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朽木様作より
ドロシーちゃんのえっちさが限界さを超えています!
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嘘つきは勇者の始まりの柴猫侍様から頂きました!
小説もかけて絵もかける!!
すげー!!
ありがとうございます!
漫画で掲載されたのは 二人がなんかボコボコにされているシーンだけだったりします
「ぉーい、ジグー生きてるかー?」
「ぐえー」
返事を返した。
「あ、生きてたわ」
「いや、カードで負けたぐらいで死ぬわけないだろ」
フィクションじゃないんだから。
まあ映像の迫力と少しだけある衝撃で思わず吹き飛んでしまったのだけど。
「よっと」
尻もちを付いていた姿勢から起き上がり、スカートを払う。
スパッツは履いてたから見苦しいものは見せてないと思うけど。
「いやあしかし負けた負けた」
負けたのは悔しいが、清々しい気持ちだ。
あそこまで殴り合って負けたのならばしょうがない、あちらが上手かったということだ。
「まさかの2タテやなぁ」
「お、追い詰める事も出来ずに轢き潰された子がいるぞ」
「ぶっ飛ばすで?」
「ごめんごめん。でもまあ我々も世間知らずだったようだね、まさかこんなところにぼくらより強いファイターがいたなんて」
エレウシス。
全国の学生たちの頂点を決める夏と冬の大会。
その夏の大会を勝ち上がり、全国の頂点を掴んだぼくら。
だけど、それはあくまでも部活動に所属している学生の中で一番上というだけだ。
部活に所属していなくても強いアマチュアのファイターたちはいる。
一定のカードショップを縄張りに見立てて争い続けているカードチーマーたち、Life技術や専用デッキのノウハウを継承指導する【道場】の門下生、希少なカードやシングルの割引券などを求めて大会でのみ出没する女性ファイター【
……最後のやつだけなんか赤い帽子被ったうさんくさそうな声をしたやつにファイトを申し込まれたら全力で逃げろとか付け加えられてたんだよね。
準決勝まで上がってきて再戦したやつだったんだけど、なんか覚醒してたし。
まあそれはともかく、今ぼくらを破った茂札くんがその良い証拠だ。
「ぼくらもまだまだだね」
「せやなぁ。でもあの最後のカードなんやねん、使い所がニッチすぎへん?」
「だよね。あんなカードどこから出てきた? コピーがテーマの
少し前に出ていたテーマだ。
先ほど茂札くんが出した<水銀の鏡蛹>のように、自分のカードや、相手のカードをテキストやコピーして出す。
時には使われた魔法すらも複製する、強制的なミラーマッチがデザインテーマじゃないか? と言われているデッキだ。
ユニークな能力は多いけれど、ぼくでも戦ったことは殆どない。
これと適性があるファイターなんて見たことがないからだ。
ぼくはファイトスタイルから色々なカードを調べたり、相手のデッキ傾向を調査したりして、デッキとプレイスタイルを調整して戦うスタイルだから知っていたけれど、それ以外。
普通のファイターはそれほど他のデッキの使い方を研究しない。
なによりも
自分のデッキを強化出来るカードを探し、それをデッキにいれてファイトを行い、回した質感を確かめる。
その繰り返しが基本だ。
ぼくはリナやドロシー、他の部員たちのために部に用意された複数のレンタルデッキ――ぼくが入院している間に随分と増えていた。8種類ぐらいあり、それらのデッキのカードのリストまで用意されていたものを利用して、多少の調整をして
ただこれらを誰が用意したのか、わかってない。
部員たちが口を濁してることから、多分ドロシーに叩き出された元副部長が造ったのだろうか。
どちらにしろありがたく使わせて貰っている。
そんな、レンタルデッキの一つに
だから知っている。
知っていたのだが。
「ぼくの知らないカードだったのかな」
「<嘆きの決闘>は
「え?」
「なにっ」
「
「え、そんな話のカードやったの? 重くない?」
「くっそ重いですよ。見た目はウリ科の野菜と果物の斬り合いですけど、悲劇まっしぐらですからね」
?
まってくれ。
なんでそんな話をしってるんだ?
もしかして、茂札くん結構なカードオタクなのだろうか。
「農河分け目の決戦エキスパンションってかなり昔のカードじゃないか」
「ちなみに<名義貸し>もその時のカードです。トマトの奴が可哀想な複製屋を酷使して造ったやつだったかなぁ」
そんな昔のカードだったら当然知らない。
そしてそんなカードを見つけ出して、デッキに組み込んだ。
「なるほどね」
大きく息を吸って、ゆっくり吐いた。
「そりゃあ勝てないよ」
昔のカードまで探して調べて、デッキにいれて、使いこなして、それは負ける。
努力の量が違うんだ。
それは問答無用で負ける理由になる。
「見事だ。茂札くん、君は強い。そのデッキもね」
ぼくは敬服した。
「――ありがとうございます。貴女の
「これでも全国獲ったんだ、弱いなんて言われたら泣いてしまうよ。ぼくに負けた人たちがね」
「それはそうですね」
「……ところで失礼じゃなければ聞きたいんだけど」
「いいですよ。何でも聞いて下さい」
かなり穿った質問だから、ちょっと緊張する。
「君のデッキ、どうなってるんだ? 見たところ2つ……いや3つぐらいのテーマが混じってるように見えるんだけど」
三つのテーマが混在したデッキ使い。
たった一人だけ。
決勝ブロックでドロシーと戦った
何ターン進んでも何で構築されているのかもわからない恐ろしいロックデッキ。
リナを追い詰めたフルバーン使い、ぼくが戦った童話死神使い、そしてドロシーとデッキを使い切るまで戦い抜いた怪物。
レアの中のレアとしかいえない適性持ち、それがまさか彼もそうなのか?
「ああ。これは”
「――」
うん?
「名付けて、【ナイトテイル】です。
??
ナイトテイルとロック・ユーってなんだろう。
というか。
「まあまだ仮組みしてて一人回ししてるだけなんで調整続けるつもりなんですけどね。自分で組んでなんですが、まだ使いこなせてない感じバリバリですから」
「いや、あの」
「? はい?」
「ぼくから聞いておいてなんだけど、そんなガッツリ教えてくれてよかったのかい?」
ざっくりなんのテーマかぐらい知りたかっただけなんだけど、思いっきり暴露してもらえて動揺している。
まだ仮組みって言うが、どう考えても彼のデッキの軸だ。
そんなのを軽く言われても。
「ああ、フリプですしいいですよ。
そんなほがらかに言われた。
「まだまだ強くなるんで、また機会があったらボコボコにしてください」
そんな風にいう茂札くんは。
「その分、直せるところとか伸ばせるところ見つけるんで」
本当に。
「二人共強かったです。また機会があったらファイトしてください」
楽しそうで、嬉しそうだった。
――Life部に所属もしていないのに。
胸からこみ上げるものがあった。
罪悪感。
申し訳無さがこみ上げる。
彼がLife部から辞めることになった理由はざっくりしか知らない。
彼が悪いのだと部員たちからしか聞いていない。
だけど、こんな彼が本当に何かを……【ドロシーからデッキを奪おうとしたのか?】
あの天界龍を手に入れられなかったから、自分のデッキを造った。
そう考えれば理屈は繋がるけれど。
「そういえばうちら両方返り討ちにあったけど、どうするん? これヤキどころか返り討ちやで」
「対戦結果残るタイプじゃないですよね、これ。フィールド使用履歴ぐらいですし」
「せやな、使った記録だけあれば辻褄は通るか。うん、すまんけど、そういうことでええか……? ちょっと不名誉な噂流れそうやけど」
「いいですよ。どうせ嫌われてますし、一年二年もすれば風化するでしょ」
「君、めちゃくちゃ冷めとるな。いや、んー、なんか出来ることあったら気軽に言ってくれれば詫びはするで。あ、メルアド交換しとく?」
「いいですよー。 Loinじゃないので反応遅いかもですが」
「?」
「なんでもないです」
違和感。
リナとこんなに話し合える人が、そうするだろうか。
息を吸う。
一応確認しておこう。
「茂札くん、あの」
ガタンっと音がした。
振り返る。
そこには扉があって……見覚えのある顔がいた。
「あ……」
顔を青ざめたドロシーが立っていた。
「ドロシー? なんでここに……ッ!」
いやそうか。
部員たちから言われた、聞いたのか?
「まってくれ。話はぼくたちで済ませている、ドロシー、君はなにもしなくても」
「あ、あの」
「――じゃあ、帰るんで」
え?
冷たい声に振り返る。
そこには茂札くんが背を向けて、鞄を拾おうとしていた姿があった。
「あ、あの、茂札さん!」
ドロシーが慌てたように近寄って。
「悪いが君と話すことはない」
冷たい声だった。
怒りすら感じられた。
「俺が二人にヤキをいれられて、無様に負けた。みんなにはそう伝えておけばいいだろ、それで丸く納まる」
「そんな……そんなこと!!」
「――あるんだよ」
冷たい声、怒りを感じられる、そして顔は。
「二度目だぞ」
うんざりしていた。
本当に、本当に、疲れた顔で。
「君はもう全国優勝者で、学園のマドンナで、強い伝説のカードまで握りしめて、何が欲しいんだ――俺は平穏が欲しいだけなのに」
疲れた声だった。
「もう話しかけてこないでください――ああ、最悪の感想戦だったわ」
バンッと。
扉が閉められた。
それで。
それが終わりだった。
「ぁ、ぁああああああ……」
「ドア、ドア、大丈夫や。泣かんといて」
顔を抑えて泣き出すドロシーと、それを慰めるリナに。
「なにがあったんだ」
ぼくはただ呆然とするしかなかった。
「まさかお前が! そう叫んでくれたらこれほど嬉しいことはない」
――赤茄子騎士/蕃茄武者