無料が美徳だけではメタバースは続かない【支える仕組みとは?】
どうも、久我レイジです。
最近、メタバースで活動しているけど、なかなか人が来ない。イベントを開いても反応が薄い。
そんな声をよく聞くようになりました。
僕もclusterで活動して3年ほどになりますが、似た感覚を抱いたことが何度もあります。
あの頃はもっと人が多かった。
イベントは増えているのに、参加者の熱量は少し落ちている気がする、、、
そう感じるたびに考えてきたのは、人の気持ちだけで仮想世界は続けられるのか?という問いでした。
そして僕がたどり着いたのは、メタバースの未来には、きちんとお金が回る仕組みが必要だということです。
今日は、VRChatとclusterという2つのプラットフォームの違いを軸にしながら、持続できるメタバースについて考えてみたいと思います。
なぜVRChatでは「モノが売れる」のか? メタバースに根づいた【購入文化】の力
まず注目したいのは、ユーザーがお金を払うことへの抵抗が少ないという点です。
VRChatでは、アバターやアクセサリー、ワールド内のアイテムなどがごく自然に売買されています。
BOOTHというマーケットでは、3Dモデルの売上が2023年に31億円、2024年には58億円を超える勢いで成長しました。
さらにVRChatでは、2023年に公式サブスク機能が導入され、個人クリエイターが月額で支援される仕組みも登場しています。
たとえば
・300円のコンテンツが、2万人以上に購入される
・年間2000万円以上を売り上げる個人クリエイターも出現
こんな未来が、すでに現実として動いています。
この背景には、良いと思ったら応援するという文化があるからです。
clusterは「無料が当たり前」? メタバースの弱点になる「無償文化」のリアル
一方で、僕がメインで活動しているclusterでは、文化が少し異なります。
・アバターはVRoidで無料作成が主流
・ワールド制作も基本無料
・イベント参加も、ほとんどが無料
つまり、楽しむのにお金はいらないという気軽さがある一方で、クリエイターが何かを提供しても、それに対してありがとうを形にする手段が少ないんです。
イベントチケットの販売やスポンサー付きの大型イベントは存在しますが、個人が気軽に応援される導線は、まだまだ弱いのが現状です。
clusterはなぜ赤字なのか? サービス継続に必要な「お金の話」
あまり表には出ていませんが、clusterを運営するクラスター株式会社は、ここ数年、赤字経営が続いていると報じられています。
これが何を意味するかというと、このままでは、プラットフォームの存続自体が危うくなる可能性があるということです。
どれだけ理想があっても、現実には、
サーバー維持
ワールド更新
機能拡張
セキュリティ対応
など、運営にはお金がかかります。
気持ちだけでは、メタバースは支えられないということは、忘れてはいけません。
収益化=悪じゃない。メタバースを続けるための「応援の仕組み」とは?
お金の話なんてしたくない。
クリエイター活動で稼ごうとするのは違う。
そう思う気持ちも分かります。
でも、本当に続けたいなら、続けられる仕組みが必要です。
たとえば、こんな仕組みがあれば、もっとクリエイター活動が広がるかもしれません。
まず、イベント後にも「ありがとう」を届けられるチップ機能です。現状ではVアイテムがイベント中しか使えませんが、イベントが終わった後でも「楽しかった」「また来たい」と感じた気持ちを、少額のチップで気軽に伝えられたら、ユーザーも嬉しく、クリエイターのモチベーションにもつながります。
次に、ワールド内の“ちょっと特別な体験を楽しめる有料ギミックです。100〜300円程度で挑戦できる謎解きアイテムや、隠しエリアへのアクセスなど、あくまで「追加コンテンツ」として用意することで、無料でも十分楽しめるワールドを前提にしながら、プラスアルファの楽しさを提供できます。
さらに、ワールドクラフトストアと外部マーケットとの連携も、クリエイターにとって大きな後押しになるはずです。BOOTHなどで販売しているアイテムをワールドに簡単に反映できれば、創作活動の幅が広がり、ユーザーにとっても選べる楽しさが増えます。
もちろん、現実的にすぐに実現するのは難しい部分もあるかもしれません。ただ、これはあくまで『理想』としての提案です。
こうした仕組みが少しずつでも整っていけば、ユーザーにとってもクリエイターにとっても、より使いやすく、楽しさが循環するclusterになるはずです。
「お金を取る」という発想ではなく「感謝や応援をもっと自由に届け合える場所」を目指すことが、結果としてユーザビリティの向上にもつながる、、そんな未来を期待しています。すごい儲けを目指す必要なんてない。
自分の活動が、誰かの心に届いていると感じられるだけでも、次に進む力になります。
消えてほしくない記憶。メタバースでしか生まれなかった「あの瞬間」のために
・メタバースで出会った、誰かとの会話
・イベントで共鳴した空気
・夜中に一緒に空を飛んだ感覚
それは、現実では得られないけれど、確かに存在していた時間です。
でも、もしサービスが終了したら?
もし活動の継続が難しくなったら?
その思い出も、形を失っていく。
だからこそ、ただの場としてではなく、続いていける仕組みが必要なんです。
メタバースを「好き」で終わらせないために。持続可能な未来を考える理由
この記事で伝えたいのは、何かを否定したいとか、どちらが優れているとかではありません。
この世界が好きだから、未来があってほしいというだけです。
VRChatには支え合う文化があり、clusterには気軽に飛び込める優しさがあります。
そのどちらも、クリエイターが継続できる構造があってこそ。応援される人がいて、発信する人がいて、共鳴する人がいて、、、そうやって広がっていく世界だと思います。
お金と感謝と情熱が、きちんと交差する仕組み
それが、僕の願うメタバースのかたちです。
あとがき
メタバースって、本当に続いていけるのかな?
そう思ったことがある人に、届いたらうれしいです。
これは「正解」じゃなくて、僕なりの考え方です。あなたの感じていることも、ぜひ聞かせてください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。普段はXでも、メタバースやクリエイター活動について呟いています。
のんびりと続けていますので、よかったら遊びに来てくださいね。
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コメント
4世界で一番成功していると言われるメタバースであるRobloxも赤字続きだそうです
clusterの場合、課金やCtoC周りを全部cluster内の独占にするとこがあって
(ユーザー販売の場合も50%を手数料として持っていかれます)
booth(手数料わずか)やVRoidHUBなどとの外部連係がないのですよね。
例外はクラスター社の大株主であるRealityとの連係くらいです。
かつてのビデオのVHSに対するベータみたいにならないためにも
全部自社内で独占せずもっと外部の仕組みとのオープンな連係から
いろんなCtoC周りの仕組みや取り組みが広がればと願っています。
Satoruyaさん、コメントありがとうございます!
そうなんですよね…。
世界トップクラスのユーザー数と市場規模を誇るRobloxですら、黒字化には苦戦している現実。
「成功=利益」じゃないのが、メタバースの難しさだと感じます。
ユーザーに支持され、プラットフォームとして盛り上がっていても、開発コストやインフラ維持費、還元率の高さが重くのしかかる。
それでも挑戦を続ける姿勢が、今後の業界全体の可能性を広げてくれる気がします。
「どう持続可能にしていくか」が、これから一番大事なテーマですね。
かしちゃん、コメントありがとうございます!
本当にその通りですね。
「全部自社内で抱え込む」のは、初期段階では効率的に見えるかもしれませんが、
長期的に見るとエコシステムの広がりを止めてしまうリスクが大きいですよね。
ユーザーにとっても、BoothやVRoidHUBのような外部連携がある方が、選択肢も増えて活動しやすくなるはず。
CtoCが活性化することで、プラットフォーム全体の価値も上がるのに、「囲い込み型」のままだと、逆に可能性を狭めてしまう気がしています。
clusterがVHSのベータ化にならないように、もっと開かれた形に進化してほしいですね。