『世界は行動経済学でできている』(2025/2/27・橋本之克著)からの転載です。
私たちは「貫していない」からこそ「一貫性」を求める
「一貫性の原理」の背景には、無意識に-貫性のある言動をしようとする心理があります。
脳科学者の中野仁子さんは、著書『新版人は、なぜ他人を許せないのか?』 (アスコム)の中で、「一貫性の原理」に関して次のように言及しています。
『一貫性の原理』というネーミングにも面白い事実が隠されています。この背景には、人間自身が本当は一貫していないという現実があるのです。だからこそ、『一貫性しているべきだ』という認知が働くことになったのです。
私たちはそもそも一貫していないからこそ、「一貫していなくてはならない」という考えに縛られてしまうということですね。
こうした考え方は、「人間は不合理な存在である」という行動経済学の考え方と通じるものがあるように思います。
「一貫性の原理」で相手に「お願いごと」を聞いてもらう
「一貫性の原理」を営業担当者がセールスで取り入れる例を紹介しましたが、普段の生活や人間関係にも活用することが可能です。
本当のお願いをする前に、ほぼ確実に「イエス」と答えてくれる質問、お願いを積み重ねていくと、最終的には、こちらの要求を聞き入れてもらいやすくなります。
いきなりデートに誘っても、うまくいく可能性は低いかもしれませんが、次のような流れでお願いを受け入れてもらう状況が続けば、「良かったら今度食事でも……」という提案にもイエスを引き出しやすくなるでしょう(もちろん相手次第というところはありますが)。
・まずは共通の趣味を通して何か貸してほしいと頼む(本や漫画、ゲームなど)
・連絡するためにL‐NEなどを交換してほしいと頼む
・借りた本などが面白かったので感想を話したいと頼む
ちょっと応用すると、「悩みをしおらしく相談する」「頑張っている自分を演出する」という方法もあります。
営業でも、「自分だけでいいので話を聞いてはしい」の前に、「まだ新人で全然契約が取れていないんです。まずは練習が大事なので、どうか1分だけでも話をさせてください」と言うと、イエスを引き出せる確率が上がるでしょう。先はどのデートに至る要求で言えば、最近、あまり新しい本を読めていなくて、何か、すすめはありませんか?」などと切り出すと、相子の好きなものや興味も聞き出せるので、その先の小さな要求につなげやすくなると思います。