高島屋、ケーキ崩れ807件 原因は「特定不可能」
高島屋は27日、ネット販売したクリスマスケーキが崩れた状態で購入客に配送された問題を受けて東京都内で記者会見し、ケーキの破損は26日時点で807件にのぼったと発表した。製造委託先や配送会社に調査した結果「原因の特定は不可能」と結論付けた。製造や保管、配送工程での温度管理は適切だったとしている。
横山和久・専務営業本部長は会見の冒頭で「多くの消費者の期待を裏切ることになり、誠に申し訳ございません。深くおわび申し上げます」と謝罪した。原因特定が不可能としたが、「商品の製造から顧客に届くまでの全責任は販売した高島屋にある。原因を特定できる管理体制を構築できなかったことは弊社の問題だった」と述べた。
高島屋は関係先に聞き取り調査した。製造委託先のウィンズ・アーク(埼玉県羽生市)については、商品製造後の冷凍保管の温度管理はセ氏マイナス18度以下が保たれ適切だったとした。
製造工程ではイチゴの入荷遅れで凍結期間が昨年の2週間から、今年は20〜25時間程度に変更したが、事前の凍結試験やサンプル検査では「マイナス20度で冷凍したところケーキの外側や内側が凍結状態になり、中心温度もマイナス17度以下になった」と問題はなかったとしている。ウィンズ・アークは同じ温度管理で他社の冷凍ケーキも製造している。
配送したヤマト運輸側でも、埼玉県内の集荷や仕分けなどの全段階で規定の温度で管理され、集荷車両の故障もなかったとしている。横山氏は「どこかの工程で何らかの原因があったと思われるが、全く同じ環境を再現して確認することは困難」と述べた。
高島屋は、冷凍品など配送に注意が必要な商品について「今後は出向いて管理状況を確認する体制を委託先と共同でつくる」と再発防止策についても説明した。高島屋は同じケーキを2022年にも2831個販売しており、「確認プロセスが初回と比べて十分にできていたかというと反省すべきことがある。崩れやすい形状の商品に対してもう少し注意を払って臨むべきだった」とも述べた。
委託先に対する損害賠償請求の方針については「個別の取引については回答を差し控えたい」と答えた。
対象商品は「レ・サンス ストロベリーフリルショートケーキ」(5400円)。フランス料理店「レ・サンス」(横浜市)が監修し、菓子の製造受託会社ウィンズ・アークが製造した。
高島屋のネット通販限定で約2900個を予約販売し22日から配送したところ、SNS(交流サイト)でケーキの破損を訴える投稿が相次いだ。26日午後8時時点で、高島屋の窓口への相談件数は約1200件と24日に公表した当初の件数から5.5倍に増えた。高島屋側からも購入客に順次連絡して商品の状態などを確認していた。被害のあった顧客には返金や代替品の配送といった対応をしている。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)- 津川友介米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 准教授・医師分析・考察
アメリカではこういったことは日常茶飯事なので、返金されたらそれで納得すると思います。日本のサービスの質が高いのは素晴らしいことなのですが、消費者の期待値も極端に高いため、企業側も完ぺきを達成することにエネルギー取られる一方、リスクがある新しいことに挑戦することを躊躇う雰囲気があると思います。スタートアップなどのイノベーションを推進するためには、ある程度「粗削り」でも許容する消費者の懐の深さが必要である気がします。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)