自民党総裁選に立候補している小泉進次郎農林水産相は26日、自身の陣営がインターネット上の配信動画で小泉氏を称えるコメントを投稿するよう「ステマ要請」していたことを認め、謝罪した。問題とされた動画のコメントを抽出したところ、小泉氏への賞賛を500件以上を投稿していたIDも。小泉氏陣営の関係者かどうかは特定できないが、中には他の候補を非難するような投稿もあり、SNSの誹謗中傷対策の強化に乗り出している党全体への批判にもつながりかねない。
陣営が「ステマ要請」をしたのは動画配信サービス「ニコニコ動画」で、20日午前に開かれた小泉氏の出馬会見。会見動画は約1時間20分に及び、約9000人が視聴。約2万件のコメントが投稿された。
ニコニコ動画のライブ配信のコメントを閲覧するツールを使い、投稿をID別に抽出した。
あるIDは「あの石破さんを説得できたのすごい」「ビジネスえせ保守に負けるな」「チーム進次郎は仲間が多いからなぁ」など、陣営が要望したと週刊誌で報じられたコメント例と同じ文面を投稿していた。このIDは配信開始予定時刻の5分前から30分過ぎにかけて9件を投稿。「コメ大臣は賛否両論」と中立を装うように見せながらも「スピード感はあったな」などとほめ称えた。
会見の終了まで、500件以上のコメントを寄せたIDもあった。「進次郎ならできる」「小泉決まり」「お米ありがとう」などと同じフレーズを数十秒おきに連続投稿。質疑応答で記者の質問に窮する場面では「出た変な記者」「分かってない記者」などと報道陣への批判もあった。高市早苗前経済安全保障担当相を直接非難するようなコメントもみられた。
26件を投稿したIDは、「日本は託した!」「総理になれ!」などと応援するもののほか、「セクシー」と小泉氏が環境相時代に物議を呼んだ発言を茶化すようなコメントを投稿していた。同じIDから「石川からも応援しています!」「福島浜通りから見ています。」と、能登半島地震や東日本大震災の被災地の地名を挙げて投稿しているケースもみられた。
SNSなどインターネット上の誹謗中傷について、自民党は対策に乗り出しており、政治家に対する匿名の投稿にも積極的に情報開示請求をする方針を示している。SNSの匿名性を悪用したといえる今回のステマ問題が浮き彫りにした小泉陣営の〝ダブルスタンダード〟に批判が強まりそうだ。(高木克聡)
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小泉氏への賞賛が目立つIDの主なコメントは以下の通り。
【陣営が要望したと週刊誌で報じられたコメント例と一致した投稿のあったID】
「コメ大臣は賛否両論だけどスピード感はあったな」
「あの石破さんを説得できたのはすごい」
「チーム進次郎は仲間が多いからなぁ」
「奇をてらわず、実直に仕事してくれる人がいい」
「もう一度自民党に期待させてくれ」
「ビジネスえせ保守に負けるな」
【一つのIDで500件以上投稿したID】
「お米ありがとう」
「小泉なら出来る」
「進次郎なら出来る」
「小泉決まり」
「待ってました」
「この人しかいない」
「高市は無理」
「裏金議員=高市」
「出た変な記者」
「分かってない記者」
【146件投稿したID】
「やっぱ普通にアドリブうまくね??」
「今日もかっこいいぞ小泉進次郎今日もかっこいいぞ小泉進次郎今日もかっこいいぞ小泉進次郎今日もかっこいいぞ小泉進次郎」
「さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎さすが進次郎」