なぜ、無死一塁からの送りバントの有効性について意見が割れるのかデータからを考える

はじめに

 無死一塁からの送りバントがどの程度効果的な作戦なのかについては、意見が割れることが多い。送りバントは、打者がアウトになるとの引き換えにランナーを進塁させるものだが、セイバーメトリクスではその有効性について否定的である。

 上記のサイトによると、無死一塁と一死二塁の得点期待値を比較すると、2010~2015年のMLBでは0.859から0.664と低下していることが分かる。主にこの点が、送りバントは非効率的な作戦であると言われる要因となっている。ただ、送りバント肯定派の意見として多いのはランナーを送った方が得点確率は高くなるというものである。しかし、無死一塁と一死二塁の得点確率で比較しても41.6%から39.7%と低下している。

 また、この傾向はNPBでも同様である。ただし、数値自体は毎年多少前後するため、一死二塁の方が得点確率が高い場合もあるようだ(参照・アウト・塁状況別の得点期待値 | プロ野球データパーク (baseball-datapark.skr.jp))。とはいえ、全体的にみるとバントをした方が明確に得点確率が上がっているとまでは言い切れないため、統計的には無死一塁からの送りバントは有効ではないというのが一般的である。しかし、セイバーメトリクスが普及しつつある中でも、バントの有効であるという意見は根強い。そこで今回は、なぜ送りバントが多く支持を得ているのかをデータから考えていきたい。

ランナーの生還率と得点確率による比較

 まずは、無死一塁と一死二塁のランナーの生還率と得点確率を比較してみたい。データとしてはMLBの2022~2024年度のものであり、baseballsavantを参照している。
 ただし、今回のデータについては
・アウトカウントや走者の状態は0ボール0ストライク時に投球が行われた場合のデータのみを参照している(投球前のけん制などによって状況が変化した場合は、変化後の状態を参照)
・1つのプレー中に、最も先頭のランナーがアウトになり、後続のランナーが帰還した場合、先頭のランナーが生還した扱いになる
・ランナーが一度出塁し、投球が1球以上記録されたのちに代走が出され得点した場合、もともとのランナーが生還したものとみなしている(ただし、代走の代走が発生した場合は生還率に反映されない)
ため、実際の数値とやや異なる値となっている可能性がある。

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 以上の点を踏まえて上の表をみてみると、得点確率は無死一塁の方が一死二塁よりも高いものの、生還率では一死二塁の方が高い値となっている。なぜ、このような現象がみられたのか。

生還率と得点確率の違い

 そもそも、生還率と得点確率の違いについて説明すると、以下のようになる。

生還率・・・・特定のランナーが得点する確率
得点確率・・・特定の状況から同一イニング中に得点する確率

 仮に無死一塁時のランナーをAとすると、生還率はランナーAが得点した場合のみが対象となるが、得点確率はAの本塁生還に加えて、後続の選手であるBの得点も対象となるため、Aが併殺や盗塁死などでアウトになったとしても、Bがホームに生還すると値が上昇する。つまり、得点確率はすでに出塁している走者の生還率に加えて、まだ出塁していない選手の生還率も含んだ数値ということになる。

無死一塁と一死二塁のランナーが塁上からいなくなった直後の状況について

 では、無死一塁や一死二塁で出塁していた走者が得点以外の理由で塁上からいなくなった直後の状況がどのようになっているのかをみてみたい。

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 まず無死一塁についてだが、該当走者がいなくなった時点で6割ほどはイニングが終了するものの、その後攻撃が継続するケースも多い。割合として高いのはフォースアウトや併殺打による一死一塁や二死走者なしだが、満塁などの得点圏にランナーが残っている場合もみられる。仮に、無死一塁で出塁したランナーがアウトになったとしても、後続の選手が得点することが可能であり、このことが生還率と得点確率に差が生じた要因となっていたようだ。

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 対して一死二塁では、該当走者がいなくなった時点でイニングが終了するケースがほとんどで、後続の選手が得点することが難しい。一死二塁の生還率と得点確率が近い値となっていたのはこれが理由であると考えられる。
 このため、ランナー目線では無死一塁よりも一死二塁の方が自らの生還率が高まるため、送りバントが有効であるように感じるが、イニング全体では後続の選手の得点も含めて考えると、無死一塁のほうが得点確率が高くなるという現象が発生する。この複雑な状況が送りバントの賛否が割れる要因となっていると考えられる。

まとめ

 ここまで無死一塁と一死二塁の生還率と得点確率から、無死一塁時のバントの有効性の認識の差の要因を考えてきた。その上で今回感じたのはバント肯定派の目線では、今現在出塁してるランナーをいかにしてホームに還すのかという生還率重視の考え方となっていると点である。先頭ランナーの本塁生還に限れば、無死一塁よりも一死二塁という状況を作った方が可能性は高くなるため、送りバントが有効な戦術であると感じやすい。対して、バント否定派の根拠となっている得点確率は先頭ランナーだけではなく、後続のランナーの得点も含めた数値となっている。しかし、無死一塁時点では後続のランナーは出塁しておらず、目視することができない。この見えない将来のランナーという存在が送りバントに対する意見が割れる要因となっているのではないだろうか。


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