俺の切り札は光らない   作:雨 唐衣

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後半加筆修正を行いました
これで完全版です
大変ご迷惑おかけしました


頂いたFAの紹介です



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oota様よりジグ先輩の華麗な吹き飛ばされFAです!




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ちゃもなか様よりユウキちゃんのFAをもらいました
エッチな目でなんてみていません(><)



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朽木様より清楚なドロシーのFAをいただきました!
うお、これは、これは 頑張って視線を上にあげ、あげ・・・チラッ






三十三話 再生とは、破壊を無効化にすることである

 

 童話死神(グリムリーパー)

 それは新しく出た新テーマのカテゴリーだ。

 

 これを象徴するカードは2種類。

 【御伽噺】と名付けられたカード。

 それは毎ターン、ページを捲るようにドローを行うことによって違う効果を発動していく場持ちのいい秘宝。

 ドローを1回行うという動きから捲る速度を調整出来るものの、何枚まとめて引いても1段階しか進まずに、使いたいページを通り越すこともある扱いが難しいカードだ。

 もしも素早く捲るなら、対応カウンターを操作するシナジーカードを使うか、()()()()()()()()()()()手札交換(ルーター)()()()()()()()()()()()

 カード・アドバンテージからすればたった1枚で幾つもの効果を出せるという破格の効果を持つが、デザインとして必ず何ページかにデメリットとなる効果を持っている。

 昔から幾つか同じ御伽噺と名付けられたカードは存在していたが、これまでは単体で独立したものだった。

 

 それを変えたのが【童話死神】

 

 御伽噺と関係したシナジーを持つ新しいテーマだ。

 

 御伽噺が場に置かれている限り、何度でも墓地から戻って来る<未読者>

 御伽噺のページを進めることを止める<熟み耽るブリオン>

 自分を生贄に捧げることによって御伽噺を手札に戻す<禁書認定官トレイオス>

 詠み終えることでクリーチャーと化していく【歪んだ御伽噺】たち。

 そして、切り札となる死神。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 決して滅ぼすことの出来ない7/7、速攻・手札破壊持ちの<寓話(グリム)死神(リーパー)>。

 

 これにぼくはエレウシス最終戦で苦しめられた。

 

 使い手であった葉緑 メリーは開発元の協力とテスターとして先行で組み、エレウシスでのそのデッキの強さを証明してみせた。

 だがぼくはそれを打倒した。

 奇跡といえる紙一重だったが、倒したのは間違いないし、その経験は誰にも否定させない。

 あれ以上の使い手はいないだろう。

 

 そう信じている。

 だからこそ、童話死神のデッキが相手でも落ち着いて戦えば勝てる。

 

 そう思っていたのだけど。

 

 

 

 

 

「では2/2クリーチャーが破壊されて、墓地2にいきます」

 

「あれ、土地?」

 

「はい、土地です」

 

 

 

 

 その動きは。

 

 

 

 

「<約束王の御伽噺>を2+X3コスト支払って、発動。効果で手札の<夜疾猟団(ナイトレイダー)・深淵の追撃者>を場に出します」

 

「?! グリム・リーパーじゃない?」

 

「違いますね。1P目の効果により追撃者のクリーチャータイプに【騎士】を追加し、再生能力を付与。さらに元々の能力で楔カウンターを追加し、2/3から3/4に強化されます」

 

 

 

 

 そのデッキは。

 

 

 

「1コストで魔法<研究査読>が発動。カードを2枚引いて2枚捨てます。<約束王の御伽噺>が3ページへと捲られ、全ての【騎士】クリーチャーに+1/+1の修整が加わります。騎士となった追撃者、出自を【騎士】とした<未読者>も強化されます。バトル。騎士トークン2体、追撃者、未読者の順番で攻撃」

 

「追撃者と未読者をアビス・トークンでブロックだ! 受けたダメージで呪唱<揺り返す血波>が発動、そちらのステイ状態の土地を2枚生贄に捧げてもらう! 捧げなかった場合、それだけのライフを失う! 選択をしたまえ」

 

「2枚目の血波!? 土地1枚生贄にロスは1点で受けます。それ以外は?」

 

「ない!」

 

「バトル終了、メイン2終了、エンドフェイズで瞬間魔法<抱き寄せ>を発動する! カードを1枚捨てて、2枚ドロー!」

 

「ッ、まだルーターを?!」

 

「<約束王の御伽噺>の結末! 全てのクリーチャーは破壊される、それは再生出来ない!」

 

「<深き水底の女王、リジー>のためだけに全体除去を?!」

 

「マスカンを消し飛ばすのに無理はします。そして、追撃者は楔カウンターを外して【復帰】! これは再生でないため、レディ状態で蘇る!」

 

 

 

 

 ぼくの知っているデータから外れた動きばかり。

 

 

 

 

 なんなんだ、彼のデッキは?!

 グリムリーパーのデッキに、夜疾猟団のクリーチャーを入れている。

 ゴブリンプラントとブレイバーの二重血統(デュエルブラッド)じゃなかったのか!?

 それともこっちは()()()()()か……?

 適性の低いデッキを無理やり回すために、手札交換(ルーター)を多く入れているのだろうか。

 確かに理には適っているが。

 

 彼のデッキのような理論を、昔海外のLife学術誌におけるインタビュー記事で見たことがある。

 

 

 

 

「カード。テーマへの適性というものは現実に存在する。それはファイターとなりえるものが如何にデッキを扱えるか、よりデッキと共鳴が出来るか。その強さの有無、幅広さこそが現代ファイト社会での地位を占めている地位と言えるだろう」

 

「現代ファイターのLife学習プロトコルは個人個人に合わせた適性、テーマに寄り添った専門的な教育方針が主流である。それは大衆教育向けの教育方針では突出した才覚以外は見出すことが難しく、デッキカテゴリーとテーマへの適性という共有し得ない個性があるためである」

 

「現代のファイター教育は個性の尊重、テーマの見出しからなる専門的な教育方針が一定の成果を上げているのは周知の事実である。これを指導できる専門的な指導者の必要性と同時にファイター候補の適性をいち早く発見、専門家との連携が取れる多角的なアドバイザーの需要はこれから求められることがあっても絶えることはないだろう」

 

「しかし、私はこれに一つ疑問を憶えている」

 

「ファイターにあった最高の教育、最高のテーマを用意する、それは合理的な判断ではあるが」

 

「その適性はどうやって決まるのだろうか」

 

「例えば史上類まれなるサッカーの才能を持った少年が産まれたとして、もしも彼が産まれた時代がサッカーの球すらもない時代だったら? 彼はただの無能な少年だろうか。いいや、ありえない」

 

「ファイターとなる子供がLifeに触れた時に出ているテーマに適性があったとして、そのあとに作り出されたテーマデッキにも適性がないとは限らないはずだ」

 

「バスケの天才がサッカーが下手とは限らないし、逆に将棋が下手な人間がチェスだけ強いという事も考えられるだろう」

 

「ファイターの適性、才能というのはもっと多角的だという可能性があります」

 

「好む戦術、思考形式に沿ったファイトタクティクス、スムーズに繋ぎ出せるデッキとの適性などなど」

 

「もっとファイターは、デッキを多く選べる余地と可能性がある」

 

「そうすれば、もっとこのLife社会の未来を大きく発展させる希望がある」

 

「私はそう考えているのです」

 

 

 

 

 子供の頃に、そんな記事を読んだ思い出がある。

 

 今でも時々気になって検索しているけど、全然見つからない。

 古くて消えてしまったのか、あるいは何かの勘違いで子供の頃に見たように思い込んでしまったのかもしれない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 だが、そんな記憶が胸にあるからこそぼくはLifeでのファイトでデータをかき集めて信じる。

 相手を見る。

 それがどんなデッキを、どんなタクティクスを、どんな考えでカードをプレイしているのか観察する。

 そうすることが一番の活路だと信じている。

 

 そして、一番近い近似データを参考に対応を修正する。

 

 想起するのは最上位。

 公式大会などで活躍するプロたち、そのトッププロの記録。

 一番近いのは十二聖座(ラスール)が4位【塵塚王】。

 

 適性なき異端のトッププロ。

 

 あらゆるテーマも無視して、一枚一枚別々の、シナジーだけを考えて組み上げる異形の王。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 彼に勝つためのもっとも適したタクティクスは。

 

「僕のターンエンドです」

 

 

「そのエンドフェイズに優先権を貰う! 僕はカウンター7になった秘宝<暗穴の眼>の効果を使用する!」

 

 

 ――自分の強みを押し貫くことだ

 

 

「アビスエイリアンで7コスト?」

 

「来い、手札から瞬間発動で<大怪獣ダゴロン>を召喚!」

 

 繰り出したのはぼくのデッキの最大クリーチャー。

 

 <大怪獣ダゴロン> クリーチャータイプ・バハムート。

 

 7コストで7/6で瞬間発動もち。

 クリーチャーを呼ぶ以外のカードをプレイするごとにターン終了まで+1/+1修整を受けるバンプアップ能力に加えて、こちらが土地を3枚手札に戻すだけで手札に戻って来る効果を持っている。

 前のぼくのターンで手札には揃っていたが、出しても召喚酔いしている。

 だからこそのこのタイミング。

 

「これは打ち消されない!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 エレウシスの大会の後、また同じようなデッキと戦う時に強力な勝ち筋が必要だと思って手に入れたレアカード。

 

 このデータは今この瞬間まで誰も持っていない。

 

「……暗穴を戻すバウンドカードが尽きたと思ってましたが、腐っていたわけじゃないか」

 

「さあぼくのターンだ、いいかな?」

 

「どうぞ。終わっています」

 

 

「ぼくのターン! レディ、アップキープ、ドロー」

 

 

 妨害でも除去でもないか。

 

「4コスト支払い、魔法<アビスの拡散>を発動。アビス・トークンが2体場に増加する」

 

 これで大型1体(ダゴロン)小型2体(アビス・トークン)で盤面は固まった。

 <勇壮な女船長、イプリー>を墓地から回収したいところだけど、手札にない。

 

「これで<大怪獣ダゴロン>のパワーとタフネスが+1強化される!」

 

 茂札くんの土地はまだレディが残ってる。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、”波乗り効果”は使えない。

 

「さあバトルだ! 攻撃クリーチャーを「対応します」なに?」

 

「墓地より5コストで<水銀の鏡蛹>を発動します。通りますか?」

 

「水銀……?」

 

 効果を思い出す。

 

「確か妖精鏡(ミラーリングフェアリー)のカードだったっけ」

 

「はい。場にいるクリーチャーの名前、()()()()()をコピーした状態で出てきます。ただし墓地から出す場合は、追加コストとして自分のクリーチャー1体を除外します」

 

「……常在能力だけ? ならいいけど」

 

「では召喚、追撃者を除外します」

 

 そういって場から追撃者が消え去り、ドロドロとした銀の形の人形が浮かび上がってくる。

 そして、それは。

 

 

コピー対象は<大怪獣ダゴロン>

 

 

 巨大な海を飲み込む怪獣の姿となった。

 

「<水銀の鏡蛹>は以後、ダゴロンの名前と常在型能力を持つ」

 

「だけど、パワーとタフネスは引き継げない」

 

 姿は変わっても水銀の鏡蛹(大怪獣ダゴロン)のパワーとタフネスは、ボードに表示されている通り3/4のクリーチャーだ。

 追撃者と比べてもステータスは1高いだけで大差はない。

 違いがあるといえばダゴロンの能力。

 クリーチャー以外のカードをプレイする度にパワータフネスが+1ずつ増えていくバンプアップだけ。土地を戻して手札に戻る効果はコストを支払う(起動型)能力のため持ち合わせていない

 

「まさか超えるまで5枚ぐらいルーターでも回すかい?」

 

「無理ですね」

 

 そんな手札はないだろう。

 遠目に見てもそれほどの手札は残っていない。

 

「だから揉み潰す! 大怪獣ダゴロンで攻撃!」

 

 これをブロックしなければ終わりだ。

 

 なにか先にしてくるならば彼の残った土地は2枚だけ、戦闘確定までに除去してくるなら引っ張り戻す。

 それ以外の対処なら、土地が全てステイになるからブロックは出来ずに直接殴れる。

 バンプアップで通すにしても2コストで出来るカードは思い当たらない。

 

 

「戦闘開始クリア、攻撃指定クリア、ブロック指定フェイズ――こちらの()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 戦闘に勝った!

 あとは次のターン、間違えずに凌いで詰め終われば「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()

 

 

 は?

 

「2コスト支払い、瞬間魔法<嘆きの決闘>です。通りますか?」

 

「え」

 

 沈黙する。

 なげきのけっとう?

 

「……少しまってくれ」

 

「はい」

 

「効果の説明をしてくれないか?」

 

「<嘆きの決闘>は同名クリーチャー同士の攻撃・ブロックが確定したあとの戦闘フェイズ中にのみ使用出来ます」

 

 戦闘フェイズにのみ

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()。<嘆きの決闘>は(X)点のダメージを対戦相手1人に与える。この(X)は指定したクリーチャーでもっとも高いパワーに等しく、そして指定した名前のクリーチャー全てを生贄に捧げます」

 

「え」

 

 一瞬、考え込む。

 次にダメージを与える時同じ点数?

 

 つまり今戦闘を行っているこっちのダゴロンが戦闘ダメージを与えた分だけ、同じ点数がぼくも受ける……死ぬじゃん!

 

「瞬間魔法だよね?」

 

「そうです」

 

「なら! ぼくは大怪獣ダゴロンの効果を発動! 土地を3枚戻してダゴロンを手札に戻す!」

 

 その場からダゴロンの姿が海に沈む。

 そして、戻って来るのはぼくの手札。

 3枚の土地とダゴロン。

 これで戦闘は終わりになってしまったけれど、アビストークンが二体残っている、

 次のターンを凌げば。

 

「通します」

 

「これで効果は不発だ! 「いえ、続きます」え?」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()、僕の場にはまだ水銀の鏡蛹(大怪獣ダゴロン)が残っている」

 

 

 ゆらゆらと見えるのは手札に戻したはずの怪獣の姿。

 それは水のように、液体の金属のように、鏡のように映って。

 

「同じ顔を持つ幻像に出会った時、それは死を齎す。<嘆きの決闘>の発動により、僕の水銀の鏡蛹(大怪獣ダゴロン)は+1/+1修整されパワーが4まで上昇」

 

 二つの並んだそっくりのクリーチャーがピシピシと鏡のように割れていく。

 なに、それ。

 妖精鏡(ミラーリングフェアリー)にこんなカードはなかったはずだ!

 

「4点ダメージです、軽減や妨害がなければ焼き切ります」

 

 発動を阻止するためにはどちらも、全体除去をしなければ止められない?!

 そんな、そんな!?

 

 

 

「そんなカード、ぼくのデータにないぞ!!?」

 

 

 そして、光って。

 

 

「知らないことは存在しないわけではありませんから」

 

 

 

 ぼくは吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏡の先に誰もいないとは限らない。グッドゲーム」

 

 

 






 それは見た時に既視感を覚えた。
 それは剣を交えた時に恐怖を覚えた。
 それは死す時に悲しみを知った。

 共に葬ってくれ、我が愚かさの象徴よ。


                       ――双剣の双子騎士
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