りを見つめる。この人はよくこれをやる。
風波が強くなり「ここしかない」リトリーブラインがサラシになる。比重を失った水面の水にリトリーブがやや深くなる。
引き波にルアーの抵抗を感じる。AKM48のさらさらさらさらとした軽やかなローリングがティップに伝わる。
2投、3投、4投...。答えが返らない。
5投、6投...。あぁ、だめか...と思う。さっきのあたりの感触から見て多分フックはかすめている。
「もう無いか...」と微妙にあきらめが来る。
肩の力が抜けたのが分かった。屈み気味の姿勢がすっと立った。
「だめ...か...」
そのあきらめが良かったのか。力が抜けたのが良かったのか。
惰性で続けたあるリトリーブ。ズンッ!と重くリーリングが止められた。
「うぅわっ!!!!来た」
「来ましたぁ!?でかいっすかぁ!?」
「でかいっ..と思います..けど..あれ..軽い..小さい?あれ...」
魚はこちらに向かってぬるぬると泳ぎ始める。抵抗が抜けて簡単に寄ってくる。あまりにもあっけなく、足下まで寄せ切った。
しかしそこで一発、強烈なトルクで突っ込まれる。ガチ締めのドラグがチリリッと鳴った。
「いやっ!でかい。でかいでかいっ」
突っ込みをかわして水面に出す。躊躇せずに一気に抜いた。
「行ったんじゃないっすかぁ!!」
たかかんさんが興奮気味で叫んだ。
魚を照らす。
「いや...行ってない..でしょ...。うん...行ってない行ってない。9...ちょいですね...」
29.5cm。根と海藻に染められた茶色のブルー。
思う必要の無い事、ではあるが、たかかんさんの魚を釣ってしまった、という苦い感触が来た。
後から来て、良い場所を譲られ、そこで海の状況が変わった一瞬のタイミング。その時そこに投げていたのが僕だったというだけだ。
しかし抜き上げの時に聞いたたかかんさんの声に「嫉妬」の色はなかった。むしろ喜びを含んだ声に、僕には聞こえた。
余計なお世話かもしれないがたかかんさんの名誉のために書いておく。
たかかんさんはこのダービーで結果としてリミットも果たせず25位に沈む。しかしこの人の本当のスコアは146cmなのである。
ある北の磯場で、ある日たかかんさんは29upを8連発させた。
「目測ですよ」とのことだが、その中には29.5も2本いたそうである。
しかし直後に至近距離の落雷があり、計測どころではなく逃げ帰る。
帰り着いた時にはバッカンの中の魚は口を開いた死魚になっていた。そんな写真を撮って登録する事を潔しとしなかった。
僕がうろうろと彷徨いながら3ヶ月掛けて積み上げたスコアと遜色の無い数字に、ほんの数十分でこの人は到達してしまうのである。
週に1度か2週に1度。隣県からひょいと週末の混んだ福井の海に来てそんなのをさらって行ってしまう。
知る限り、北陸ではこの人がNo.1である。僕などとはちょっと、器が違うのである。
2013/1/1
前半後半の区切りのない今回のダービーに、久しぶりにゆっくりと年越しを過ごした。
ちょうど海も荒れて心穏やかな正月である。
元旦の夜。海辺の、ある小さな神社に初詣に行った。人なんて誰もいない。
6畳ほどの狭い社殿の中は小さな裸電球の灯りひとつだけで、空気はきんと冷えきり厳かに引き締まっていた。
正座をし、白い息を吐きながら、小さな賽銭箱に100円玉を投げ入れ、柏手をうち、頭を垂れる。
祈り事はこれしか思いつかない。
「でかいメバル釣らせて下さい。ほんとお願いですから釣らせて下さい」
目を閉じて、そうつぶやきながら「他に無いのかよw」と我ながら思う。
...無いのである。
2013/1/4
荒れ続ける海に業を煮やして海に走る。正月休みもいつまでもあるわけではない。
北から見て回るが話にならない風と波。3mまでならやる覚悟はあるがそれをはるかに越えて物理的に釣りができない。
ただ希望は北の風と北のうねりである事である。越前海岸の魚はこの風と波を基準に生きているのである。
この風とこの波であれば、必ずどこかにポイントは存在する。
比較的波の穏やかな南に降りてあるポイントで車を止める。
そこには旅館があり、正月休みの泊まり客で全ての客室の灯りがともっていた。
ちょうど宴もたけなわな時間帯であり、1階にある宴会場からも灯りが溢れ、賑やかな嬌声が外まで聞こえる。
これがこの場所のパターンである。
その南に広がるシャローフラットに、満員御礼の旅館の明かりが当たってぼんやりと照らすタイミングにこの場所は機能する。
近くにある岬から北の波が回り込み、見渡す限りの海面に何本もの潮目が浮かんでいた。すでにいくつかライズも見える。
「いただきw」
足下の堤防の影に尺head D-type2gにAjiymを流す。
影と灯りの境界がくっきりと出て、来るぞと思った瞬間コンッ!と気持ちのよいあたりが出る。
至近距離で22~27cmを連発させて届く範囲を釣り切る。
リグをdo-yo dama Fのフローティングキャロに替えて長距離を打ち始める。狙うのは沖の潮目だ。
闇磯の潮目はその直下に魚が着く。しかしこのタイミングのこの場所は違う。潮目の「やや沖」に魚が着くのである。
理由はやや高い位置に建つ旅館からの灯りだ。それが斜め上から来るのである。
潮目を通してその影は潮目直下ではなくそのやや沖に伸びる。そしてその影にメバルは入り込むのだ。
最初それを発見した時はなかなか感動した。メバルの律儀な素直さに愛おしさを感じた。なるほどなぁ...と。
そしてこれは海岸線に沿ってひたすら道路が延び、外灯が立つ越前海岸では非常に使える知識である。
ここよりもはるかに弱い、ほとんど目視で感じないほどの街灯の明かりであっても、この定理は生きている。
ショア近くの潮目や動かないサラシ。
そこから少しずれた場所で魚が連発したらふと後ろを振り返ってみるといい。納得する場面がきっとあるはずである。
ほぼ1発も外さず全てのキャストでバイトが出る。違和感のあたりではなく小さく鋭い高速の吸い込みである。
食べているものはシラスかなにか「小さくて泳ぐもの」。バチでもアミでもナミノハナでもない。
ただサイズが出ない。沖は22~25cmである。
真っ黒なオスと抱卵したメスとが入り交じった。ここはまだ交尾の時期なのである。
20発ほど掛けて行くがサイズは上がらぬまま、あたりが徐々に止まりだした。
ジグヘッドを尺head R-type0.5gから0.9gに上げる。ワームはAjiymのまま、早めだったリトリーブをほぼ止めレンジを深くした。
きれいな太い潮目が右手30mの沖にある。そのまた沖に投げ入れ、潮目に近付け、影の位置でリグを止め、ひとつトゥイッチを入れる。
コンッ!
素晴らしく明確なメバルらしいあたり。どすんと乗った重量はそれまでとは全然違う。
そして恐ろしく引きが強い。「勘違い」するほど強い。
ロッドを見ながらファイトした。
85PE specialの柔軟なベリーが、その負荷を吸収し尽くす事を楽しんでいる。
28.5cm。
想定している「勝つための魚」にはやや足りないが、今日の荒れすぎる状況で出せた魚としては上出来である。
それに何より楽しい連発であった。メバルってこれだよな、と、しみじみとじんと熱くなる。
海の気温は−1℃で北風も強く、帰りのコンビニで財布から小銭も取り出せないほど凍えていたのではあるが...。
レジのおっちゃんが楽しそうに笑う。
「にぃちゃんも頑張るねぇw」
まぁねw
2013/1/5
北風が止み波が落ちる。
南のあるテトラ帯に入った。落ちたとは言えまだ1.5mほどの北からのうねりが残りテトラ際を白く染めている。
降りられる場所を片っ端から降りてRunGunで打って行く。
堤防の内側をライトを照らし、何かのベイトフィッシュを確認していたのでルアーはAKM48である。
風はまた西から吹き始める予報である。もうすでにそのハシリの風が時折吹いた。
西風は間を空けて徐々に吹き始め、段々その間隔が短くなり、ある瞬間ごぉごぉと吹いてくる。
その風が吹くとこの海はもう終わりである。時間がない。
迷いも何も無くただ打ち続けた。僕にしては珍しいRunGunもそのせいである。
いくつかの場所を打って行くがなかなか雰囲気を持つ場所が無い。
しかしあるテトラの角度の変わる一箇所。サラシが沖に長く伸び払い出していた。
払い出しは見逃すべきではない。メバルにとって重要な場所である。
正面から波を受ける場所に払い出しは発生しない。斜めから波が当たる場所に出る。水の逃げ場が必要だからだ。
「北の波が斜めに当たる場所」それは越前海岸のひとつの重要なキーである。
ここだ...と腰を落ち着ける。払い出しの沖、根元、真ん中。順番に打ち続ける。足場は高いがその足下まで丁寧に引き切る。
目は遠くを向きがちであり足下はつい疎かになるのであるが、そこが足下であるのはただ自分がそこに立っているからに過ぎない。
足下であろうがそこは遠くと何の変りもなく可能性を持つポイントなのである。特にテトラではそうだ。
打ち分けていたキャストをテトラ際に集中する。
「条件の良いストラクチャーのピン」を想定した。何度も通す。何度も何度も通す。しつこく通す。
西風の吹く間隔が狭くなり強くなる。もうあまり時間がない。
そしてある一投。
足下まで引き切り、少し漂わせてピックアップしようとした、瞬間。
ゴンッ!
強いあたりが出て83deepが引き込まれる。
水面で掛けた魚はそのままテトラに潜ろうと反転しかけた。
特に深い思慮もなにも無く、タックルを信じてあわせのそのストロークのまま反射的に抜いていた。
29.6cm。
スレンダーでありふくよかでもあり、すらりと伸びたヒップラインと体高ほどの幅を持つ尾びれ。なんと美しい魚。
体型的には29の個体であるが、この伸びやかな尾びれで6mm稼いでくれる。
バイトとほぼ同時に抜いてしまった事が悔やまれた。この大きな尾びれで、もう少しファイトさせてやれば良かったか...。
2013/1/14
この日の明け方。もうすでに明るくなりかけたあるテトラ帯で尺をばらす。
凪の海に、長距離のテトラ際をフローティングキャロで打ち続け、ひとつの崩れテトラの影でそれを掛けた。
あたりは打撃系ではなくぬっと重くなるだけのもので、想定していたバチパターン特有のあたりである。
その魚は特に強くファイトせずにもごもごと長距離を寄せられて来る。
イージーに寄せ切って足下の水面に出た魚は明らかに尺を越えていた。
そこで間違える。
水中のその姿を見て、興奮した僕はリールから左手を離しガッツポーズをとってしまった。
その油断の瞬間にトルクフルに深く突っ込まれる。あっと思う間もなくそのままあっけなくフックアウト。
順番を間違える。
ガッツポーズは、ランディングしてからするべきものなのである。
したたかに落ち込んだ。何をやってるんだろうと自分の軽慮短絡さが我慢ならなかった。
テトラの上にあぐらをかき、すっかり明るくなった穏やかな朝の海を眺めていた。
僕の思いとはなんの関係もなく、カモメが飛び、漁船が走り、別の生活をしていた。
そこで、ふと、突然、天啓のようにすとんと全てが見えた。
この場所。
ここは先シーズンも尺を獲った場所である。
凪いだ海。同じ崩れテトラの影。バチパターン。臨月間近の、暴れない魚。
同じ事を繰り返す場所...。そのポテンシャルを持つ場所...。そんなサイズの魚が、入れ替わり立ち替わり着く場所...。
であればまた繰り返す。間違いなく繰り返す。あとはあるタイミングにリグを通している事。もう、それだけ。
これだけはっきりとポイントが見えた事はいまだかつて無かった。良いのをふたつ掛けたから、という事では、全くない。
海の様子。あたりの質。掛けた感触。ファイト。
それらの同質性がはっきりと「自然」の姿を示していた。そしてその姿は、とても「シンプル」なものなのである。
不確かで怪しげな予言(これはしょっちゅうあるw)のようなものではなく、未来をそのまま見ているようなクリアな感覚だった。
その未来の中で僕は大きなメバルを手にしていた。妄想でも空想でもなく実際に起こる現実なのだと、はっきり分かった。
馬鹿な事を言ってると思うかもしれない。読み返してみても、この感覚をうまく書き切れていない。
でも、そう言う事はあるのである。ひとつの事を見つめ続けると、起こる事なのである。
そして。
やはり。
その通りになる。
2013/01/19
この時点で僕のスコアは144.5cm。順位は2位。topは144.8cmのダイさんである。
この人の今シーズンの躍進には瞠目すべきものがある。
家も近所で興味を持つ事の方向も近く、お互いを行き来してよく飲んだくれているような仲なのであるが
失礼ながら、このメバルダービーに関しては全くのノーマークであった。こんなに苦しめられるとは思わなかったw
あとの話になるが、僕がtopに立ってから出された29.1cmには心底痺れた。あの魚で、この人は本物なのだとわかった。
しかし考えてみれば、磯フカセと鮎のエキスパートであるダイさんがメバル釣りにもアジャストしてくるのは自然な事なのである。
ストラクチャーと流れ。それを感じ、それにシンクロさせる事。
否応無しにそれを実行できなければ成り立たない釣りをやり込んできた人なのである。
そしてこの事は、メバル釣りの今後の方向性をはっきりと示している。
ただ投げて、ただ巻くだけではできない事を、できるようにする。その可能性を示しているのである。
とは言え差はわずか3mm。
勝つための魚が完全に見えていた僕には余裕があった。
1/14のその後、同じテトラに3回通う。しかし海は荒れ続けた。
そのサイズの魚はテトラ際を大きく離れない。どしゃくしゃに荒れたテトラ際は求める魚が現れるステージでは無かった。
この日も荒れて、少し離れたテトラ帯で沖の潮目にフローティングキャロを打ち込み22~23cmを粒ぞろいで30発。
そんなサイズでもあたりは極微でぬっと重くなるだけである。
85PE specialというロッドは、長距離のこのあたりを取るのに恐ろしく長けている。ふとバランスを崩して、教えてくれる。
狙い通り、バチパターンはまだ続いていた。
そして予報は、翌日の凪ぎを知らせている。
2013/01/21
4:00
ようやく。
目的のテトラ帯に入る。
海はほぼ凪だが、周期の長い50cmほどのうねりでテトラ際の水面は静かに上下動している。
水平線の向こうにぼんやりと2つ漁り火があって、そこから延びる灯りで水面がかすかに目視できた。
水は動いている。狙うべきピンの崩れテトラにわずかなうねりが当たりゆっくりとしたよれを作る。
潮も微妙に効いていて、沖からテトラに向かって湾曲した帯が見えた。
しんとした気持ちで釣りを始める。
リグはdo-yo dama Fにリーダーは8lbを1.5m。尺head R-type0.9gにワームはやはりAjiymを刺した。
1/14に感じた確信はその形のまま持ち続けていた。
そのために必要なものは全て揃っていると思った。今日は間違いなく出るのである。
あとはそのタイミングを逃さないようキャストを続けるだけだ。
野球のピッチャーに好不調の波があるように、キャストにも同じようなものがあるのであるが、この日はそれも完璧だった。
力の抜けたよく伸びるキャストが、目的の崩れテトラのその向こうを正確に打ち続けた。
足下の薄いサラシに、緑色に小さく光るバチがふわりふわりと湧いてくる。
それを見てふと思いつき、ワームをAjiym Amix glowに替えた。
ワームのボディーを指で覆い隠し、頭だけを露出させてそこにLEDの光を当てる。
一部だけを光らせて足下に湧くバチをイミテートさせた。
それを足下のサラシに漂わせてみると、光るバチに紛れ込みどれがどれなのか見分けがつかない。
何も考えずに同じ場所を打ち続ける。ただ淡々と時間が過ぎて行く。
前日の小メバルの猛攻に、そんなのでも少しは出るかと思っていたがそんな気配は全くなかった。
それで良いのである。
先シーズンの尺も先週の尺も、他には一切何も食わずにただそれだけが単独で出た。
起こる事が、感じる事が、全て一匹の魚に集約していくように思えた。
何の問題も、無かった。
4:30
凪の海にも時々思い出したように数波の波が来る事がある。沖を走る遠い船の波なのか、上げ潮の寄せの波なのか。
そんな波が、ちょうどテトラ帯を小さく洗ったタイミングだった。
リグは崩れテトラの向こうにある。
波が寄せ、波が引き、そこでティップにごく自然な負荷が掛かった。
引き波の感触だと思った。
バチパターンの当たりは引き波に似ているが、わずかな違和感を含むためもうすでに明確に区別できている。
そのあまりにも自然な負荷と絶妙なタイミングに、何の疑問も持たずにこれは引き波なのだと思った。
波が引き、続けてまた波が寄せた。
しかし、その負荷は何も変わらぬまま依然としてティップに掛かり続ける。そしてそれは「不自然」な事だった。
!!
ぞわっと全身の毛穴が開いた。魚!と思った。しまった!と思った。
慌ててあわせを入れようとした瞬間、そのあまりにも自然な感触の負荷が、クンッとした生命感のあるものに変わって、消えた。
「あぁぁ...まじかぁぁぁ.....」
やってしまった...。
リグを回収する。ワームが大きくずらされている。
「ぇえええぇぇぇ~....」
落ち込んだ。こう来るか、と思った。結局こういうオチか、と思った。
しかしすぐに次にどうすべきかとも考えた。
おそらくフックは口に入っていない。ワームのテールをくわえていただけだ。
あの自然な負荷はワームが伸びたために発生したのだ。じゃないと説明がつかない。
ならまだあるか。いや、もう無いか。あのサイズの魚が、もう一度食うか?どうか?確信は無かった。
cobra29/1.4gにウェイトを上げる。ジグヘッドが口に入らなかった理由は分かっていた。
魚の活性は間違いなく高い。あたりが小さいのは活性が低いからではなくただそう言うものを食べているからに過ぎない。
バチなんてほんの軽い吸い込みで口に入るのである。大きく口を開けて、池のコイが水面の餌を吸い込むようにもわりと吸い込む。
しかしジグヘッドはバチに比べてはるかに重い。思ったように口に入らない。
0.9gであればテールまでは入った。それはそれで一部だけでも口に入ればそこで口を閉じる。しかしフックまでは入らない。
1.4gであればなおさら口に入ってこない。入ってこないが魚はそれを食べたいのである。
食べようとして更に強く吸い込む。フックまで入る強さで吸い込む。
食いが小さい時やテールバイトが頻発する時には一般的にウェイトを下げろと言われている。
しかしそれは魚の活性が低い時の話なのである。
活性が高いにもかかわらず口に入らないのであればリグは重くするべきだ。あるいはワームを大きくするべきだ。
これは机上の理論ではなく現場での経験である。メバルだけではなく尺アジなどでもよく感じる事なのである。
微妙な気分のままキャストを再開する。
確信に満ちていた30分前とはずいぶん気持ちが違う。
しかしまだ時間は十分にあった。その時間を使い切るまでキャストを続けるつもりだった。
相変わらずキャストはきれいに決まった。
もうすぐそこの水面に穴があくのではないかと思うぐらい、同じ場所を打ち続ける。
5:00
東の空に微妙な朝の気配が漂い始める。
何かの鳥が低く速く、目の前の水面を横切る。網揚げの漁師の小舟もテトラの沖を横切って行った。
朝の気配が濃くなる。慌ただしくなる。そんな時間帯とタイミングだった。
それまで続けていたキャストと何の変りもないある1投。
リグは崩れテトラを過ぎて、そのやや手前まで来ていた。
かすかにつっと感触が来て、続けてそのままぬぅっともたれかかるように強い負荷が来た。
あ...あたり...。
やけに落ち着いていた。一瞬の事なのだがもうすでにその感触だけで、心底ほっとした。
はぁぁ...。来てくれた...。
そう思いながら、ゆっくりと、断固に、ロッドを立てる。
どしんっと乗ったその負荷にサイズがわかる。
いや、そんな重さを感じるまでもなくサイズを確信していた。来ればそのサイズなのである。
その魚は首も振らず走りもせずにその場でもごもごとうごめいた。1週間前と全く同じ、デジャブのような感覚。
85PE specialの気持ちのよいベリーにその充実した重さを感じながら、ゆっくりと寄せる。
このロッドは本当に魚が暴れない。確かにこのレベルの抱卵個体はあまり暴れないものではあるが、それにしても暴れない。
あっけなく魚が足下まで来た。
僕としてはほぼあり得ない事なのであるが、そこでLEDをつけて水面の魚を照らす。その後なんて、もう無かった。
そこでひとつ突っ込む事も分かっていた。そしてその通り、テトラの穴に向かって強く突っ込む。それも冷静に対処した。
穴から引き戻し、その動きのままそっと抜く。
そのまま魚をぶら下げてあらかじめスタンバイしてあったバッカンにゆっくりと落とした。
はぁぁぁぁ...。獲ったぁぁぁ...。やったぁぁぁ...。
両手ガッツポーズである。今度は順番を間違えなかったw
バッカンに歩み寄りしゃがみ込んで魚を眺める。
もうものすごいオーラである。見紛う事無く、尺である。笑ってしまうほど完璧な尺である。
フックを刺したままテトラを上がり写真を撮る。
30.7cm
もう1枚。
胸がふるえた。手も足もふるえた。
それはサイズそのものから来る事ではなく、思い通りに読み切ってこのサイズを手にできたからだ。
狙って獲る事。この海で。このサイズを。
その難しさをいやというほど知っているので、それができた事に心から感動していた。
はぁぁぁ。今回もよくやった...。
Last Result
146.8cm
考えてみれば、最終的に登録した5本は全てAKM48とAjiymで獲った。
もちろん他のルアーも使ったのではあるが、結果的にBest5をもたらしたのはこの2種類のルアーである。
確かにメバルの食性は広い。その広さが、この釣りの深さに直接繋がっている。
ただその多様さも僕の中では2つの分類でしかない。釣る、という事においてはその2つを意識すればいいと思っている。
それは、そのベイトが「逃げるベイトなのか。逃げないベイトなのか。」ということである。
逃げるベイトを狙うメバルは陰に潜む。逃げないベイトは流れを漂い、それを狙う魚はオープンに出るがあたりは小さい。
その2つの分類にこの2種類のルアーはよくマッチしてくれた。
一瞬のタイミングが 重要なこの魚に、個体差の無い品質で応えてくれた。
そして、やはり、ロッドである。
2007年にGRF-TR83deepを手にして以来、僕のメバル釣りは常にBREADENのロッドと共にあった。
それまで常識とされていたメバル釣りに比べ、冬の日本海のそれはやはり少し特殊だと言わざるを得ない。
波と風の中、長距離、その距離で小さなあたりをとって、確実に掛けて。
そしてまた引き波の中、ファイトの強い尺絡みのブルーを寄せ、高い足場をランディングしなければいけないという事。
それができる事が、この海の可能性を大きく広げてくれるのである。
届かなかった魚に届かせてくれるのである。見えなかった世界を見せてくれるのである。
GRF-TRはそんな世界を見通すために作られたロッドである。そしてただの工業製品ではない「魂」を感じるのである。
これが無かったら僕はこの釣りを続けていただろうかとよく思う。こんなに深く釣りに入って行けただろうかと、思うのである。
2013/2/16
やすや倶楽部メバルダービー表彰式。
参加者数54名 登録者数35名 最終登録匹数144本。なんか大きな事になったよなぁw
それぞれの3ヶ月の想いを持ち寄って、それぞれのストーリーを時間を忘れて語り合う。
みんないい大人なのにね。子供みたいな顔してw
皆さん。お疲れ様でした。
また次回も良い釣りをして、楽しく飲みましょう。
では。また。海で。
TACKLE DATA
ROD/BREDEN Glamour Rock Fish TR 83deep , 85PE special
REEL/ EXIST2004 , CERTATE 2506
LINE/VARIVAS LIGHT GAME mebaru0.4G , High Grade PE0.6G
Leader/VARIVAS Avani Eging Plemium shock leader 6lb 8lb
Float/do-yo dama F
Lure/SMITH AKM48 , Ajiym , Ajiym Amix
皆様お久しぶりです。
ずいぶん放置してしまいましたがいろいろ思う所ありましてw
新年一発目はこちらから。
やすや倶楽部メバルダービー。佳境に入ってきましたね。
単なるプライベートダービーと思ってはいけません。
寒いのに、熱いです。
6/21/20:00。
上空の雲は厚いが水平線ではそれが薄く切れて、さっきまで華やかだった夕焼けの残照が濃く濃く赤い。
夏至のこの日。海は一年で最も遅い夕マヅメを迎える事になる。
マヅメとは時間の定義ではなく空の照度の定義である。
晴れていれば遅く、曇っていれば早い。
まだほんの少し明るさが残り、まだ夕方だ、という気持ちを持って油断しているとある瞬間ふと、もう、夜なのである。
必ず遅れてそれに気付く。
朝を迎える時も同じであるが、夜を迎える瞬間もうまく捉えられた試しがない。
そうなって初めて気付き、そうなる瞬間を一度も見た事が無い。
今日はダイさんとの釣りである。
上がった磯はダイさんがかつてフカセ釣りをしていた頃のポイントであり、地形や状況に極めて詳しい。
「あそことかこことかは言うて見ればスリットですわ。真ん中はテーブル上に浅くなってて、潮は普通こっちからこっちに流れて、で、こんな時はそこでいいグレ釣れるんすよ。」
フカセという釣りはいわば流れの釣りであり、基本的にはボトムの釣りである。
撒いた撒き餌がどこへ流れどこで沈むのかを正しく読み、その煙幕を外さぬようにほぼノーシンカーに近い長い長いリグを差し込んで行ってぴたりと底を釣る。
地形と水流を把握できなければ撒き餌代ばかりがかさみ、フグばかり釣れ、根掛かりも連発してまるで話にならない。
空間的、物理的に正しい想像力を必要とするものなのである。
そう言うところで鍛えられた人は強い。
地形と流れを読む事が出来れば、それにリグを同調させる事を知っていれば、大抵の魚は釣れるのである。
いきなり夜のメバル釣りから入った人はそこで悩む。
地形も見えず流れも見えず、ただ闇雲に投げて時々釣れて、しかしその理由が分からず再現が出来ない。
それに気付くのはたまたま極端な状況が現れた時であって、それに出会うには多くの経験を積まなければならない。
あるいは時々発生する偶然を忘れずに頭に刻み、その積み重ねをパズルのように組み合わせられる冷静さと繰り返す熱情が必要なのである。
水が「動く」こと。そこに何か「もの」があること。
舞台は夜なのである。そんなもの、人間の目には見えないのである。
その見えないものの大切さを「実感」として知る為には、やはり、多くの時間を費やさざるを得ないのである。
何を隠そう、僕がそうだったのだ。
メバルから入った訳では無いが、それが分かり、いくらか狙った魚が釣れるようになると、
「いったい今まで何をやっていたんだろう」
と、暗澹たる気持ちになったのである。
一言でいえば、なめていたのだ。
かすかに明るさの残る海にまだ地合いではないと岩に腰掛けその時を待つ。
しかしじっと座っていられず、何度も確認したリグをまた確認してみたり、釣れてもいないのにバッカンに水を汲んでみたり。
そわそわと我々はまるで子供である。
仕方ないのである。そわそわするだけの海なのである。
台風の余波がまだ1.5mほど残り、30m先にある丸い沖磯に理想的なサラシを作る。
その沖にはこんな波でもくっきりと潮が走るのが見え、分岐した一本がぐるりと回り込んで射程範囲に入り込んできている。
風向きは北で強く、それは沖に向かって長いこの立ち位置から見れば追い風であり、ショアから見れば向かい風である。
理想的。状況としては言うことが無い。
夕焼けの赤をじっと見つめる。炭火の最後の残り火のような暗い赤色が、すぅ、と消えた。
何かの話の途中だったがふと立ち上がり、立てかけたロッドを手にして立ち位置に向かう。
まだ何やら話していたダイさんもあわててロッドを手にして立ち上がる。
必要な飛距離と動きすぎる水に、リグは尺head-D type3gにサンドワームを選んだ。
1投目。
沖磯のサラシを横切る角度。水深は基本的に4,5mあるが沈み根や海藻が賑やかでストレートに引いてこられるラインはおよそ3mである。
期待していたサラシを抜け、沖磯を離れて波の横切るラインにリグが入り、最近好調な中層ワインドを入れてみるが反応がない。
早々に回収して2投目。ここでダイさんも投げ始める。
同じライン。その上を引く為にリトリーブスピードをやや上げた。
サラシの向こうに着水し、それに入り、リグに感じる水の感触をじっくりと味わう。
うっすらと目視できる波立ち具合と、手に来る感触とを重ね合わせてリグの位置が分かった。
何も起こらずサラシを抜ける。いるとしたらそこだろう、と想定したピンを抜ける。
リグは再び波の横切る海峡に入った。だめか...。と緊張が緩む。意味も無く沖を見たような気がする。
カッツーン!!
えっ!?
唐突に右手に走った衝撃に我に返る。
反射的にあわせを入れるが一気に底に走られてロッドが立てられない。
ジィーーーーー。ドラグが出る。
その独特のあたりと感触に
「はは。シーバスですわ。」ダイさんに言う。
「シーバスっすか。」微妙な声音でダイさんが答える。
魚が首を振る。突っ込んで行く尾の振り幅もくっきりと分かる。
その振幅から想像するに5,60cmの魚である。
しかし、トルクがそのサイズのシーバスではない。止められない。なんだ?これは?
「なんかでかいっすわ、これ。」ダイさんに言う。
「でかいっすか」ダイさんが答える。
シーバスを掛けると、僕はロッドをほぼ顔の横の位置に固定してファイトを行う。
走るそぶりを見せれば腕を一杯に伸ばすところまでロッドを突き出してテンションを抜く。
それで大抵止まってくれるのである。
しかしこれは止まらない。
立ち位置が固定され、腕を伸ばし切るとそれ以上のクッションは僕の体にはない。
その状態になっても容赦なく、その「なにか」はロコモティブの様に突っ込んだ。
やばいやばいやばいやばい!
PEは使い古した04である。その限界はよく知っている。どこで切れるのか、体で分かる。
止まらぬ突っ込みに、あ、だめ!何度かそう思う。しかしそのたびにぎりぎりのところで持ちこたえてくれる。
セーーーーーーフw
そう思うのもつかの間。また鋭く長い突っ込みが始まる。
あかんてあかんてあかんてあかんて!
あぁ今度こそだめ...。しかし、また持ちこたえる。
おぉぉ~!セーーーーーーーーーフw
ロッドが粘ってくれた。だめ、と思う、そのもうひとつ先のところまで限界をあげてくれる。
片手で保持してのされ気味だったロッドの、そのバットの根元に左手を添えてラインに対して90°の角度を保った。
ロッドのどの部分が曲がり、どの部分が粘るのか、そうやるとよくわかる。
そんなやり取りをしばらく繰り返し、ようやく魚は少しおとなしくなる。
意識はランディングに向き始めた。
網は無く、足場は高い。抜くことなんて到底出来ない。
その先端の磯は低く平らであるが、そこに行く為には磯裏に回らねばならない。それは出来ない。
しかしそこで獲る意外にないのである。どう考えても行くしかなかった。
え~い仕方ない。行くか...。
そこへ行くルートは、実はもうひとつある。
先端に向かってさらに高い磯に駆け上がった。
その主旨を理解したダイさんが背後で「ハハハハハ!」と楽しそうに笑った。
先端に出る。眼下に水面レベルの平らな磯が見える。波が厚く洗っていた。
2mの高さ。それを飛び降りればその場所に立つことが出来る。
行けるか?行けるな、行ったれ~!
さすがにもうそろそろいい大人であり、言ってしまえばいいおっさんであり、高いところから飛び降りる、ということを久しくやっていない。
何か懐かしかったw
てぃっ!と飛ぶ。両足を揃えてがつんと着地する。同時に波が来て太ももまで洗われる。
怠惰と飽食で無反省に増えた体重×2mの位置エネルギーがそのまままるごと衝撃に置き換わって体中に響く。
引き波の中、片手をつき両膝をつき、しかしもう片方の手はロッドを魚に向けている。
立ち上がり、ロッドをしっかり保持し、飛んだ分のスラックを取ってよっしゃ来い!とファイティングポーズをとった。
魚はまだ突っ込む。異様にタフである。しかしそれは既にタックルの限界を超えるものではなかった。
シーバスでないことは確信していた。しかしなんなのか?分からなかった。
分からない、が、もう何でも良かった。ただ楽しかった。もっと続け!と思った。
同時に、早く獲りたい...とも思った。
ゆっくりとリフトアップする。平べったい魚が体を横に向けたとき特有の水圧を感じる。
あ、そうか...思った瞬間、掛けてから初めて水面が渦を巻く。
ヘッドライトを点ける。水面を照らす。メタリックな赤が閃いた。
「ダイさーん!タイ~!」
「え~タイっすか!?うわっほんまや~!タイや~!」高い磯からダイさんが覗き込む。
問題はランディングである。
タイは持つところが無い。チヌの口に指を入れて怖い思いをしたことがある。ものすごい力なのである。
水面に顔を出したその口にある歯はチヌよりもはるかに鋭かった。
これは...無理...。確実に指に穴があく。
波に乗せてなんとか上げようと考えるがそんな時に限って波が来ないのである。
中途半端に寄せる波に魚を乗せ、勢いで足場に上げようとするがもう少しが足りない。ずり落ちる。
リーダーを手に取る 。8lbである。体重よりは...あるだろう...。
その瞬間、求めていた強い波が来た。足場にタイが流れ込む。しかし引き波に引かれて持って行かれそうになる。
何も考えずにタイの脇の下に手を入れた。ちょうど柔らかく握り込めるくぼみがあった。
しっかり確保し、さらに高い位置に横たえる。その途端、プンッとスナップが延びた。ぎりぎり...。
はぁぁぁぁ~。獲ったぁぁ~...。
ダイさんが磯の上からストリンガーを下ろしてくれる。丈夫な下あごにがっちり掛けた。ロックを何度も確かめる。
いいっすよぉ~。
ロープを手繰られ、美しい魚体が目の前を上がって行く。
飛び降りた垂直の磯をよじ上ろうとしがみついた。
小さなくぼみにスパイクを掛け、小さな突起に指を入れて全身に力を込めたがそこで力尽きた。
はぁ...。疲れた...。
しばらくそのまま、そうしていた。
どやっw
マダイ。56cm。一番うまいサイズですねと嬉しそうにダイさんが言ったw
その後1時間釣り続けるが不思議なほどに何も起こらなかった。
後で聞けばダイさんはこの鯛をどうやって食べてやろうかとばかり考えていたそうだw
僕はどう書いてやろうかとばかり考えていた。
まぁ、それじゃ釣れんよなw
帰宅する。ダイさんは一旦家に帰りシャンパンと食材を持って来てくれた。
捌きはダイさんに任せる。
美しい身を、よく切れる包丁が薄く造っていった。
マダイのカルパッチョ。
薄作りの身に、天然塩を乗せ生わさびを乗せてレモンをきゅっとしぼる。
くるりと巻いてへーゼルナッツオイルに浸けて口に入れる。
鳥肌が立った。うまい、としか言えなかった。胸に、涙腺を刺激する前兆がふるふると来た。
うまい...。
ダイさんもほぼ無言である。目を閉じて、首を小さく横に振る。堪らん...と。
ダイさんはその味をこう書いた。感激屋のダイさんではあるが、この表現は大げさではない。的を得ている。
「これが目指している美味の一つ。
世の中にこんなにも純粋で綺麗で柔らかく優しい力強いものがあるということを共有できた。
感動と機会をくれた友人と豊かな海に感謝したいと思う。」
手にはまだこの魚とのファイトの感触が生々しく残る。美しい夕焼けの赤も覚えている。浮かんで来た赤の閃きも目の前に鮮やかである。
その記憶と、目の前の絶品の味と、とっておきのシャンパーニュ。友人との共有。
そのハーモニーが完璧であった。
幸せだな...と思う。言うことねぇな...。と思う。
思いすぎて飲み過ぎた。
次の日は目も当てられない二日酔いなのであったw
TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR-85PE special
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS light game MEBARU PE0.4+8lbフロロ
LURE/syaku head D-type3g+Gulp! sandworm
カエル嫌いな人は閲覧注意ねw
6/10。20:00。
特に明確なあても無く海辺の道を北に走る。
例年この時期には数珠つなぎで輝くはずのスルメイカの漁り火は、遠く水平線の向こうにいくつかぼんやりとした光芒を見せるだけだ。
ベイト雰囲気でなければならない海は一向にそうはならず、3月がそのまま続くような小さなあたりをとる釣りが続く。
サイズが出ても単発であり、連発しても小さく、どうにもこうにも煮え切らない。
いつもなら入るはずの良さげなポイントをいくつかスルーし、ずいぶん北に来てあるトンネルを抜けると路面が濡れていた。
開けた窓から流れ込む空気が急に湿り、道路と海の間に田んぼが続く地帯に差し掛かるとカスタネットを弾くようなカエルの声が聞こえた。
その独特の鳴き声に、ああここにもいるのかと思った直後、道路に大きな黄緑がひらめく。
おっと!とハンドルを切って避け、そのまま路肩に車を止める。
声の方向の田んぼに降りた。
ライトで照らし、畦を歩きながら探すと、いた。
僕はこいつが大好きである。
モリアオガエル。産卵の真最中である。
つぶらな瞳に大きな吸盤。闇に慣れた目にLEDで照らされた異様に鮮やかな黄緑色がまぶしい。
カエルの中で、こいつほどイージーに捕まえられる種類はいない。
こんな交尾中の個体は特にそうである。警戒心が全くない。手近な奴をそっとつまみ手に乗せる。
冷たい水を引く田んぼに冷やされた体が、そのままの温度でひんやりと指を冷やす。
吸盤がむにむにと指に張り付き、驚きもせず恐がりもせず、手のひらの上でじっとしている。
なんて素敵な生き物なのだろうかと眺め回す。手のひらに感じる重量は何か大切なあるひとつのもの、そのものである。
お尻をつつくとようやくやっともじもじとして、もう一度つつくとずしっと重さを残して飛んで田んぼに帰った。
小さな田んぼの周りを回る。
こら。お前種類が違うやろ。どさくさにまぎれて何してる。
これも捕まえてやったw
死んでも離さんとしがみつく。人の良い世間知らずなモリアオのメスが不憫だ。
オスってやっぱり間抜けな生き物だよなw
引き剥がしてやろうかと考えたが、それぞれの恋愛の形があるのかもとそのまま帰す。
さらに見て回る。
産卵床の泡に、オスとメスとが乗っていた。
このメスは特にでかい。
また手に乗せる。
堪らんなぁ。愛おしいなぁ。
暗闇の田んぼのへりで、いいおっさんがカエルを愛でる。
え?釣り?
何かカエルで満足してしまい手近な磯に入った。
近くの駐車場の灯りが無駄に明るく、長い磯にくっきりと明暗を作る。
その暗部。
27。
26。
ハードルアーは全く当たらず。あたりも小さい。1mのシャローの底に定位している。
何を喰ってる?
20をいくつか連発させ、角度を変えた一投。
もわっと28。
さすがにこの時期のこのサイズになるとよく引く。
長い突っ込みと重量感のある首振りに一瞬おっ!と思うが、水面を割って抜き上げる重量の軽さについ舌打ちが出る。
次の日。
捌いた腹の中から出て来たのは太いゴカイであった。
そう来たか、と考えながら、客人の為に身を昆布で挟む。
4/11/19:00。
日はずいぶん長くなってこの時刻でも西にはやや明るさが残る。
漁り火は南に数隻あるのみであるが、その灯りに照らされて上空の黒い雲がぼんやりと浮かび上がる。
昼間ずいぶん降った雨は夕方には上がり、雨上がりのなまぬるい空気がこの「岩壁の向こう」にも漂っていた。
足場の磯のくぼみに溜まる水に指をつけて舐めてみると、波に弱いこの場所では珍しい事にそれは完全な真水なのであった。
海はべた凪だが空気の雰囲気は満点であり、今日は出るだろうとほぼ確信めいた気持ちで岩を登ってきたのであるが、
しかしそれにも条件があり、止まっていた潮が動き出すタイミングを必要とする。
明日は朝から仕事であり時間が限られる。
その数時間で、そのタイミングが訪れる事を祈った。
その場所の先端に立ち、沖に向かって浮くプラグを投げて潮の流れを見る。
潮はゆっくりと南から北にその場所の先端を洗っていた。
少し想定がずれる。
先端「手前」の明るい場所に潮が当たり、当たった潮が足場に沿って沖に払い出すタイミングがこの場所の地合いなのであるのだが、
この日の潮の流れは先端に直接効いてしまいその手前の場所を真空地帯にしてしまっている。
その潮はおそらくだらだらとずっと流れている潮であり、「止まって」いた水が流れ出す、この場所の地合いを生むものではなかった。
そのためいつもはふんだんに発生する明るい場所でのライズは無く、試しに「いれば食う」JADEを通してみるが何も食わない。
いつもならそこに浮かび遊び戯れる小さなメバルは底に沈んで躊躇しているのである。
浮こうか、浮くまいか。
少し困る。
今日は魚を出さなければならないのである。
友人のダイさんが魚を必要としているのである。
この人は陶芸家である。
おそらく、15年後には長く深い歴史を持つこの国の陶芸界の先端にいるべき人なのである。「正統」な意味で。
一族の優れた血を真っ当に受け継ぎ、それをありがちな反抗心で否定せずに素直に受け入れて磨きをかける事に懸命な人なのである。
作るのは奇抜なオブジェでもなく立体絵画でもなくあくまでも器であるが、
それが高価な飾り物で終わらぬよう「使うもの」としてその上に盛る食べ物にも同じだけの心血を注いでいる。
僕はそこに魅かれる。
どんなに優れた作品であっても(高価だから、壊したくないから、と言う理由で)使われずに飾られるだけの器は死ぬ。ひからびて死ぬ。
死ぬ思いで作り出した自分の器を「死なせてなるものか」とこの人は懸命なのである。
それを知っている陶芸家なのである。見渡してみれば、希有である。
メバルが必要だと言う。
来るべき大切な宴席に供するメニューを突き詰める為に、料理のプラクティスとしてのメバルが欲しいのだと言う。
昼間降り続けた雨にこの日は「やめよか」と感じた心が、夕方きれいに上がった雨に急に突き動かされてこの場所に立っている。
出る、と言う確信があってそこに立ち、しかしいざ立って見てみれば、出ないかも...、と言う戸惑いにうろたえる。
海はその場に立ってみなければ分からない。想い通りにそこにある海など世界中どこにも無い。
数千回も思ったその事を、改めて思う。
魚が底にいるのであればその場所を直撃してみる。
このポイントのメバルはそれほど移動する魚ではない事は既に分かっている。それだけの引力を持つ場所なのである。
上にいないとすれば底のどこかにいるのだ。
そしてその潜み場所も分かっていた。ただ「サイズ」がそこにいるかは確信が持てない。それがいるべき状況には弱いと感じていた。
小さな魚であれば素直にただ沈むだけであるが、「サイズ」を持つ魚の行動範囲はもう少し広い。
ライトリグで打てる数十mの範囲をやや越えて「サイズ」は移動する。その事も分かっている。
この日のこの状況で、それが「範囲」にいる確信が持てなかった。
先端ギリギリに立ち沖に背を向けショアに向かって尺head-D-type2gにGulp 1inch minnowを刺して投げる。
狙うのは足場の垂直の岩盤の底の際である。
魚を掛ければその岩盤に向かってあり得ない角度でラインが入るのでその底付近はずいぶんえぐれているであろう事も知っている。
一見、明かりが直接当たる場所であるのだがそのえぐれが影を作る事も想像できている。
この場所の魚はそこに潜む。
先端からショアに向かって15m投げれば水深は3mであり、そこから5m引いて来れば水深は5mになり、足下まで来れば8mである。
ショアから沖に向かって投げ、徐々に浅くなる底を釣り続ける事はイージーであるがこの角度ではそれは逆になる。
距離をつめると同時にラインを出す。そんな事をしなければならない。
3mに沈めてパンッパンッパンッとワインドを入れステイさせる。
タンタンタンと跳ね上げ5mボトムにゆっくり落とす。落としてまたパンッ...パンッ...パンッ...と間を取ったワインドを入れステイさせた。
この日のあたりはその5mラインに集中した。
つんっと来たり、ぬっと重くなったり、いきなり引き込んだり、ワインド後の数秒のステイでことごとくあたりが出始める。
しかし魚は小さい。20cmに満たない。
釣れてくるのはメバルではあるが選択の余地もなく青や茶や赤が入り交じって多種多様である。
この生態の違う3種がほぼ同じ場所に群れるのがこのポイントのポテンシャルである。
しかし魚が小さい。気まぐれにリリースしたり水を張ったバッカンにkeepしたりを繰り返しずいぶん釣るがサイズは出ない。
やはり範囲にいないか。
サイズが欲しいが出て来ない。
この場所がべた凪であればもうひとつポイントがある。
先端沖である。
そこでひとつでもあたりが出ればそれは群れである。
その群れは灯りの当たるラインにいる群れとはクオリティーが違う。
休み時間の中学生と軍隊の行進ほどに違う。
僕がこの場所に通う理由はその群れを求めての事である。
灯りの中やボトムワインドの釣りはそれまでの時間つぶしに過ぎない。
灯りの中も底も捨ててただその方向だけを同じリグで打ち続ける。
灯りの影になる足下には夜光虫がきらきらと光る。水面からずいぶん深い水の中まで幾重にも重なって星空のように瞬く。
潮は相変わらずだらだらとゆっくり流れており、その流れに乗って小規模な赤潮が目の前を通り過ぎる。
海の透明度はこの場所にしては珍しく低い。
それは降り続いた雨による泥濁りではなく、降り続いた暖かい雨による富栄養化した海水の色である。
完全なプランクトン雰囲気の海。
ボトムワインドで掛けた魚の食い方も小さく、
ワームのしっぽを食いきるかどうかの浅い食い込みであったり、気付いた時には既に口の中にもわりと吸い込まれた後であったりした。
食べているものは間違いなく小さい。
先端方向をひたすら打ち続けて1時間も経った頃、突如としてリグが「つん」と突っつかれる。
よし...と思う。来た...と思う。小さくガッツポーズをする。
ほっとする。掛けてもいないのに勝った気になる。この場所でその感触が来ればもう勝ちなのである。
よしよし...来た来た...。
次の一投に神経を集中する。やや沖に投げ、今あたりの出たラインにまでリトリーブを行う。
そして、再び「つんっ」と来た。
走りかける右手を全力で押し戻す。フックはまだ口に入っていない。
魚は1inch minnowのわずかなテールをくわえているだけである。
魚はそのまま動かない。僕もラインを張ったままじっとこらえている。
数秒の間、その魚と僕はほんの淡い微妙な関係性を保って凪の海の上に固まる。
「くわえ直せ!」
そう念じたが魚はふっとリグを離した。
ふぅ~と息をつく。呼吸が出来ない。
0.9gの尺ヘッドR-typeに変える。
手に握っているのはこの日B師匠が直してくれた久しぶりの83deepであり、そのウェイトでも躊躇無く扱う事が出来る。
その後もあたりは出続けた。明らかに吸い込み具合が変わり数本掛ける。
サイズは無いがボトムで釣った濁った体色のブルーではなく、薄く青く澄んだブルーである。
ここまでは良い展開である。そしてこの後の展開も読める。
この小さな魚達の食いが止まり、一拍おいてでかいのが浮いてくる。必ず前か、後なのである。同時には出てこない。
「前」は既になかった。であれば「後」である。
また投げ続け小さな魚のあたりがなくなるのを待った。釣れなくなるのを待った。
そして数分後、望み通りにあたりが消える。
いよいよだ、と思う。出るならここだ、と思う。
堤防の影になる足場に小さく移動し、また同じ場所を打ち始める。
1投。出ない。
2投。出ない。
3投4投しても出ない。
不安に襲われる。ひょっとして出ないのか...。
5投6投。出ない。
潮は相変わらずだらだらと流れ続ける。
過去の経験ではことごとく止まった潮が流れ出したタイミングであった。
今日は違う。やはりそうでなければ駄目なのだろうか。
何かスイッチが欲しい。
スイッチ。
「止まった潮が流れ出す。」
「風が吹き始める。あるいは吹き続けた風が止まる。」
「出ていた月が隠れる。」
「凪いだ海に寄せの波が数波続けて押し寄せる。」
この日はそのどれもが無かった。潮はこの通りであるし風は吹く気配すらない。月が出るにはまだずいぶんあってそもそも雲が厚い。
微妙にあきらめ、また数投続ける。そのとき、沖から妙な音が聞こえだした。
「ざぁぁぁぁぁー」
ふと顔を上げて沖を見る。
「ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁー」
その音が急速に近づいてくる。
まさか津波か?と思うほどの盛大な音。
?。!。雨か...!
その音は一気に近づいてきた。
「ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああー」
灯りに照らされる範囲にその音が来て雨の壁の先頭が目視できた瞬間僕の頭上をその先端が通過した。
「うわぁ」
立っているのが怖いような滝のような雨。
足下に開けっ放しで放置されたバッグを急いで閉める。
襟からフードを引っ張りだし急いでかぶる。それでも背中に盛大に水が流れた。
しゃがむ背中にバタバタバタバタと大粒どころではない雨が当たる。
ふと目だけを上げて灯りの照らす水面を見るとそれは既に水面ではない何かになっている。
煙るように輪郭を失い、何かデジタルなノイズのような水面である。
車が近くにある場所であればそこに逃げるがここは岩壁の向こうである。空から落ちてくるものを防ぐものは何も無い。
そのまましゃがみ込みしばらく耐えた。耐えながら、ひょっとしてこれがスイッチにはならぬか?と考える。
ロッドを拾い上げ、まだ少しも弱まらない雨の中にリグを放った。
しかし雨はロッドを激しく叩いてあたりどころではなく、ラインはべったりとロッドに張り付きリトリーブもままならない。
「だめ。無理。」
またしゃがみ込みひたすら耐えた。止まなかったらどうしようかと考える。こんな雨の中、あの崖を降りるのはいやだ。
しかし突然。その雨は上がった。雨の背中の壁が目の前を通り過ぎるのを見た。
嘘のように、岩壁の向こうは静寂に包まれる。
ほんの数分の通り雨だった。
スイッチ!
即座にそう考える。
ワームをbaby sardineに変えて先端沖を打つ。
出てくれ出てくれとつぶやきながらリトリーブする。
ん?出ない.......か...。
15mほどの距離を引ききってピックアップしようとした足下でいきなりゴンッ!と引き込まれる。が、外した。
浮いた...。
体が固まる。そっと息をする。ワームは消えてジグヘッドだけが戻ってくる。
フックには掛けていない。大丈夫。まだある。
息を殺し、そっとバッグを開け、また同じワームを取り出し慎重に刺す。
沖に投げる。全く同じライン。足下なのだなとそこを目指してゆっくりとリトリーブする。
リグが明暗の境を越え影に入った。
足下まで...あと少し...。
意識は完全に足下に向いているがリグはまだ5m沖にあった。
じれったいなと思った瞬間、想定とは違う5m沖であたりも何も無く唐突にガツンッ!と引き込まれた。
!!!。沖か!。
ほぼ水面で掛けたのでそのままごり巻いて抜こうかと考えたがその魚は水面直下のわずかな水を捕らえて左に一気に走る。
夜光虫がその水のよれの形のまま光る。
しかししっぽが水面を空振りし、そのまま右に引き戻して目の前に来た瞬間に一気に抜いた。
おっし!
重量感のある魚体が磯の上でのたうつ。でかい。これは行ったろ。
いきなりひったくったにもかかわらずジグヘッドはのど奥深くに刺さりたらたらと血が流れた。一気に飲んだのか...。
はは。行ってなかった。読み違う。29.8cm。あえてスプラッタ画像で。
やはりあの雨はスイッチになっていた。確信する。唐突にそこに浮かんできたのである。
こういうのが堪らない。なんと言うか、自然の中に溶け込んだ感じがするのである。
それが欲しいのである。それが無いと書く気にならないのである。
ダービー後半戦にも魚は釣ったがこの感じが皆無であった。寒く冷たく非情なだけの海なのであった。
書き掛けはしたが、書く事が無いのである。
と。言い訳をしておく。
雨が上がり岩壁の向こうは霧に包まれる。
時間が全く分からず時計を見る。22:30...か。
ダイさんは起きているだろうかと考えながら車に急ぐ。
TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR83deep
REEL/EXIST2004
LINE/VARIVAS AVANI Eging PE TipRun 0.4+7lbフロロ
LURE/syaku head D-type2g+Gulp 1inch minnow,syaku head R-type0.9g+Gulp baby sardine
前回の更新から1ヶ月が経過してしまった。
釣りに行き、良い釣りをするたびに書かなくちゃと思うのであるが、その良い釣りに引っ張られて気付くとまた海に立っていた。
仕事も休みも荒れた海も、もう関係ない。
何か感じる場面があると、さてこれはどう書こうかと考えながら釣りをするのが癖になってしまっている。
しかしそこで思い浮かんだ言葉をすべて書くわけにはいかなくなってしまった。
なんせ1ヶ月分なのだ。この間の釣行数は15回を数える。そしてそのすべてで魚は出てくれた。
前回の日記の1週間も濃い日々だったがこの1ヶ月間はそれを遥かに越える濃さだ。
何かが自分の中で変わった気がする。成長、と言っていいのかもしれない。
あるいは、ただ単に良い海がそれをもたらしてくれただけなのだろうか。
この間釣った魚は100本に迫る。
27up。だけで...。
12/5。
北は3m。南でも1.5mの波高。
12/2の魚を求めてエリアを南に変えた。
とある海水浴場でB師匠と出会う。
日曜の夜中なのでどこかに出ているとは思っていたのだが、そうかここに来たか。
「どうや~」
「どうやろ~」
何となく二人、お互い遠慮しながらのシャロー打ち。
昔「つーさんは我れ先や」と批判された事があるのでとても気を使うw
今シーズンのB師匠はハードルアー縛りだと言う。
よせばいいのに...と思っていると多い日夜用でちっちゃいけど連発している。
およよ。ここはそうなのか。
あっさりと方針を変えAthlete liplessを装着しフルキャストした。
ややこしい場所に入ったなと思っていたらゴン!
なにこれでかい!
ゴンゴンゴンゴンと突っ込まれややこしい場所のよりややこしい場所に潜られた。
ありゃー。
「魚やったぁ?地球釣ったんかと思ったわ」
ん~どちらも正解。
その後ノープランらしいB師匠を拉致して12/2の磯場に入った。
ここには2本のリトリーブラインがある。
道の街灯が照らし足下の根に影ができる明暗ライン。
そして、完全に街灯の影になる暗闇ライン。
12/2の魚は明暗ポイントだったので優しい僕はB師匠にそちらを譲る。
ただ、近い沖に漁り火があり明暗は薄くはなっていた。確かに。
「どこで釣れるとか言わん方がいいんやんなぁ?」
昔「つーさんは最初に全部言うから面白くない!」と批判された事があるので非常に気を使うw
「うう、うん...」
とても教えて欲しそうだった。
暗闇ポイントに入り1投目。
2gの尺ヘッドD-typeにガルプの枠を装着してサラシ渦巻く底をガリガリと引いてみた。
このジグヘッドはそれができる。異常に根掛からない。ダートだけが能ではないのである。
少し大きな根を感じ、ぽんとそれを外した瞬間ぬっとティップが入った。
真上に小さくあわせを入れる。
水深は3m弱。足場は2m。ラインは45°の角度で水面下につながっている。
上あごに掛けるにはちょうど良い角度。距離。
感触は28,9あるが掛けどころを確信して有無を言わせずリフトアップし、ひょいと抜く。
手にした魚をLEDで照らした。
うわ~かっけ~。
魚を握りしめ、急いでB師匠に見せに行く。
何やらラインを結び直すと言うしけた行為をしている彼の目の前に「ほらっ!」と差し出した。
「あっ、なに、釣れたんか?」
釣れたんかって...。じゃあどうしたと言うのだw
メジャーを車の中に忘れ、B師匠の箱形計測器を借りて測ってみた。
28cm。
いや、それはない。多分これは28.5だ。僕の目尺の精度は5mm単位だ。
「28や」
「いや、違う。これはもうちょいある。この計測器おかしい」
「おかしないってw」
車に戻りメジャーをとってくる。その頃持ち歩いていた木の板に魚を横たえ測り直す。
「口の位置はここでいいな?ほら合ってるやろ、な?」
「うう、うん」
「ほら見てみて、28.5やん!ほらぁ~。いいな?28.5でいいやんな?」
「う、うん...いいよ」
釣り上げられ、地面に横たえられてばたばたと暴れる魚は縮む。筋肉が緊張して収縮するのである。
しかし。ほんの少しそのまま放置され、現実を受け入れ、ああだめだわわたしと観念しておとなしくなった瞬間に魚は本来のサイズに戻る。
荒磯の、荒波の、真夜中の、雄大な大自然の中で「5mm」にこだわるのであるw
それにしてもこのお魚。
赤きゃ金魚だw
幅広。ヒレピン。その姿形に、B師匠は「かっこいいなぁ~」といつまでも見とれている。
この人は魚が好きなのである。おそらく、釣りそのものよりも魚それ自体が好きなのである。
その後ポイントを入れ替わり明暗の影で25,6を3本。
程なくしてB師匠が暗闇の向こうから魚をぶら下げはにかんだ笑顔で戻って来た。
27.5cm。更新サイズ。
色白のその魚にB師匠は「貧相や」と言うが、それはサラシに着く魚の体色なのだ。
28.5は根に着いていた魚なのである。
釣れた魚の体色によって次に打つべき場所が判断できるのだ。
しかしまぁ良かった。
2人ともスコアを上げる事ができる。
12/7。
kazuhikoくんとの釣り。
僕の弟子だと言ってくれる彼に登録サイズを釣らせようと、サイズは出ないが魚は濃い北のエリアを選ぶ。
小規模なテトラと小さな磯が絡むポイント。2mの水深。藻場。波高は1m。
磯とテトラの境界の、その10m沖にきれいな潮目が出ていた。
考えるまでもない。
「あそこ打って」
「はい!」
もうそこしかない。この場所であれが出たらそこだ。
ピンポイントなので僕は手を出さずにkazuhikoくんの釣りを見る。
数投しても答えが返らず、焦れってぇなぁ、と声をかけようとしたところで彼のロッドが曲がった。
よろしいw
その横で僕は手持ち無沙汰だった。
根の絡むピンに投げれば26,7なら問題なく出るだろうがそれはもう知り尽くしている魚だ。
沖に目をやる。50cm程露出している小さな根。波をかぶり小さなサラシを作っていた。
ポイントは...あれだな。ひとつ狙ってやるか。このエリアならありだ。
calm80をスナップに掛けフルキャストした。風にあおられやや外したが、その風を孕んだラインがそのピンにちょうど導いてくれる。
ふた巻きほどしたところでバフッと吸い込まれる感触。Ok!狙い通りw
その魚は一気に走る。シーバス。確定。
暴れないシーバスというのがたまにいるがこいつは違った。
気が触れたように走り回り、ざばばざばばとえら洗いを繰り返す。
ドラグが気持ち良く滑る。ロッドは平気な顔でそのファイトを吸収する。
余裕。この余裕がメガメバルにも欲しい。つくづく欲しい...。
波の洗う低い磯にスパイクのまま踏み込みハンドランディング。
下あごをつかまれてもまだ尚、その魚はうねうねと空を泳ぐように暴れた。
77cm。
kazuhikoくんも登録サイズを何本か上げる。
よしよし。今日も皆幸せだ。
12/8。
B師匠が得意とするワームはセンコー2inchである。27.5もそれで穫っている。
「軽いジグヘッドでもひってもんに飛ぶんやざぁ。使ってみね」
先日の帰り道に彼はそう言う。
軽いジグヘッドに高比重ワームか...。ありだな...。
一部のメバルフリークが使っているのは知っていたが、なんとなくそれまで手を出さずにいた。
うん。考えれば考える程ありだ。遠くで漂わせる事ができるな...。
釣具屋に向かうw
しかしセンコー2inchはなく、代わりに同じ高比重のJackal ishad 2.7inchを購入。
その夜。まだ早い時間に明暗ポイントに入る。
波高は1.5m。サラシ渦巻く暗闇ラインのスリットの再奥からその出口に1.5g尺ヘッドD-typeとishadを打ち込む。
なるほど。飛ぶ。
2回小さくトゥイッチを入れてスラックを取りそのままフォーリング。そこですぱん!っと持って行かれた。
28cm。
2投目。
また同じパターン。すぱん!
27cm。
その後ひたすら同じパターンで26~27を10数連発。メバル柱を直撃した模様w
程よい波の日に、少し大きなスリットを見つけたらその出口を打ってみるといい。
スリット内部から跳ね返された水が、ちょうどその位置で水の壁を作るのである。
Bassの高比重ワーム。ありだ。これはありだ。
28cmを昆布締め。
昆布を酢で拭き身を挟み、ラップで密封して24時間。
辛口の熱燗とこいつは、つーの屋根にも雪降り積む夜に最高の時間を作ってくれる。しみじみとした時間だ。
演歌っぽいな。やっぱ舟歌だなw
12/12。
西風が強いがうねりはない。
風波がざばざばと短いスパンで打ちつける。
大規模な磯とテトラの入り江。先シーズン、4本ブレイクされたポイント。
だがこの場所にその風波は魅力を与えない。
陸から風が吹き、押し寄せる波がテトラを越え、その2つのベクトルがせめぎあい内側に潮目を作るタイミングにだけこのポイントは成立する。
しかしこの日。海から強く吹く風に、流れが一方向になり潮目は形作られていなかった。
外した、か...。
このタイミングで魚が着く場所を考える。
風の行き着く先のショアはこの場所ではあり得ない。
風の当たるテトラの外は波が強くて入れない。
風が吹き続ける日は風のない場所がピンポイントになる。あるいは風の巻く場所だ。
ここのそれはどこか?だだっ広い入り江にそのピンはなさそうに見えた。
が、ひとつ思いつく。
2mの高さに積まれたテトラ帯の内側。その場所のみが風の影になっていた。
テトラ際から1m程が滑らかな水面の帯になっている。
あそこか。
しかし強烈な横風にそのピンが打てない。
真横から平行に引きたいのであるが、入れたい場所に打ち込んでも風を孕んだラインがすぐにリグをそこから大きく離してしまう。
むずい...。
しかしそこで急に風向きが変わった。
完全な背風。テトラに沿って吹く風。奇跡のようだった。
延びるテトラと同じラインに入り、フルキャスト。その60m伸びるテトラ帯のちょうど中央にひとつはみ出したテトラがある。
リグはどーよ玉Fにリーダー1.5m。ジグヘッドは0.6g。Gulp!baby sardineを刺した。
テトラ際1m。はみ出したテトラの際でリグを止め、小さくトゥイッチを入れた。
もぞ...。
ロッドを跳ね上げる。有無を言わさず巻く。遠い距離をただひたすらごり巻いた。
29.5cm。
その後27,8を連発する。
テトラから2m以上離れるともう出ない。タイトであればある程いい。
そしてあたりが遠のきワームを変えたある一投。
良い場所に入り、可能な限りのデッドスローでリトリーブ。はみ出したテトラを過ぎ一瞬止めてまた巻いた。瞬間。
ぬっ...。
わずかにティップが入った。10時の位置に構えた85PE specialのやじろべえのようなバランスが崩れる。
反射的にあわせを入れた。
どぅるるるるるるる!
まるで高速回転するクランクシャフトを引っ掛けたような強烈な首降り。これが生物の動きなのか。
でっけ~!
アドレナリンが一気に出て強くロッドを煽ったとたん「ぷんっ」とテンションが抜けた。
ぅあぁ~!
声が出る。リグを回収する。
何もできずに伸ばされる。
一体...あれを...どうすれば良いのだ...。
おそらく。いや間違いなく。問題は僕にある。
12/13。
彼との釣りは回をあらためて今度ゆっくり書いてみたい。
この人は誰もが認める北陸ライトリグ界の宝である。
状況が難しければ難しい程燃える。
イージーな魚を探せばどこかよそにいるのは十分知っているのだろうが、好んで目の前の難しさを選ぶ。
M性の変態さんなのであるw
どんな人だろうと思ってる方。こんな人ね。
これは2012/1/2。極寒の幽霊テトラ。朝マヅメ。
釣れなくてダレてしゃがみ込んでいるのではない。これが彼の戦闘態勢なのである。集中する時は常にこの姿勢なのだ。
カメラを向けられて笑っているのでもない。
明るくなって初めて気付いたのであるが、彼はひたすら笑顔を浮かべて釣りをしているのだ。心底楽しそうに。
釣れなくて、凍えて、7時間同じ場所に立ち続けるような僕の釣り人生の中でも最上位に来る辛い釣りの中、彼は最後に来てもこの笑顔だった。
その好きさ具合には、僕などとても勝てないと思う。
12/13のこの日の事は軽くさわりだけ。
たかかんさんのポイント。ウェーダーを履いて渡る大きな磯場。
足下のサラシの中で2gジグヘッド単体で何本か掛けるが食いが浅くことごとくばらす。
たかかんさんも良いのを2つ、ばらしとラインブレイクで獲れない。
どこを打とうかと考えあぐねその規模の大きな磯場を見渡し、ひとつ不自然に波の立ち上がる一角が目に入る。
その場所で立ったサラシの泡が動かない小さな潮目を作っていた。
どーよ玉Fにロングリーダーと軽いジグヘッドで飛距離ぎりぎりにあるそのピンを打つ。
完全に止め、テンションだけを掛けてあたりを取りに行くが気付いた時には既に遅く唇をかすめるように数本外す。
明確なあたりを得る為に、アクションが目的ではなく、ただあたりを出す為にスーパーデッドスローなリトリーブを入れた。
もわっと来て...微妙にもたれかかる。
小さなあたりを85PE specialは明確に捕らえた。50mの距離、波の中で。
このロッドは打撃系のあたりに対する感度にも優れているが、そんな空気系のあたりに対しても、感度ではなくバランスを崩す事であたりを出す。
120gの自重は今やメバルロッドの中では重い部類に入るが、10時の位置にぴたりと決まる絶妙のバランスはその重さを全く感じさせない。羽のように軽く感じる。
しかしその質量を持つ事でしか得られないパワーはしっかりと身に付けているのである。
僕の好む波の中のパワーフィネスの釣りにおいて、パーフェクトなロッドである。求めていた物、なのである。
もわっ。
27cm。
もわっ。
27cm。えらに刺されて指に血がにじむ。
ひときわ小さく。
もわっ。
28cm。
そのうちの1本はオスであった。釣り上げられ、掴まれ、精子をぴーと放出した。
やはり今は交尾の時期であるのか...。
賑やかだったシャローから魚が消え、どこで何をするのかと疑問であったがその魚で明確に分かる。
シャローから消えた魚はdeepに集まりペアリングを行う。この時期に。
集団見合いをする為には、集まる目印と、水深が必要なのである。
ストラクチャー絡みの、deepの潮目...。
そのタイミングに自分の釣りがはまった。自分で見いだした方法が、あるタイミングの生物にアジャストする。
その快感に酔いしれ、酔いしれ過ぎ、その後入った別の磯場で盛大に転んだw
12/14。
この日、ダービーに○○ーさんが尺を登録する。長寸では勝っているがポイントで負ける事になる。
とうとう尺を出さねば勝てないダービーになってしまった。
北でも海は凪ぎの部類。1m程の波高。
凪げば入りたいと思っていた中央からやや北寄りのゴロタ帯。30m沖に一気に落ちるブレイクがある。
その場所で小さく立ち上がった波がショアを白く染めていた。
久々のハードルアー。高い足場からデッドスローでブレイクに漂わせる。
28。
そして得意のどーよ玉Fでブレイクまで早いリトリーブを行い、そこで止めて浮いたジグヘッドをフォーリング。
ぬぅ...ともたれかかるように。
29cm。登録サイズ。
その他27~28cmばかり10本程。
しかし尺。ここで出ない...か。タイミングではあったと思うのだが...。
壁を感じ始める。
12/17。
敦賀のひなびた釣具屋でtsu-damaを大量購入。しこしこと制作作業。
20lbのナイロンラインを通し、10cm程の遊動幅で上下にスナップを付ける。
これにリーダーを結び、仕掛け巻きに巻いて現場に持参。ルアーを交換する感覚ですぐにリグが変えられる。
夜。kazuhikoくんと。
先日と同じテトラ帯。波が強く風も強く、その方向が同じであるため潮目が出ない。
短いスパンでショアに打ち寄せる風波を真横から見る角度。
その波頭の崩れ波が薄い泡を作り、連続する波の中でも位置を変えずに留まる場所を見つけた。
それを打つ。30m沖。
波の日に打ち場所を見失ったら動かない泡を探す。とりあえず、そこを打つ。
動かないのには理由がある。そしてその場に留まっているのは泡だけではないのである。
tsu-damaで直撃。あたりが小さい。
しかし連発。難しい釣りが続いていたので気持ちがいい。
サイズは登録サイズにはほど遠いが、連発する事に浸り込む。繰り返す事に夢中になる。
釣れる魚は釣れるだけ釣る事だ。
10本よりも20本。20本よりも30本。30本よりも40本。もういいやとやめてはいけない。最後まで貪欲に釣り切る事だ。
ひたすら釣り続けるうちにある転換が起こる。量が質に転換するのである。
何となく分からなかった事が、ぼんやりと見えなかった事が、同じ事の繰り返しの中で、あっ!と明確になる瞬間が来る。
難しい、釣れない釣りは釣り師の成長段階においてあまり意味を持たない。
足を使って、イージーな魚を探し、見つけたら釣り続ける事だ。動作のひとつひとつを意識しながら。テクに走らず。ただ掛け続ければいい。
そしてそのリグと場所を自分の物にするのである。「自信」の持てるパターンを固めてしまうのである。
たとえその場にマッチしたリグがあったとしても、それが「自信」のないリグであれば魚は釣れない。
合ってないとしても「自信」の持てるリグが勝る。
僕のそれはハードルアーであり、deepでのジグヘッド2gであり、浮く飛ばし浮きである。
魚を釣るために、それが一番の早道なのだ。
20発程掛けたか。サイズは25程度であるが。そのうちの何本かがまた射精した。
並んで打つkazuhikoくんはその小さなあたりを捕らえきれず、明確な当たりのみを取って数本に終わる。
彼のロッドも85PE specialである。まだこのロッドの真価は分かっていない。分かり様がない。
圧倒的に経験が足りないのである。経験を積んで、良い場面を経験して、もっと自信をつける事だ。
彼は野菜を作る事を生業としている。彼の作る野菜はきりっとして味が濃くおいしい。
長い時間を掛けて、おいしい野菜を作り出したその「やり方」で釣りをすればいいのだと思う。
12/19。
海は荒れた。北は4m。南も3m近い波高。
ポイントが限られる。
ある巨大漁港の先端。その内側。
8mの高さの堤防を越え、内側に波しぶきが降り注いで来ていた。だが危険のあるレベルではまだない。
先端を回り込んだ波が防波堤の内側に巨大な渦を作る。この場所のパターンである。
とは言えしばらくあたりはなく、しかし確信はあり1時間粘る。
北西の風が真北に方向を変えた。
降り注ぐ波しぶきの位置が変わる。
その瞬間からばたばたとあたりが出はじめた。
その正直さ。経験するたび感心する。
風。
魚が住む世界とは別の出来事であるが、彼らは明確にそれを感じて生きている。サイズが上がれば上がるほど、意識している。
先端から巻く流れにどーよ玉Fを乗せ、サラシが消える境界で連発。
しかし地合は短く27~29cm5,6本。風が再び変わったタイミングで一気に沈黙した。
29cm。登録4本目がついにこのサイズになる。
それで勝てないか...。
やすや倶楽部メバルダービーは既に単なるプライベートダービーの域を越えている。
12/21。
唐突であるが。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。」
この有名な小説の冒頭の一節は次に
「夜の底が白くなった。」
と続く。
夜汽車の中から見る暗い車窓に、トンネルを抜けて雪国に入った「瞬間」に積雪が浮かび上がる。
その風景をそう表現したのである。
ある日常の世界から、出来事の起こるある別の世界に入った明確な転換として作者はそれを使うのである。
徐々に雪国になるのではいけないのだ。「トンネル」を使って、一瞬で世界が変わらねばならない。
ある物語を語り始める導入部として、読者を文字の世界に引き込む為の端緒として、尋常ではないテクニックと感覚、と、言う他ない。
...何のブログだw
「夜の底が白くなった」
それは雪だけが起こす事ではない。
海でも起こるのである。そしてそれを実感として知る事のできるのはある種の釣り人だけだ。
この日。
波は釣りのできるレベルにまで落ちる。とは言え北で3m。先日たかかんさんが教えてくれた磯に入る。
かなり恐怖を感じる波。
そしてひときわ強いうねりが2波3波と続けて押し寄せ、黒かった水面が数100メートル四方に渡ってすべてサラシた。
この波では漁り火はなく、この天気では月もなく、あるのは遥か遠い自動販売機の灯りだけであるが、その瞬間に海は光量を増した。
息を吸う。
夜の底が...、白くなった...。
実感する。
その渦巻くサラシの中。5mの水深。そのボトムに3gのジグヘッドを這わせる。
動きすぎる水はそのウェイトでもリグを落ち着けてくれない。
漂わせたり、巻いてみたり、根を感じて外してみたり、微妙な感覚でなんとかボトムにコンタクトさせ続ける事に没頭する。
魚を釣る事ではなく、それをし続ける事を目的に変える。
ある一投。
露出する三角の岩のその馬ノ背がボトムに続いているであろう部分。
そこを通過させようと少しロッドをあおりまた落とした。瞬間。
ぬっとティップに小さく重さが乗り、その重さが油で滑るようにぬるりと動いた。
!
小さくロッドを跳ね上げる。ラインの角度は60°程度。感覚的にはほぼバーチカルに近い。
ドンッ!と重さが乗る。普通ではない重さ。
でかい!?
ゆっくりとリフトアップする。魚は走らない。首も振らない。ただうごめくだけ。それでも異様に重い。
ロッドのベリーを使って細心の注意でリフトアップして行く。
このロッドはどんなに曲がってもその限界を見せない。常に余裕を持ち続ける。懐が深い。
最後の最後に来るかもしれない強い負荷を吸収する余地を、常に隠し持っている。
魚が水面に出た。足場は3m。白いサラシの中に黒い魚が翻弄されているのが見える。
波が寄せて足下に魚が来る。抜こうとしてしゃがみ込み、わずかにロッドを持ち上げ重さを量った。
!!!。
重い。どころではなかった。
尺なんてものではない。32か。33か。34か。そんな数字が頭の中を駆け巡る。
例えるなら胴長25cmクラスのアオリイカの抜き上げに感じる重さだ。700か...800か...。
抜くのを躊躇した。持ち上げたロッドをまた下ろした。そしてそれが多分、間違いだった。
再びその魚は波に翻弄される。
引き波に引かれ、寄せ波に寄り、しかしどう考えても結局抜くしかないのだ。
覚悟を決める。またしゃがみ込み、巻けるところまでラインを巻き、抜こうとロッドを持ち上げた。が。
プン!
テンションが消えた。
声も出なかった。
動く事もできなかった。
しばらくその姿勢のまま、じっとしていた。
痛...恨...。
リグを手にとる。
針折れ。
躊躇さえしなければ、まだ保ってくれたかもしれない。最後の引き波で限界まで伸びたのかもしれない。
後悔がサラシのように渦巻く。
なんて...事だろう...。
折れたジグヘッドを交換する手の、震えが止まらなかった。
その後遠い潮目にフロートリグを漂わせ28~29cm5本。
しかし何の感慨も湧かない。
あの1本が頭を離れない。
鬱屈したまま、その磯を下りる。
エリアを変えようかと思ったがどうしてもこのエリアを立ち去り難かった。
あのサイズがいるのだ。たまたま乗った磯の足下に、たまたまそれが1本だけいたとは思えなかった。
ゴロタの磯をさまよう。
強い波がショアに打ち寄せ盛大な波しぶきを上げる。
何カ所か見て回り、びしょびしょに濡れながらある一カ所を見つける。
60m彼方に沖磯があり砕けた波が手前に流れ込む。その手前が「比較的」穏やかなプールになっていた。
船の舳先のように尖り、それでも押し寄せる波をきれいに左右に分ける足場もある。
そこに入った。
沖磯に向けてどーよ玉Fをフルキャストする。
左手には盛大な離岸流が発生し、潮は左から右に高速で流れた。
リグが落ち着かない。止まらない。あっという間に流されて行く。
打つ場所を変えて何発も打ち込み続けた。繰り返すフルキャストに肩が外れそうになる。
そして。ある一投。
リグが止まった。沖磯の手前のサラシと離岸流が接する一点。
ここだ...と集中する。リグに微妙なテンションを掛けて、小さくひとつトゥイッチを入れた。
も...ぞ...。
ロッドを握る手のひらの中に、虫がうごめくような感触がきた。
スパン!とロッドを跳ね上げる。
魚が乗る。乗った感触に「小さい...」と思う。
尺絡みには違いないが「小さい」と思ってしまう。
一気にごり巻きした。
フル回転の一気の寄せの中でも、その魚は何度も首を振った。
その硬い首振りの感触にその都度ひやりとするが、容赦なく50mの距離をごり巻き続ける。
足下のサラシまで寄せひょいと抜いた。ひょいと抜ける、そんなサイズだ。
抜いた魚は「行って」いなかった。一目で分かる。体格は素晴らしいが「行って」ない。
測りもせずに水を張ったバッカンに滑り込ませすかさず次を打つ。
左手の離岸流にリグを乗せ、ラインを出して流した。
そして沖磯に近づき、リグが止まる。
今度は誘いを入れるまでもなくティップにぬっと重さが乗った。
小さな引き波でも同じような感触は来る。しかし「生命」が作り出す動きはなぜか明確に区別できる。分かる、のだ。
ひとつ思うところがあり、今度は強いあわせを入れずスゥィープにあわせを入れた。その動作が途切れぬタイミングでリールを巻く。
魚の顔はこちらを向いている。そのまま「暴れさせない」ことを目的に、寄せに入る。
魚は暴れない。起こった事が分かっていない。???と思いながら寄せられてくる。
速くもなく、ゆっくりでもない微妙な速度。感触。まるでメバルサイズのビックベイトをリトリーブしてくる感覚である。
その寄せは極めてゲーム性が高かった。ひとつでも首を振られたら負けのルールのゲームなのだ。
さっきの一本の硬い首振り。サイズによってはその一発で魚は消える。
暴れさせない事。それでしか獲れない魚が存在するのである。何度もやられたそのサイズを獲る、その為の練習のつもりだった。
魚は小さい。同じサイズである。全力で暴れられても問題なく獲れはする。
しかし一度これをやってみたかった。
魚は長距離を寄せ切られ足下のサラシに姿を見せる。
そして「そっと」抜いた。
ひとつも首を振らぬまま、暴れぬまま、その魚は僕の手の中に入る。
行ってない...か。
尺を1mmでも越えるメバルは疑問を挟む余地もなく一目で分かる。
行ったか?行ってないか?迷う魚は行っていない。
壁...か。
いまさら...。
上から。29.5,29.5,29cm。
しかしこの29。かわゆい顔だなぁ。さぞかしモテただろw
帰り際。ルーティーンワークとなったある漁港打ち。
足下にある小さなシモリ際。完全に狙ったシーバス60。
ダービーのスコアはこれで117.5cmとなる。公言していた118cmに5mmまで迫る。
その5mmが29.5につくのか。29につくのか。
全く意味が変わってくる。
この日。一冊の雑誌が届く。
僕のメバル釣りを初めて活字にして頂いた。
どこの馬の骨とも分からぬ僕のような者に、大枚カラー3ページを与えてくれたカタリスト長谷川さんに心から感謝したい。
一連のフロートリグを使った波の釣りについて書かせてもらった。
極めて感覚的で「やってみなければ理解し難い」この釣りについてできるだけ分かりやすく書いたつもりだ。
ただ限りある字数の中書き足りない部分も多く、このブログとあわせて読んで頂ければより理解して頂けると思う。
ドヤ顔の僕の写真のすぐ横にyasuくんの写真が並ぶ。
彼と僕とは釣る分野が違うが、それでも僕のメバル釣りを導いてくれたのは彼だと思っている。
深く、お礼を言いたい。
12/23。
嫁の経営するgecko cafe忘年会。
この2日間、その為に釣り溜めた27~29.5cm10本。
さばかれた魚の胃の中からはほぼすべてこれが出て来た。
ゴカイ。
今シーズンは当たり年だと言う。
確かに、ひたすら続いたシャローでの爆発はかつて経験した事のないものである。
しかし。考えてみれば不思議な事なのである。
年魚であるアオリイカなら話は分かる。産卵数が多く、成長期の夏の海が穏やかであればアオリイカは当たる。
しかしメバルはそうではない。26,7の魚なんて先シーズンも存在していたはずだ。魚の個体数自体が大きく変わる魚種ではないのである。
なのになぜ今シーズンは当たったのか?
おそらくその理由はこのゴカイだ。
毎シーズン腹の中から出ては来るが、それはある短い期間に限られた事であった。
だが今シーズンは最初期から現在に至るまでのほぼ2ヶ月間、極めて広い範囲で出した魚の中からことごとくこれが出て来た。
おそらく、当たったのはメバルではなく、ゴカイなのだと考えている。
ショアで発生するこのベイトに、普段は沖を好む群れもショアについたのだと思うのである。
今シーズンはひたすら小さなあたりが続いた。こんっ!という打撃系のあたりが極めて少なかった。
それはこのベイトを食するメバルの特徴なのである。
メバルの事ばかり考えていてはいけない。
ベイトの事も研究する必要がある。それは回り道の様で、実は最短距離にある事なのである。
困ったなぁ...。
先は、長いなぁ...。
gecko cafe忘年会は別名「カニパー」と呼ばれる。
わさわさと大皿に盛られたセイコガニは見るだけで華やかに気分になる。
メバルの昆布締めとシーバスの造り。
メバルの煮付け。濃いめの味付けで甘みも強く入れる。大量の白髪ネギがみそだ。
我が家のリビングに、年忘れの穏やかな宴が朝方まで続く。好きな人たちに囲まれた極めて幸せな時間なのである。
だがまだ僕はこの年を忘れ、終える、わけにはいかない。
越えるべき壁を、まだ越えていない。
12/28。
南の波が落ちる。
北はまだ3mの波高が続く。
ある漁港でIshimotoさんとMasaさんに出会い、おせっかいにも遠い北のポイントに拉致した。
そのポイントには最適の波と風であったのであるがあたりは皆無。
先シーズン爆発したこの場所に、尺の期待を掛け続けていたのではあるが大きく外す。あてが違う。
時間の限られる忙しいおふたかたには大変申し訳ない事をした。
ごめんなさいと頭を下げ、別れる。
一気に南に降り、ある小規模なテトラ帯。通称「奇跡の海水浴場」。
その外海に面するテトラに立ち海水浴場に続くテトラの開口部を打った。
魚はイージーに出てくれる。
あたりはもたれかかるように小さいが27,8が連発してくれた。
この場所が機能している時は「幽霊テトラ」も機能する。2km程離れたこの2つのテトラ帯はなぜか密接に連動している。
幽霊テトラに入る。そこでも25~28cmなら連発で出る。
沖ではなく、かなりテトラに近いラインである。
しかしサイズが足りない。求めるサイズが出てくる気配が感じられない。
この場所は、新規のテトラが入って以来かつての爆発力を失ってしまったように感じる。
27up40本とか、25up60本などと言う事が幾度も発生した場所なのだ。
が、その面影は薄くなってしまった。
早々に切り上げ、そのひたすら続くテトラ帯の先端付近に入る。
ある降りやすい一カ所。
左右のテトラを平行に引けるほぼ水面レベルの足場に立つ。
tsu-damaに60cmのショートリーダー。ジグヘッドは0.5gを選びGulp! sand wormを刺した。
テトラの平行引き。数あるメバルメソッドの中でも、おそらくそれは最も手堅いメソッドのひとつである。
巨大な団地群に面する道路を「い~しや~きいも~~~。おいも。」と流すのに近い。
各々の小部屋の中には「なんだか小腹がすいたわぁ~」と身悶える団地妻が潜んでおり、
そのスピーカから流れる声に「おいもやさ~ん」と駆け出してくる個体が必ず存在するのである。
ひとつ沖に小さく露出したテトラ。テトラ帯を見つけたら少しでも変化のある場所を打つべきだ。
その外側に面した影に、でかいのが着く。
それをかすめる角度にtsu-damaをフルキャスト。
これも浮くリグなので根掛かりを恐れずデッドスローに引く事ができる。
目的のテトラに差し掛かる。来ると思った。必ずここで出る確信があった。
そしてその通り
コンッ!と明確なあたりが出る。
小さく鋭くあわせを入れる。手首に、一瞬力を入れるような感覚。長竿のヘラブナのあわせの様に。
フックを刺すか刺さないか、その辺りの微妙な負荷をジグヘッドに伝えた。
魚を暴れさせない事を意識する。
そのままゆっくりとリールを巻き、10mの短い距離をそっと寄せる。
魚は暴れない。サイズがある事ははっきり分かるが、それは柔らかく、充実をたたえたひとつの重い物体として寄ってくる。
足下にきて、ゆっくりと抜き上げ、その重量に「行った...。」と静かに思う。
闇の中でジグヘッドにぶら下がり、まだひとつも暴れぬその充実の塊をそっと握りしめた。
「行った...。」
just尺。
その魚体のあまりの体格の良さに、もう少しあるかと思ったが...。このサイズになると、まだ読み違えてしまうか...。
越えるべき壁を越える。ぎりぎりではあるがなんとか越える。
猛者達が次々と僕のスコアを越え、その度に必要なサイズの魚を出す事ができたこの素晴らしい12月のストーリーを思う。
最後に、完結の環を閉じる句読点が打てたと感じる。
よくがんばったな。
1st stage result。118.5cm。
しかし。
本当に求めるサイズ、では、まだない。
全然。
TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR 85PE special,93PE special
REEL/ CERTATE 2506,2506H
LINE/YOZ-AMI WX4 POWER ZEINTH ULTRA SURF 0.5+8lbフロロ
2011/11/23、24。
仕事は休みだが海は荒れた。
荒れた海での釣り方は知っているつもりだが波高4m風速10mとなると物理的に釣りができない。
某漁港の明るい場所でしばらく猫と戯れる。
吹きっさらしのブルーシートの資材の影と言う、およそ寒がりの猫には似つかわしくない場所で白と黒とが震えてなーなー鳴いていた。
釣り人の魚についている猫だろうか。
「こんな日は誰も来んよ」
あごの下をくすぐる。
2011/11/26。
夜勤前。2時間勝負。あまりやりたくない事ではあるが仕方ない。
波はやや収まる。北はまだ2mの波高があるが場所によってはできなくもない。
去年12月に爆発した磯とテトラの絡むワンドに入るが、見た目の状況はベストにも関わらず27cmがひとつのみ。
まだ早いか、それとも今シーズンはここはないのか。不安になる。
ここがないとなるときついな。確実に尺が穫れる場所はここしか知らない。
車に乗って少し南に下りあるゴロタ浜。
僕的には気色悪い度がmaxの場所で、よほどの事がないと入らない。入れない。
先行者が2人居て、それに勇気をもらってゴロタ場に足を踏み入れる。
ひとつひとつのゴロタは大きく、地の岩礁も斜めに尖っていて歩きにくい。
気温は高めでウェーダーを履く体からはすぐに汗が吹き出てくる。
暗闇の長いゴロタ浜を歩くと、これは巡礼のようだといつも思う。業を背負った巡礼である。
丸い岩を越え、水の中を歩き、大きな岩山によじ上り、よじ下り。
滑って尻餅をついたり、バランスを崩して小さく落ちたり、何をしているんだろうと心がささやくが足は止まらない。
はぁはぁと肩で息をし、ようやくたどり着いた目的の岩は巡礼者にとっての寺院か教会のようなものである。
息を整え、深呼吸をし、しんとした心でしゅんとロッドを振りリールを巻き、頭を垂れて、行う、その行為は紛れもなく祈りだ。
祈りが通じたのか。
通じなかったのか。
大きな岩山に登り巨大なスリットが作り出すワンドに入る。
開口部にある5mの足場の岩山から、ワンドの奥に向かってリグを投げる。
足下がブレイクになっており、そこで波が減衰され流れ込む。
波のシャローでの典型的なポイント。
生活のしにくい高い波から魚は逃れ、こうした静かな水域にたまり密度を濃くする。
キャストの数だけあたる。どこに投げてもあたる。
サイズは26から27あり、時々、ん?これはというサイズが出るがメジャーをあてると決まって27.5である。
釣った魚は背後の水域にリリースする。こうした静かな小場所ではその場にリリースすると急速に食いが悪くなる。
放たれた魚は大急ぎで仲間の元に戻り大変だ大変だと大騒ぎするのに違いないw
結局25~27.5を20ほど釣ったところで食いが止まる。釣り切ったか。
いや、きっとでかいのはその群れから外れて岩陰あたりに居るのであろうが風と長距離の釣りではそのピンが打てない。
また27.5か。どんなに釣ってもそこまでだ。
今シーズンは当たり年である事は間違いないがそれはそのサイズに限った事である。
なぜかその世代が異様に多い。2006~2007も当たり年だった。その年に生まれた群れなのか。
2011/11/27。
topが入れ替わる。
しかしまだたかかんさんの本領を発揮したサイズではない。まだ追いつける。
一晩で尺4つ出しても不思議ではない人なのだ。助かった、まだ狙える、と思った。
total113.5cm。2.5cm差。越えるには尺と28が必要という事になる。それならまだ行ける。ぎりぎりではあるが。
抜かれた事を知った嫁が「抜き返したらんかい!」と叱咤するw
また仕事前釣行。抑制が利かなくなっていた。
北の波は1mに落ちる。
今シーズン、こだわり続けているエリアのゴロタ帯に入った。
沖にある巨大な岩山のおかげで北からの波がブロックされるこのエリアでは波は50cmにまで落ちていた。
約40m沖のブレイクでうねりがもわっと立ち上がりシャロー帯に流れ込む。
そのブレイク。
5本目から数え始めほぼひとつも外さずに37本。ブレイクならどこでも出るのだ。
7割が26~27.5である。濃すぎる。
あたりは基本的にもぞ...と出るが時々とんでもなく大きくごんっ!と来る。
当然合わせるのだが一発も乗らない。しかもワームはずれていない。
なんだ???。
ん!?あっ!。
tsu-damaを食ってきているのだ。超高活性。アシスト付けるかw
その割にはkeepした魚の胃から出てきたのはゴカイであった。
11月前半の魚の胃には極小のエビやシラスサイズの何かの稚魚が入っていた。
大きなベイトはまだ確認できていない。
仕事までのタイムリミット。それまで打ち続けていた沖のブレイクを外し、何気なくショアとの中間の小さな根を狙う。
リグがその横を過ぎたところで、ぬっとティップが入った。
跳ね上げたロッドに掛かった重量は、それまでロッドに乗り続けていた重さとは桁が違った。
!!。でかいっ!
潜られないよう、水面に出せるよう、ロッドを強くあおった。が、その魚はその場から移動しない。
これは行った、と思った。思ってしまった。そう思ったら負けなのだ。それを知っているのに、思ってしまう。
タックルを信じてより強いテンションを掛けた。しかし、多分、強過ぎた。
ごんごんごんごんと首を振りぬるりと魚が動いた瞬間ぷんっ!とラインブレイク。
うあぁ~と声が出た。誰もいない闇のゴロタに、その声が響く。自分の声ではないように聞こえた。
(この辺り写真を全く撮っていない。撮るべき魚が釣れていない。つまらんね。ごめんね。そのうち出てくるからね。)
2011/11/28。
仕事前の釣りはしんどいものだと思っていたら、案外仕事はうまく行くものである事を発見する。
体がよく動き集中力も高まるのだ。
こりゃいいやw
調子に乗ってこの日も海に出る。
昨日のゴロタ帯。波は完全に落ちている。べた凪。無風。
昨日の沖のブレイクから魚が消えた。ブレイクに着いていたのは50cmの波のせいだと知る。
そこで起きる小さな縦反転の水流に着いていたのだ。
沖に出たか。ショアに着いたか。
であればと、ほぼショアレベルのスーパーシャローを打ってみる。
水深50cmもない。膝あたりでウェーディングできる場所。
tsu-damaに0.3gのjighead。リーダーは40cmと短く取った。
とぅん!
あわせる。瞬間27がどしゃばしゃと暴れる。
距離は10mもない。瞬殺。一瞬で抜き上げる。
そのパターンで23~27を10本ほど。
状況の中での魚の動きがよくわかる。定点観測の醍醐味である。
たまらんなぁ。愛おしいなぁ。
ただ。
サイズが出ない。求めるサイズの魚の動きが見えない。
2011/11/29。
taizoくんからお誘い。あまりタイミングは良くない。
明日から海は荒れる。かなりきつい時化になる。昨日のショアべたの魚は多分沖に行く。
魚の行動のベクトルが、意識が、ショアから沖に向かうタイミングなのである。
18:30に我が家で待ち合わせ、期待満々のオーラをぷんぷん出しているtaizoくんに
「今日は渋いと思うよ」
と告げると彼は一瞬固り、彼独特の戸惑った顔をしたw
人と行くと釣れないという僕のジンクスは非常に強固だ。
とりあえず昨日と同じゴロタ帯に入ろうかと考えたが、おそらく水深が必要だろうと同じエリアのテトラ帯に入ってみる。
しかしあたりは単発で食い方も極めてショートで抜けが連発する。
何とか掛けた魚も話にならないほど小さい。
であれば、とウェーダーを履き激流ポイントに入った。しばらく入っていない。どうなのだろう?
2つ並んだ小さな根に乗り話しながらロッドを振る。
沖でもあたりはあるが熱いのは10m沖のウィードエッジだった。
エッジを横に引く角度。tsu-damaフルキャストの距離で26、7が連発する。
僕のめちゃくちゃに強引なやり取りを見ていたtaizoくんがあきれて言う。
「めっちゃ強引やね~」
taizoくん。そうでもしなければウィードエリアで魚は穫れないのであるよ。
そう。
穫れない。と言うか、それでも穫れない。
ひときわ長距離のエッジ。良い場所に入った巻き始め。つっ!と小さくあたる。
掛けた瞬間にサイズが分かる。27では、全然ない。
エッジから1mもない場所。
一渡り強いファイトをした魚はイージーにウィードに入った。ふと、入った。
やられた...。
穫れない。どうやってもあのサイズの魚が穫れない。
この釣りは矛盾だらけだ。障害物。シャロー。長距離。ライトリグ。クラス最強の魚。
落ち込む。もういやになってきた。
その後ゴロタ帯に入りぽつぽつと拾う釣り。
思った通り近距離に魚はおらず、沖に戻っていた。どんな情報手段かは分からぬが、メバルは明日から荒れる事を知っている。
40m投げれば左右に根を3つ通せる狭いライン。その一番沖の岩陰で28cm。魚が遠い。
このサイズならその距離でもイージーに穫れるのであるが...。
タイムリミットが来る。別れ際、まだ続けるtaizoくんにこの日の当たりのgulpを数本渡す。
そして結果、その本数通り良い魚を釣ったようである。
この人はおそらくそんなに釣りに行かないのであるが上手い。基本ができている。考える事もできる。
そして何より釣りが綺麗だ。一言でいえば「スマート」なのである。
2011/11/30。
ようやく休み。しかし海は荒れた。巡り合わせが悪い。一気に冷え込み北風が身を切るようである。
北は話にならない風と波。
南の小規模な漁港に入る。
磯と堤防とテトラが絡む。極めてイージーに入る事のできるポイントなのであるが着く魚が大きい。
北風がまともに当たりゴミが吹き溜まる。
時々木の葉が釣れる。海で木の葉を釣る事ぐらい切ない事はないのであるがこの場所でそれは吉兆である。
ただしメバルだけではない。シーバスもこの風の時にここに着く。
いやな予感がしタックルをひとつ上げた。「メバル」の名前がつく中ではおそらく最強タックル。
tsu-damaにbeamfish。テトラ際を流し、流し終え、足下の影にリグが入る。そこで。
カツン!
硬い当たり。やっぱりこいつが居るか。
ほぼ真下の角度からうねうねうねうねとシーバスは沖に走る。にぃぃぃぃ~とドラグが出る。そこでえら洗いをした。
そのゆっくりとざばざばと鳴る水音と姿に、そのでかさを知る。過去に経験のないサイズ...。
瞬間あきらめた。だめ。これは穫れない。足場は4mで網はない。
絶望感の中でストローク長く突っ込まれあっけなくフックアウト。尺ヘッドが延ばされる。
少しほっとするw
しかし。
釣り師の業というものは深く、何となくまたそれが来ないかなーなどと思うのである。
今度は磯方向。確信犯的に足下の影を通す。
ひとつ小さな沈み根。その際。
カッツーン!
わ~また来ちゃった!
狙っておいて来ちゃったもないのであるがほんとに来ちゃった事に戸惑う。
しかしこいつはさっきほどのサイズはなかった。
突っ込みのストロークは短くえら洗いの音が軽い。
これは穫れるか...。
ファイトに集中する。突っ込めばロッドを前に出しふっとテンションを緩める。すると止まってくれる。
近距離で何度かそのやり取りを続けて魚は弱り始め、どうも僕の勝ち気配が濃くなって来た。
でも...。
でもどうやって上げるんだよ...。
腹を見せて浮かび上がった魚は思ったより大きい。抜けるはずがない。
考えた。フル回転で考えた。
防波堤の先端を回し込み漁港内に魚を入れる。
根元のスロープまで持って行ければ穫れる。
ラインをフリーにしてロッドを内側の低い堤防に滑り落とした。
ダッシュで下りられるところまで走り、取って返してロッドを拾ってベールを戻す。
良かった。魚はまだ付いている。
そのままスロープに誘導。寄せる小さな波に乗せ、打ち上げられたこいつの下あごを掴んだ。
でっか...。
80ランカー。尺ヘッドは上あごど真ん中。ヘッドがわずかに口外に出る完璧なフッキング。そのおかげで穫れた。
メバルはまた27まで数本。
ふー。
そして。
2011/12/1~12/2。深夜。
北でも波は1.5mまで落ちるがマイポイントの27cmの猛攻がフグ並みに鬱陶しくなって来た。
新規のポイントを探す。
基準は真っ暗で車の止められる場所。
何カ所か見て回りある一カ所。これはこれはという場所を発見する。
100m沖に何かあるらしくそこで波が砕けその余波が流れ込んでくる。
30m沖に根が横に直列して点在しその余波をまた弱くする。
右の沖に大きな根が張り出し、右斜め後方に静かな長いワンドが続く。
足下の根から流れ落ちた流れと、沖から来る流れと、ワンドが跳ね返す流れとがせめぎあいその中央の三叉路で潮目を作る。
水深は基本的に2m。沈み根がそこかしこにある。
絵に描いたようなメバル場。
わくわくする。あの潮目だ。
そしてその通り。その潮目の中で連発。
レンジはやや深く、tsu-damaにjighead2gを背負わせ沈めた。
波が静かになって潮目が広くぼやけたタイミングでは食わず、まとめて何波か押し寄せ潮目が細く濃くなった時だけ食いが立つ。
当たりは大きく食いも深く、ただ合わせれば良いだけのイージーな釣りが続き20数本。
しかし。
またしても27.5cm止まり。
エリアを変えたつもりだったが変わっていない。
北はどこもこんな感じなのか。
上がらぬサイズと冷たい北の強風に心折れ、そのポイントを後にする。
傷心のまま車を走らせ、ずいぶん南に来てあるポイントの駐車場に車を入れる。
メジャーポイント。ずいぶん打たれているであろうが尺の可能性を持つ場所だ。
街灯の明かりが明るく照らすワンドの、その左端の岩に乗る。
沖磯に沿ってリグを通す。
沖では何も起こらず足下の明暗の影に差し掛かるところでドカン!と来た。
!!。
その場でぐりゅぐりゅとうごめく生物を有無を言わさず抜いた。
!。
29cm。ここに居るのか?
その次のキャスト。
全く同じピンポイント。明暗の影。
28.5cm。幅広の惚れ惚れする魚体。
113.5cm。並んだ。あっけなく並んだ。あんなに苦労して打ち続けた北で叶わぬ事がこんなところで叶ってしまう。
ふはは...。
力なく笑うしかなかった。
その後、明暗の完全な暗部のボトムで4本追加。
こんなもんだな。
メバルって。
いや。
僕のせいだ。
いつの間にか頑になったこだわりがいらぬ苦労をもたらしたのだ。
自由である事。視点を広く持つ事。
思い知る。
今更ながら。
さてさて。
話は変わる。
11/21発売のこの雑誌。泣く子も黙る地球丸。
小さな記事で出させて頂いた。
本名バレだなw
またまたyasuくんから頂いた話であったのであるが今回は原稿ではなくアンケートだと言う。
全国の30人のメバラーに共通のアンケートを行い地域によるメバル釣りの違いを浮き彫りにしようという企画。
僕のような地元のコアなアングラーが対象の記事なのかと思ったがその他29名の顔ぶれを見てビビる。
この僕がりんたこさんや金丸さんと同じ顔をして紙面に載って良いはずがない。
30名のうちメーカーサポートを受けていないのは実に僕だけだw
嬉しさよりも戸惑いが大きい。いいんかいな...。
ただ。
ひとつ嬉しかった事。これにはにんまりした。
「よく使うハードルアー」の設問の答え。
やったよB師匠!
jack-nick lures 多い日夜用slim。
全国区!
多分w
TACKLE DATA
ROD/Glamour Rock Fish TR 85PE special,93PE special
REEL/ CERTATE 2506,2506H
LINE/YOZ-AMI WX4 POWER ZEINTH ULTRA SURF 0.5+8lbフロロ
9/25/19:30。
あれは一隻だろうか二隻だろうかと、重なり合った灯りに迷いながら沖のイカ釣り船の漁り火を数える。
視界の両側が岬に遮られるこの場所でもその輝く点は23を数えた。
明るい。
一般社会では3連休最終日のこの日。その夜。
もう人出も減ったかとホームポイントに向かい、思い通りそこに入る事ができた。
足下の磯にはこってりと新鮮なイカスミの跡があり、まだ明るい日中にそこそこの釣果があった事が伺われる。
ずいぶん抜かれたあとであろうが気にならなかった。
この場所であれば、誰が何をしたあとであろうともそこそこ結果を出せる自信がある。
知り尽くしたポイントというのは宝だ。
前日。
梅浦から北に向かうが、これが夜中の海かと思うような人出の多さに入る場所がなく
ようやく見つけたあるテトラ帯にハァハァ汗をかいて苦労して入り、結果、15cm3杯の貧果に見舞われた。
3.5号では全く乗らず、3号に落としてようやく触腕1本のあたりを捕らえ、
ええいと2.5号に落としてようやくガッツリと抱いてくる。
今年の、今の海はまだそんな感じかと、この日も3号のエギから始めた。
1投目。
フルキャストの沖に投げ入れ時間をかけて底を取る。
高速の巻きシャクリで高く跳ね上げまた落とす。
音沙汰ないままそれを繰り返し、エギは約10m沖の底に着底した。
その手前には小さな海中の根があり、沖からついてきたアオリイカのフィーディングポイントとなっている。
獲物を追いつめた気になるのだろうか、なぜか乗りの良い場所。このポイントの最も熱い一点である。
集中する。
跳ね上がり至上主義のエギ王Q-JPに2発強い負荷をかけ2mほど舞い上がらせる。
そのままスラックを取らず高い位置のロッドを徐々に下げながら、ラインを張るか張らないかの微妙なテンションでフォールさせる。
明るいイカ釣り船のおかげで、エメラルダスセンサーのライトグリーンのラインが完全に目視できる。
ラインが見える事は重要である。釣果が倍は違ってくる。ロッドに直接あたりが出る事はむしろ稀だ。
3mの足場からラインはおよそ45度の角度で海面に続いている。それを凝視する。
1mほどフォールさせた段階で、伸びたS字にラインがふっとふけた。
まだボトムじゃない。
あたりだ。
ぱしんっと掛けに行く。
どん!ぐぃーんぐぃーん。
ああ。この感触。この瞬間。その重量が「生命」である、という事。
それほど大きくない。しかし15cmでもない。
水面に浮かび上がりしゅーと潮を吹く。慎重に抜き上げる。
18cmか。まぁまぁだな。
このサイズがあって、この抱き方をするのなら3.5号でokだ。
エギを得意のEgi-Ten Q3.5号オレンジに替えた。
またフルキャスト。
釣れるのは10m沖だがアオリイカはその場所に居着いているのではない。沖から来るのだ。
その10m沖の根を直撃しても釣れたりしない。
Egi-Ten Qは跳ね上がらない。ほとんどレンジを変えずダートする。
ボトムを少し切る位置でダートを繰り返し、おそらくじっと見ているであろうアオリイカを想像しながら少しずつ距離をつめる。
15m沖。そろそろか。
一旦エギを底に着け、すぅーっと1mほど持ち上げてパンパンッ!!と2発小さく強くダートさせる。
Egi-Ten Qは位置を変えずにその場で首を振っただけだ。ラインスラックが全く出ない。
そのままエギの沈むスピードでロッドを下げて行く。
微妙なテンションを掛けながら、ややたるませ気味のラインが沈下速度を超えて「すっ」と張った。
あたり!
18cm程度を想定してあわせを入れる。
どしんっ!
!!!
一瞬根掛かりかと思う。動かない。しかしその動かぬ何かは独特の柔らかさを持っている。
でかい...。つぶやく。
底から引き剥がそうと渾身のパワーでリフトアップさせる。
アオリイカは「いややいややいやや」と底にへばりつこうと必死で引っぱり返す。
でっけ...。またつぶやく。
まだ9月である。しかしこれは9月に感じる重さではない。
ガイドにPEのこすれる音がやけに耳につく。リールを滑らかに巻き続ける事は困難でポンピングで寄せるしかない。
5mの水深を浮き上がらせ、ようやく水面に顔を見せたアオリイカは噴水のように高く水を吐いた。
漁り火に照らされて太い足がぱらりと開き飴色に輝く。ああ、飴色だ。
腰を落とし、巻けるところまでロッドを下げ、抜き上げようと測った重さに一瞬躊躇するがやるしかない。
フッキングは完璧で足はすべてエギに絡み付いている。身切れする恐れはない。
ロッドの反発力を利用して抜き上げる、が、やや高さが足りずに足下の斜面にべちゃんと着地した。
瞬間、ぶっしゅーと音付きで盛大に墨を吐き、僕の大事なゴアのパンツにべっとりと命中した。
その噴射の勢いで斜面を滑り落ちそうになるアオリイカの首根っこをむんずと掴んだ。
でっか...。
でろりんと24cm。10月後半のサイズである。
頭が大きく、肩幅の広い男前。しばらく見入る。
その後15cmを何杯か追加し、手乗りイカも登場で潮時と竿を納めた。
帰宅してキッチンに立つ。腹ぺこである。
24cmを捌くが、厚すぎる身に、刺身はいかがな物かと迷ったがとりあえず造ってみる。
やはり...。イカそうめんではなく、イカうどんができてしまった。
定番。アオリイカ定食。ゲソの唐揚げに畑の秋なすも添えてみた。
ゲソの唐揚げはマヨネーズで頂く。
「天然のお塩をちょっと付けるとその甘さったらもう...」
などとお上品なうそをついたりしない。断固としてマヨネーズである。
刺身はしょうが醤油をたっぷりつけて、炊きたてほかほか、やや硬めに炊いた新米に乗せてあうんと頬張る。
特にエンペラのプチプチ具合が清々しい。そして甘い。
美味いなぁ。秋だなぁ、とゆっくりと堪能する。
とは言え一人では食いきれない。刺身が半分ばかり余ってしまった。あごが痛いw
キッチンに戻り、刺身に衣を絡ませて、なすも混ぜてかき揚げを作る。
同時に熱々のお出汁を作り揚げ浸しにしてみた。
アオリイカと秋なすのかき揚げ。揚げ出汁作り。
天盛りに生姜を添える。
うまい...。と。言わざるを得ない。
不味い要素が一切ない。
一口、一口、噛みしめて、その甘さ、うまみの濃さにうなる。
秋が来た。来ちゃったなぁ。
外の空気はずいぶん前から既に秋だが、舌と胃を経由して身をもって感じる夜であった。
さてさてさて。
話は変わる。
イカプラスという雑誌をご存知だろうか?
9/21に秋号が発売されている。
東海北陸地域限定のイカの季刊誌である。
アオリイカの雑誌と言えば、どこか遠い南の土地の離れ小島で、怪物のようなデカアオリを釣って巻頭カラーをにぎわすのが常であり
絵的には見栄えはするが同じアオリイカとは言えそれは我々がやるのとは別の釣りである。
一言で言えば憧れは抱くが参考にはならないのだ。
この雑誌はあくまでも地元限定である。見覚えのある海が登場する。
身近な海で、身近なサイズのアオリイカを釣る無名に近いフリーク達の情報が詰まっている。
それぞれに個性的であり、なるほどとうなずけるテクが満載されていて実釣にとても役に立つ。
アオリのみではなくイカならすべて対象であり、エギングだけでなくヤエンや船も網羅して、一冊すべてイカである。
ずいぶん売れている雑誌の様でamazonの釣り雑誌部門でルアマガやロドリを抑えて売り上げ1位を記録したりしているんだとか。
今回。僕も記事を書かせて頂いた。白黒1ページではあるが紙媒体で活字になるのは初体験であり、なかなか感慨深い。
まぁ僕の記事は置いておいたとして、他の情報に非常に価値があるので手に取って頂ければ幸いである、と宣伝しておくw
ご紹介頂いたyasuくん。お世話ばっかりお掛けしたカタリスト長谷川さん。
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
TACKLE DATA
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