「雪乃お姉ちゃん……お腹を触らせて」
最初に……マナが口を開いた。
オレから離れて、雪乃の方へ行く。
「……舞夏?」
驚いて、妹を見上げる……雪乃。
「いいから、お腹触らせてよ……!」
マナは全裸のままだ。
股間からは、愛液と精液……さっきのオレとのセックスの痕跡を残している。
雪乃は……脱ぎかけの下着を纏わり付かせているだけの裸身。
こっちも、股間はオナニーしたばかりで愛液塗れになっている。
マナの手が……雪乃の下腹部に触れる。
ちょうど、陰毛を剃られ……『嘉甲』のグリーンのタトゥが刻まれている辺りを……。
「あたし……お姉ちゃんのお腹に触るのなんて、何年ぶりだろうね?」
マナが、雪乃に親しげに微笑む。
「ここに……お兄ちゃんの赤ちゃんがいるんだね」
雪乃とは……一切、避妊をしていない……。
「まだ……判らないわよ」
雪乃は、呟く。
「……羨ましいなあ。お姉ちゃんが」
マナが、雪乃に微笑む。
驚く、雪乃。
「あたしも……避妊のお薬、飲むのやめようかなあ。そうしたら、お姉ちゃんと一緒に赤ちゃんが産めるでしょ?」
妹の言葉に、雪乃はゾッとする。
「あたしがさ……双子を産んだことにすればいいよ。お乳もあげるし、幼稚園のお迎えとかも、全部あたしがするから」
「……舞夏、あんた……何を言っているのよ?」
……マナは。
「現実的に考えようよ……ここにもう、お兄ちゃんの赤ちゃんがいて……新しい命が宿っていて、来年には産まれるってことを前提に、これからのことを考えないとね」
……そうだ。
それはもう、やってしまったことで……。
それを前提に、先のことを考えないといけない。
「過去を後悔したり……恨んだり……泣き喚いたりしても……現実逃避にしかならないからさ。お姉ちゃんもあたしたちも、腹を括らないといけないんだよ……もう」
マナは、真剣な顔で姉にそう言う。
「……オレ、全然、なっちゃいなかったよ」
……オレは。
「『家族』を守るとか、みんなのためにとか……真緒ちゃんやアニエスのパパになるとか……格好の良いことばかり、平気で口にしていたけれど……」
父親になるということを……オレは、頭でしか理解していなかった。
気構えが、できていなかった。
改めて、雪乃のお腹にオレの子供がいると想像して……ドキッとしている。
「命を作ってしまったっていうのは……こんなにも、重いことだったんだな……」
……雪乃。
今はあんなに細い雪乃の腰の中に……オレの子供が生きている……。
「オレ……最初に、雪乃をレイプした頃は……あの頃のオレは、自暴自棄で将来のことなんか何も考えていなかった。雪乃を自分の物にしたら、それでもう死んでもいいと思っていた。来年まで自分が生きているっていう実感が無かった……」
入学式の日に、親父が失踪して……残された貯金通帳の残高だけが全てで……。
これから先、どうやって生きていけばいいのか……何も思い付かなかった。
未来が……見えなかった。
「雪乃を妊娠させるって言っても……自分が、来年もまだ生きていて、産まれてくる赤ん坊を育てていくっていう実感は全然無かったんだ……。ただ、自分が生きているっていう証として、雪乃の中に自分の精子を注ぎ込みたいって、暗い思いがあるだけで」
赤ちゃんに対する思いなんて……無かった。
「雪乃が産む赤ん坊は、ミナホ姉さんが育てるっていう話だったし……それならそれでいいかって、オレはあんまり深く考えていなかった。いや、考えないようにしていたんだと思う……」
意図的に……考えないようにとしていた。
「渚が、オレの子を産みたいって言ってくれたことは……渚は、本当にもうお母さんだし、渚となら上手く赤ちゃんを育てられそうな気がていた。オレが何をしたらいいのか、ちゃんとアドバイスしてくれると思うし……」
渚は……オレよりも年上だし、しっかりしているから。
だから、渚と子供を育てるということは、イメージがあった。
「他の『女』たちは、みんなピルを飲んでくれているし……子供ができるのは、何年も後のことだと思っていた」
だから……みんなの『妊娠したい』という言葉は、願望であって……今、眼の前にあるゲンジツとは違う。
これは……重いゲンジツだ。
「雪乃が妊娠している可能性を、忘れていたわけじゃない……でも、必死で頭の中から消していた、だって……」
……オレは。
「雪乃とは……この先、一緒に生きていけないことは判っていたから」
雪乃は、オレたちの『家族』にはなれない……。
雪乃のプライドが、それを許さない。
他の『女』たちも、雪乃に対して深い嫌悪感を抱いている。
「雪乃とは、別れないといけないって思っていたから……」
オレには……雪乃とこの先生きていく、イメージが無い。
そんなオレを……雪乃が見ている。
「でも、オレは……どうしても雪乃を死なせたくなかった。もう会えなくなっても、生き続けていて欲しかった。それも本当だよ」
今だって、オレは……雪乃に生きていて欲しいと思う。
どこか、オレの手の届かない世界に行ってしまったとしても……。
二度と会えなくなったとしても……。
雪乃には、生きていて欲しいと思う。
「……それって、あたしがあんたの母親に似ているから?」
雪乃が、オレに言う。
「自分の母親とは和解できないから……代わりに、あたしと打ち解けたいってこと?」
……それは。
「……違うと思う」
オレも、雪乃の眼を真っ直ぐに見る。
「確かに、ミナホ姉さんの言うとおり、オレが雪乃に惹かれたのはオレの母親に似ていたからなのかもしれない。でも、雪乃は雪乃だ。オレは……この10日ぐらいの期間で、お前のことをたくさん知ったよ。今は、オレの中で、雪乃って言う女の子を見ている。母親じゃない……オレは、雪乃を見ている」
「ふぅん……あたしのことを知ったって、あたしが我が儘で身勝手で救いようがないバカ女だってことでしょ?」
オレは……。
「いいや……それだけじゃないよ」
言葉にならない思いが、込み上げる。
オレの中の……雪乃に対する思いが。
「絶対に……それだけじゃないよ」
雪乃は……。
「嘘よ。あんたはあたしのことを見下しているのよ。あたしのこと、バカだと思ってさ……!」
雪乃の眼に、またクワァッと涙が溜まる。
雪乃は、マナの触れている自分の下腹部を見て……。
「子供は……堕ろすわよ」
……雪乃。
「あんたの赤ちゃんを産むなんて……死んでも嫌よ……!」
ぽろぽろと……涙を零す。
「こんなの嫌よ。絶対に……受け入れられないわ」
……と。
「……嘘だよ。お姉ちゃんは産むよ……!」
マナが、雪乃に微笑む。
「だって、雪乃お姉ちゃんの……赤ちゃんだもん……!」
「……舞夏?」
驚く、雪乃。
「雪乃お姉ちゃんが、自分の赤ちゃんを殺すはずがないもん……!」
「……そ、そんなことないわよ」
「いいえ……お姉ちゃんは、そういう人だもん。あたしは、判っているよ!」
……マナ。
「あたしが静岡で療養していた頃……東京の家族は、一度もお見舞いに来てくれなかったけれど……」
「そうよ、あたしはあんたに会いに行ったりはしなかったわよ!」
「でも、雪乃お姉ちゃんは……あたしのこと、忘れていなかったじゃないっ!」
姉妹は……見つめ合う。
「お姉ちゃんが、パパたちと海外旅行に行った時は、必ずあたしにお土産を買ってきてくれたじゃない。メールをくれたり……ハワイで撮った写真を送信してくれたり。他にも、お正月と誕生日には、必ずプレゼントと電話をくれた……!」
「それは……だって、あんたは……妹だから。あたしの……!」
「そうだよ!今だって、あたしたちは姉妹だよ!お姉ちゃんは、あたしのことを妹だって思ってくれてる!」
「それは、だって……当たり前でしょ?あんたは、あたしの……」
雪乃と舞夏……姉妹。
「そうだよ。雪乃お姉ちゃんは、自分のものだって思っているものには優しいんだよ。大切にしてくれるんだよ……だから」
マナが、雪乃に迫る。
「……雪乃お姉ちゃんは、お兄ちゃんから離れられないんだよ」
……え?
「雪乃お姉ちゃんは……お兄ちゃんを自分のものだと思っているから……!」
「ば、バカなこと言わないでよ!あたしは……!」
「だったら、何で……ここにいるの?市川のお祖父ちゃんの家から逃げ出して来て、どうしてこの『お屋敷』に戻って来たの?」
「……それは」
「それから、今朝だって……お兄ちゃんを見るなり、どうしてパパを助けてくれなかったって怒ったでしょ?自分の身内だと思っていなかったら、あんなことは言わないよ!」
「そんなことないわよ!」
「じゃあ、恭子さんやコーデリアさんにあんなこと言えるのっ?!」
「言えるわけないでしょ!!!」
雪乃は、叫んだ。
「あいつらだったら……笑ってあたしの首をヘシ折るわよ。そういう、悪魔みたいな連中なんだから……!」
「お兄ちゃんだって……そういう人たちの仲間なのに?」
「だって……この男は?」
「お兄ちゃんなら、どんな酷いことを言っても、雪乃お姉ちゃんに危害を加えたりしないって判っているんだもんねっ!」
雪乃は……オレを完全に『敵』だと認識していない……。
だから、オレには……憎々しげに、文句を言う。
文句を言っても許される相手だと考えている。
「本当は……悔しいんでしょ?お兄ちゃんをメグお姉ちゃんや、香月家のお姉ちゃんたちに取られたみたいで」
「そんなことないわよ……そんな男、あたしは要らないんだから」
「『要らない』とか言っている段階で……自分のものだって思っているんじゃないの。お姉ちゃん……ホント、困った人だよね」
マナが、クスッと笑う。
雪乃は……。
「だって……その男は、あたしをレイプしたのよっ!だったら、このまま一生、あたしに人生を捧げるべきなのよっ!あたしは、千年経ったって、そいつを許さないんだからっ!」
オレを……指差す。
「ふぅん。お姉ちゃんは……そういう『恋』をしているんだね……」
……恋?!
「ま、舞夏?あんた、何を言ってるのよ!こんなの恋なはずないでしょ!こんなのが恋なんて、あたしは認めないわよ!」
「お姉ちゃんが認めなくても……それも『恋』だよ。お兄ちゃんに執着しているんだから」
マナは……言う。
「お兄ちゃんが、欲しくて欲しくて仕方がないんでしょ?お兄ちゃんが、自分の方を振り向いてくれないことが、憎たらしくて仕方がないんでしょ?」
「そいつは……だって、この男は……いつでも、ずっと、24時間、あたしだけを見ているべきなのよっ!そいつは、それだけのことをしたんだからっ!」
「そうして欲しいんでしょ?ほら、やっぱり『恋』だよ……!」
雪乃は……口籠もる。
「でも、雪乃お姉ちゃん、ゲンジツは……悪いけれど、お姉ちゃんの望むようにはならないのよ。お兄ちゃんは、もうあたしたち『家族』の大黒柱になっちゃっているの。雪乃お姉ちゃんが独り占めすることはできないのよ」
「そんなこと……判っているわよ」
うつむく……雪乃。
「あたしは別に……そんな男、何とも思っていないんだから……!」
「それなら、お姉ちゃん……お腹の赤ちゃん、どうするの?」
マナが、雪乃のお腹を擦りながら……言う。
「この子を……お姉ちゃんは、どうするの?」
雪乃も、自分の腹に手を当てる。
「そんなの……判らないよ」
……オレは。
「雪乃……いや、白坂さん」
オレは……全てが始まる前の呼び方で、雪乃に話し掛けた。
「オレは、知っているよ……白坂さんが、優しい人だってこと」
雪乃が、オレを見る。
「親父がいなくなって、入学式の日に教室で気落ちしてヘバッていたオレに、優しく声を掛けてくれたのは……白坂さんだから」
「……前も言ったけれど、それはあんたの勘違いよ。あたしは、そんな女じゃないわ。ただ目障りだったから、とっとと保健室にでも行って欲しかっただけ」
「いいや……あの日の白坂さんは、優しかった。オレは、覚えている……忘れないよ……!」
「……そう」
雪乃はオレから眼を外し……再び、自分の下腹部を見る。
「雪乃お姉ちゃん……この子は、お兄ちゃんの赤ちゃんだけれど、同時にお姉ちゃんの赤ちゃんでもあるんだよ」
マナは……言う。
「お姉ちゃん……この子を殺すの?お姉ちゃんの大切な赤ちゃんを」
……雪乃は。
「そうね……舞夏の言う通りね」
もう一度、優しく自分の腹を撫でる。
「……産むわ。あたし……多分」
そして、マナを見る。
「でも、それは……赤ん坊を産んだら、あたしを助けてくれるって弓槻が言っていたからよ!あたしは、死にたくないから、この子を産むの!あたしは本当は、産みたくなんかないんだからっ!」
今、雪乃のお腹に……すでに命が宿っているのなら……。
ためらうことさえ、許されない。
「ああ、産んでくれよ。オレが育てるから……絶対に、幸せにするから」
「マナも手伝うよ……マナも一緒に、赤ちゃん産もうか?」
雪乃は、妹を抱きしめ……。
「そんなのは、いいのよ……あんたは。自分が望んだ時に、望まれた赤ちゃんを産みなさいよ。こんな思いをするのは、あたし1人で充分なんだから……!!!」
「お姉ちゃん……!!!」
姉妹は……抱き合う。
◇ ◇ ◇
「お兄ちゃん、セックスしようよ!3人で!」
マナが、オレを呼ぶ。
「舞夏……あんた?」
「いいでしょ?あたし、雪乃お姉ちゃんと一緒にしたい……!」
雪乃は、オレを見て……。
「だけど……あいつは、もうあたしじゃ勃たないんだってさ。あたしには、女としての魅力が無いっていうのよ……!」
「そうじゃないよ……お兄ちゃんは」
マナが、オレに微笑む。
「お兄ちゃんは、本当に雪乃お姉ちゃんのことが大好きなんだよ。だから……オチンチンが勃たなくなっちゃったんだよ」
「……何それ?」
……ええっと。
「お前がオレのことを……セックスのための道具だとしか思っていないから……」
オレは……正直に話す。
「オレを……気持ち良くなるための道具としてしか、見ていなかったから」
雪乃は……。
「それは……その通りじゃない。あんたとのセックスは気持ちいいけれど……でも、あんたは本当にそれだけの男なんだから」
冷たい眼で、オレを見ている。
「あんたなんて、セックスしか取り柄の無い男でしょ。顔も頭もいらない、オチンチンだけあれば充分よ……!」
雪乃にとってのオレは……そんなものなのだろう。
「どうせ、あんたは……誰とだって、セックスするんだしさ。見境無いのよ。女なら誰でもいいんでしょ?ケダモノなんだからさ」
そう言う雪乃に、マナは……。
「あれ?お姉ちゃん、知らないの?」
ニッと、微笑む。
「お兄ちゃん、本当に好きな子……一生付き合っていくつもりの女の子としか、セックスしないよ」
「なっ……何言ってるの!そんなの嘘よ」
「本当だって。だから、みんな……お兄ちゃんを信頼して、一緒にいるんだよ」
マナは笑う。
「おかしいと思わないの?みんな、お兄ちゃんの『女』なのに……ジェラシーでケンカしたりしていないでしょ?むしろ、みんな仲良くしようと頑張っている。あたしだって、パパの娘なのに、『お姉さん』たちから、とっても優しくしてもらってるよ」
妹の言葉を、雪乃はジッと聞いている。
「みんな、お兄ちゃんとずっと一緒に居たいから。一緒に居るためには、仲良くしないといけないって判っているから。お兄ちゃんは、本気であたしたち全員を幸せにしようって頑張ってくれているんだから。あたしたちも我が儘を言わないで、協力しないといけないんだよ」
……マナ。
「だから……お兄ちゃんを独り占めしたくて、本気でジェラシー全開なのは、雪乃お姉ちゃんだけなんだよ。雪乃お姉ちゃんが、そういう態度だから……みんな、雪乃お姉ちゃんを敵視しちゃっているんだし」
「あ、あたしは……その男にジェラシーなんて!」
「本当に判っていないんだね……さすが、雪乃お姉ちゃん……!」
マナは、笑顔でそう言う。
「そして、お兄ちゃんは雪乃お姉ちゃんのことも愛しているから……今まで何回崖っぷちに追い詰められても、ずっとお姉ちゃんのことを見捨てないでくれたんだよ」
いや……まて。
「マナ……オレは、雪乃のことは……」
オレは……。
「オレは、雪乃を憧れていたけれど……どうしても自分のものにしたくて酷いことをしたし、ここまで色んなことがあったけれど……」
だけど……。
「でも、これは……『愛』じゃないよ。雪乃を愛しているとか、愛していたからとか……そういう言葉で片付けていいことじゃないんだよ」
オレは……雪乃をレイプした極悪人で……。
雪乃に愛を語るような資格は……無い。
「こんなのは……愛じゃない。恋でもない。もっと、みっともなくて……ドス黒い欲望だよ。オレは、そういう後ろめたい心で、雪乃を犯したんだから……。こんなの絶対に、愛なんかじゃない……!」
マナは、オレにニコッと微笑む。
「お兄ちゃんて、本当に純情だよねっ!大好きっ!」
……え?
「お兄ちゃん……世の中の『愛』は、『純愛』だけじゃないんだよ。お兄ちゃんが、今言ったみたいなドス黒い欲望だって……『愛』だよ。『愛』の1つなんだよ!」
「いや……それは」
「それじゃあ、お兄ちゃん……好きな人のことを思って、オナニーするのは罪?その人とセックスしたいって妄想したら、それは『恋』じゃないの?」
……。
「お兄ちゃんの場合……本当に、雪乃お姉ちゃんをレイプしちゃったのは罪だよ。それだけは、本当に大きな罪。でも、雪乃お姉ちゃんを思う気持ちは……本物の『恋』でしょ?『愛』だよ」
マナは……そう言う。
「お兄ちゃんは、あたしたちの相手をしながらだって……ずっと、雪乃お姉ちゃんのことを悩んでいたもの。あたしは知っているよ。どうしたら、雪乃お姉ちゃんが幸せになるか……そればっかり、考えていたよね」
……オレは。
マナは姉に振り返り……。
「雪乃お姉ちゃんも、判っていないよ。セックスが気持ちいいんじゃないよ。お兄ちゃんがしてくれるから、気持ちいいんだよ」
「……舞夏?」
「あたし、他の男の人となんて気持ち悪くてできないもん。お兄ちゃんは、あたしとセックスする時は、心まで抱いてくれるもん。お兄ちゃんには、心も身体もさらけ出せるの。お兄ちゃんがあたしを優しく見つめてくれているのを感じて……あたしもお兄ちゃんを抱きしめてあげるの。お兄ちゃんが、あたしの中に射精してくれる時の気持ち良さそうな顔を見るのが好き!大好き、愛してるって、心から言えるのっ!」
マナは微笑む。
「あたしたちにとってお兄ちゃんは、そういう人だよ。大切な人。あたしたちはみんな、もうお兄ちゃん無しでは生きていかれないよ。だって、お兄ちゃんだけが……本当のあたしを見てくれるんだもん。お兄ちゃんにしか、本当のあたしは見せられないし……。あたしだけじゃない、メグお姉ちゃんや他のお姉ちゃんたちもみんなそうだよ。だから、あたしたち、お兄ちゃんから離れられないんだもんっ!」
雪乃は……。
「あたしは……別に、その男じゃなくっても……」
そこまで言って……言葉を呑み込む。
「はぁ……嘘よ……あたしだって、判っているわよ」
……雪乃!
「ケンジに襲われた時に……ケンジは乱暴なだけで、眼をギラギラさせて、あたしのことを犯そうとしていただけで……」
校長室の隣の放送室での……遠藤に襲われた時のことか。
「あたしは、怖いだけで……ケンジは……あたしの彼氏だったのに……」
雪乃は、痛々しい表情を浮かべる……。
「途中で、その男がケンジを気絶させて……ケンジに代わって、その男があたしをレイプしたわ。でも……気持ちいいのよ。その男だと。そいつ……どんどん、セックスが上手くなるの。頭にきちゃうわ。かゆいところに手が届くみたいに……あたしのことを気持ち良くさせてくれるのよ」
雪乃……お前。
「ええ……その男のセックスの良さは認めるわ。あたしたち多分、身体の相性も良いんだと思う。そいつに犯されるのは好きよ。自分の手でする時は、そいつに抱かれている時を想像しているわ……でも」
雪乃が……オレを見る。
「それだけよ。あたしは……その男のことをセックスだけしか認めていないわ。他のことは、全部認められないわ。顔も嫌い。性格も。頭の悪さも。声も。姿形も……全部、あたしの好みとは違うんだから。好きになれる要素なんて、1つも無いんだからッ!」
そんなことは……判っている。
雪乃がオレを……好きになるはずがない。
「ふーん、じゃあ……雪乃お姉ちゃんの前の彼氏は、どこが好きだったのさ?」
マナが……尋ねる。
「え……ケンジ?」
「そう。その人のことは……どこが好きだったの?」
雪乃は……。
「えっと……顔と……スポーツマンなところと……後は、顔かしら……」
「頭の良い人だったの?」
「……バカだったわ。そこ抜けの」
「お兄ちゃんと比較したら?」
「……ケンジの方が、遥かにバカよ」
「性格は?」
「とっても自信家のところが、パパみたいで気に入っていたんだけれど……でも、その自信も圧倒的な頭の悪さから来ていることが判って……」
「信用できる人だった?」
「ううん……救いようがないくらい、ゲスな男だったわ」
「他に何か、一押しできるポイントはあったの?」
「えっと……顔くらいかな」
遠藤は……顔だけなのか。
「じゃあ、お兄ちゃんの方が全然マシじゃない」
「見た目は、ケンジの方が全然マシよ!」
「そうかなあ……お兄ちゃんだって、いい線いってると思うよ」
マナは、そう言う。
「時々、すっごいカッコ良くてドキドキすることがあるもん……あたしは大好き」
「それは舞夏……あんたは、学校での普段のこいつを知らないからよ」
「雪乃お姉ちゃん……お兄ちゃんは、どんどん変わっているんだよ?多分もう、学校でもカッコいいよ。あたしはそう思う」
そう言って、マナはオレにニコッと微笑む。
「お兄ちゃんも考えすぎ。雪乃お姉ちゃんは、お兄ちゃんをセックスの道具とか考えていないよ。そういう風に感じちゃう純情は、とっても可愛いけれど」
……違う?
「雪乃お姉ちゃんは、もうお兄ちゃんとのセックスでメロメロなんだから。きっちり堕とし切ってあげれば、それでいいんだよ」
雪乃を……セックスで、堕とす?
「純情なままじゃ、このじゃじゃ馬お姉ちゃんは堕とせないんだからっ!」
……マナ、お前。
「セックスでメロメロになって、離れられなくなるのだって……『恋』だよ。あたしは、そう思う」
オレには……よく判らない。
「とにかくさ、セックスしてみようよ……それで判るよ、きっと」
「だけど……オレは」
昨夜は……雪乃で勃起しなかった。
「ああ、不安なんだね。お兄ちゃん?」
マナが、オレの方に戻って来る。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんのオチンチンは……あたしが大きくするから」
ペロッと……オレのペニスを舐める。
「ねえ……雪乃お姉ちゃんとあたし、食べ比べしてみて」
妖しい瞳で、オレを見上げる。
「あたしやメグお姉ちゃん、あたしとアニエスちゃんもお母さん違いの姉妹だけど……雪乃お姉ちゃんとは、ママも同じ本物の姉妹だからね」
……マナ。
「そういうの……興奮しない?あたしは、もう興奮しているよ……!」
チュパチュパと、亀頭を舐っていく……。
「うふふ、固くなってきた……お兄ちゃんも、興奮しているんだ」
マナは……微笑む。
「雪乃お姉ちゃんも、こっちにおいでよ!こっちのベッドの方が広いよ!」
雪乃を……呼ぶ。
「舞夏……あたしは」
雪乃は、まだ迷っている。
「お姉ちゃんが来ないんなら、あたしが1人でもう一度愛してもらっちゃおうかなあ」
14歳の少女が……オレの亀頭を自分の乳首に擦り付ける。
「それとも、雪乃お姉ちゃん……あたしと一緒じゃ嫌?恥ずかしい?」
「……それは」
「あたしは……雪乃お姉ちゃんと一緒がいいのに……!」
マナの瞳が、雪乃の心を動かす。
「もおっ、仕方ないわね……!」
起き上がる……雪乃。
脱ぎかけだった、プラとパンティを投げ捨て……。
……そうか。
オレの『女』たちの中で、たった1人……。
実の妹であるマナに対しては……雪乃は、警戒心を抱かない。
他人を信用しない雪乃も……自分の支配下にあると感じている妹にだけは、心を開く。
だから、ミナホ姉さんは……。
マナのアプローチを許したんだ。
「はーい、お姉ちゃん到着ぅ!」
オレたちのベッドにやってきた雪乃を、マナが明るく出迎える。
「雪乃お姉ちゃん、お兄ちゃんの右側ね……あたし左!」
ニコニコ笑って、ポジションを決める。
「じゃあ、愛し合おう。お兄ちゃんと……ねっ!」
マナは、雪乃に明るくそう言った。