国内で越冬しないとされる渡り鳥のオオムシクイが、福井県福井市内で2021年1月に確認されたことが市自然史博物館などの調査で分かった。死骸が見つかり、DNA検査で突き止めた。同博物館は「今回のような異常な確認事例を積み重ねることが、近年の気候変動の生物への影響を探ることにつながる」とし、今後も情報収集に努める構え。
同博物館学芸員の出口翔大さんによると、オオムシクイは初夏にロシア・サハリンや北海道の知床半島で繁殖、東南アジアで越冬する。同半島を除く国内には通常、渡りの途中の5月中旬~6月中旬と9月中旬~10月中旬に立ち寄るのみという。
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21年1月に同博物館のボランティアだった中野光さん(現京都府立海洋高教諭)が福井市のハピリン近くで鳥の死骸を発見。鳥類に関する日本最大の専門研究機関「山階鳥類研究所」(千葉県)の齋藤武馬研究員がDNAを検査し、オオムシクイと分かった。
発見当時は嶺北が大雪に見舞われるなど強い冬型の気圧配置で、低温や餌を捕獲できなかったことが死因となった可能性がある。東南アジアへ渡らなかった理由は身体の不調や、前年の秋の気候が比較的温暖だったことが考えられるという。
福井県内ではこのほか、夏鳥のツバメなどが冬に確認された事例がある。出口さんは、博物館の調査ではこうした事例の確認には限界があると指摘。「市民の行動で新たな知見が得られたことは、とても意義深い」と述べた。
同館は今回見つかったオオムシクイを剥製にした標本を11月16日まで展示している。発見に関する論文は同研究所が発行する学術誌に掲載されている。
オオムシクイ 全長10~13センチで背は緑褐色、のどや腹は白色。「眉斑(びはん)」という目の上の眉のような模様が、白色で入っている。「ジジロ、ジジロ」という鳴き声が特徴。オオムシクイなどムシクイ類は、近縁種の形態が似ており鳴き声の違いが識別の決め手になる。秋冬はさえずらないため野外の観察で見分けるのは困難という。







































