A子さん(32)は従業員500人ほどの中古車販売会社で働いています。新卒時に「営業希望」で入社しましたが、これまで三つの部署を経験し、現在は人事部です。A子さんは自分が社内で「便利屋」のように扱われているのではないかと、最近疑問を感じるようになりました。
A子さんは責任感が強く、頼まれた仕事に対して「できません」と言えない性格です。新卒で最初に配属された本店営業部の上司は同社の出世頭で、かなりエネルギッシュな人でした。
営業部に配属された新人の中には、上司のプレッシャーに耐えきれず、早々に退職してしまうケースもあるようでした。
上司のプレッシャーをバネに
ところがA子さんは営業の仕事を希望していたこともあり、上司からのプレッシャーをバネにしました。先輩社員にわからないことを相談したり、営業に必要な知識を自分で学んだりして、少しずつ契約が取れるようになりました。
翌年以降、新人が配属されるとA子さんが新人のサポート役を担うようになりました。このためか、営業部で新人の離職はなくなりました。
営業部で4年が過ぎ、A子さんは支店へ異動となりました。この店舗では社員と古参パートとの関係がうまくいっていませんでした。
そこでA子さんは自分の何倍も経験があるパートの先輩に、わからないことを教えてもらい、時間をかけて少しずつ人間関係を築いていきました。A子さんはパートの信頼を得たことで営業成績を伸ばし、店内の社員とパートの雰囲気を改善させることにもつながりました。
新部署のハードル高く
その店舗にもやっと慣れたと思った頃、A子さんは本社の人事部に異動となりました。人事部はそれまでの営業とは全く異なり、ハラスメントの相談や従業員の休職への対応などが仕事です。
それまでA子さんは就業規則をきちんと読んだことがありませんでした。ハラスメントや休職制度などについてもゼロから学ぶ必要がありました。
なぜ営業希望の自分が人事部に配属されたのか上司に聞くと…
この記事は有料記事です。
残り843文字(全文1669文字)
全ての有料記事が読み放題
特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/